PRESS RELEASE

発表日:

スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

食料品1%減税で戻るのは1世帯あたり年5万5,923円

── 外食は10%のまま据え置き。外食比率は青森市10.8%〜東京都区部21.3%と約2倍の開きがあり、名古屋市は食費7位でも戻り額は16位――総務省「家計調査」52市を編集部が再計算

政府は2026年8月5日、食料品の消費税率を2027年4月から2年間、8%から1%に引き下げる方針を閣議決定しました。ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部が、総務省統計局「家計調査」の都道府県庁所在市・政令指定都市52市の品目別支出データをもとに再計算したところ、二人以上の世帯が受け取る「戻り額」は全国で年55,923円(月4,660円)となりました。ただし外食と酒類は10%のまま据え置かれるため、外食の割合が高い都市ほど恩恵は薄くなります。戻り額は東京都区部62,734円から那覇市49,709円まで年13,025円の差があり、名古屋市は食費の多さでは52市中7位ながら、戻り額では16位まで下がりました。計算式と52市の全データはCSVで公開しており、出典を明記すればCC BY 4.0で自由に引用・転載できます

なぜいま公開するのか

2026年8月5日の閣議決定を受け、食料品減税は「いつから・いくら」の段階から「どの家庭に、いくら戻るのか」を検証する段階に入りました。年収別の試算はすでに報じられていますが、地域別の試算は公表されていません。食費の構成は地域によって大きく異なり、とくに外食の比率は都市によって約2倍の開きがあります。

本リリースは公的統計の再計算であり、政策の是非を論じるものでも、特定の政党・政策への支持または反対を表明するものでもありません。制度の設計が家計にどう届くかを、公表データだけで検証したものです。

試算結果のポイント

  1. 全国の「戻り額」は年55,923円(月4,660円)。二人以上の世帯の食費のうち、減税対象となる飲食料品は年862,817円で、食費計の78.8%にあたります。
  2. 都市間の差は年13,025円。最も多い東京都区部62,734円に対し、最も少ない那覇市は49,709円でした(1.26倍)。
  3. 外食比率は約2倍の開き。青森市10.8%に対し東京都区部21.3%。外食は10%に据え置かれるため、この比率がそのまま「減税が効かない食費」の大きさになります。
  4. 食費が多い都市ほど戻る、とは限らない。名古屋市は食費7位・戻り額16位(−9)、高知市は33位・47位(−14)。逆に長崎市は41位・22位(+19)、青森市は44位・27位(+17)と順位を上げます。
  5. 同じ食費1万円あたりで見ると、東京都区部484円・青森市539円。外食の割合が低い都市ほど、食費に対する戻り率は高くなります。
  6. 中低所得者向けの給付は本試算に含めていません。「実質ゼロ」とするための1%分の給付は設計が公表されていないためです。

1. 何をどう計算したか

閣議決定された方針では、対象は軽減税率と同じ飲食料品で、外食と酒類は10%のまま据え置きとされています。現在の飲食料品は軽減税率8%が適用されているため、税率だけを1%に置き換えた場合、税込価格は次の割合だけ下がります。

戻り額 = 減税対象の飲食料品支出 × (0.08 − 0.01) ÷ 1.08 = 対象支出 × 6.4815%

この式に、総務省統計局「家計調査」の品目別支出(都道府県庁所在市・政令指定都市別、2023〜2025年平均、二人以上の世帯)を当てはめました。食費を「減税対象の飲食料品」「外食」「酒類」の3つに分け、対象部分にだけ上の式を適用しています。

区分年間支出(全国)食費計に占める割合2027年4月以降の税率
減税対象の飲食料品(穀類・魚介類・肉類・乳卵類・野菜・果物・油脂調味料・菓子類・調理食品・飲料など)862,817円78.8%8% → 1%
外食186,665円17.0%10%(据え置き)
酒類45,358円4.1%10%(据え置き)
食費計1,094,840円100%

全国では、対象となる862,817円に6.4815%を掛けた55,923円が年間の戻り額になります。月あたり4,660円です。

2. 戻り額は都市によって年1万3,025円の差

図1:食料品1%減税で1世帯あたり年間いくら戻るか(都市別)

二人以上の世帯・2023〜2025年平均。都道府県庁所在市+政令指定都市52市のうち上位5市・下位5市と全国

都市別の戻り額。東京都区部62,734円、さいたま市61,159円、富山市60,314円、全国55,923円、大分市50,244円、松山市50,069円、那覇市49,709円

最も多いのは東京都区部の62,734円、最も少ないのは那覇市の49,709円で、年13,025円(1.26倍)の差がありました。2年間の時限措置ですので、期間を通すと約2万6,000円の差になります。

差の主因は食費そのものの大きさですが、それだけでは説明できない並びが混じります。たとえば富山市は食費では6位ながら戻り額では3位に上がり、逆に名古屋市は食費7位から戻り額16位へ下がります

3. 外食は10%のまま ── 順位が入れ替わる

図2:外食比率による順位の逆転

左=食費が多い順、右=戻り額が多い順(52市中の順位)。二人以上の世帯・2023〜2025年平均

順位の逆転。名古屋市は食費7位から戻り額16位、高知市は33位から47位に下がり、長崎市は41位から22位、青森市は44位から27位に上がる

外食は10%のまま据え置かれるため、食費に占める外食の割合が、そのまま「減税が効かない部分」の大きさになります。この比率は都市によって大きく異なり、青森市10.8%から東京都区部21.3%まで約2倍の開きがありました。

都市外食比率食費計の順位戻り額の順位戻り額
高知市(高知県)18.6%33位47位(−14)52,426円
名古屋市(愛知県)20.8%7位16位(−9)57,518円
熊本市(熊本県)19.1%20位29位(−9)54,286円
長崎市(長崎県)13.3%41位22位(+19)55,595円
青森市(青森県)10.8%44位27位(+17)54,937円
新潟市(新潟県)13.6%22位13位(+9)57,792円

食費に対する戻り率で比べると、この差はさらにはっきりします。食費1万円あたりの戻り額は、東京都区部で484円、青森市で539円。外食の少ない都市のほうが、同じ食費でも多く戻る計算です。

4. 52市の全データ

都道府県庁所在市と政令指定都市52市の全データです。ご自身が住む市、ご実家のある市の数字をご確認ください。

順位都市戻り額(年)戻り額(月)外食比率食費計(年)食費計の順位/差
1東京都区部(東京都)62,7345,22821.3%1,296,4401位/±0
2さいたま市(埼玉県)61,1595,09720.7%1,250,8222位/±0
3富山市(富山県)60,3145,02617.1%1,184,2286位/+3
4千葉市(千葉県)60,1285,01118.9%1,198,5573位/−1
5川崎市(神奈川県)60,1265,01018.8%1,198,1844位/−1
6横浜市(神奈川県)59,8734,98918.9%1,196,2345位/−1
7堺市(大阪府)58,8404,90316.6%1,147,0659位/+2
8京都市(京都府)58,6864,89017.1%1,148,0038位/±0
9山形市(山形県)58,3724,86416.7%1,145,07210位/+1
10浜松市(静岡県)58,3204,86015.1%1,105,66119位/+9
11奈良市(奈良県)58,3164,86017.2%1,133,87911位/±0
12大阪市(大阪府)57,9814,83216.3%1,125,63513位/+1
13新潟市(新潟県)57,7924,81613.6%1,097,05922位/+9
14福島市(福島県)57,6814,80714.6%1,098,50021位/+7
15神戸市(兵庫県)57,5434,79516.2%1,112,50517位/+2
16名古屋市(愛知県)57,5184,79320.8%1,172,0677位/−9
17相模原市(神奈川県)57,3014,77518%1,127,92912位/−5
18大津市(滋賀県)57,2924,77417.7%1,125,52114位/−4
19静岡市(静岡県)56,5824,71518%1,115,59015位/−4
20広島市(広島県)56,3984,70016.6%1,106,78218位/−2
21宇都宮市(栃木県)56,1864,68218.3%1,113,16616位/−5
22長崎市(長崎県)55,5954,63313.3%1,030,06241位/+19
23金沢市(石川県)55,5914,63316.5%1,077,88125位/+2
24仙台市(宮城県)55,3814,61516%1,075,60526位/+2
25長野市(長野県)55,3744,61517.3%1,090,22923位/−2
26岡山市(岡山県)55,1164,59317.5%1,081,10524位/−2
27青森市(青森県)54,9374,57810.8%1,020,01344位/+17
28秋田市(秋田県)54,2974,52513.8%1,040,76536位/+8
29熊本市(熊本県)54,2864,52419.1%1,098,88820位/−9
30水戸市(茨城県)54,2634,52216.3%1,048,57131位/+1
31松江市(島根県)54,1704,51415.3%1,043,79434位/+3
32盛岡市(岩手県)54,1444,51215.1%1,053,32129位/−3
33福井市(福井県)54,1084,50915.7%1,039,77937位/+4
34津市(三重県)53,9794,49817.3%1,045,52932位/−2
35山口市(山口県)53,9734,49814.7%1,032,31340位/+5
36甲府市(山梨県)53,9494,49615.4%1,033,38139位/+3
37高松市(香川県)53,7234,47717.3%1,053,01730位/−7
38福岡市(福岡県)53,7014,47518.4%1,068,79927位/−11
39北九州市(福岡県)53,4994,45815.8%1,036,80438位/−1
40徳島市(徳島県)53,4064,45117.1%1,041,56035位/−5
41岐阜市(岐阜県)53,3934,44918.3%1,053,95128位/−13
42前橋市(群馬県)53,1194,42716.6%1,028,42842位/±0
43佐賀市(佐賀県)52,9494,41216.5%1,025,84943位/±0
44宮崎市(宮崎県)52,9084,40915%1,015,76846位/+2
45和歌山市(和歌山県)52,5864,38215%1,000,94749位/+4
46鳥取市(鳥取県)52,5664,38015.7%1,018,22945位/−1
47高知市(高知県)52,4264,36918.6%1,045,52933位/−14
48札幌市(北海道)52,1164,34315.9%1,015,75147位/−1
49鹿児島市(鹿児島県)52,0064,33416.4%1,008,77148位/−1
50大分市(大分県)50,2444,18716.9%979,15050位/±0
51松山市(愛媛県)50,0694,17214.8%947,80352位/+1
52那覇市(沖縄県)49,7094,14215.2%953,87451位/−1

52市+全国の全データをCSVでダウンロード(減税対象額・外食・酒類・外食比率・戻り額・順位を収録)/JSON版

読み解き ── 最も我慢されている支出は、減税されない

当編集部は7月31日、50代19,862人を対象とした調査から、お金を理由に我慢している支出の1位が「外食」で38.9%、2位が「スーパーでの食材」37.2%であることを公表しました。今回の再計算と重ねると、次のことが言えます。

最も我慢されている支出である外食は、今回の減税の対象外です。そして外食の割合が高い都市ほど、食費全体に対する戻り額の割合は小さくなります。「食費が高い都市ほど恩恵が大きい」という直感は、外食を挟むと必ずしも成り立ちません。

もっとも、これは制度の欠陥を意味するものではありません。外食を対象から外すのは軽減税率の現行制度を踏襲した設計であり、レジ改修の期間を短縮して2027年4月の開始に間に合わせるという判断も示されています。重要なのは、「実質ゼロ」という言葉から受ける印象と、実際に家計に戻る額が一致しないことがあるという点です。

また本試算には、中低所得者向けに予定されている1%分の給付が含まれていません。この給付の設計次第では、地域差・所得差の見え方は変わります。設計が公表された時点で、同じ手法で再計算し直す予定です。

編集部より

家計の相談を受けていると、制度が変わるたびに「うちはいくら得をするのか」と聞かれます。今回のように全国平均が先に報じられる政策では、その平均が自分の家計に当てはまるとは限りません。食費の中身は、住んでいる場所や家族構成で驚くほど違うからです。

この試算でお伝えしたかったのは、金額の大小そのものではありません。年5万円台という数字は、月にすれば4,600円ほど。2年間の時限措置でもあります。この額を家計の前提に組み込むというより、「食費のうち何にいくら使っているか」を一度確認するきっかけにしていただければと考えています。外食が多いか少ないかは、良し悪しではなく家計の形の違いです。

IKIGAI TOWN 編集長/

試算の前提と使用データ

試算名:食料品1%減税による世帯あたり「戻り額」の都市別再計算(IKIGAI TOWN 編集部試算)

試算主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

使用データ:総務省統計局「家計調査」品目別 都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023年〜2025年平均・二人以上の世帯)。https://www.stat.go.jp/data/kakei/5.html 内容は2026年8月6日時点で確認。

計算式:戻り額 = 減税対象の飲食料品支出 ×(0.08 − 0.01)÷ 1.08。現行の軽減税率8%(税込)の支出に対し、税率のみを1%に置き換えた場合の税込価格の下落幅として計算しています。

制度の前提:2026年8月5日の閣議決定に基づく方針として、対象は軽減税率と同じ飲食料品、外食・酒類は10%のまま据え置き、実施は2027年4月から2年間。関連法案は秋の臨時国会に提出される見通しで、詳細は法案の内容により変わりえます。中低所得者向けの1%分の給付は設計が公表されていないため、本試算には含めていません。

「食費計」の定義:家計調査の中分類13区分(穀類・魚介類・肉類・乳卵類・生鮮野菜・乾物海藻等・果物・油脂調味料・菓子類・調理食品・飲料・酒類・外食)の合算値です。公表されている「食料」計とは集計対象品目の違いにより若干異なる場合があります。

留意点:家計調査は二人以上の世帯が対象で、単身世帯は含みません。数値は都道府県庁所在市および政令指定都市の値であり、都道府県全体の平均ではありません(東京都は「東京都区部」)。2023〜2025年の3年平均であり、単年の値ではありません。実際の負担軽減額は、世帯人数・購入品目・価格転嫁の程度によって変わります。金額は円単位で四捨五入し、比率は小数第1位までを表示しています。

報道関係者向け「そのまま記事化パック」

記事化に必要な素材を、そのまま使える形で用意しています

本リリースの図表・数値・本文は、出典を明記いただければCC BY 4.0のもと、改変を含めて自由にご利用いただけます(事前連絡不要)。

▍記事本文(リード・小見出し付き・そのまま出稿可)
kiji-honbun.txt をダウンロード(見出し3案・試算の前提・媒体別の切り口メモを同梱)

▍図表(1200px・出典クレジット焼き込み済み)

▍数値データ(52市+全国・計算過程を再現可能)
CSVJSON

▍見出し案
媒体記事用(40字):食料品1%減税で戻るのは年5.6万円 外食多い都市ほど目減り
SNS・タイトル用(60字):食料品1%減税で戻るのは1世帯あたり年5万5,923円 ── 外食は10%据え置きで、名古屋市は食費7位でも戻り額16位
短尺(全角13字):減税の戻り、都市差1.3万円

▍出典表記(コピペ用)

出典:<a href="https://ikigai.town/ja/press/2026-08-07/">IKIGAI TOWN 編集部試算(総務省「家計調査」に基づく)</a>

▍追加集計・取材
政令指定都市のみの集計、地方ブロック別の集計などをご提供できます。support@ikigai.town(メールのみ)

本リリースの利用について

引用・転載(CC BY 4.0)

本リリースの数値・図表・CSVデータは、クリエイティブ・コモンズ表示 4.0 国際ライセンス(CC BY 4.0)のもと、出典を明記すれば商用利用を含め自由に引用・転載・加工できます。

出典:<a href="https://ikigai.town/ja/press/2026-08-07/">IKIGAI TOWN 編集部試算(総務省「家計調査」に基づく)</a>

本リリースは公表統計に基づく一般的な試算であり、個別の税額計算や税務判断を行うものではありません。個別の税務に関するご相談は税理士または国税庁の窓口にご確認ください。また、特定の政党・政策への支持または反対を表明するものではなく、金融商品の推奨・勧誘を目的とするものでもありません。制度の詳細は今後の法案審議により変わる可能性があるため、確定した内容は財務省・国税庁の公表資料をご確認ください。

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