年金・老後資金 / 完全ガイド

専業主婦の老後資金はいくら必要?
年金・貯金・受給額の完全ガイド【FP × AI診断】

公開日:2026年4月11日 更新日:2026年4月11日 監修:塩飽 哲生(IKIGAI TOWN 編集長) 次回レビュー:2026年10月

「専業主婦の私は、老後いくらもらえるの?」「夫が先に亡くなったら生活していけるの?」「40代から準備して間に合うの?」——専業主婦(第3号被保険者)の老後資金に対する不安は、他のどの立場よりも大きく、そして情報が散らばっています。本記事では、年金制度の仕組みから必要額の計算、夫の職業別の受給額モデル、そして40代・50代から始める具体的な準備ロードマップまで、プロFPと最新AIの両方の視点で体系的に整理しました。記事の中ほどにある「夫婦の老後資金シミュレーター」で、あなたの世帯の不足額もその場で確認できます。

結論:専業主婦世帯に必要な老後資金の目安

最初に結論からお伝えします。専業主婦世帯(夫が会社員/自営業で妻が第3号または第1号)の老後資金は、一般的に 1,500万〜2,500万円の取り崩しを想定する必要があります。これは金融審議会の「老後2,000万円問題」で有名になった数字とほぼ一致しますが、専業主婦世帯では以下の3点でより大きなリスクが加わります。

世帯タイプ 公的年金(月額) 必要な取り崩し総額の目安
会社員夫 × 専業主婦 約22万円 約1,500万〜2,000万円
自営業夫 × 専業主婦(第1号) 約13万円 約3,500万〜5,000万円
公務員夫 × 専業主婦 約24万円 約1,200万〜1,800万円
会社員夫 × 扶養内パート妻 約23万円 約1,300万〜1,900万円

Point — 専業主婦世帯は夫の職業で老後資金額が大きく変わる

特に自営業夫 × 専業主婦の世帯は、夫婦2人とも基礎年金のみになるため、毎月の不足額が約13万円と極端に大きくなります。この世帯タイプが最も早期の準備を必要とします。逆に公務員夫 × 専業主婦世帯は、夫の共済年金(厚生年金化後)が手厚く、最もリスクが低い構造です。

専業主婦(第3号被保険者)の年金の仕組み

老後資金を正しく計算するためには、まず専業主婦がどの年金を、いくら受け取れるのかを正確に理解する必要があります。

① 第3号被保険者とは

会社員や公務員(=第2号被保険者)に扶養されている配偶者で、年収130万円未満の人を第3号被保険者と呼びます。2026年4月時点で約700万人が該当し、そのほとんどは女性です。第3号の特徴は、自分で国民年金保険料を支払わなくても、40年間加入すれば国民年金(基礎年金)の満額を受け取れるという点です。

② 受け取れる年金は「老齢基礎年金」のみ

専業主婦(第3号)が受け取れるのは老齢基礎年金のみで、夫のような厚生年金はありません。2025年度の満額は年額81万6,000円(月額約6万8,000円)です。40年間のうち未納や猶予があると、月数比例で減額されます。

加入月数 年額 月額
480月(40年満額) 約81.6万円 約6.8万円
360月(30年) 約61.2万円 約5.1万円
240月(20年) 約40.8万円 約3.4万円

③ 結婚前に厚生年金に加入していた期間は別途上乗せ

結婚前に会社員として働いていた期間がある場合、その分の老齢厚生年金も別途受け取れます。たとえば「22歳で入社、28歳で結婚退職、6年間で平均年収350万円」であれば、概算で年額約11.5万円(月額約9,500円)の厚生年金が上乗せされます。自分の過去の加入履歴はねんきんネットで必ず確認しておきましょう。

注意 — 「いつから専業主婦か」で受給額は変わる

20代・30代で結婚退職した専業主婦は、若い頃の厚生年金加入期間が短いため、受給額は基礎年金中心になります。一方、40代後半で退職して専業主婦になった方は、15〜20年分の厚生年金が加算されるため、同じ「専業主婦」でも世帯の年金額は大きく異なります。まずはねんきんネットで自分の過去記録を確認することがスタートラインです。

夫の職業別・年収別 年金受給額モデル

世帯全体の年金は「妻の基礎年金 + 夫の基礎年金 + 夫の厚生年金」の合計です。夫の厚生年金は平均標準報酬月額 × 加入年数 × 0.005481 でおおまかに計算できます。ここでは代表的なケースをモデル化しました。

ケース①:会社員夫(生涯平均年収500万円・40年勤続)× 専業主婦

項目年額月額
夫の基礎年金約81.6万円約6.8万円
夫の厚生年金約109.6万円約9.1万円
妻の基礎年金約81.6万円約6.8万円
世帯合計約272.8万円約22.7万円

ケース②:会社員夫(生涯平均年収700万円・40年勤続)× 専業主婦

項目年額月額
夫の基礎年金約81.6万円約6.8万円
夫の厚生年金約153.5万円約12.8万円
妻の基礎年金約81.6万円約6.8万円
世帯合計約316.7万円約26.4万円

ケース③:自営業夫 × 専業主婦(いずれも国民年金のみ)

項目年額月額
夫の基礎年金約81.6万円約6.8万円
妻の基礎年金約81.6万円約6.8万円
世帯合計約163.2万円約13.6万円

ケース③の自営業世帯は、ケース①と比較して月額で約9万円、年額で約100万円も少ない状態になります。自営業夫婦は、現役時代から国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済などで上乗せを作ることが、老後を生き延びる前提条件です。

老後に毎月いくら必要?支出の実態データ

総務省「家計調査(2024年)」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の平均支出は以下のとおりです。

費目月額(円)割合
食料約72,00026.9%
住居約16,5006.2%
光熱・水道約22,4008.4%
家具・家事用品約10,7004.0%
被服及び履物約5,0001.9%
保健医療約16,9006.3%
交通・通信約30,40011.3%
教養娯楽約24,7009.2%
その他(交際費等)約50,70018.9%
非消費支出(税・社保)約31,000
合計約280,300100%

つまり、平均的な高齢夫婦世帯の支出は月約28万円。ケース①(会社員夫×専業主婦)の年金22.7万円と比較すると、毎月約5.3万円、年間約64万円の不足です。これを65歳から95歳までの30年間続けると、約1,900万円の取り崩しが必要になります。

Point — 平均値ではなく「あなたの世帯の実態」が重要

上記の28万円はあくまで平均値です。持ち家か賃貸か住宅ローンが残っているか医療費が多いか子どもへの援助があるかで、月額支出は10万円単位で変動します。「うちは質素だから15万円で足りる」と思っていても、医療費・介護費・家の修繕費で想定外の支出が発生するのが老後です。

【無料ツール】夫婦の老後資金シミュレーター

ここからが本記事の目玉です。以下のシミュレーターに5項目を入力するだけで、あなたの世帯の老後資金の過不足をその場で試算できます。所得・氏名などの個人情報は一切送信しません(ブラウザ内で計算完了)。

FREE TOOL

夫婦の老後資金シミュレーター

5項目を入力するだけ。3秒で不足額がわかります。

あなたの世帯の老後資金シミュレーション結果

想定される世帯の公的年金
万円/月
想定支出との差額
万円/月
老後期間の総支出見込
万円
老後期間の総年金見込
万円
65歳時点で必要な老後資金(現在資産を差し引いた不足額) — 万円

プロFP × AIで詳細なライフプラン診断を受ける(無料)

※ 本シミュレーターは簡易試算ツールです。実際の年金受給額は加入期間・報酬履歴・制度改正により変動します。運用益・インフレ・税金は含めていません。正確な試算にはプロFPによる個別ライフプラン診断をご活用ください。

不足額を埋める5つの打ち手

シミュレーターで不足額が明確になったら、次はそれを埋めるための具体的な打ち手です。ここでは効果の大きい順に5つを整理します。

打ち手①:新NISA(つみたて投資枠)— 最優先

2024年から始まった新NISA制度は、夫婦で年間720万円(=1人360万円)×非課税無期限という、家計防衛の最強ツールです。専業主婦本人の名義でも、贈与の形で積立が可能です。月3万円を25年間、年利4%で積立すると元本900万円が約1,540万円になります。運用益約640万円がすべて非課税というインパクトは計り知れません。

打ち手②:iDeCo(個人型確定拠出年金)

専業主婦(第3号)も月2.3万円まで加入可能です。所得がないため所得控除のメリットは受けられませんが、運用益非課税+受取時の控除は使えます。ただし60歳まで原則引き出せないという制約があるため、教育費ピークが残っている40代は、新NISAを優先する方が柔軟性が高くなります。

打ち手③:年金の繰下げ受給(最大84%増)

公的年金は65歳から原則受給ですが、最大75歳まで繰下げることで受給額を最大84%増やせます。たとえば月6.8万円の基礎年金を75歳まで繰下げると、月12.5万円になります。ただし繰下げ期間中の生活費を別途準備できる人に限られるため、資産に余裕のある人の終盤の打ち手です。

打ち手④:妻のパート就業(130万円の壁 or 106万円の壁を超える)

これまで扶養内で働いていた専業主婦が、あえて社会保険加入ラインを超えて働くことで、将来の厚生年金を増やすという選択肢です。年収150万円で20年働けば、将来の厚生年金は年額約16.4万円増加します。目先の手取りは減りますが、生涯で見ると大きなプラスになるケースが多くあります。

打ち手⑤:住宅ローンの完済時期を60歳までに

老後家計を圧迫する最大の要因は、退職後も続く住宅ローン返済です。40代で住宅ローンが残っている場合、繰上返済と退職金充当で「完済時期を60歳以前に前倒す」ことが、年金生活を安定させる最重要施策です。老後資金と住宅ローンは必ずセットで検討してください。

あなたの世帯の老後資金、まずは"見える化"から。

IKIGAI TOWNは、プロFPとAIが共同であなた専用のライフプラン表を作成します。
年金受給額・教育費ピーク・老後までを一枚の表で見通すことで、打ち手が明確になります。

将来資金リスクを無料で診断する

要注意:離婚・死別・第3号廃止の3大リスク

専業主婦の老後資金を考えるとき、「夫婦2人で年金生活」という前提が崩れる3つのリスクを必ず織り込んでください。

リスク①:離婚と年金分割

2008年4月以降の第3号期間は、離婚時に夫の厚生年金記録の2分の1を自動的に分割できる「3号分割制度」があります。それ以前の期間は夫婦の合意による「合意分割」です。重要なのは、分割の対象は厚生年金部分のみで、基礎年金・退職金・企業年金は対象外という点です。ケース①(会社員夫×専業主婦)で離婚した場合、分割後の妻の年金は月約11.4万円(基礎年金6.8万円+厚生年金分割分4.6万円)となり、単身世帯の平均支出15〜16万円を下回ります。熟年離婚の前には必ず具体的なシミュレーションを行ってください。

リスク②:夫の死別と遺族年金

夫が先に亡くなった場合、妻は遺族厚生年金(夫の厚生年金の4分の3)+自分の老齢基礎年金を受け取ることになります。ケース①では、妻の受給額は月約13.6万円(基礎年金6.8万円+遺族厚生年金6.8万円)。これも単身世帯の平均支出を下回る水準です。平均寿命は女性の方が約6年長いため、夫の死後6年分の単身生活費を追加で備える必要があります。

リスク③:第3号被保険者制度の見直し論

第3号被保険者制度は、「保険料を払わずに年金を受け取れる」という特殊性から、厚生労働省の社会保障審議会で継続的に見直し議論が行われています。2026年4月時点で廃止は決定していませんが、仮に廃止された場合、専業主婦は国民年金第1号として月約1.7万円の保険料負担が発生します。制度変更リスクを踏まえ、「制度に頼りきらない自助努力の備え」の重要性は年々高まっています。

注意 — 遺族年金にも見直し議論がある

2025年以降、遺族厚生年金についても男女差の是正有期化(5年間のみ支給)などの議論が継続しています。「夫が亡くなっても遺族年金で生活できる」という前提は、今後変わる可能性があります。最新の制度動向は必ず厚生労働省の公式サイトで確認してください。

40代・50代から始める準備ロードマップ

「今からでは遅い」は誤解です。40代・50代の今から始めても、老後資金の準備は十分に間に合います。以下は年代別の最優先アクションです。

40代(残り20〜25年)

  1. ねんきんネット登録:夫婦2人分の年金見込額を確認
  2. 新NISA開始:まずは夫婦で月合計3〜5万円から
  3. 住宅ローンの完済予定を60歳以前に前倒す計画を立てる
  4. 教育費のピークに備える:子どもが大学進学する年齢と老後資金のバランス調整
  5. 月次家計簿の確立:老後支出を見積もる基礎データづくり

50代(残り10〜15年)

  1. ねんきん定期便で受給額を再確認(毎年誕生月に送付)
  2. 新NISAの積立額を増額:子どもの独立後、教育費分を老後資金にシフト
  3. 退職金の受取方法を検討:一時金/年金受取/併用でどれが税制有利か試算
  4. 妻のパート就業を本格検討:106万/130万の壁を超える選択肢
  5. 住宅リフォームの必要性を棚卸し:老後の住まい戦略

60代前半(残り5年以内)

  1. 年金の繰下げ受給を検討:資産に余裕があれば70歳・75歳まで繰下げ
  2. 65歳までの"無年金期間"の生活費を貯蓄・再雇用収入で確保
  3. 相続・贈与の準備:子・孫への生前贈与と老後資金のバランス
  4. 地域の給付金・補助金を取り漏れなく申請(介護・医療・住宅)
  5. 認知症・介護リスクへの備え:家族信託・任意後見の検討

地域の給付金・補助金は老後家計の「下支え」として非常に重要です。お住まいの自治体の制度は 給付金・補助金カテゴリ でエリア別にまとめています。

よくある質問 Q&A

Q1. 専業主婦がもらえる年金はいくらですか?

第3号被保険者として40年間加入した場合、満額で年額約81.6万円(月額約6.8万円)です。結婚前に会社員として働いていた期間があれば、その分の老齢厚生年金が上乗せされます。

Q2. 専業主婦の老後資金はいくら必要ですか?

夫が会社員の世帯で約1,500万〜2,000万円、夫が自営業の世帯で約3,500万〜5,000万円の取り崩しが目安です。持ち家か賃貸か、住宅ローンの有無、医療費によって大きく変動します。

Q3. 専業主婦でもiDeCoに加入できますか?

加入可能です。掛金上限は月2.3万円(年27.6万円)。所得控除は使えませんが、運用益非課税と受取時の控除があります。ただし60歳まで引き出せないため、まずは新NISAを優先することをおすすめします。

Q4. 夫が先に亡くなったら、私の年金はどうなりますか?

遺族厚生年金(夫の厚生年金の4分の3)+自分の老齢基礎年金を受け取ります。夫が会社員で平均年収500万円の場合、妻の受給額は月約13.6万円が目安です。ただし単身世帯の平均支出(月約15〜16万円)を下回るため、自助努力での備えが必須です。

Q5. 熟年離婚した場合、年金分割でどれくらいもらえますか?

2008年4月以降の第3号期間は夫の厚生年金の2分の1が自動分割されます。分割対象は厚生年金部分のみで、退職金や企業年金は対象外です。ケース①なら分割後の妻の年金は月約11.4万円です。

Q6. 第3号被保険者制度は廃止されますか?

2026年4月時点で廃止は決定していませんが、見直し議論は継続中です。廃止された場合、月約1.7万円の保険料負担が発生する可能性があります。制度に頼りきらない備えが重要です。

Q7. 40代から始めて老後資金は間に合いますか?

十分に間に合います。40歳から新NISAで月3万円・年利4%で25年積立すれば、元本900万円が約1,540万円に。夫婦でiDeCo併用+50代からのパート収入を加えれば、老後2,000万円問題はクリア可能です。

まとめ

  • 専業主婦(第3号被保険者)が受け取れるのは老齢基礎年金のみで、40年満額で月約6.8万円
  • 世帯年金は夫の職業で大きく変わり、会社員夫×専業主婦で月約22万円、自営業夫×専業主婦で月約13.6万円
  • 65歳以上夫婦の平均支出は月約28万円。年金だけでは毎月4〜6万円の不足
  • 老後30年の取り崩し総額は、会社員世帯で1,500万〜2,000万円、自営業世帯で3,500万〜5,000万円
  • 不足額を埋める最優先の打ち手は「新NISA」。40代から月3万円積立で1,500万円超の資産形成が可能
  • 離婚・死別・第3号廃止の3大リスクを必ず織り込み、プランを2軸・3軸で立てる
  • 40代・50代からでも十分間に合うが、早く始めるほど月次の積立額は少なくて済む
  • 最初の一歩は「ねんきんネットで自分と夫の年金見込額を確認」すること
※ 本記事は2026年4月時点の一般的な制度解説であり、特定の世帯の老後資金額を保証するものではありません。年金受給額、第3号被保険者制度、遺族年金、iDeCo・新NISAの制度内容は、今後の法改正により変更される可能性があります。本記事内のシミュレーターは簡易試算ツールであり、運用益・インフレ・税金などの要素は含まれていません。実際の老後資金計画にあたっては、必ず日本年金機構・厚生労働省・金融機関等の公式情報をご確認の上、個別の状況に応じてファイナンシャルプランナーなどの専門家へご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

私が書きました

塩飽 哲生

塩飽 哲生(しわく てつお)

IKIGAI TOWN 編集長 / スペシャリスト・ドクターズ株式会社 代表取締役
東京大学工学部卒・同大学院修士課程修了。3男2女の父。

東京大学で5年間ヘルスケアを研究し、その後20年以上にわたり医療・ライフプラン分野で新規事業の立ち上げやM&Aに携わってきました。私たちIKIGAI TOWNが最も大切にしているのは、お客様が生涯を通じて「お金の不安」から解放され、自分らしいIKIGAIを追い続けられる状態をつくることです。年金・老後資金は、ライフプラン全体の最後尾にある巨大な山。40代・50代の今、山の姿を正確に"見える化"しておくことが、老後不安から解放される最短ルートです。記事を読んで「自分の場合はどうだろう?」と感じた方は、ぜひ無料のライフプラン診断で、ご自身の現在地を確かめてみてください。

無料でライフプラン診断を受ける