法人成りの判断基準
個人事業主は年収いくらで法人化すべきか【2026】
「課税所得が800万円を超えたら法人成りを検討」とよく言われますが、これは所得税の累進税率が法人税率を上回るラインから来ています。実際は社会保険料・退職金・消費税・信用力など複数の軸で判断する必要があります。本記事では、法人成りの5つの判断軸、合同会社と株式会社の選び方、移行の手順までを整理します。
この記事の結論
法人成り(個人事業から法人への移行)の判断は、所得・社会保険・消費税・退職金・信用力の5軸で見ます。一般的な「課税所得800万円ライン」の根拠と、合同会社・株式会社の選び方を整理します。
法人成りの5つの判断軸
- 税負担:所得税(累進)vs 法人税(実効税率約30%)の損益分岐
- 社会保険:個人事業主は国保・国民年金、法人役員は健保・厚生年金(半額会社負担=個人負担増の側面も)
- 退職金:法人なら役員退職金が損金算入できる(個人事業主は不可)
- 消費税:法人成りで2年間の免税期間を再取得できる(資本金1,000万円未満)
- 信用力:法人取引・銀行融資・人材採用で個人事業主より有利
課税所得800万円ラインの根拠
所得税は累進で、課税所得900万円超で33%(住民税10%含めると43%)。法人税の実効税率は中小企業で約23〜30%(800万円超部分)。課税所得800万〜1,000万円付近で個人より法人が有利になるのが目安です。
| 課税所得 | 個人(所得税+住民税) | 法人(実効税率) |
|---|---|---|
| 500万円 | 約20% | 約23% |
| 800万円 | 約30% | 約23〜25% |
| 1,000万円 | 約33% | 約25〜30% |
| 1,800万円 | 約43% | 約30% |
ただし社会保険料の負担増(年30〜80万円)が加算されるため、節税効果と相殺されます。実際のシミュレーションは税理士と。
合同会社 vs 株式会社の選び方
| 項目 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|
| 設立費用 | 約6万円 | 約20〜25万円 |
| 決算公告 | 不要 | 必要(年6万円〜) |
| 役員任期 | 無期限 | 原則2〜10年 |
| 対外信用 | 業界による | 高い |
| 資金調達 | 株式発行不可 | 株式発行可 |
BtoCのフリーランス的事業なら合同会社、BtoB・将来の上場・大型資金調達を視野に入れるなら株式会社が定石。
社会保険・退職金の影響
法人化すると役員報酬から健康保険料・厚生年金保険料が天引きされ、会社負担分も法人が支払います。年200〜300万円の役員報酬で月8〜12万円程度の社会保険料が発生(労使合計)。
一方、退職金規程を設けて役員退職金を支給すると、損金算入しつつ受取側は退職所得控除が使えるため、長期視点では法人の方が手取りベースで有利になることが多いです。
法人成りの手順とコスト
- 定款作成・公証人認証(株式会社のみ)
- 資本金払込・法人登記(法務局)
- 税務署・都道府県・市町村への開業届
- 個人事業の廃業届
- 個人事業から法人への資産・契約の引継ぎ
- 社会保険・労働保険の加入
司法書士・税理士に依頼すると合計15〜30万円程度。自前で進めることも可能ですが、定款記載事項に不備があると後の許認可・融資で不利になるため、初回は専門家に依頼するのが無難です。
※ 本記事は2026年4月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FPなど専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。