保険会社が公表する「利率」は、契約した月で2.76倍ひらいていた
── ただし適用は初年度の1年だけ。受取額の上乗せを決めるのは、別に公表されている参照指数だった
ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部は、第一生命保険が公表している指数連動型年金の2つの系列を集計しました。契約日別の運用利率33か月分は0.41%から1.13%(差0.72ポイント・2.76倍)まで開いていました。ただしこの利率が適用されるのは契約日から1年間で、以後は年単位の契約応当日ごとに更改されます。さらに年金原資は「基本年金原資(=払い込んだ保険料の累計額)」と「指数連動年金原資(上乗せ)」の2階建てで、上乗せを決めるのは運用利率ではなく、毎年の判定日における参照指数の前年比です。同社が別途公表しているその参照指数21か月分では、基準の100を上回ったのは3回でした。「利率◯%」という1つの数字だけでは、受け取れる額の見当はつきません。全数値はCSVで公開し、出典明記のうえCC BY 4.0で自由に引用・転載できます。
図1:契約日別の運用利率(2024年1月〜2026年9月契約分・33か月)
第一生命保険が公表している値をそのまま並べたもの。1社・1商品の公表値であり、会社間の比較ではありません
本リリースの位置づけ(必ずお読みください)
- 本リリースは報道関係者向けの情報提供資料であり、保険の募集資料ではありません。順位付け・優劣の評価・特定商品の推奨や契約の勧誘を目的とするものではありません。
- 本リリースが扱うのは1社が公表している1商品の2つの系列です。他社・他商品との比較には使えません。
- 運用利率も参照指数も、受取額そのものを示す数字ではありません。同社は「指数連動年金原資の金額は参照指数の動きにもとづいた運用成果に応じて確定するため、契約時に年金額は確定しません」と明記しています。
- 契約日から3年経過前に解約した場合、解約返還金は払い込んだ保険料の累計額を下回ります(3年経過以後は基本年金原資が保証されます)。本リリースは特定の契約時期が有利であることを示すものではありません。
1. 公表されている利率は、契約した月で2.76倍ひらいていた
第一生命保険は、指数連動型年金「ステップジャンプ」について、契約日から1年間適用される運用利率を契約日ごとに公表しています。2024年1月契約分から2026年9月契約分まで、33か月分が一覧になっています。
最も低かったのは2024年3月契約分の0.41%、最も高かったのは2026年8月契約分の1.13%でした。差は0.72ポイント、倍率にすると2.76倍です。
32回の月次変化のうち、前月から変わらなかったのは2回だけでした。上昇が23回、下降が7回です。年平均も2024年0.504%、2025年0.742%、2026年1.018%と切り上がり、2024年の最高(0.61%)より2026年の最低(0.91%)のほうが高いという逆転が起きています。
| 年 | 対象月数 | 平均 | 最低 | 最高 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 12か月 | 0.504% | 0.41% | 0.61% |
| 2025年 | 12か月 | 0.742% | 0.60% | 0.91% |
| 2026年 | 9か月 | 1.018% | 0.91% | 1.13% |
2026年は9月契約分までの9か月。出典:第一生命保険の公表値(2026-08-21確認)
2. ただし、その利率が適用されるのは初年度の1年だけ
ここで前提を確認しておく必要があります。公表されているこの利率は、同社の説明によれば「ご契約日から一年間適用される運用利率」です。そして「適用される運用利率は、ご加入後、年単位の契約応当日ごとに更改します」とも明記されています。
つまり、2024年3月に契約した人が0.41%のまま固定されるわけではありません。翌年以降はその時点の利率に置き換わります。2.76倍という差は、初年度の1年分についての差です。
払込期間が数十年に及ぶ商品(同社の契約例は月払・払込期間35年)で、初年度1年分の利率差がそのまま最終的な差になるわけではない、ということです。
3. 受取額の上乗せを決めるのは、運用利率ではなかった
同社の商品説明によれば、年金の原資は2階建てになっています。
- 基本年金原資=払い込んだ保険料の累計額。契約日から3年経過以後は、この額が保証されます。
- 指数連動年金原資=上乗せ部分。毎年の判定日における参照指数が前年より上昇すれば増加します。前年より下落しても、一度ふえた分は減りません。
この上乗せを決める参照指数は「バーテックス マルチアセット指数(日本円)」で、同社は運用利率とは別のページでその推移を公表しています。2024年11月1日の値を100とする基準で、21か月分が開示されています。
図2:参照指数の推移(2024年11月〜2026年7月・21か月/2024年11月1日=100)
上乗せ部分(指数連動年金原資)の増減を決めるのはこちらの指数。運用利率とは別に公表されています
公表されている21か月のうち、基準の100を上回ったのは3回でした(基準日そのものを除く20か月中)。最も低かったのは2025年6月の97.7371、直近の2026年7月は99.4755です。
ただし上乗せの判定に使われるのは水準ではなく前年比です。契約応当日が各月1日の契約について前年同日と比べられるのは9か月分で、その内訳は上昇6回・下落3回でした。水準は基準を下回ったままでも、前年比では上がっている月があるということです。
いずれにせよ、この指数の動きは運用利率とは別に決まっています。同社自身が「指数連動年金原資の金額は参照指数の動きにもとづいた運用成果に応じて確定するため、契約時に年金額は確定しません」と明記しています。
| 日付 | 参照指数 | 基準100との差 | 前年同日比 |
|---|---|---|---|
| 2024年11月 | 100.0000 | 基準 | ― |
| 2024年12月 | 100.0949 | +0.0949 | ― |
| 2025年1月 | 99.6468 | -0.3532 | ― |
| 2025年2月 | 99.5907 | -0.4093 | ― |
| 2025年3月 | 99.0797 | -0.9203 | ― |
| 2025年4月 | 98.3479 | -1.6521 | ― |
| 2025年5月 | 97.9606 | -2.0394 | ― |
| 2025年6月 | 97.7371 | -2.2629 | ― |
| 2025年7月 | 98.2694 | -1.7306 | ― |
| 2025年8月 | 98.4612 | -1.5388 | ― |
| 2025年9月 | 99.0513 | -0.9487 | ― |
| 2025年10月 | 99.6669 | -0.3331 | ― |
| 2025年11月 | 100.5655 | +0.5655 | 上昇 +0.5655 |
| 2025年12月 | 99.6690 | -0.3310 | 下落 -0.4259 |
| 2026年1月 | 99.4625 | -0.5375 | 下落 -0.1843 |
| 2026年2月 | 99.3982 | -0.6018 | 下落 -0.1925 |
| 2026年3月 | 100.4616 | +0.4616 | 上昇 +1.3819 |
| 2026年4月 | 99.0361 | -0.9639 | 上昇 +0.6882 |
| 2026年5月 | 99.3024 | -0.6976 | 上昇 +1.3418 |
| 2026年6月 | 99.5056 | -0.4944 | 上昇 +1.7685 |
| 2026年7月 | 99.4755 | -0.5245 | 上昇 +1.2061 |
出典:第一生命保険「指数連動型年金『ステップジャンプ』参照指数」(2026-08-21確認)。公表値をそのまま転記し、基準との差・前年同日比のみ編集部が算出。同社は「参照指数の推移は将来の運用成果を示唆あるいは確実性を保証するものではありません」と注記しています。
4. 契約日別の運用利率(全33か月)
| 契約日 | 運用利率 | 前月差 | |
|---|---|---|---|
| 2024年1月 | 0.46% | ― | |
| 2024年2月 | 0.45% | -0.01 | ▼ |
| 2024年3月 | 0.41% | -0.04 | ▼ |
| 2024年4月 | 0.43% | +0.02 | ▲ |
| 2024年5月 | 0.44% | +0.01 | ▲ |
| 2024年6月 | 0.46% | +0.02 | ▲ |
| 2024年7月 | 0.50% | +0.04 | ▲ |
| 2024年8月 | 0.56% | +0.06 | ▲ |
| 2024年9月 | 0.58% | +0.02 | ▲ |
| 2024年10月 | 0.61% | +0.03 | ▲ |
| 2024年11月 | 0.58% | -0.03 | ▼ |
| 2024年12月 | 0.57% | -0.01 | ▼ |
| 2025年1月 | 0.60% | +0.03 | ▲ |
| 2025年2月 | 0.63% | +0.03 | ▲ |
| 2025年3月 | 0.63% | 0.00 | ― |
| 2025年4月 | 0.64% | +0.01 | ▲ |
| 2025年5月 | 0.65% | +0.01 | ▲ |
| 2025年6月 | 0.72% | +0.07 | ▲ |
| 2025年7月 | 0.74% | +0.02 | ▲ |
| 2025年8月 | 0.82% | +0.08 | ▲ |
| 2025年9月 | 0.81% | -0.01 | ▼ |
| 2025年10月 | 0.86% | +0.05 | ▲ |
| 2025年11月 | 0.89% | +0.03 | ▲ |
| 2025年12月 | 0.91% | +0.02 | ▲ |
| 2026年1月 | 0.91% | 0.00 | ― |
| 2026年2月 | 0.94% | +0.03 | ▲ |
| 2026年3月 | 0.97% | +0.03 | ▲ |
| 2026年4月 | 1.03% | +0.06 | ▲ |
| 2026年5月 | 1.00% | -0.03 | ▼ |
| 2026年6月 | 1.01% | +0.01 | ▲ |
| 2026年7月 | 1.06% | +0.05 | ▲ |
| 2026年8月 | 1.13% | +0.07 | ▲ |
| 2026年9月 | 1.11% | -0.02 | ▼ |
出典:第一生命保険「指数連動型年金『ステップジャンプ』運用利率」(2026-08-21確認)。公表値をそのまま転記し、前月差のみ編集部が算出。網掛けは最低・最高。
5. 調査概要
調査名:公表されている運用利率と参照指数の推移調査(IKIGAI TOWN 編集部調べ)
調査主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)
対象:第一生命保険「指数連動型年金『ステップジャンプ』」について同社が公表している①運用利率(2024年1月契約分〜2026年9月契約分・33か月)②参照指数(2024年11月〜2026年7月・21か月)。
出典:運用利率/参照指数/商品ラインアップ(年金原資の構成・解約時の取扱い)(いずれも2026-08-21確認)
方法:同社の公表表をそのまま転記しました。編集部が算出したのは前月差・年別平均・上昇/下降/据え置きの回数・基準100との差・前年同日比のみで、公表値そのものに加工は加えていません。値が画像内に置かれていないことを確認した上で取得しています。
検算:月次変化の内訳(上昇23+下降7+据え置き2=32)が対象月数−1(32)と一致すること、年別の件数合計(12+12+9=33)が対象月数と一致すること、参照指数の100超(3)と100未満(17)の合計が基準日を除く月数(20)と一致することを確認しています。
同社への事前確認:事前の内容確認は行っていません。記載内容に誤りがある場合はご連絡いただければ速やかに訂正します。
留意点:本調査は順位付け・優劣の評価を行うものではなく、特定の保険商品の推奨や契約の勧誘を目的とするものでもありません。運用利率・参照指数はいずれも受取額そのものではありません。運用利率の適用は契約日から1年間で、以後は年単位の契約応当日ごとに更改されます。契約日から3年経過前の解約は払込累計額を下回ります。1社1商品の公表値であり、他社・他商品との比較には使えません。
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SNS・タイトル用(32字):契約月で2.76倍ひらく利率。ただし適用は初年度の1年だけだった
短尺(全角8字):利率は初年度だけ
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数値・図表のみを引用される場合も、次の点を必ず併記してください。1社1商品の公表値であり他社・他商品との比較には使えないこと/運用利率の適用は契約日から1年間で以後は年単位の契約応当日ごとに更改されること/年金原資は「基本年金原資+指数連動年金原資」の2階建てで、上乗せは毎年の判定日の参照指数の前年比で決まり、契約時に年金額は確定しないこと/契約日から3年経過前の解約は払い込んだ保険料の累計額を下回ること。
本リリースは同社の公表情報を調査時点で確認し整理したものであり、報道関係者向けの情報提供資料です。保険の募集資料ではなく、順位付け・優劣の評価・特定商品の推奨を行うものでも、契約の勧誘を目的とするものでもありません。ご契約の検討にあたっては、各社の「契約締結前交付書面(契約概要/注意喚起情報)」「ご契約のしおり・約款」を必ずご確認ください。
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編集部より
保険の記事は「どの商品を選ぶか」で語られがちです。今回2つの系列を並べて分かったのは、ひとつの商品の中ですら、公表されている数字が複数あり、それぞれ別のものを決めているということでした。
契約月で2.76倍ひらく運用利率は、目を引く数字です。ただしそれは初年度1年分に適用されるもので、上乗せを決めているのは別ページの参照指数でした。どちらか一方だけを見ても、受け取れる額の見当はつきません。
これは特定の会社を問題にする話ではありません。指数連動型のように仕組みが複数の要素で決まる商品では、「利率◯%」という見出しの数字が何を決めているのかを確かめないと読み違える、という一般的な注意です。実際、私たち自身、当初この利率だけで記事を組み立てようとして誤りかけました。
その上で、これらの数値が契約日ごとにさかのぼって公表されていること自体は、契約者にとって有用だと考えています。加入時の書類が手元になくても、契約日が分かれば初年度に適用された利率を後から照合できます(2年目以降の利率は、同社によれば第1回判定日以後に毎年契約者宛てに通知されます)。
IKIGAI TOWN 編集長/塩飽 哲生