低所得とは?
年収目安・低所得者の支援制度・相対的貧困線を完全解説【2026年版】
結論から言うと、「低所得」は法律上の定義がない用語で、文脈ごとに3つの基準が使われます。(1) 住民税非課税ベース(給付金の対象基準)/(2) 年収300万円以下(広義の統計用語)/(3) OECD相対的貧困線(単身127万円)。低所得者向けの公的支援は給付金から教育・就労支援まで多数あります。
目次(7セクション)
1. 低所得とは(3つの基準)
「低所得」は税法用語ではなく、政策・統計・福祉の文脈ごとに違う基準が使われます。
| 基準 | 単身の目安 | 使われる文脈 |
|---|---|---|
| (A) 住民税非課税ベース | 給与収入100万円以下 | 給付金・大学無償化・保育料無償化等の制度 |
| (B) 統計(広義) | 給与収入300万円以下 | マスメディア・調査研究 |
| (C) OECD相対的貧困線 | 等価可処分所得127万円以下(2021年) | 国際比較・貧困率指標 |
給付金や福祉制度の対象基準として最も多く使われるのは (A) 住民税非課税ベース です。詳細は住民税非課税世帯とはを参照してください。
2. 世帯構成別の年収目安
住民税非課税ベースの「低所得」となる年収目安です(給与収入・1級地)。
| 世帯構成 | 給与収入(年) | 年金のみ(65歳以上) |
|---|---|---|
| 単身 | 100万円以下 | 155万円以下 |
| 夫婦のみ | 155.7万円以下 | 211.5万円以下 |
| 夫婦+子1人 | 205.7万円以下 | — |
| 夫婦+子2人 | 255.7万円以下 | — |
| 単身親+子1人 | 170.7万円以下 | — |
3. 低所得者向けの支援制度
低所得者・低所得世帯向けの公的支援は、現金給付から就労支援まで多層的に整備されています。
| 分類 | 制度 | 内容 |
|---|---|---|
| 現金給付 | 住民税非課税世帯給付金 | 1世帯3〜10万円+子加算(毎年複数回) |
| 医療 | 高額療養費の負担上限引下げ | 70歳未満:月35,400円が上限 |
| 医療 | NHK受信料半額・全額免除 | 住民税非課税+障害者手帳ある世帯 |
| 年金 | 国民年金保険料免除 | 全額/3/4/半額/1/4免除 |
| 年金 | 年金生活者支援給付金 | 低年金高齢者へ月5,310円〜 |
| 教育 | 大学無償化(修学支援新制度) | 第1区分=授業料免除+給付奨学金満額 |
| 教育 | 高校生奨学給付金 | 年7〜13万円 |
| 保育 | 保育料無償化(0〜2歳) | 住民税非課税世帯のみ |
| 就労 | 求職者支援制度 | 職業訓練+月10万円の職業訓練受講給付金 |
| 就労 | 教育訓練給付金 | 受講料の20〜70%(一般・特定一般・専門実践) |
| 住居 | 住居確保給付金 | 家賃相当額を3〜9ヶ月支給(離職・収入減) |
| 福祉 | 生活困窮者自立支援 | 自立相談・家計改善・就労準備支援 |
| 福祉 | 生活福祉資金貸付 | 社会福祉協議会の低利貸付 |
| 福祉 | 生活保護 | 最低限度の生活保障(生活扶助・住宅扶助等) |
4. 日本の貧困実態とOECD国際比較
日本の相対的貧困率(2021年)は15.4%でOECD加盟国の中でも高水準です。特にひとり親世帯の貧困率は44.5%と先進国でもワースト級。低所得問題は単身者・高齢者・ひとり親に集中しています。
| 区分 | 相対的貧困率 | 国際比較 |
|---|---|---|
| 全体 | 15.4% | OECD平均(11.7%)より高い |
| 子ども(17歳以下) | 11.5% | OECD平均(13.4%)並み |
| ひとり親世帯 | 44.5% | OECD平均(31.0%)より大幅に高い・ワースト級 |
| 高齢単身世帯(65歳以上) | 27.4% | OECD平均(21.0%)より高い |
| 高齢夫婦世帯 | 13.7% | — |
| 勤労世代単身(未婚) | 27.8%(女性)/20.4%(男性) | — |
※ 厚生労働省「2022年国民生活基礎調査」OECD基準
OECDの定義では、可処分所得を世帯人員数の平方根で割った「等価可処分所得」の中央値の半分を貧困線とします。日本では2021年時点で単身年収127万円相当がこのラインです。子育て世帯への給付拡充・大学無償化第1区分の手厚化は、この国際比較で見える日本の弱点を埋める政策です。
5. 低所得から脱するための実行ステップ
「低所得状態」を制度活用と就労改善で抜け出す実行ステップを4段階で整理します。
- ステップ1:受け取れる給付・減免をすべて把握(年20〜100万円規模)。住民税非課税世帯該当なら国保7割軽減・国民年金免除・大学無償化等を網羅的に申請。住居確保給付金(離職・収入減で家賃3〜9ヶ月補助)、生活福祉資金貸付(無利子・低利子)も検討。
- ステップ2:求職者支援制度で職業訓練+月10万円給付。雇用保険を受給できない求職者向けの制度。職業訓練を受けながら月10万円の職業訓練受講給付金を受給可能。資格取得や IT 系スキル習得の機会になります。
- ステップ3:教育訓練給付金で受講料20〜70%補助。雇用保険被保険者なら、一般教育訓練給付金(20%)/特定一般教育訓練給付金(40%)/専門実践教育訓練給付金(最大70%)。看護師・保育士・社会福祉士・IT国家資格等が対象。
- ステップ4:マイナポータル+公金受取口座で取りこぼしを防ぐ。給付金や還付金の振込が早くなり、未受領が減ります。住民票・課税情報がオンラインで確認でき、自治体窓口に行く回数を減らせます。
6. よくある質問(FAQ 18問)
- 低所得とは年収いくら以下?
- 文脈で異なります。住民税非課税ベースなら単身100万円・夫婦155万円。年収300万円以下を『広義の低所得』とする統計もあり、OECD相対的貧困線は単身127万円です。
- 低所得者と低所得世帯は違う?
- 低所得者は個人単位、低所得世帯は世帯単位の表現です。給付金は世帯単位での判定が大半です。
- 年収300万円は低所得?
- 単身者の場合は『広義の低所得』に該当することがありますが、住民税非課税ラインの3倍であり給付金の対象にはなりません。
- 相対的貧困線とは?
- OECD基準で、等価可処分所得の中央値の半分以下の所得しかない人の割合を測るライン。日本では単身年収127万円相当(2021年)。
- 日本の相対的貧困率は?
- OECD公表値で約15%(2021年)。先進国で高めで、高齢単身・ひとり親・若年単身世帯で特に高い。
- 低所得者向けの支援には何がある?
- 給付金、国保・国民年金免除、高額療養費引下げ、大学無償化、生活困窮者自立支援、住居確保給付金、生活保護等が代表的です。
- 低所得から脱出するコツは?
- 求職者支援制度(月10万円給付)、教育訓練給付金、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付など、就労・スキル習得を支える制度が活用できます。
- 高齢者の低所得対策は?
- 年金生活者支援給付金(月5,310円〜)、住民税非課税世帯給付金、後期高齢者医療の保険料軽減、介護保険料軽減等が活用できます。
- 母子家庭の低所得対策は?
- 児童扶養手当(子1人月45,500円〜)、ひとり親医療費助成、母子父子寡婦福祉資金貸付、高等職業訓練促進給付金等。
- 生活保護に頼るべきか迷う時は?
- まず生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関に相談を。住居確保給付金や家計改善支援が受けられる場合があります。
- 低所得で住宅ローンを断られたら?
- フラット35や公的賃貸(UR・公営住宅)を検討。FP相談で家計を整えてから再申請するのも有効です。
- 低所得世帯の子は進学できる?
- 住民税非課税世帯なら大学無償化第1区分で授業料減免+給付奨学金満額。低所得を理由に進学を諦めない選択肢があります。
- 日本の相対的貧困率は世界と比べて?
- 2021年時点で15.4%。OECD平均(11.7%)より高く、特にひとり親世帯の貧困率44.5%は先進国でもワースト級です。
- 求職者支援制度とは?
- 雇用保険を受給できない求職者向けに、無料の職業訓練と月10万円の職業訓練受講給付金を提供する制度。ハローワークで申し込みます。
- 教育訓練給付金で何が学べますか?
- 看護師・保育士・社会福祉士・歯科衛生士・IT国家資格・宅建士・社労士等。給付率は一般20%/特定一般40%/専門実践最大70%です。
- 住居確保給付金とは?
- 離職・廃業から2年以内、または収入減で離職に相当する状況にある人に、家賃相当額(自治体上限あり)を3〜9ヶ月支給。市区町村の自立相談支援機関が窓口です。
- 生活福祉資金貸付とは?
- 社会福祉協議会が窓口の低利・無利子の貸付制度。総合支援資金(生活費)/福祉資金(医療・介護)/教育支援資金/不動産担保型生活資金(高齢者)の4種類があります。
- 低所得は遺伝しますか?
- 所得階層の世代間連鎖は OECD でも問題視されている課題ですが、給付奨学金や大学無償化等を活用して教育機会を確保すれば、世代を超えて所得階層を移動する事例は数多くあります。FP相談等で家計を整えると進学費用を確保しやすくなります。
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本ページの制度概要は、上記出典の公式情報を編集部(塩飽哲生)が確認のうえ整理しています。
初稿公開:2026年4月28日(編集・監修:塩飽哲生)