東京都の相続税はなぜ高い?
路線価・地価から見る必要な対策【2026年版】
国税庁の統計によれば、相続税の課税割合(亡くなった方のうち相続税が発生する人の割合)がもっとも高い都道府県は、毎年のように東京都です。「うちは一般的な住宅街の持ち家世帯だから関係ない」と思っていても、実家の土地評価だけで基礎控除を超えてしまう——。本記事では、東京都で相続税が高くなりやすい理由を路線価・地価の観点から整理し、持ち家世帯が取るべき対策のポイントを解説します。
東京都の相続税プロフィール
東京都の持ち家世帯が相続税で苦戦しやすい最大の理由は、資産の大半が「実家の土地」に集中していることにあります。預貯金や有価証券はそれほど多くないのに、土地の評価額だけで数千万円〜1億円に達してしまうため、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を軽く超えてしまうのです。
| 項目 | 東京都の傾向 |
|---|---|
| 相続税の課税割合 | 全国トップクラスで約2割前後の年も |
| 資産構成 | 土地比率が高く、納税資金が不足しやすい |
| 地価動向 | 23区・多摩の主要駅周辺で上昇基調が継続 |
| 家計の課題 | 評価額の割に現金がなく、納税資金の準備が必要 |
路線価とは何か
相続税の土地評価の基本となるのが「路線価」です。路線価とは、国税庁が毎年7月に公表する、道路に面した土地1平方メートルあたりの評価額のこと。相続税や贈与税を計算するために使われる、いわば「税金用の土地値段」です。
路線価は、実際の売買価格(時価・公示地価)のおおむね8割程度に設定されるのが一般的です。一見すると「実勢価格より安く評価される」と感じるかもしれませんが、東京都のように地価そのものが高いエリアでは、8割でも十分に大きな金額になります。
Point
自分の実家の路線価は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で誰でも無料で確認できます。まずは実家の住所で路線価を調べ、概算の土地評価額を把握することが第一歩です。
23区で相続税が高くなりやすい理由
東京23区の路線価は、都心部はもちろん、郊外の住宅街でも全国的に見てきわめて高い水準にあります。例えば、住宅街として人気の城南・城西エリアでは、駅徒歩圏の住宅地の路線価が1平米あたり数十万円〜百万円超というケースも珍しくありません。
仮に土地が40坪(約132平米)、路線価が60万円/平米だとすると、それだけで土地評価額は7,920万円。ここに建物評価や預貯金・有価証券を加えると、基礎控除4,800万円(配偶者+子2人のケース)を大きく超えてしまうのが、23区の相続の現実です。
23区の中でも特に意識したいエリアの特徴
- 都心3区(千代田・中央・港):タワマン・高級戸建てともに評価額が高く、マンション評価の見直しの影響も。
- 城南・城西エリア:住宅地としての人気が高く、低層住宅地でも路線価が上振れしやすい。
- 城東エリア:再開発で地価上昇が続く駅周辺と、そうでないエリアの差が大きい。
- 城北エリア:比較的落ち着いた水準だが、駅近はここ数年で上昇傾向。
多摩地域の地価動向と相続
「多摩地域なら相続税は関係ない」と思われがちですが、実際には主要駅周辺(吉祥寺・立川・国分寺・武蔵小金井など)では着実に路線価が上昇しており、戸建て主体のエリアでも相続税の課税対象になるケースが増えています。多摩地域は土地の広さがある分、評価額が予想以上に膨らむこともあるため注意が必要です。
注意
同じ「東京都」でも、区部と多摩部では地価水準も路線価も大きく異なります。相続シミュレーションをするときは、実家の正確な所在地で路線価を確認することが欠かせません。一般論だけで判断すると、大きく読み違えることがあります。
小規模宅地等の特例を使いこなす
東京都の持ち家相続で、絶対に知っておきたいのが「小規模宅地等の特例」です。被相続人が住んでいた土地(特定居住用宅地等)については、330平米までの部分の評価額を80%減額できる非常に強力な制度で、この特例を使えるかどうかで相続税額が大きく変わります。
ただし、特例の適用にはいくつかの要件があります。典型的には次のようなケースが認められます。
- 配偶者が自宅を相続する場合(無条件で適用可能)
- 同居していた親族が引き続き居住する場合
- いわゆる「家なき子特例」として、別居している相続人が一定要件を満たす場合
東京都では、「親の自宅を相続するが、自分はすでに別の住まいを持っている」というパターンが多く、家なき子特例の要件を満たせるかどうかは、家族構成や住まいの歴史によって大きく左右されます。
「うちの実家、相続したら相続税いくらかかる?」
路線価・建物・預貯金を合わせて、早めにざっくりでもシミュレーションしておくことが大切です。
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東京都の持ち家世帯が今やるべきこと
- 実家の路線価を確認:国税庁のサイトで無料でチェック可能。まずはこれから。
- 概算の相続税額を試算:基礎控除と突合して、課税対象になるかどうかを把握する。
- 小規模宅地等の特例が使えるか確認:要件を満たせないと税額が跳ね上がる。
- 納税資金の確保:不動産中心の資産構成では、生命保険などで現金を準備することが重要。
- 遺産分割方法の事前合意:不動産は分けにくいため、家族間のもめごとを防ぐ話し合いを早めに。
- 二次相続まで考える:配偶者の税額軽減を使いすぎると、二次相続で子の税負担が重くなる。