マンション貸し方ガイド
【2026】賃貸経営の全工程
マンションを貸すなら、管理会社選び・家賃設定・確定申告の3点を押さえれば失敗しにくくなります。
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目次(14セクション)
貸すか売るか――判断基準を数字で整理する
転勤・住替え・相続などで空きマンションを持ったとき、最初の分岐点は「貸す」か「売る」かです。感覚ではなく数字で判断するために、以下の3指標を確認しましょう。
| 判断指標 | 貸す方が有利 | 売る方が有利 |
|---|---|---|
| 表面利回り | 4%以上(年間家賃÷売却想定価格) | 3%未満 |
| 築年数 | 築15年以内(設備更新コスト小) | 築25年超(大規模修繕リスク大) |
| 将来の利用予定 | 数年後に戻る予定がある | 戻る予定がない |
たとえば売却想定価格3,000万円のマンションで月額家賃12万円(年144万円)なら、表面利回りは4.8%です。空室率や経費を差し引いた実質利回りは3〜3.5%程度になりますが、ローン完済済みであれば手残りは十分確保できます。
マンションを貸すまでの全体フロー(8ステップ)
初めてマンションを貸す方が迷わないよう、全工程を8ステップに整理します。
- 住宅ローンの確認 ―― 残債がある場合は金融機関に賃貸転用の可否を相談
- 管理規約の確認 ―― 賃貸禁止・ペット可否・民泊転用制限をチェック
- 管理会社の選定 ―― 3社以上から見積もりを取り、管理メニュー・手数料・入居率実績を比較
- 家賃査定 ―― 近隣成約事例を基に適正家賃を算出(SUUMOやレインズが参考になる)
- リフォーム・ハウスクリーニング ―― 費用対効果の高い箇所に絞って実施
- 募集条件の決定 ―― 契約形態(普通借家 or 定期借家)・敷金・礼金・AD(広告料)を設定
- 入居審査・契約 ―― 保証会社の審査+管理会社の目利きで入居者を選定
- 引渡し・管理開始 ―― 鍵の引渡し後、管理会社が家賃回収・クレーム対応を代行
全工程を自分でやる必要はありません。ステップ3〜8は管理会社に委託できます。オーナーが判断すべきはステップ1・2・4(家賃の最終承認)の3つです。
住宅ローンが残っている場合の注意点
住宅ローンは自己居住が融資条件です。無断で賃貸に出すと契約違反となり、一括返済を求められるリスクがあります。残債がある場合の選択肢は以下の3つです。
- 金融機関への事前相談 ―― 転勤など「やむを得ない事情」であれば、住宅ローンのまま期限付きで賃貸を認めてもらえるケースがある
- 賃貸用ローンへの借換え ―― アパートローン・不動産投資ローンに切り替える。金利は0.5〜1.0%程度上がるのが一般的
- 繰上返済して完済 ―― 手元資金に余裕がある場合は完済してから賃貸に出すのが最もシンプル
住宅ローン控除の適用中に賃貸に出すと、控除は打ち切りになります。残りの控除期間と家賃収入を比較し、どちらが有利かを計算しましょう。
家賃設定の考え方――相場調査と利回り計算
家賃は高すぎると空室が長引き、安すぎると収支が合いません。適正家賃を決めるための手順を整理します。
相場調査の方法
- ポータルサイト(SUUMO・HOME'S)で同エリア・同築年数・同間取りの募集家賃を確認
- レインズ(不動産流通標準情報システム)で成約家賃を確認(管理会社経由で閲覧可能)
- 管理会社3社の査定を取って中央値を基準にする
利回り計算
| 指標 | 計算式 | 目安 |
|---|---|---|
| 表面利回り | 年間家賃 ÷ 物件価格 × 100 | 4〜6% |
| 実質利回り | (年間家賃 − 年間経費)÷ 物件価格 × 100 | 3〜4% |
計算例:物件価格2,500万円・月額家賃10万円の場合
- 表面利回り = 120万円 ÷ 2,500万円 × 100 = 4.8%
- 年間経費(管理委託料・修繕積立金・固定資産税・火災保険等)= 約36万円
- 実質利回り =(120万円 − 36万円)÷ 2,500万円 × 100 = 3.36%
管理会社の選び方と委託形態の比較
管理会社への委託形態は大きく3つあります。それぞれのメリット・デメリットを比較します。
| 委託形態 | 手数料目安 | 空室リスク | オーナーの手間 |
|---|---|---|---|
| 自主管理 | 0円 | オーナー負担 | 大(入居者対応・修繕手配すべて) |
| 管理委託 | 家賃の3〜5% | オーナー負担 | 小(月次報告を確認する程度) |
| サブリース(一括借上) | 家賃の10〜20% | 管理会社負担 | 最小(保証家賃が毎月入金) |
管理会社を選ぶチェックリスト
- 管理戸数と入居率の実績(入居率95%以上が目安)
- 空室時の募集力(ポータル掲載数・自社サイトの集客力)
- 24時間対応の有無(水漏れ・鍵紛失など緊急トラブル)
- 月次報告書の内容(収支・修繕履歴・入居者情報)
- 解約条件(解約予告期間・違約金の有無)
普通借家と定期借家――契約形態の選び方
賃貸借契約には普通借家契約と定期借家契約の2種類があります。将来の利用計画によって選び分けます。
| 項目 | 普通借家 | 定期借家 |
|---|---|---|
| 契約期間 | 通常2年(自動更新) | 自由に設定(更新なし) |
| オーナーからの解約 | 正当事由が必要(実質困難) | 期間満了で終了 |
| 家賃水準 | 相場どおり | 相場より5〜15%低くなりやすい |
| 向いているケース | 長期運用・戻る予定なし | 転勤中の一時貸し・将来住み戻り |
転勤で3年後に戻る予定がある場合は定期借家契約を選びましょう。普通借家で貸すと、入居者が退去に応じない限り自分が戻れなくなるリスクがあります。
初期費用とリフォームの費用目安
賃貸に出す前に必要な費用を項目別に整理します。すべて実施する必要はなく、費用対効果の高い箇所に絞るのがポイントです。
| 項目 | 費用目安 | 優先度 |
|---|---|---|
| ハウスクリーニング | 3万〜8万円 | 必須 |
| 壁紙・クロス張替え | 6万〜15万円(1LDK) | 汚れ・傷がある場合 |
| 水回り設備交換 | 10万〜40万円(箇所による) | 築15年以上で検討 |
| 給湯器交換 | 15万〜25万円 | 使用10年超で予防交換推奨 |
| エアコン交換 | 8万〜15万円/台 | 使用10年超で検討 |
| 広告料(AD) | 家賃0.5〜1か月分 | 早期入居を狙う場合 |
リフォームにかけた費用は確定申告で経費(修繕費)に算入できます。ただし資本的支出(建物の価値を高める工事)に該当する場合は減価償却の対象となるため、税理士に相談しましょう。
確定申告と節税――不動産所得の基本
家賃収入は不動産所得として、毎年2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。給与所得がある方は給与所得と合算(損益通算)されます。
経費に算入できるもの
- 管理委託料
- 修繕費(原状回復費用・ハウスクリーニング代)
- 減価償却費
- ローン利息(元金部分は不可)
- 火災保険料・地震保険料
- 固定資産税・都市計画税
- 管理組合への管理費・修繕積立金
- 入居者募集の広告料(AD)
- 交通費(物件管理のための移動)
- 税理士報酬
青色申告のメリット
事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出すると、以下の特典を受けられます。
- 最大65万円の特別控除(e-Tax+複式簿記の場合。それ以外は10万円控除)
- 赤字の3年繰越 ―― 初年度の経費が大きく赤字になっても、翌年以降の所得と相殺可能
- 30万円未満の資産の一括経費化(少額減価償却資産の特例)
減価償却の仕組みと計算例
建物部分は年々価値が減るものとして、減価償却費を経費に計上できます。実際にお金は出ていかないのに経費になるため、節税効果が大きい項目です。
計算式
減価償却費 = 建物取得価額 × 償却率
| 構造 | 法定耐用年数 | 定額法償却率 |
|---|---|---|
| RC造(鉄筋コンクリート) | 47年 | 0.022 |
| SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート) | 47年 | 0.022 |
計算例:築10年のRC造マンション、建物取得価額1,500万円の場合
- 中古の耐用年数 =(47年 − 10年)+ 10年 × 0.2 = 39年
- 償却率 = 1 ÷ 39 ≒ 0.026
- 年間減価償却費 = 1,500万円 × 0.026 = 39万円
この39万円が毎年の経費になります。所得税率20%の方なら、年間約7.8万円の節税効果です。
空室対策と入居者募集のポイント
空室期間は家賃収入ゼロでもローン・管理費・固定資産税は発生します。空室を最小限にするための対策を整理します。
募集段階の対策
- 複数ポータルへの掲載 ―― SUUMO・HOME'S・アットホームの3大サイトに掲載しているか確認
- 写真の質 ―― 広角レンズで明るく撮影した写真は反響率が上がる。プロカメラマンの費用は1〜2万円
- AD(広告料)の設定 ―― 閑散期(6〜8月)は家賃1か月分のADを出すと仲介業者の優先度が上がる
- 家賃の再査定 ―― 2か月以上空室が続いたら、家賃を3〜5%下げることを検討
物件の差別化
- インターネット無料(月額3,000〜5,000円で導入可能、家賃に上乗せできる)
- 宅配ボックスの設置
- ペット可への変更(管理規約で許可されている場合)
- 家具・家電付きでの募集(転勤者向け)
入居者トラブルの予防と対処法
賃貸経営で避けて通れないのが入居者トラブルです。事前の仕組みづくりで大部分は予防できます。
| トラブル | 予防策 | 発生時の対処 |
|---|---|---|
| 家賃滞納 | 保証会社の利用を必須にする | 保証会社が立替・督促を代行 |
| 騒音クレーム | 契約書に生活音ルールを明記 | 管理会社から書面で注意 |
| 原状回復費の紛争 | 入居時に写真付き現況確認書を作成 | 国交省ガイドラインに基づき負担区分を判定 |
| 無断ペット飼育 | 契約書の特約に違約金を明記 | 管理会社を通じて是正要求 |
| 退去時の立会い | 管理会社に代行を依頼 | チェックシートで損耗状態を記録 |
火災保険・施設賠償保険の選び方
オーナーとして加入すべき保険は入居者の保険とは別です。入居者には借家人賠償付きの火災保険に加入してもらいますが、オーナー自身も以下に加入しておく必要があります。
- 火災保険(建物) ―― 火災・水災・風災による建物の損害を補償。年間1〜3万円(マンション1室の場合)
- 地震保険 ―― 火災保険とセットで加入。補償額は火災保険の30〜50%
- 施設賠償責任保険 ―― 建物の欠陥で入居者やその持ち物に損害を与えた場合を補償。給排水管の破裂による階下への水漏れ事故などが対象
- 家賃保証特約 ―― 火災等で部屋が使えなくなった期間の家賃収入を補償
マンション1室なら、火災保険+地震保険+施設賠償で年間2〜5万円が目安です。これらの保険料はすべて経費として確定申告で控除できます。
出口戦略――売却・住み戻り・建替え
賃貸経営は「始め方」だけでなく「やめ方」も計画しておくことが重要です。代表的な出口は3つあります。
1. 売却
- 入居者がいる状態でもオーナーチェンジ物件として売却可能(ただし空室より10〜20%安くなりやすい)
- 所有期間5年超なら譲渡所得税は約20%(短期だと約39%)
- 3,000万円特別控除はマイホーム売却が条件。賃貸転用後は適用に制限がある
2. 住み戻り
- 定期借家契約なら期間満了で確実に戻れる
- 普通借家の場合、入居者の同意なしでは退去させられない。立退料(家賃6〜12か月分)が必要になることも
3. 建替え・リノベーション
- 築40年超で設備の老朽化が進んだ場合に検討
- マンションの場合は区分所有者の決議が必要なため、単独では実施できない
よくある質問(FAQ)
- マンションを貸すのに必要な初期費用はどのくらいですか?
- ハウスクリーニング3万〜8万円、設備点検・補修5万〜30万円、管理会社への広告料(AD)が家賃0.5〜1か月分が目安です。築年数や設備状態で幅があるため、事前に管理会社に見積もりを取りましょう。
- 管理会社に委託する場合の手数料相場は?
- 家賃の3〜5%が一般的です。サブリース(一括借上)の場合は家賃の10〜20%が差し引かれますが、空室リスクをオーナーが負わない点がメリットです。
- 住宅ローンが残っていても貸せますか?
- 住宅ローンは自己居住が前提のため、原則としてそのままでは賃貸に出せません。金融機関に相談し、賃貸用ローン(アパートローン等)への借換えか、やむを得ない事情として承諾を得る必要があります。
- 確定申告はどうすればいいですか?
- 家賃収入は不動産所得として毎年確定申告が必要です。管理費・修繕費・減価償却費・ローン利息・火災保険料などを経費に算入できます。青色申告を選ぶと最大65万円の特別控除が適用されます。
- 入居者とのトラブルが心配です。どう防げますか?
- 入居審査の徹底(保証会社の利用)、賃貸借契約書の特約整備、定期借家契約の活用が有効です。管理会社に委託すればクレーム対応・家賃督促も代行してもらえます。
- 貸すか売るか迷っています。判断基準は?
- 表面利回り(年間家賃÷売却想定価格)が4%以上なら賃貸経営のメリットが出やすいとされます。ただし築年数・立地・将来の住み替え計画・税金を含めた総合判断が必要です。FPに収支シミュレーションを依頼すると判断しやすくなります。
マンションを貸すか迷っている本当の理由は、「家計全体への影響を把握したい」気持ちかもしれません
マンションの貸し方を調べている方の多くは、単に「家賃はいくら取れるか」を知りたいだけではありません。本当に大切なのは、賃貸経営が自分の家計全体にどう影響するかを把握することです。
背景には、次のような不安や想いがある場合があります。
- ローンが残っているが、貸しても家計は回るのか
- 確定申告や税金の手続きが複雑そうで不安
- 空室が続いたら赤字にならないか
- 将来戻りたくなったときに戻れるのか
- 管理会社に任せた場合の手残りはいくらか
FP相談では、これらを一枚に整理し、ご家族の状況に合った優先順位を一緒に考えます。
マンションを貸すことは、暮らし方の選択肢を増やすことです
マンション賃貸経営は、ただの不動産運用ではありません。家賃収入で家計にゆとりを持たせる、転勤中も資産を活かす、老後の収入源を確保する――暮らし方の選択肢を増やすための手段です。
無理のない範囲で賃貸経営を始めるために、物件の収支・税金・将来計画を一緒に整理しましょう。
無料相談で確認できること
貸す vs 売るの収支比較
家賃収入・経費・税金を踏まえた10年間の手残りと、売却時の手取りを比較します。
適正家賃と利回りの試算
近隣相場と物件条件から適正家賃を算出し、表面・実質利回りを確認します。
確定申告と節税のシミュレーション
減価償却・青色申告控除・損益通算を組み合わせた節税効果を試算します。
住宅ローンの取扱い確認
残債がある場合の選択肢(金融機関相談・借換え・完済)を整理します。
出口戦略の設計
売却・住み戻り・長期運用のどれが最適か、税金を含めてシミュレーションします。
マンション賃貸経営は、「手残りの数字」と「将来計画」で決めましょう
マンションを貸すかどうかは、家賃の額面だけで決めるものではありません。ローン残債・税金・管理費・将来の住み替え計画まで含めて、手残りの数字で判断することが大切です。
賃貸経営と家計を無料で整理する Zoom30分から / 何度でも無料 / 営業電話なし
その先に、選べる暮らしが増えます
お金の不安が強いと、働き方も、家族との時間も、自分のやりたいことも、どうしても後回しになりがちです。
家計を整理する目的は、ただ節約することではありません。
家賃収入の見通しを立て、税金と経費を整理することで、仕事を減らす、家族との時間を増やす、好きな仕事や生きがいに時間を使う、といった選択肢が見えやすくなります。
たとえば、こんな選択肢を数字で確認できます。
お金の不安だけで、働き方や暮らし方を決めなくてよくなる。そのための家計チェックです。
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本ページの制度概要・要件・税率は、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(執筆時点)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。FPは記事を直接監修してはおらず、関連テーマでご相談を受けるFPとしてご紹介しています。
最終確認日:2026年5月15日
※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。
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