はじまりの対話 ― 私たちはいま、どこに立っているか
第1回はいわば自己紹介から始まりました。まったく異なる分野で20〜30年を過ごしてきた4名が、それぞれのキャリアの現在地を率直に共有する。一見ありふれた導入のように思えましたが、話題が「人生の後半戦」に及んだとき、場の空気がふっと変わります。
A氏が、ぽつりと口にしました。長年続けてきた現場仕事から管理職へ軸足が移ったタイミングで、自分でも想定していなかった「違和感」があると。「本当にこれが深刻な悩みではない」と自覚しながらも、ずっと磨いてきたスキルが日常業務から遠ざかっていくことへの、静かな戸惑い。
「現場から管理職へ――違うフェーズに入っていくことに対して、僕は若干、違和感を感じていて、リアルに悩んでいるんですよね。」― Participant A
一方のB氏は、ご自身のやりがいを「社会の根っこを本当に支える立場」という言葉で表現されました。自分がこの仕事を止めたら、多くの人が困る ― その手応えこそが、日々の仕事の背骨になっている、と。違う背景を持ちながら、「社会とのつながりによって輪郭を持つ自分」という共通の感覚が、そこに浮かび上がりました。
第1回は結論を出す会ではありませんでした。けれどこの日の対話は、のちの4回を貫く大きな問いを提示しました。「人生後半戦の入り口で、私たちは何を手放し、何を育てていくのか」。