第3号被保険者とは?
130万円の壁と手続きを徹底解説【2026年版】
専業主婦(夫)やパート勤めの配偶者をめぐって、ここ数年もっともホットな年金用語が「第3号被保険者」です。「年収の壁」論争のたびに登場し、制度見直しの議論も続いています。本記事では、第3号被保険者とは何か、第1号・第2号との違い、130万円の壁・106万円の壁、手続き、将来の年金受給額、働き方を変えた時の切替手順まで、家計の専門家の視点でわかりやすく整理します。
第3号被保険者とは?公的年金の3つの区分
日本の公的年金では、20歳以上60歳未満の全ての人がいずれかの「被保険者」区分に属します。
| 区分 | 対象 | 保険料 | 将来の年金 |
|---|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 自営業・フリーランス・無職・学生など | 国民年金保険料(2026年度 月17,510円前後) | 老齢基礎年金のみ |
| 第2号被保険者 | 会社員・公務員(厚生年金加入者) | 厚生年金保険料(給与から労使折半) | 老齢基礎年金+老齢厚生年金 |
| 第3号被保険者 | 第2号に扶養されている配偶者(年収130万円未満) | 0円(配偶者の厚生年金制度が負担) | 老齢基礎年金のみ |
第3号被保険者の最大の特徴は、本人が年金保険料を1円も負担しなくても、老齢基礎年金を受け取る権利があるという点です。これは1986年の年金制度改正で、専業主婦の老後所得保障を強化するために作られた仕組みです。
Point
「夫が会社員で妻が専業主婦またはパート勤め」という典型的な第3号世帯は、制度開始当初は全国で約1,150万人いました。働く女性の増加に伴い年々減少していますが、2026年時点でも数百万人規模が残っています。
130万円の壁と106万円の壁
「年収の壁」という言葉は税金の103万円の壁・150万円の壁とも重なり混乱しやすいですが、第3号被保険者の判定に関わるのは130万円と106万円の2つです。
130万円の壁(従来からある壁)
配偶者の健康保険・年金の被扶養者でいられる年収の上限が原則130万円です。この水準を恒常的に超えると、配偶者の健保・年金の被扶養者認定から外れ、国民年金・国民健康保険を自分で払うか、自分で社会保険に加入する第2号被保険者になります。
106万円の壁(2016年〜拡大中)
次の条件をすべて満たすパートは、106万円相当の収入で社会保険に強制加入となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金8.8万円以上(年収約106万円)
- 雇用期間2ヶ月超の見込み
- 学生ではない
- 従業員数が一定規模(段階的に拡大、2024年10月以降51人以上)
この要件を満たすと第3号→第2号へ移行し、本人の健康保険料・厚生年金保険料が給与から天引きされます。短期的には手取りが減りますが、将来の厚生年金が上乗せされるメリットがあります。
制度見直しの動き
政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」などを通じ、130万円を一時的に超えても2年連続までは被扶養認定を継続できる特例措置を実施しています。106万円基準は企業規模要件の撤廃など、段階的に第3号縮小・社会保険適用拡大の方向で議論が進んでいます。制度変更の可能性があるため、毎年最新情報を確認してください。
第3号のままでいられる条件と将来の年金額
第3号でいられる条件
- 20歳以上60歳未満であること
- 第2号被保険者の配偶者に扶養されていること(婚姻届・事実婚含む)
- 年収見込み130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
- 配偶者の年収の半分未満であること
- 同一世帯であること(別居の場合は仕送り額で判定)
将来の年金額
40年(480月)を第3号として過ごした場合、満額の老齢基礎年金(2026年度で年額約81万6,000円、月額約6.8万円)を受け取れます。ここに配偶者の老齢厚生年金はプラスされないので、「年金は2人で月22万円程度」という目安が老後資金設計の出発点になります。
| 世帯パターン | 妻の年金(概算) | 夫婦合計(月額) |
|---|---|---|
| 夫が会社員/妻がずっと第3号 | 月約6.8万円 | 約22〜23万円 |
| 夫が会社員/妻は20年第2号+20年第3号 | 月約10〜11万円 | 約26〜27万円 |
| 夫婦とも会社員(共働き) | 月約13〜15万円 | 約30万円前後 |
働き方を変えたときの切替手続き
ケース1:パートで年収130万円を超えた
- 配偶者の勤務先で「被扶養者異動届」を提出(配偶者が手続き)
- 自分の勤務先で健康保険・厚生年金の加入手続き
- 結果として第3号→第2号に切替完了
ケース2:離職・休職して年収が130万円未満に
- 自分の勤務先で資格喪失手続き(離職票を受け取る)
- 配偶者の勤務先で「被扶養者異動届」を提出
- 結果として第2号→第3号に切替完了
ケース3:配偶者の転職・退職で第2号でなくなった
配偶者が自営業等になると、自分は第3号から自動的に外れ第1号被保険者に切り替わります。市区町村役場で種別変更届を提出し、自分で国民年金保険料を払う必要があります。手続きを忘れると未納扱いになり、将来の年金が減額されます。
離婚・死別・夫の退職時の扱い
離婚時の年金分割(3号分割)
2008年4月以降の第3号被保険者期間は、離婚時に配偶者の厚生年金記録の2分の1が自動的に本人に分割されます。2008年3月以前の期間は協議・調停・裁判での合意が必要な「合意分割」になります。
死別(遺族年金)
第2号被保険者である配偶者が亡くなった場合、一定の要件を満たす第3号被保険者は遺族厚生年金(原則、夫の老齢厚生年金の4分の3)を受け取れます。子どもの有無で受給期間・加算額が変わります。
配偶者が60歳で定年退職した場合
配偶者が第2号でなくなると、本人がまだ60歳未満であれば第1号に切り替わり、60歳になるまで国民年金保険料の納付義務が発生します。見落としやすい盲点なので、配偶者の定年前には必ず確認しましょう。
FAQ
- Q. 第3号被保険者でも、年金を増やす方法はありますか?
- A. iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入できます(月額上限2.3万円)。掛金は全額所得控除、運用益は非課税。60歳以降に一時金か年金として受け取れます。
- Q. 第3号期間中に任意で国民年金保険料を払うことはできますか?
- A. できません。第3号被保険者は制度上「保険料を払わない」区分です。付加年金の400円上乗せも利用できません(付加年金は第1号のみ)。
- Q. 第3号被保険者の期間は合算対象期間ですか?
- A. いいえ、第3号被保険者の期間は国民年金の保険料納付済期間と同じ扱いで、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)にも満額算定期間(40年)にもそのまま反映されます。
- Q. 日本国籍でなくても第3号被保険者になれますか?
- A. 日本国内に住んでいれば、国籍に関わらず第3号被保険者になれます。配偶者の扶養要件を満たすことが条件です。
- Q. 第3号の記録に抜けがないか確認する方法は?
- A. ねんきんネット(日本年金機構)で自分の被保険者期間・種別を月単位で確認できます。誕生月に届く「ねんきん定期便」でも種別の履歴を確認できます。
まとめ
- 第3号被保険者は、会社員・公務員に扶養される配偶者(年収130万円未満)
- 本人は保険料0円で老齢基礎年金を受け取れる
- 130万円の壁(健康保険)と106万円の壁(短時間労働者)の2つが判定に関わる
- 満額の基礎年金は月約6.8万円、厚生年金は付かない
- 配偶者の退職・自分の働き方変更時は必ず種別変更届を