奈良県
30年累計の不足額1,639万円
- 月の赤字
- 45,530円
- 厚生年金月額
- 162,292円(額面4位)
- 物価指数
- 98.1(全国平均100.0)
ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)は、2019年に金融庁報告書で話題となった"老後2000万円問題"の算出ロジックを、47都道府県の年金受給額と物価地域差に当てはめて再計算しました。結果、全ての都道府県で2000万円前後〜3000万円超の老後資金不足が発生し、かつ都道府県間で最大1,456万円の格差があることが判明。額面の年金ランキングでは"もらえる額トップ3"である東京・神奈川・千葉が、物価の高さで実質不足額では中位以下に沈む逆転現象も確認されました。
2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書が公表した試算。高齢夫婦無職世帯の平均で、年金等の収入と実際の支出の差が月 約 5.5 万円 の不足となり、これが30年続けば 約 2,000 万円 の取り崩しが必要になるという内容です。
本プレスリリースは、この"全国平均"の試算を、厚生年金の都道府県別受給額と物価地域差で分解したものです。全国平均では約2,000万円でも、実態は地域ごとに大きく異なります。
本プレスリリースの核となる知見です。具体的な数字で見ると、東京都の年金受給者は「高い年金」を受け取りながら、それを上回る「高い生活費」で相殺されています。
つまり、東京都の年金受給者は額面では全国3位の高年金を受け取っても、東京の高い物価で生活費が全国平均の4.0%増しになるため、30年間で 2,181万円 の取り崩しが必要。愛知県(1,694万円)と比べると、同じ老後を送るのに 487万円 多く貯蓄しておく必要がある計算になります。
本調査が示すのは、老後資金計画において「いくら受け取れるか(額面年金)」より、「どこで受け取るか(実質可処分所得)」の方がインパクトが大きいという事実です。
具体的に40〜60代の家計に落とし込むと:
世帯モデル:高齢夫婦無職世帯(夫の厚生年金+夫婦の基礎年金満額を収入、全国平均の夫婦消費支出を地域物価で補正)。30年は65歳〜95歳の老後期間を想定。2019年金融庁の"2000万円問題"試算は月約5.5万円×30年=約2,000万円でしたが、本試算では地域差を加味しています。
① 厚生年金月額:厚生労働省「2024年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2025年3月末時点の実績値)
https://www.mhlw.go.jp/content/001617995.pdf
② 消費者物価地域差指数:総務省統計局「消費者物価地域差指数 2024年結果」
https://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/pdf/g_2024.pdf
③ 老齢基礎年金満額:2026年度厚生労働省公表(69,308円/月・満額)
④ 全国平均支出:2024年家計調査 高齢夫婦無職世帯 消費支出(282,497円/月 概算)
⑤ 住民税超過課税:各都道府県 2026年度公表資料
集計日:2026年4月21日/集計者:IKIGAI TOWN 編集部
注:全都道府県で月の赤字が発生するため、ベスト5も赤字ではあります。赤字幅が最も小さく、老後の取り崩し額が最少で済む5県です。
30年累計の不足額1,639万円
30年累計の不足額1,694万円
30年累計の不足額1,853万円
30年累計の不足額1,866万円
30年累計の不足額1,874万円
月の赤字が最大、老後30年で最も多くの取り崩しが必要になる5県です。
30年累計の不足額3,095万円
30年累計の不足額3,058万円
30年累計の不足額2,931万円
30年累計の不足額2,916万円
30年累計の不足額2,910万円
任意の列(30年累計不足額・月の赤字・物価指数・厚生年金額・住民税超過課税など)をクリックして並び替えできます。
| 軽い順▲ | 都道府県 | 厚生年金 月額 |
額面 順位 |
物価 指数 |
推定 支出/月 |
月の 赤字 |
30年累計 不足額 |
住民税 超過課税 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 奈良県 | 162,292円 | 4 | 98.1 | 277,130円 | -45,530円 | 1,639万円 | 500円 |
| 2 | 愛知県 | 160,766円 | 6 | 98.1 | 277,130円 | -47,056円 | 1,694万円 | 500円 |
| 3 | 千葉県 | 165,103円 | 2 | 101.2 | 285,887円 | -51,476円 | 1,853万円 | ― |
| 4 | 兵庫県 | 159,086円 | 7 | 99.2 | 280,237円 | -51,843円 | 1,866万円 | 800円 |
| 5 | 神奈川県 | 170,457円 | 1 | 103.3 | 291,819円 | -52,054円 | 1,874万円 | 300円 |
| 6 | 埼玉県 | 161,752円 | 5 | 100.3 | 283,344円 | -52,284円 | 1,882万円 | ― |
| 7 | 茨城県 | 152,963円 | 10 | 97.5 | 275,435円 | -53,164円 | 1,914万円 | 1000円 |
| 8 | 群馬県 | 148,666円 | 17 | 96.2 | 271,762円 | -53,788円 | 1,936万円 | 700円 |
| 9 | 滋賀県 | 154,456円 | 9 | 98.6 | 278,542円 | -54,778円 | 1,972万円 | 800円 |
| 10 | 大阪府 | 156,272円 | 8 | 99.3 | 280,520円 | -54,940円 | 1,978万円 | 300円 |
| 11 | 岐阜県 | 149,910円 | 15 | 97.1 | 274,305円 | -55,087円 | 1,983万円 | 1000円 |
| 12 | 静岡県 | 151,960円 | 11 | 98.3 | 277,695円 | -56,427円 | 2,031万円 | 400円 |
| 13 | 栃木県 | 149,631円 | 16 | 97.6 | 275,717円 | -56,778円 | 2,044万円 | 700円 |
| 14 | 三重県 | 151,949円 | 12 | 98.7 | 278,825円 | -57,568円 | 2,072万円 | ― |
| 15 | 広島県 | 150,745円 | 14 | 98.7 | 278,825円 | -58,772円 | 2,116万円 | 500円 |
| 16 | 岡山県 | 146,429円 | 19 | 97.7 | 276,000円 | -60,263円 | 2,169万円 | 500円 |
| 17 | 東京都 | 163,892円 | 3 | 104.0 | 293,797円 | -60,597円 | 2,181万円 | ― |
| 18 | 福岡県 | 145,822円 | 21 | 98.0 | 276,847円 | -61,717円 | 2,222万円 | 500円 |
| 19 | 山梨県 | 144,665円 | 24 | 97.7 | 276,000円 | -62,027円 | 2,233万円 | 500円 |
| 20 | 和歌山県 | 145,933円 | 20 | 98.2 | 277,412円 | -62,171円 | 2,238万円 | 500円 |
| 21 | 長野県 | 144,668円 | 23 | 97.9 | 276,565円 | -62,589円 | 2,253万円 | 500円 |
| 22 | 富山県 | 144,644円 | 25 | 98.6 | 278,542円 | -64,590円 | 2,325万円 | 500円 |
| 23 | 山口県 | 148,166円 | 18 | 99.9 | 282,215円 | -64,741円 | 2,331万円 | 500円 |
| 24 | 京都府 | 151,483円 | 13 | 101.1 | 285,604円 | -64,813円 | 2,333万円 | 600円 |
| 25 | 香川県 | 144,026円 | 26 | 98.6 | 278,542円 | -65,208円 | 2,347万円 | ― |
| 26 | 新潟県 | 138,683円 | 31 | 98.0 | 276,847円 | -68,856円 | 2,479万円 | ― |
| 27 | 愛媛県 | 140,301円 | 30 | 98.6 | 278,542円 | -68,933円 | 2,482万円 | 700円 |
| 28 | 大分県 | 136,507円 | 34 | 97.4 | 275,152円 | -69,337円 | 2,496万円 | 500円 |
| 29 | 鹿児島県 | 133,343円 | 39 | 96.4 | 272,327円 | -69,676円 | 2,508万円 | 500円 |
| 30 | 宮城県 | 144,920円 | 22 | 100.6 | 284,192円 | -69,964円 | 2,519万円 | 1200円 |
| 31 | 石川県 | 141,792円 | 27 | 99.5 | 281,085円 | -69,985円 | 2,519万円 | 500円 |
| 32 | 福井県 | 140,787円 | 29 | 99.3 | 280,520円 | -70,425円 | 2,535万円 | ― |
| 33 | 佐賀県 | 134,191円 | 35 | 97.7 | 276,000円 | -72,501円 | 2,610万円 | 500円 |
| 34 | 福島県 | 136,880円 | 32 | 98.8 | 279,107円 | -72,919円 | 2,625万円 | 1000円 |
| 35 | 長崎県 | 136,825円 | 33 | 99.3 | 280,520円 | -74,387円 | 2,678万円 | 500円 |
| 36 | 宮崎県 | 129,224円 | 45 | 97.0 | 274,022円 | -75,490円 | 2,718万円 | 500円 |
| 37 | 鳥取県 | 133,459円 | 38 | 98.9 | 279,390円 | -76,623円 | 2,758万円 | 500円 |
| 38 | 徳島県 | 134,131円 | 36 | 99.3 | 280,520円 | -77,081円 | 2,775万円 | 200円 |
| 39 | 北海道 | 141,069円 | 28 | 101.9 | 287,864円 | -77,487円 | 2,790万円 | ― |
| 40 | 熊本県 | 132,740円 | 41 | 99.4 | 280,802円 | -78,754円 | 2,835万円 | 500円 |
| 41 | 島根県 | 133,918円 | 37 | 100.0 | 282,497円 | -79,271円 | 2,854万円 | 500円 |
| 42 | 岩手県 | 132,943円 | 40 | 100.0 | 282,497円 | -80,246円 | 2,889万円 | 1000円 |
| 43 | 青森県 | 128,129円 | 47 | 98.5 | 278,260円 | -80,823円 | 2,910万円 | ― |
| 44 | 高知県 | 132,202円 | 42 | 100.0 | 282,497円 | -80,987円 | 2,916万円 | 500円 |
| 45 | 秋田県 | 129,503円 | 44 | 99.2 | 280,237円 | -81,426円 | 2,931万円 | 800円 |
| 46 | 沖縄県 | 128,819円 | 46 | 100.2 | 283,062円 | -84,935円 | 3,058万円 | ― |
| 47 | 山形県 | 131,169円 | 43 | 101.4 | 286,452円 | -85,975円 | 3,095万円 | 1000円 |
本プレスリリースの計算結果47都道府県分を、そのまま記事・資料・グラフ作成に使える形式で公開しています。Excel・Google Sheets・Numbers・Tableau・Python/R などで即開けます。
出典表記例: 「IKIGAI TOWN『老後2000万円問題 都道府県別再計算(2026年4月)』https://ikigai.town/ja/press/2026-04-22/」 / ライセンス: Creative Commons BY 4.0
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【リード/約180字】
2019年の金融庁報告書で社会問題化した「老後2,000万円問題」。しかし、実際に必要な金額は住む場所で大きく変わる。厚生労働省の年金受給額と総務省の物価地域差指数を組み合わせて47都道府県別に再計算したところ、最も少ない奈良県で30年累計1,639万円、最も多い山形県では3,095万円と、最大1,456万円の差があることが分かった。額面年金が全国3位の東京都は、物価の高さで実質順位が17位に沈む。
2019年、金融庁金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書が公表した試算をきっかけに、「老後には年金以外に約2,000万円の貯蓄が必要」という議論が社会に広がった。しかし、この2,000万円という数字は全国平均値を用いた単一のモデルケースにすぎず、地域ごとの年金水準や物価差は反映されていない。
実際には、同じ年金額でも物価の高い地域では足りず、低い地域では余裕が生まれる。さらに厚生年金の受給額自体も都道府県ごとに異なる。「住む場所」を変数に入れた再計算が必要ではないか —— 本記事は、公開されている公的統計から、その実像を明らかにする試みである。
本集計で用いたのは以下の2つの公的統計である。
計算式は次のとおり。
月の赤字 = 年金収入 − 推定支出
年金収入 = 都道府県別 厚生年金月額 + 老齢基礎年金満額(月69,308円)
推定支出 = 全国平均支出 282,497円 × 都道府県の物価地域差指数 ÷ 100
得られた月の赤字を12ヶ月×30年で掛け合わせ、「30年累計不足額」として都道府県別にランキング化した。全てのデータは一次出典が国の公表物であり、計算過程はCSV形式で公開している(記事末尾リンク)。
<30年累計不足額が少ない>
<30年累計不足額が多い>
奈良県と山形県の差は30年累計で1,456万円。月々の「見えにくい差」が長期間積み上がった結果である。
厚生年金月額の額面ランキングで、東京都は全国3位(163,892円)と高水準にある。しかし物価地域差指数104.0(全国最高)を加味すると、30年累計不足額は2,181万円となり、順位は実質17位に後退する。具体的な計算は以下のとおりである。
月の年金収入 = 厚生年金 163,892円 + 基礎年金 69,308円 = 233,200円
月の推定支出 = 全国平均 282,497円 × 104.0 ÷ 100 = 293,797円
月の赤字 = −60,597円 / 30年累計 = −2,181万円
一方、愛知県は厚生年金が全国6位(160,766円)でありながら、物価指数98.1(全国平均より低い)のため、実質不足額では全国2位に浮上する。同様に、厚生年金が全国1位の神奈川県(170,457円)、全国2位の千葉県(165,103円)も、物価の高さで順位を大きく落とす。
この結果は、都市部の高齢世帯が老後資金を考える際に、額面年金だけでは実態を捉えられないことを示している。
直感に反して、物価が比較的低い地方県で30年累計不足額が大きい傾向がある。理由は主に2点ある。
「物価が安い地方なら老後資金が少なくて済む」という通念は、年金水準とセットで見るとそのまま当てはまらない。
3,000万円という数字を見て不安になる読者もいるだろう。ただし、次の点には注意したい。
重要なのは、「2,000万円」という一律の数字に振り回されることではなく、自分の住む地域の実情を前提に計算し直すことである。
全47都道府県のランキング表・計算ロジック・CSV形式の元データは以下で公開している。CC BY 4.0ライセンスのもと、出典を明記すれば商用利用を含め自由に引用・転載・加工できる。
【筆者プロフィール】
塩飽 哲生(しわく てつお)。ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」編集長。スペシャリスト・ドクターズ株式会社 代表取締役(東京大学工学部卒・同大学院修士課程修了)。家計・年金・住宅ローン等ライフプラン領域のデータジャーナリズムを専門とする。
【免責事項】
本記事の数値は公的統計を独自に集計したものであり、個別の家計状況に対する投資助言・税務助言を行うものではない。具体的な資産形成の判断にあたっては、日本年金機構、各地方自治体、ファイナンシャルプランナー等の公的・専門機関にご相談ください。
本データ・本文・図表・上記CSV/JSONは Creative Commons BY 4.0 で公開しています。出典「IKIGAI TOWN(https://ikigai.town/ja/press/2026-04-22/)」を明記いただければ、テレビ・新聞・ウェブ記事・SNS投稿で自由に引用・転載・加工可能です(商用利用含む)。
取材・市区町村別カスタム集計・番組用図表協力・独自切り口でのクロス集計のご依頼は support@ikigai.town まで。編集長・塩飽が個別対応いたします(通常24時間以内返信)。
本リリースの背景にある詳細記事・元データにアクセスいただけます。報道・記事作成の際の補足資料としてもご活用ください。
厚労省 年金事業概況を47都道府県でランキング化。本プレスリリースの"額面年金"データ元。
物価地域差を加味した"実質"可処分所得の47都道府県比較。月次データ版。
均等割に上乗せされる森林環境税等の都道府県別額と25年累計負担。
年金計算機・老後資金計画・改正トラッカーなど関連記事を網羅。
公的統計の独自集計によるメディア向けリリース一覧。CC BY 4.0 で引用・転載可。
編集方針・ファクトチェック体制・運営会社。取材先としての信頼性確認に。
編集長コメント
「"老後2000万円問題"は全国平均の話にすぎず、実態は都道府県で最大1,456万円の差があります。同じ老後を送るのに、東京に住むか愛知に住むかで数百万円の貯蓄目標が変わる——この事実を40〜50代のうちに知っておくかどうかが、定年後の生活の質を大きく分けます。」
「本ランキングは"どの県が優れている"を競うものではなく、『額面年金だけを見て老後資金計画を立てるのは危険』という警告です。居住地の物価を老後プランに織り込むのが、これからのライフプランニングの標準になるべきだと考えています。」
IKIGAI TOWN 編集長/スペシャリスト・ドクターズ株式会社 代表取締役
塩飽 哲生(しわく てつお)