PRESS RELEASE

2026年4月21日

スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

"老後2000万円問題"は本当に2000万円?47都道府県別に再計算したら、奈良県は1,639万円で済む一方、山形県では3,095万円が必要。住む場所で最大1,456万円の差が発生

ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)は、2019年に金融庁報告書で話題となった"老後2000万円問題"の算出ロジックを、47都道府県の年金受給額と物価地域差に当てはめて再計算しました。結果、全ての都道府県で2000万円前後〜3000万円超の老後資金不足が発生し、かつ都道府県間で最大1,456万円の格差があることが判明。額面の年金ランキングでは"もらえる額トップ3"である東京・神奈川・千葉が、物価の高さで実質不足額では中位以下に沈む逆転現象も確認されました。

"老後2000万円問題"(2019年・金融庁)とは

2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書が公表した試算。高齢夫婦無職世帯の平均で、年金等の収入と実際の支出の差が月 約 5.5 万円 の不足となり、これが30年続けば 約 2,000 万円 の取り崩しが必要になるという内容です。

本プレスリリースは、この"全国平均"の試算を、厚生年金の都道府県別受給額と物価地域差で分解したものです。全国平均では約2,000万円でも、実態は地域ごとに大きく異なります。

調査結果のポイント

  1. 老後30年累計の不足額、奈良県が最少 1,639万円。年金額が全国4位と高く、かつ物価指数が98.1と低めで"赤字幅"が最小。
  2. 最多は山形県の 3,095万円。年金額が全国43位と低いうえ、物価指数が101.4と高く、赤字が最大化。
  3. 額面ランキングと不足額ランキングの逆転:厚生年金額で全国3位の東京都は、物価指数104.0(全国最高)で支出が膨らむため、30年累計不足額では全国17位まで順位を落とします。逆に額面6位の愛知県は、物価指数98.1で支出が抑えられ不足額では全国2位に浮上。
  4. "2000万円問題"という言葉が示す現実:47都道府県のうち、30年累計不足額が2,000万円未満で済むのは11県のみ。2県では3,000万円超の取り崩しが必要。
  5. 住民税の"隠れ負担":40都道府県が均等割に独自の超過課税(森林環境税等)を上乗せ。25年累計で最大30,000円の累積負担差。

なぜ額面3位の東京都が、不足額では17位まで下がるのか?

本プレスリリースの核となる知見です。具体的な数字で見ると、東京都の年金受給者は「高い年金」を受け取りながら、それを上回る「高い生活費」で相殺されています。

東京都のケース(具体額)

月の年金収入厚生年金163,892円+基礎年金満額69,308円
= 233,200円
月の推定支出全国平均支出282,497円
× 物価指数 104.0 ÷ 100
= 293,797円
=
月の赤字-60,597円
× 12 × 30年
= 2,181万円不足

つまり、東京都の年金受給者は額面では全国3位の高年金を受け取っても、東京の高い物価で生活費が全国平均の4.0%増しになるため、30年間で 2,181万円 の取り崩しが必要。愛知県(1,694万円)と比べると、同じ老後を送るのに 487万円 多く貯蓄しておく必要がある計算になります。

So What:40〜60代の家計に何を意味するか

本調査が示すのは、老後資金計画において「いくら受け取れるか(額面年金)」より、「どこで受け取るか(実質可処分所得)」の方がインパクトが大きいという事実です。

具体的に40〜60代の家計に落とし込むと:

  1. 老後資金の目標額は全国一律ではない。奈良で暮らすなら約1,639万円、東京なら約2,181万円、山形なら約3,095万円を、年金以外で用意する必要があります。
  2. 居住地を変えるだけで老後資金目標が数百〜千万円動く。ライフプラン上、移住・二拠点生活の経済効果は過小評価されがちです。
  3. 額面年金アップより物価の低い地域を選ぶほうが効率的。東京→愛知への移住で、月の赤字が 13,541円 改善、30年累計で 487万円 の差になります。

計算方法(再現可能・CC BY 4.0)

老後30年累計の不足額 算出式

月の赤字 = 年金収入 − 推定支出 = (厚生年金月額 + 老齢基礎年金満額 69,308円) − (全国平均支出 282,497円 × 物価地域差指数 ÷ 100) 30年累計の不足額 = 月の赤字 × 12 × 30年

世帯モデル:高齢夫婦無職世帯(夫の厚生年金+夫婦の基礎年金満額を収入、全国平均の夫婦消費支出を地域物価で補正)。30年は65歳〜95歳の老後期間を想定。2019年金融庁の"2000万円問題"試算は月約5.5万円×30年=約2,000万円でしたが、本試算では地域差を加味しています。

使用データの時点と出典

① 厚生年金月額:厚生労働省「2024年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2025年3月末時点の実績値)
https://www.mhlw.go.jp/content/001617995.pdf

② 消費者物価地域差指数:総務省統計局「消費者物価地域差指数 2024年結果」
https://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/pdf/g_2024.pdf

③ 老齢基礎年金満額:2026年度厚生労働省公表(69,308円/月・満額)

④ 全国平均支出:2024年家計調査 高齢夫婦無職世帯 消費支出(282,497円/月 概算)

⑤ 住民税超過課税:各都道府県 2026年度公表資料

集計日:2026年4月21日/集計者:IKIGAI TOWN 編集部

2000万円問題が"軽い"ベスト5

注:全都道府県で月の赤字が発生するため、ベスト5も赤字ではあります。赤字幅が最も小さく、老後の取り崩し額が最少で済む5県です。

1位

奈良県

30年累計の不足額1,639万円

月の赤字
45,530円
厚生年金月額
162,292円(額面4位)
物価指数
98.1(全国平均100.0)
2位

愛知県

30年累計の不足額1,694万円

月の赤字
47,056円
厚生年金月額
160,766円(額面6位)
物価指数
98.1(全国平均100.0)
3位

千葉県

30年累計の不足額1,853万円

月の赤字
51,476円
厚生年金月額
165,103円(額面2位)
物価指数
101.2(全国平均100.0)
4位

兵庫県

30年累計の不足額1,866万円

月の赤字
51,843円
厚生年金月額
159,086円(額面7位)
物価指数
99.2(全国平均100.0)
5位

神奈川県

30年累計の不足額1,874万円

月の赤字
52,054円
厚生年金月額
170,457円(額面1位)
物価指数
103.3(全国平均100.0)

2000万円問題が"重い"ワースト5

月の赤字が最大、老後30年で最も多くの取り崩しが必要になる5県です。

47位

山形県

30年累計の不足額3,095万円

月の赤字
85,975円
厚生年金月額
131,169円(額面43位)
物価指数
101.4(全国平均100.0)
46位

沖縄県

30年累計の不足額3,058万円

月の赤字
84,935円
厚生年金月額
128,819円(額面46位)
物価指数
100.2(全国平均100.0)
45位

秋田県

30年累計の不足額2,931万円

月の赤字
81,426円
厚生年金月額
129,503円(額面44位)
物価指数
99.2(全国平均100.0)
44位

高知県

30年累計の不足額2,916万円

月の赤字
80,987円
厚生年金月額
132,202円(額面42位)
物価指数
100.0(全国平均100.0)
43位

青森県

30年累計の不足額2,910万円

月の赤字
80,823円
厚生年金月額
128,129円(額面47位)
物価指数
98.5(全国平均100.0)

47都道府県 全データ(列ヘッダクリックでソート可)

任意の列(30年累計不足額・月の赤字・物価指数・厚生年金額・住民税超過課税など)をクリックして並び替えできます。

軽い順 都道府県 厚生年金
月額
額面
順位
物価
指数
推定
支出/月
月の
赤字
30年累計
不足額
住民税
超過課税
1 奈良県 162,292円 4 98.1 277,130円 -45,530円 1,639万円 500円
2 愛知県 160,766円 6 98.1 277,130円 -47,056円 1,694万円 500円
3 千葉県 165,103円 2 101.2 285,887円 -51,476円 1,853万円
4 兵庫県 159,086円 7 99.2 280,237円 -51,843円 1,866万円 800円
5 神奈川県 170,457円 1 103.3 291,819円 -52,054円 1,874万円 300円
6 埼玉県 161,752円 5 100.3 283,344円 -52,284円 1,882万円
7 茨城県 152,963円 10 97.5 275,435円 -53,164円 1,914万円 1000円
8 群馬県 148,666円 17 96.2 271,762円 -53,788円 1,936万円 700円
9 滋賀県 154,456円 9 98.6 278,542円 -54,778円 1,972万円 800円
10 大阪府 156,272円 8 99.3 280,520円 -54,940円 1,978万円 300円
11 岐阜県 149,910円 15 97.1 274,305円 -55,087円 1,983万円 1000円
12 静岡県 151,960円 11 98.3 277,695円 -56,427円 2,031万円 400円
13 栃木県 149,631円 16 97.6 275,717円 -56,778円 2,044万円 700円
14 三重県 151,949円 12 98.7 278,825円 -57,568円 2,072万円
15 広島県 150,745円 14 98.7 278,825円 -58,772円 2,116万円 500円
16 岡山県 146,429円 19 97.7 276,000円 -60,263円 2,169万円 500円
17 東京都 163,892円 3 104.0 293,797円 -60,597円 2,181万円
18 福岡県 145,822円 21 98.0 276,847円 -61,717円 2,222万円 500円
19 山梨県 144,665円 24 97.7 276,000円 -62,027円 2,233万円 500円
20 和歌山県 145,933円 20 98.2 277,412円 -62,171円 2,238万円 500円
21 長野県 144,668円 23 97.9 276,565円 -62,589円 2,253万円 500円
22 富山県 144,644円 25 98.6 278,542円 -64,590円 2,325万円 500円
23 山口県 148,166円 18 99.9 282,215円 -64,741円 2,331万円 500円
24 京都府 151,483円 13 101.1 285,604円 -64,813円 2,333万円 600円
25 香川県 144,026円 26 98.6 278,542円 -65,208円 2,347万円
26 新潟県 138,683円 31 98.0 276,847円 -68,856円 2,479万円
27 愛媛県 140,301円 30 98.6 278,542円 -68,933円 2,482万円 700円
28 大分県 136,507円 34 97.4 275,152円 -69,337円 2,496万円 500円
29 鹿児島県 133,343円 39 96.4 272,327円 -69,676円 2,508万円 500円
30 宮城県 144,920円 22 100.6 284,192円 -69,964円 2,519万円 1200円
31 石川県 141,792円 27 99.5 281,085円 -69,985円 2,519万円 500円
32 福井県 140,787円 29 99.3 280,520円 -70,425円 2,535万円
33 佐賀県 134,191円 35 97.7 276,000円 -72,501円 2,610万円 500円
34 福島県 136,880円 32 98.8 279,107円 -72,919円 2,625万円 1000円
35 長崎県 136,825円 33 99.3 280,520円 -74,387円 2,678万円 500円
36 宮崎県 129,224円 45 97.0 274,022円 -75,490円 2,718万円 500円
37 鳥取県 133,459円 38 98.9 279,390円 -76,623円 2,758万円 500円
38 徳島県 134,131円 36 99.3 280,520円 -77,081円 2,775万円 200円
39 北海道 141,069円 28 101.9 287,864円 -77,487円 2,790万円
40 熊本県 132,740円 41 99.4 280,802円 -78,754円 2,835万円 500円
41 島根県 133,918円 37 100.0 282,497円 -79,271円 2,854万円 500円
42 岩手県 132,943円 40 100.0 282,497円 -80,246円 2,889万円 1000円
43 青森県 128,129円 47 98.5 278,260円 -80,823円 2,910万円
44 高知県 132,202円 42 100.0 282,497円 -80,987円 2,916万円 500円
45 秋田県 129,503円 44 99.2 280,237円 -81,426円 2,931万円 800円
46 沖縄県 128,819円 46 100.2 283,062円 -84,935円 3,058万円
47 山形県 131,169円 43 101.4 286,452円 -85,975円 3,095万円 1000円

編集長コメント

「"老後2000万円問題"は全国平均の話にすぎず、実態は都道府県で最大1,456万円の差があります。同じ老後を送るのに、東京に住むか愛知に住むかで数百万円の貯蓄目標が変わる——この事実を40〜50代のうちに知っておくかどうかが、定年後の生活の質を大きく分けます。」

「本ランキングは"どの県が優れている"を競うものではなく、『額面年金だけを見て老後資金計画を立てるのは危険』という警告です。居住地の物価を老後プランに織り込むのが、これからのライフプランニングの標準になるべきだと考えています。」

IKIGAI TOWN 編集長/スペシャリスト・ドクターズ株式会社 代表取締役
塩飽 哲生(しわく てつお)

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代表取締役 塩飽 哲生(東京大学工学部卒・同大学院修士課程修了)
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