【IKIGAI TOWN プレスリリース|2026年8月22日】 物価上昇率の「買い物かご」の6分の1は、実際には支払われていない家賃だった ── 除いて測ると1.9%は2.2%に。さらに高齢者世帯の買い方で計算し直すと2.42%、差は0.52ポイント ※本リリースは報道関係者向けの情報提供資料です。 ※世帯類型別の上昇率は編集部による試算です。総務省が公表する指数ではありません。 ※末尾の【必ず併記してください】を含めてご出稿ください。 ■ 見出し案 (25字)物価指数の6分の1は、実際には支払われていない家賃 (39字)公表1.9%、実際に払う支出だけなら2.2%、高齢者世帯の買い方なら2.42% (10字・全角換算8字)高齢世帯は2.42% ■ リード 2026年8月21日に公表された消費者物価指数(全国・2026年7月分)の総合は1.9%だった。ただしその買い物かご のうち1,634/10,000(16.3%)は「持家の帰属家賃」で、持ち家の人が「もし借りていたら払うはずの 家賃」として計上された、実際には支払われていない支出である。総務省統計局はこれを除いた値を2.2%として 併せて公表している。ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部が、 公表された費目別上昇率に家計調査(2025年平均)の世帯類型別の支出構成を掛け直したところ、二人以上の世帯 2.18%、高齢単身無職世帯2.34%、夫婦高齢者無職世帯2.42%となった。 ■ 本文 ▼ 公表されたのは「総合 1.9%」 2026年8月21日、総務省統計局は消費者物価指数(全国・2026年7月分)を公表した。総合指数は2025年を100として 102.0、前年同月比1.9%の上昇である。この指数は、全国の世帯が平均的に何をどれだけ買っているかという 「買い物かご」を決めて、その中身の値段の変化を測っている。  食料      +3.5% (ウエイト 2754)  住居      +2.7% (ウエイト 548) ※持家の帰属家賃を除く  光熱・水道   +0.7% (ウエイト 698)  家具・家事用品 +3.7% (ウエイト 372)  被服及び履物  +1.2% (ウエイト 299)  保健医療    +2.1% (ウエイト 466)  交通・通信   +2.6% (ウエイト 1444)  教育      -3.8% (ウエイト 311)  教養娯楽    +1.9% (ウエイト 906)  諸雑費     +0.4% (ウエイト 570) ▼ かごの6分の1は「持家の帰属家賃」 住居のウエイトは2,182。ところがそのうち1,634は「持家の帰属家賃」で、実際に家賃を払っている人の支出では ない。持ち家に住む人が「もし借りていたら払うであろう家賃」を擬制的に計上したものである。買い物かご全体の 16.3%、およそ6分の1がこれにあたる。 帰属家賃を含めるのは国際的な統計基準にのっとった扱いで、それ自体は妥当なものだ。ただしほとんど上がらない ため、全体の上昇率を押し下げる方向に働く。費目別上昇率から逆算すると、帰属家賃の前年同月比は+0.43%だった。 統計局はこの点を承知しており、「持家の帰属家賃を除く総合」を2.2%として併せて公表している。 ▼ 計算式が公表値を再現できることを確かめた 公表されている費目別の上昇率とウエイトから帰属家賃だけを外して同じ式で計算すると2.25%。公表値2.2%を 0.05ポイント以内で再現できる(全体では1.95%で、公表の1.9%を同じ精度で再現)。ずれは公表値が小数第1位に 丸められているためで(公表の費目別寄与度の合計は1.955)、式そのものは成立している。 ▼ 世帯ごとの「買い物かご」に差し替える  公表された総合           1.9%  持家の帰属家賃を除く総合(公表)  2.2%(編集部再計算 2.25%)  二人以上の世帯(試算)       2.18%  高齢単身無職世帯(試算)      2.34%  夫婦高齢者無職世帯(試算)     2.42% 注意深く見ておきたいのは、二人以上の世帯(2.18%)が公表かご(2.25%)とほぼ同じ、むしろわずかに 低い点である。「実際の支出構成で計算し直すとどの世帯も高く出る」わけではない。差が開くのは高齢世帯である。 ▼ 0.52ポイントの差は、どこから来ているか  ① 公表値の丸めで      0.05pt(1.9%→1.95%)  ② 持家の帰属家賃の除外で  0.30pt(1.95%→2.25%)※全世帯共通  ③ 買い物かごの違いで    0.17pt(2.25%→2.42%)※世帯類型に固有 公表値との差の大半は指標の定義に由来するもので、世帯類型そのものの違いは0.17ポイントである。二人以上の 世帯(2.18%)と夫婦高齢者無職世帯(2.42%)を直接比べた差は0.24ポイントになる。 ▼ 差の主役は食料ではなく、教育だった 高齢世帯は食料の割合が大きい(公表かご32.9%→33.6%)ため、そこが差の主因だと考えたくなる。しかし 分解すると、最大の要因は教育(+0.141ポイント)で、食料(+0.026ポイント)はその5分の1程度である。  教育      +0.141pt (支出割合 3.7%→0.0%・前年同月比 -3.8%)  保健医療    +0.044pt (支出割合 5.6%→7.6%・前年同月比 +2.1%)  住居      +0.027pt (支出割合 6.5%→7.6%・前年同月比 +2.7%)  食料      +0.026pt (支出割合 32.9%→33.6%・前年同月比 +3.5%)  家具・家事用品 +0.013pt (支出割合 4.5%→4.8%・前年同月比 +3.7%)  光熱・水道   +0.012pt (支出割合 8.3%→10.0%・前年同月比 +0.7%)  諸雑費     +0.011pt (支出割合 6.8%→9.4%・前年同月比 +0.4%)  教養娯楽    +0.009pt (支出割合 10.8%→11.3%・前年同月比 +1.9%)  被服及び履物  -0.016pt (支出割合 3.6%→2.3%・前年同月比 +1.2%)  交通・通信   -0.102pt (支出割合 17.3%→13.3%・前年同月比 +2.6%) 全体を押し下げている教育の-3.8%は、主に高等学校授業料(私立)の-73.2%によるもの(総合への 寄与度-0.15)。背景には高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律(令和8年3月31日成立・4月1日施行)による所得制限の撤廃がある。 文部科学省は「いわゆる『高校無償化』と表現されることが多いが、的確な表現としては授業料を支援する 『高等学校等就学支援金』」としている。 つまりこれは値下がりというより制度による負担の付け替えで、恩恵が届くのは私立高校に通う子のいる世帯である。 高齢者世帯の支出に占める教育の割合は0.0%なので、押し下げは効かない。 逆方向にも大きな費目がある。交通・通信は-0.102ポイントと、高齢世帯の上昇率を押し下げる側に 働いている(支出割合が17.3%→13.3%と小さいため)。差はこれらの打ち消し合いの結果である。 ■ 調査概要 調査名:帰属家賃と世帯類型別の物価上昇率の試算(IKIGAI TOWN 編集部調べ) 調査主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営) 対象:消費者物価指数(全国・2026年7月分)の10大費目別 前年同月比と公表ウエイト/    家計調査 家計収支編 2025年平均の世帯類型別 費目別月平均額 出典:総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年7月分」(2026年8月21日公表)    https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf    総務省統計局「家計調査 家計収支編 2025年平均」    https://www.stat.go.jp/data/kakei/2025np/pdf/summary.pdf    文部科学省「高校生等への修学支援」    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/index.htm    (いずれも2026-08-22確認) 計算方法:世帯類型別の上昇率 = Σ(費目別の前年同月比 × その世帯類型の費目別支出構成比)      ・10大費目すべてを使用。家計調査の「その他の消費支出」のうち諸雑費はCPIの「諸雑費」       (ウエイト570・+0.4%)に対応するので含め、こづかい・交際費・仕送り金は対応する       価格指数がないため除外した。      ・CPIの「住居」は持家の帰属家賃を含むが家計調査の「住居」は含まないため、       「持家の帰属家賃を除く住居」(ウエイト548・前年同月比+2.7%)を使った。 検算:公表ウエイトから帰属家賃だけを外して同じ式で計算すると2.25%で、統計局が公表する    「持家の帰属家賃を除く総合」2.2%を0.05ポイント以内で再現する。全体では1.95%    (公表1.9%)。ずれは公表値が小数第1位に丸められているため。 総務省・文部科学省への事前確認:行っていない。誤りがある場合はご連絡いただければ速やかに訂正する。 ■ 必ず併記してください(数値・図表のみの引用時も同様) ・世帯類型別の上昇率は編集部による試算であり、総務省が公表する世帯類型別の物価指数ではない ・公表値との差0.52ポイントのうち世帯類型に固有なのは0.17ポイントで、残りは丸めと帰属家賃という  全世帯に共通する定義の問題である ・対象は65歳以上の無職世帯(夫婦のみ/単身)で、就業している高齢世帯は含まない ・家計調査の支出構成は2025年平均、CPIの上昇率は2026年7月で、時点が異なる ・価格指数を持たないこづかい・交際費・仕送り金を除いた10費目で計算している ・本リリースは公表されている消費者物価指数の妥当性を否定するものではない  (帰属家賃を含めるのは国際的な統計基準にのっとった扱いで、統計局は除いた値も併せて公表している) ■ 媒体別の切り口メモ ・生活/家計面:「物価上昇1.9%」の買い物かごの6分の1は、実際には払っていない家賃。 ・経済面:帰属家賃を除くと統計局公表でも2.2%。指標の設計と体感のずれはここに出る。 ・高齢者向け:65歳以上の無職世帯は2.42%。ただし主因は食料ではなく、教育の値下がりが届かないこと。 ・教育/政策面:教育-3.8%は高等学校等就学支援金の所得制限撤廃による。CPI全体を押し下げる一方、         恩恵は私立高校に通う子のいる世帯に限られる。 ・政策面:年金改定や給付は全国平均の物価指標を基準に設計される。平均より速い上昇に直面している      世帯には、その分だけ調整が届きにくい。 ■ 出典表記(コピペ用) 出典:IKIGAI TOWN 編集部試算(総務省統計局「消費者物価指数」「家計調査」より) https://ikigai.town/ja/press/2026-08-22/ ■ 図表・データ 図1 公表値と世帯類型別の物価上昇率:media/fig1-setai-betsu.png / .svg 図2 買い物かごの違いの費目別内訳:media/fig2-hiyoku-bunkai.png / .svg 集計データ(5表):data/setai-betsu-bukka-2026-07.csv 本リリースの図表・数値・本文は CC BY 4.0(出典明記で改変を含め自由利用可・事前連絡不要)。 ■ お問い合わせ スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 編集部) support@ikigai.town(メールのみ)