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専業主婦の老後資金はいくら必要?
年金・貯金・受給額の完全ガイド【FP × AI診断】

老後資金と使ってよいお金を逆算して家計を整える場面
年金額だけでなく、医療費、楽しみ、使ってよいお金の余白まで確認します。

「専業主婦の私は、老後いくらもらえるの?」「夫が先に亡くなったら生活していけるの?」「40代から準備して間に合うの?」——専業主婦(第3号被保険者)の老後資金に対する不安は、他のどの立場よりも大きく、そして情報が散らばっています。

記事の答えを確認した次に

貯金がこの金額なら、仕事を減らしても大丈夫?

決めるタイミング: 働く時間、住まい、教育費、親への支援など、毎月の支出が変わる決断の前。

相談で繰り返される本音

  • 平均額と比べても、自分が大丈夫か分からない
  • 仕事を減らしたいが、貯金が減るのが怖い
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初回で口頭整理できること

初回は、収入、毎月の支出、今後変わる予定を伺い、先に決める数字を口頭で整理します。

その次に分けること

追加計算が必要な場合は、複数の暮らし方で資金が続く期間を比べます。

初回の範囲: 初回当日の家計表完成、将来収支の保証、金融商品の見積り・申込みは行いません。

初回で暮らしの見通しを聞く

初回は口頭で整理します。資料がなくても、分かる範囲から始められます

相談前のFAQ

資料がそろっていなくても相談できますか?

はい。初回は、いま分かる範囲から迷いと確認順を整理します。通知書、通帳、財産や家計のメモなどが手元にあれば、分かる範囲だけご用意ください。

初回で何を持ち帰れますか?

いま決めること、まだ決めなくてよいこと、次に確認する数字や窓口を口頭で整理して持ち帰れます。初回当日の資料完成は約束していません。

初回に商品や契約の話がありますか?

初回は迷いと数字の整理に使います。金融商品の見積り、申込み、契約変更は初回の範囲に含みません。

目次(16セクション)
  1. 結論:専業主婦世帯に必要な老後資金の目安
  2. 専業主婦(第3号被保険者)の年金の仕組み
  3. 夫の職業別・年収別 年金受給額モデル
  4. 老後に毎月いくら必要?支出の実態データ
  5. 【確認ツール】夫婦の老後資金を整理する条件
  6. 専業主婦の年金受給額シミュレーション(詳細版)
  7. 第3号被保険者制度と年金分割
  8. iDeCo・NISAで老後資産を形成する
  9. 老後の医療費・介護費の備え
  10. 夫に先立たれた場合の遺族年金
  11. よくある質問(FAQ)

結論:専業主婦世帯に必要な老後資金の目安

最初に結論からお伝えします。専業主婦世帯(夫が会社員/自営業で妻が第3号または第1号)の老後資金は、一般的に 1,500万〜2,500万円の取り崩しを想定する必要があります。これは金融審議会の「老後2,000万円問題」で有名になった数字とほぼ一致しますが、専業主婦世帯では以下の3点でより大きなリスクが加わります。

世帯タイプ 公的年金(月額) 必要な取り崩し総額の目安
会社員夫 × 専業主婦 約22万円 約1,500万〜2,000万円
自営業夫 × 専業主婦(第1号) 約13万円 約3,500万〜5,000万円
公務員夫 × 専業主婦 約24万円 約1,200万〜1,800万円
会社員夫 × 扶養内パート妻 約23万円 約1,300万〜1,900万円

Point — 専業主婦世帯は夫の職業で老後資金額が大きく変わる

特に自営業夫 × 専業主婦の世帯は、夫婦2人とも基礎年金のみになるため、毎月の不足額が約13万円と極端に大きくなります。この世帯タイプが最も早期の準備を必要とします。逆に公務員夫 × 専業主婦世帯は、夫の共済年金(厚生年金化後)が手厚く、最もリスクが低い構造です。

専業主婦(第3号被保険者)の年金の仕組み

老後資金を正しく計算するためには、まず専業主婦がどの年金を、いくら受け取れるのかを正確に理解する必要があります。

① 第3号被保険者とは

会社員や公務員(=第2号被保険者)に扶養されている配偶者で、年収130万円未満の人を第3号被保険者と呼びます。2026年4月時点で約700万人が該当し、そのほとんどは女性です。第3号の特徴は、自分で国民年金保険料を支払わなくても、40年間加入すれば国民年金(基礎年金)の満額を受け取れるという点です。

② 受け取れる年金は「老齢基礎年金」のみ

専業主婦(第3号)が受け取れるのは老齢基礎年金のみで、夫のような厚生年金はありません。2025年度の満額は年額81万6,000円(月額約6万8,000円)です。40年間のうち未納や猶予があると、月数比例で減額されます。

加入月数 年額 月額
480月(40年満額) 約81.6万円 約6.8万円
360月(30年) 約61.2万円 約5.1万円
240月(20年) 約40.8万円 約3.4万円

③ 結婚前に厚生年金に加入していた期間は別途上乗せ

結婚前に会社員として働いていた期間がある場合、その分の老齢厚生年金も別途受け取れます。たとえば「22歳で入社、28歳で結婚退職、6年間で平均年収350万円」であれば、概算で年額約11.5万円(月額約9,500円)の厚生年金が上乗せされます。自分の過去の加入履歴はねんきんネットで必ず確認しておきましょう。

注意 — 「いつから専業主婦か」で受給額は変わる

20代・30代で結婚退職した専業主婦は、若い頃の厚生年金加入期間が短いため、受給額は基礎年金中心になります。一方、40代後半で退職して専業主婦になった方は、15〜20年分の厚生年金が加算されるため、同じ「専業主婦」でも世帯の年金額は大きく異なります。まずはねんきんネットで自分の過去記録を確認することがスタートラインです。

夫の職業別・年収別 年金受給額モデル

世帯全体の年金は「妻の基礎年金 + 夫の基礎年金 + 夫の厚生年金」の合計です。夫の厚生年金は平均標準報酬月額 × 加入年数 × 0.005481 でおおまかに計算できます。ここでは代表的なケースをモデル化しました。

ケース①:会社員夫(生涯平均年収500万円・40年勤続)× 専業主婦

項目年額月額
夫の基礎年金約81.6万円約6.8万円
夫の厚生年金約109.6万円約9.1万円
妻の基礎年金約81.6万円約6.8万円
世帯合計約272.8万円約22.7万円

ケース②:会社員夫(生涯平均年収700万円・40年勤続)× 専業主婦

項目年額月額
夫の基礎年金約81.6万円約6.8万円
夫の厚生年金約153.5万円約12.8万円
妻の基礎年金約81.6万円約6.8万円
世帯合計約316.7万円約26.4万円

ケース③:自営業夫 × 専業主婦(いずれも国民年金のみ)

項目年額月額
夫の基礎年金約81.6万円約6.8万円
妻の基礎年金約81.6万円約6.8万円
世帯合計約163.2万円約13.6万円

ケース③の自営業世帯は、ケース①と比較して月額で約9万円、年額で約100万円も少ない状態になります。自営業夫婦は、現役時代から国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済などで上乗せを作ることが、老後を生き延びる前提条件です。

老後に毎月いくら必要?支出の実態データ

総務省「家計調査(2024年)」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の平均支出は以下のとおりです。

費目月額(円)割合
食料約72,00026.9%
住居約16,5006.2%
光熱・水道約22,4008.4%
家具・家事用品約10,7004.0%
被服及び履物約5,0001.9%
保健医療約16,9006.3%
交通・通信約30,40011.3%
教養娯楽約24,7009.2%
その他(交際費等)約50,70018.9%
非消費支出(税・社保)約31,000—
合計約280,300100%

つまり、平均的な高齢夫婦世帯の支出は月約28万円。ケース①(会社員夫×専業主婦)の年金22.7万円と比較すると、毎月約5.3万円、年間約64万円の不足です。これを65歳から95歳までの30年間続けると、約1,900万円の取り崩しが必要になります。

Point — 平均値ではなく「あなたの世帯の実態」が重要

上記の28万円はあくまで平均値です。持ち家か賃貸か、住宅ローンが残っているか、医療費が多いか、子どもへの援助があるかで、月額支出は10万円単位で変動します。「うちは質素だから15万円で足りる」と思っていても、医療費・介護費・家の修繕費で想定外の支出が発生するのが老後です。

夫婦の老後資金を確認する条件

公的年金の見込額、老後の月間支出、現在の資産を同じ期間で確認してください。記事内の確認ツールでは、資料のそろい方と次に確認する条件を整理します。入力例だけから本人の不足額を確定しません。

専業主婦の年金受給額シミュレーション(詳細版)

「ねんきん定期便に書いてある金額が本当に当てになるのか?」という疑問は当然です。ここでは、専業主婦が将来受け取る年金を、結婚前の就労期間・第3号期間・繰り下げ受給の有無という3軸で詳しく試算します。

ケース別:専業主婦の老齢基礎年金受給額

プロフィール 基礎年金(年額) 上乗せ厚生年金(年額) 合計(月額換算)
22歳就職→25歳結婚退職(3年就労)、以降第3号40年 約79.6万円 約4.3万円 約7.0万円
22歳就職→30歳結婚退職(8年就労)、以降第3号35年 約81.6万円 約12.5万円 約7.8万円
22歳就職→35歳結婚退職(13年就労)、以降第3号30年 約81.6万円 約22.8万円 約8.7万円
同上+70歳まで繰り下げ受給(5年繰り下げ・42%増) 約115.9万円 約32.4万円 約12.4万円

繰り下げ受給は1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増額され、70歳まで繰り下げれば42%増となります。65歳から69歳まで他の資産で生活費をまかなえる場合、繰り下げは極めて有効な長寿リスク対策です。ただし、繰り下げ中に死亡した場合は増額分を受け取れないリスクもあるため、健康状態と資産状況を踏まえた判断が必要です。

繰り下げ受給の損益分岐点

繰り下げ期間増額率損益分岐年齢(65歳受給開始と比較)
1年(66歳から)+8.4%約78歳
3年(68歳から)+25.2%約80歳
5年(70歳から)+42.0%約82歳

Point — 女性の平均寿命は約88歳。繰り下げは多くのケースで有利

厚生労働省「令和5年簡易生命表」によると、日本人女性の平均寿命は約87.1歳。損益分岐の約82歳を大幅に上回るため、健康に不安がない専業主婦にとって70歳まで繰り下げるメリットは非常に大きいと言えます。一方、持病がある場合や早期に資金が必要な場合は65歳受給が無難です。どちらが有利かは、FPと一緒に試算することをお勧めします。

第3号被保険者制度と年金分割

専業主婦にとって「年金分割」は老後資金設計において極めて重要な制度です。特に離婚を検討している場合や、熟年離婚を考えている場合は、分割後の受給額を正確に把握しておく必要があります。

① 3号分割制度(2008年4月以降の期間が対象)

2008年4月1日以降に第3号被保険者であった期間の夫の厚生年金記録を、自動的に2分の1ずつ分割できる制度です。離婚届出時に年金事務所へ請求するだけで適用され、夫の同意は不要です。ただし分割されるのは厚生年金の標準報酬月額の記録であり、実際の受給額計算は日本年金機構が行います。

② 合意分割制度(全期間が対象)

2007年4月1日以降の離婚に適用できる制度で、2008年4月以前の期間も含め、夫婦の合意または裁判所の決定により最大2分の1まで分割できます。合意が取れない場合は家庭裁判所での調停・審判を経る必要があります。

制度 対象期間 夫の同意 分割割合
3号分割 2008年4月以降の第3号期間 不要 必ず1/2
合意分割 2007年4月以降の全婚姻期間 必要(または裁判所決定) 最大1/2(交渉次第)

③ 年金分割だけでは老後資金は足りない

熟年離婚後に年金分割を受けても、専業主婦が単身で65歳から生活するための老後資金は不足するケースがほとんどです。たとえば夫の厚生年金が月10万円だった場合、分割後の妻の受取は月5万円増に過ぎず、単身の生活費(月約15〜18万円)には遠く及びません。離婚前後に財産分与・退職金・貯蓄の取り扱いも含めて、FPや弁護士に相談することが不可欠です。

④ 第3号被保険者制度の廃止リスク

厚生労働省の社会保障審議会では、第3号被保険者制度の見直しが議論されています。仮に廃止・縮小された場合、現在の第3号被保険者は国民年金第1号として月額約1万7,000円(2026年度)の保険料負担が発生します。年間約20万円の追加出費であり、家計への影響は小さくありません。制度変更のリスクを見据え、自助努力での老後資金準備がより重要になっています。

注意 — 年金分割の請求期限は「離婚から2年以内」

年金分割の請求は、離婚成立日の翌日から2年以内に行う必要があります。この期限を過ぎると、たとえ合意があっても請求できなくなります。離婚後はさまざまな手続きで忙しくなりますが、年金分割の請求を忘れないよう、離婚と同時または直後に年金事務所へ相談することをお勧めします。

iDeCo・NISAで老後資産を形成する

専業主婦の老後資金準備において、iDeCo(個人型確定拠出年金)と新NISAは最も活用すべき2つの制度です。公的年金だけでは不足する月4〜13万円を、現役時代の積立で補う具体的な方法を解説します。

① 専業主婦のiDeCo活用ポイント

第3号被保険者の場合、iDeCoの掛金上限は月額2万3,000円(年間27万6,000円)です。所得がないため所得控除のメリットは受けられませんが、運用益が非課税・受取時に税制優遇(退職所得控除・公的年金等控除)が得られます。

積立額 積立期間 想定利回り 元本 試算資産額
月1万円 25年 年4% 300万円 約514万円
月2万円 25年 年4% 600万円 約1,027万円
月2万3,000円(上限) 25年 年4% 690万円 約1,181万円
月2万3,000円(上限) 20年 年4% 552万円 約843万円

② 新NISAとiDeCoの使い分け

2024年からスタートした新NISAは、年間360万円(生涯投資枠1,800万円)まで非課税で運用できます。iDeCoと異なり、途中で換金・引き出しができる柔軟性が特徴です。専業主婦世帯では、夫名義のiDeCo(節税最大化)と妻名義の新NISA(柔軟性確保)を組み合わせるのが定石です。

項目 新NISA(専業主婦) iDeCo(専業主婦)
年間上限 360万円(生涯1,800万円) 27万6,000円
所得控除 なし なし(所得なし)
運用益 非課税 非課税
引き出し いつでも可 原則60歳まで不可
おすすめ用途 教育費・緊急資金・老後資金 純粋な老後資金

③ 40代・50代から始めても間に合う積立プラン

40歳から65歳までの25年間、夫婦でiDeCo+新NISAを合計月5万円積立(年利4%想定)した場合、試算資産額は約2,570万円になります。元本1,500万円に対して約1,070万円の運用益(非課税)が上乗せされる計算です。50歳スタートでも月5万円・15年間なら約1,230万円に達し、年金との組み合わせで老後2,000万円問題はクリアできる水準です。

Point — iDeCo加入前に「受取方法」まで設計する

iDeCoは一時金・年金・併用の3通りで受け取れます。一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除が使えますが、夫の退職金との兼ね合いで課税額が変わります。受取時期・方法を事前に設計しないと、本来節税できたはずの数十万円が課税されるケースがあります。iDeCo加入時から出口戦略まで一緒に設計するのがベストプラクティスです。

老後の医療費・介護費の備え

老後資金の見積もりで最も過小評価されがちなのが医療費と介護費です。公的保険でカバーされる部分は大きいものの、自己負担は決して小さくありません。専業主婦世帯では、夫が先に介護状態になった場合の費用負担も想定しておく必要があります。

① 生涯医療費の目安

生命保険文化センター「生活保障に関する調査(2022年)」によると、ひとりの生涯医療費(保険診療の自己負担分)は平均約500万円とされています。75歳以上になると後期高齢者医療制度で自己負担は1〜3割(所得により異なる)に抑えられますが、入院時の差額ベッド代・食事代・先進医療費は全額自費となります。

医療費項目 公的保険カバー 自己負担の目安
外来・入院(保険診療) 70〜90% 10〜30%(高額療養費制度あり)
差額ベッド代(個室等) なし 1日5,000〜30,000円
先進医療・自由診療 なし 全額自己負担(数十〜数百万円)
入院時食事代 一部補助 1食460円(2024年度)

② 介護費用の実態

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2021年)」によると、介護に要した費用の平均は月額約7.8万円、介護期間の平均は5年1ヶ月です。これを単純計算すると約475万円の介護費用が必要となります。ただし、認知症や要介護度が高い場合はこれを大幅に超えることがあり、1,000万円超の事例も珍しくありません。

③ 公的介護保険でカバーされる範囲

65歳以上が対象の公的介護保険は、要介護度に応じて月額利用限度額が設定されており、超過分は全額自費です。在宅介護より施設介護のほうが費用は高く、特別養護老人ホームの待機期間も長期化しています。

要介護度 月額支給限度額 自己負担(1割) 月額の目安(施設)
要介護1約16.8万円約1.7万円約12〜16万円
要介護3約27.0万円約2.7万円約17〜22万円
要介護5約36.2万円約3.6万円約22〜30万円

④ 民間の医療保険・介護保険の考え方

医療・介護の自己負担分を民間保険で補う場合、保険料総額が給付総額を下回るかどうかを必ず試算することが重要です。貯蓄が十分にある世帯は「自家保険(貯蓄で対応)」のほうが合理的な場合もあります。一方、貯蓄が少なく医療費・介護費の発生リスクが高い方(既往症あり・家族に認知症歴あり等)は、民間保険の活用が有効です。FPと一緒に「保険か貯蓄か」を比較検討することをお勧めします。

Point — 介護費用は「2人分」で想定する

専業主婦世帯では、夫が先に要介護状態になった場合、妻が介護者を兼ねながら自分の老後資金も準備するという二重負担が発生します。介護離職(仕事を辞めて介護に専念)すると、妻自身の収入・社会保険・年金記録がすべて失われます。夫婦2人分の介護費用(合計約950万〜1,500万円)を老後資金の中に見込んでおくことが現実的な設計です。

夫に先立たれた場合の遺族年金

専業主婦にとって「夫に先立たれた後の生活費」は、老後資金設計の中でも特に重要なテーマです。遺族年金の仕組みを正確に理解し、夫亡き後の収入を把握した上で、不足分をどう補うかを設計しておきましょう。

① 遺族基礎年金

国民年金から支給される遺族基礎年金は、子(18歳年度末未満)がいる配偶者が対象です。子のない配偶者(子が独立した後の専業主婦)には遺族基礎年金は支給されません。これは多くの専業主婦が見落としている重要なポイントです。

② 遺族厚生年金

夫が会社員・公務員(厚生年金加入者)だった場合、妻は遺族厚生年金を受け取れます。受給額は夫の老齢厚生年金の4分の3が基本ですが、妻自身に老齢厚生年金がある場合は調整が入ります(2026年現在の制度)。

夫の年金(月額) 遺族厚生年金(月額) 妻の基礎年金(月額) 合計(月額)
夫の厚生年金 月9.1万円(年収500万・40年) 約6.8万円 約6.8万円 約13.6万円
夫の厚生年金 月12.8万円(年収700万・40年) 約9.6万円 約6.8万円 約16.4万円
夫が自営業(厚生年金なし) なし 約6.8万円 約6.8万円

③ 単身高齢女性の生活費と遺族年金の差額

総務省「家計調査(2024年)」によると、65歳以上単身女性世帯の平均支出は月約14.5万円です。会社員夫(年収500万円・40年勤続)の遺族厚生年金+妻の基礎年金が月13.6万円とすると、毎月約0.9万円の不足で済みます。しかし夫が自営業だった場合は月約7.7万円の不足となり、30年間で約2,800万円の取り崩しが必要です。

④ 遺族年金への備え:生命保険の見直しポイント

夫が亡くなった直後は預貯金・生命保険・退職金が一時的に入りますが、その後の長期的な生活費は遺族年金だけでは足りないことが多いです。現役時代に夫の生命保険(死亡保障)を見直し、遺族年金との差額を補える保障額を設計しておくことが重要です。目安として、夫の生命保険の死亡保障額は「65歳時点での遺族年金不足額 × 想定余命年数」で算出します。

注意 — 遺族厚生年金制度は2026年以降に見直し予定

厚生労働省は遺族厚生年金制度の見直しを検討しており、子のない配偶者への支給期間が変更される可能性があります。現在の制度では子のない妻(30歳以上)は終身受給できますが、改正後は有期給付(5年程度)となる案が議論されています。制度改正の動向を定期的に確認し、制度変更に備えた自助準備を進めることが不可欠です。

よくある質問(FAQ)

専業主婦の老後資金に関して、相談の現場で最も多く寄せられる質問をまとめました。

Q. 専業主婦がもらえる年金はいくらですか?
専業主婦(第3号被保険者)が受け取れるのは老齢基礎年金のみで、40年間第3号であれば満額で年額約81万6,000円(月額約6万8,000円)です(2025年度)。結婚前に会社員として働いていた期間がある場合は、その分の老齢厚生年金も別途受け取れます。夫が会社員の場合は夫の厚生年金と合わせて、世帯全体で月22〜26万円程度となるのが一般的なモデルです。
Q. 専業主婦の老後資金はいくら必要ですか?
総務省「家計調査」によると65歳以上夫婦のみ無職世帯の平均支出は月約28万円。公的年金(夫婦合計で平均月約22万円)では毎月4〜5万円の赤字となり、65〜95歳までの30年間で1,500万〜2,000万円の取り崩しが必要になるのが一般的なモデルです。自営業夫 × 専業主婦の世帯は年金が少ないため、3,500万〜5,000万円の準備が必要になる場合もあります。
Q. 専業主婦でもiDeCoやNISAに加入できますか?
どちらも加入できます。iDeCoの掛金上限は月額2万3,000円(年間27万6,000円)。所得がないため所得控除の恩恵はありませんが、運用益非課税・受取時の税制優遇が得られます。新NISAは年間360万円・生涯1,800万円まで非課税運用でき、いつでも引き出せる柔軟性があります。夫名義のiDeCo(節税)+妻名義の新NISA(柔軟性)の組み合わせが一般的な活用法です。
Q. 夫に先立たれた場合、年金はどうなりますか?
夫が会社員・公務員の場合、妻は遺族厚生年金(夫の老齢厚生年金の4分の3)を受け取れます。これに妻自身の老齢基礎年金が加わり、合計で月13〜16万円程度になります。ただし、夫が自営業だった場合は遺族厚生年金がなく、子が独立していると遺族基礎年金も受け取れないため、妻の基礎年金月約6.8万円のみとなります。この場合は貯蓄や生命保険による補填が不可欠です。
Q. 離婚した場合、年金はどう分割されますか?
2008年4月以降の第3号被保険者期間は、夫の同意なしに厚生年金を2分の1ずつ分割できる「3号分割制度」があります。それ以前の期間は夫婦の合意(または裁判所の決定)による「合意分割」となります。ただし分割されるのは厚生年金部分のみで、基礎年金・退職金・貯蓄は対象外です。請求期限は離婚から2年以内のため、離婚後すみやかに年金事務所へ相談してください。
Q. 40代の専業主婦から老後資金の準備を始めて間に合いますか?
十分に間に合います。40歳から65歳までの25年間、夫婦で合計月5万円を年利4%で積立すると約2,570万円になります。新NISAの運用益は非課税なので、元本1,500万円に対して約1,070万円の非課税利益が得られます。重要なのは「今すぐ始めること」で、1年遅れると毎月の必要積立額が約180円増える計算です。まず自分の世帯の不足額を正確に把握することがスタートラインです。

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最終確認日:2026年5月15日

※本記事は2026年4月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

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