用語集 / 給付金の前提知識

所得制限とは?
児童手当・大学無償化・医療費助成の所得上限を完全比較【2026年版】

結論から言うと、所得制限とは 給付や優遇制度に「所得が一定以下」という条件を設ける仕組み。年収ではなく「合計所得金額」で判定するのがポイントで、合法的な所得控除で圧縮できる余地があります。2024年の児童手当所得制限撤廃のように、近年は撤廃の流れが続いています。

目次(6セクション)
  1. 1. 所得制限とは(年収vs所得vs課税所得)
  2. 2. 制度別の所得制限 早見表
  3. 3. 完全カット型と段階減額型
  4. 4. 所得制限を回避する所得控除の活用
  5. 5. よくある質問(FAQ 12問)
  6. 6. 出典・編集者情報

1. 所得制限とは(年収vs所得vs課税所得)

所得制限は給付金・手当・優遇制度に「所得が一定以下」という条件を設ける仕組みです。給付の財源を本当に必要な世帯に集中させる目的で導入されますが、共働き世帯やボーダーライン世帯から「働き損」「年収を増やすほど損する」という不満が出やすく、近年は撤廃の流れが続いています。

判定の基礎になる金額は、年収・所得・課税所得の3つを混同しないことが重要です。

表1. 年収・所得・課税所得の違い
用語定義何で確認する
年収(給与収入)給与の総額(額面)源泉徴収票「支払金額」
所得(合計所得金額)年収から給与所得控除を引いた額源泉徴収票「給与所得控除後の金額」/確定申告書
課税所得所得から各種所得控除(基礎・配偶者・扶養・社保・iDeCo等)を引いた額住民税納税通知書「課税標準額」/確定申告書

所得制限の多くは「合計所得金額」で判定されます。給与収入500万円の人なら、給与所得控除144万円を引いた「所得356万円」が判定対象です。

2. 制度別の所得制限 早見表

2026年4月時点の主要制度の所得制限です。年収換算は4人世帯(夫婦+子2人)のケースです。

表2. 主要制度の所得制限(2026年度)
制度所得制限の有無上限の目安(年収換算)
児童手当2024年10月撤廃所得制限なし(全世帯支給)
高校無償化(公立)段階撤廃中2025年度は年収910万円目安/2026年度に向け撤廃方向
高校無償化(私立加算)あり年収590万円程度(4人世帯)
大学無償化(修学支援新制度)段階あり第1区分=住民税非課税/第3区分=年収380万円程度
大学無償化(多子世帯)2025年度から所得制限なし子3人以上扶養なら全世帯対象
乳幼児・子ども医療費助成自治体ごとに異なる東京23区・政令市の多くは制限なし/一部地方は所得制限あり
ひとり親家庭医療費助成あり年収約365万円(扶養2人)
児童扶養手当あり年収約365万円から減額/約500万円で支給停止(扶養2人)
住宅取得等資金贈与の非課税あり合計所得2,000万円以下

3. 完全カット型と段階減額型

所得制限の構造は2種類あります。

  • 完全カット型:所得が上限を1円でも超えると支給ゼロ。境界付近で「年収を10万円増やしたら手取りが大幅に減る」逆転現象が起きやすい。児童扶養手当の支給停止ラインや旧児童手当の特例給付がこの型でした。
  • 段階減額型:所得が増えるほど支給額が段階的に減る。大学無償化(第1〜第3区分)が代表例で、逆転現象を緩和する設計です。

4. 所得制限を回避する所得控除の活用

所得制限の判定は「合計所得金額」または「課税所得」で行われるため、所得控除を増やすことで合法的に所得を圧縮できます。

表3. 所得圧縮に効く主な所得控除
控除年間上限所得制限への効き方
iDeCo(個人型確定拠出年金)会社員 27.6万円/自営 81.6万円合計所得金額を減らす
小規模企業共済84万円(自営業のみ)合計所得金額を減らす
医療費控除10万円超分(または所得5%超分)合計所得金額を減らす
特定公益増進法人への寄附所得の40%まで合計所得金額を減らす(ふるさと納税は税額控除なので効果なし)
配偶者控除・扶養控除33〜38万円×人数課税所得を減らす(合計所得は減らない)

たとえば年収900万円の会社員が iDeCo に月23,000円(年27.6万円)拠出すると、合計所得金額が27.6万円減ります。これにより高校無償化(私立加算)の所得制限ラインをクリアできるケースがあります。掛金は60歳まで原則引き出せない点には注意。家計設計はFPとの相談で総合判断するのが安全です。

5. よくある質問(FAQ 12問)

Q1. 所得制限と年収制限は同じですか?

近い概念ですが違います。所得制限は『合計所得金額』、年収制限は給与収入そのものです。源泉徴収票の『給与所得控除後の金額』が所得です。

Q2. 児童手当の所得制限は撤廃されましたか?

はい。2024年10月から完全撤廃され、所得に関係なく全世帯に支給されます。第3子以降は月3万円に増額されました。

Q3. 大学無償化の所得制限はいくらですか?

住民税非課税世帯(第1区分)は満額。年収380万円程度(4人世帯)まで段階的支援。2025年度から多子世帯は所得制限なし。

Q4. 高校無償化の所得制限は?

2025年度から段階撤廃中、2026年度に向けて完全撤廃の方向。私立加算は年収590万円程度の所得制限が残ります。

Q5. 所得制限を所得控除で回避できますか?

合法的に可能です。iDeCo・小規模企業共済・医療費控除等で合計所得を圧縮できれば、所得制限を満たせるケースがあります。

Q6. 夫婦どちらの所得で判定されますか?

児童手当は2024年10月以降撤廃。大学無償化・医療費助成は『主たる生計維持者』または『世帯員全員』の所得で判定されます。

Q7. 所得制限の年収目安は?

所得制限額に給与所得控除を足し戻して年収換算します。所得622万円なら年収約833万円相当です。

Q8. 所得制限を超えるとゼロになりますか?

完全カット型と段階減額型があります。大学無償化は段階減額、児童扶養手当は完全カットに近い設計です。

Q9. 所得制限の判定はいつの所得ですか?

原則として前年(1月〜12月)の所得で判定し、当年6月以降の制度に反映されます。

Q10. 所得制限ありの制度は減っていますか?

近年は撤廃方向です。児童手当(2024年10月撤廃)、高校無償化(2026年度に向けて段階撤廃)等。

Q11. 共働きと片働きで所得制限の影響は違いますか?

『主たる生計維持者』基準なら共働きでも片方の所得で判定。世帯収入合算基準なら共働きが不利になります。

Q12. 所得制限を超えそうなときの対策は?

iDeCo・小規模企業共済・医療費控除・配偶者扶養の見直しで所得圧縮が可能。FP相談で総合判断するのが安全です。

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初稿公開:2026年4月28日(編集・監修:塩飽哲生)