PRESS RELEASE

2026年7月31日

スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

「実質ゼロ」の給付は、消費に回るのか── 食料品1%減税が正式表明。しかし50代19,862人調査では、控えている支出の1位は減税対象外の「外食」38.9%、我慢の理由の最多は「老後資金が不安」54.3%。使ってよい額の目安が分かったら「貯蓄や投資を増やしたい」26.3%

高市首相は2026年7月30日、食料品の消費税率を2027年4月から2年間、8%から1%へ引き下げると正式に表明しました。残る1%相当分は中低所得者向けの現金給付で「実質ゼロ化」するとしています。消費税導入以来はじめての減税です。ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部は、この負担軽減が生活者の支出に結びつくかを考える材料として、50代19,862人に「お金のことを考えて実際に控えている支出」と「その理由」を聞いた調査を公開します。控えている支出の1位は減税の対象外とされる「外食」38.9%、2位が減税対象の「スーパーの食材」37.2%。一方で我慢の理由の最多は「老後資金が不安だから」54.3%で、金融資産1,000万円以上の層ではさらに高い58.3%でした。図表・都道府県別データ(40県)は出典明記のうえCC BY 4.0で自由に引用・転載できます。

本リリースの背景 ── 2026年7月30日、食料品1%減税が正式表明

高市首相は7月30日、食料品の消費税率を2027年4月から2年間に限って8%から1%へ引き下げると正式に表明しました。残る1%相当については中低所得者向けに現金給付を行い「実質ゼロ化」するとしています。財源は租税特別措置・補助金の見直しや税外収入の確保などで「赤字国債に頼らずに確保する」と説明し、2年後には税率を戻すと明言。8月上旬に閣議決定し、秋に想定される臨時国会へ関連法案を提出する方針です(外食は10%のまま据え置きの見通しと報じられています)。

ここで問われるのは、負担が軽くなった分・給付された分が実際に消費に向かうのかという点です。本調査は消費税の賛否や制度そのものを問うたものではなく、生活者が現に何を控えていて、なぜ控えているのかを聞いた実態調査です。政策効果を検討する際の生活者側のデータとしてご活用ください。当社は特定の政策的立場をとりません。

出典:時事ドットコム 2026年7月30日「食品消費税、来年4月に1% 2年限定、首相正式表明―財源『赤字国債に頼らず』」日本経済新聞 2026年7月30日「食品消費税の来春1%、高市首相が30日表明」(会員限定記事)。制度の詳細は今後の閣議決定・法案で確定します。

調査結果のポイント

  1. 控えている支出の1位・2位は、いずれも「食」。外食38.9%、スーパーの食材37.2%。1%へ引き下げられるのは2位の食材で、1位の外食は10%のまま据え置かれる見通しです。食に関する支出のいずれかを控えている人は52.2%にのぼります。
  2. ただし、我慢の理由は「価格が高いから」ではない。最多は「老後資金が不安だから」54.3%。「今後の収入減少や退職後の生活が不安」33.4%が続き、「毎月の収支にあまり余裕がない」は25.2%にとどまります。目先の家計より将来不安が主因という構図です。
  3. お金がある層ほど、将来不安を理由に我慢している。金融資産1,000万円以上の層では「老後資金が不安」が58.3%と全体より高く、逆に「毎月の収支に余裕がない」は25.2%→12.9%と半減します。手元の余裕の有無では説明できない我慢が存在します。
  4. 「いくらまで使ってよいか」を金額で把握している人は10.0%。「よく分からない」「ほとんど把握できていない」「分からない」の合計は55.7%でした。
  5. 目安が分かっても、一定量は消費に向かわない可能性。「将来に問題のない範囲で使ってよい目安が分かったら、どのような生活に近づけたいか」への回答は、旅行31.4%・趣味29.4%に次いで「貯蓄や投資を増やしたい」26.3%(金融資産1,000万円以上では29.8%)。負担軽減や給付の一部は、消費ではなく貯蓄・投資に向かう可能性を示します。
  6. 都道府県で16.0ポイントの開き。食に関する我慢率は岩手県62.4%から茨城県46.4%まで(回答者80人以上の40県)。

1. 控えている支出 ── 上位2つを「食」が占める

「ここ半年〜1年を振り返って、外食・買い物・旅行・健康・趣味などで、本当は選びたいものやしたいことがあっても、お金のことを考えて控えた経験」を尋ね、控えている対象を複数回答で聞きました(n=19,862)。

図1:お金を考えて控えている支出(複数回答)

50代19,862人ベース。 2027年4月以降も10%の見通し/ 1%への引き下げ対象

外食で本当に食べたいメニューやお店 38.9% スーパーで旬の果物や少し良い食材 37.2% 自分へのご褒美・気分転換 33.3% 温泉・帰省・近場の旅行 29.6% 特に控えているものはない 25.8% カフェ・映画・趣味などの楽しみ 24.6% 家電・家具の買い替え 23.9% 家族や友人との食事・記念日・贈り物 14.3% 歯科検診・健康診断など健康維持 12.3% 子や孫・親など家族のために使う 7.5% ※ 税率区分は2026年7月時点で報じられている調整案(食料品1%・外食10%据え置き)に基づく編集部整理であり、確定した制度ではありません。

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2. 控える理由は「価格」ではなく「将来不安」

支出を控えたり不安を感じたりする理由(複数回答)では、「老後資金が不安だから」が54.3%で最多。金融資産1,000万円以上の層に限ると58.3%とさらに高くなります。逆に「毎月の収支にあまり余裕がないから」は全体25.2%に対し1,000万円以上の層では12.9%と半分以下です。手元にお金がある層ほど、目先の家計ではなく将来不安を理由に我慢していることになります。

控える理由(複数回答)全体金融資産1,000万円以上
老後資金が不安だから54.3%58.3%
今後の収入減少や退職後の生活が不安だから33.4%32.5%
毎月の収支にあまり余裕がないから25.2%12.9%
特に不安や我慢はない20.2%22.1%
保険料や固定費の負担が大きいから12.6%9.0%
教育費や介護費など将来の支出が気になるから11.3%12.7%
住宅ローンや住居費の負担があるから9.9%7.8%
どこまで使ってよいのか分からないから9.5%11.9%

n=19,862/1,000万円以上 n=4,400。CSVをダウンロード

3. 「使ってよい額」を把握している人は10.0%

「毎月どのくらいなら将来に大きな影響なく使えるか」を尋ねたところ、「金額まで把握している」は10.0%にとどまり、「なんとなく把握している」34.4%、「よく分からない」25.4%、「ほとんど把握できていない」15.6%、「分からない」14.7%となりました。把握できていない層の合計は55.7%です。

また「将来に大きな問題がない範囲で、ここまでは使って大丈夫という目安が分かったら、どのような生活に近づけたいか」(複数回答)では、「温泉や旅行に行きたい」31.4%、「趣味や楽しみを続けたい」29.4%に次いで、「貯蓄や投資を増やしたい」が26.3%(金融資産1,000万円以上の層では29.8%)を占めました。使える金額の目安が示されても、その一部は消費ではなく貯蓄・投資に向かう可能性を示しています。

4. 都道府県別「食に関する我慢率」(40県)

外食またはスーパーの食材のいずれかを控えていると答えた人の割合を都道府県別に集計しました。最も高いのは岩手県62.4%、最も低いのは茨城県46.4%で、16.0ポイントの開きがあります。回答者数が80人に満たない7県(宮崎・山梨・福井・島根・佐賀・高知・鳥取)は、値のぶれが大きいため掲載していません。

順位都道府県食のいずれかを控える外食を控える食材を控えるn
1岩手県62.4%44.1%46.2%186
2大分県60.5%40.4%36.0%114
3沖縄県59.1%43.2%44.3%88
4岡山県58.8%45.7%37.1%245
5青森県58.1%43.7%41.0%222
6栃木県57.7%43.1%42.7%253
7岐阜県57.1%45.1%38.5%275
8宮城県56.9%42.0%40.7%455
9山形県56.1%43.9%44.7%132
10富山県56.0%45.0%39.0%100
11秋田県55.9%40.6%43.4%143
12三重県55.3%37.4%43.4%219
13新潟県54.8%37.5%43.8%352
14鹿児島県54.4%41.1%37.3%158
15滋賀県54.1%39.9%39.2%148
16石川県53.7%38.1%42.9%147
17徳島県53.5%38.4%41.9%86
18埼玉県53.4%39.8%38.9%1,386
19京都府53.4%38.5%40.3%444
20奈良県52.8%40.2%38.8%214
21千葉県52.8%39.2%38.6%1,167
22愛知県52.6%39.8%36.4%1,172
23東京都52.3%40.3%36.5%3,125
24香川県52.0%33.1%40.6%175
25群馬県51.8%37.6%38.0%245
26広島県51.2%38.6%33.8%402
27和歌山県51.1%36.7%36.7%90
28兵庫県51.0%39.1%37.0%905
29大阪府50.9%36.4%36.2%1,546
30北海道50.9%37.8%37.3%904
31福島県50.5%42.3%34.2%196
32神奈川県50.3%37.9%35.4%1,946
33熊本県50.0%34.7%36.3%124
34福岡県49.2%35.1%34.4%579
35山口県48.1%32.6%34.1%135
36静岡県47.5%36.5%32.1%417
37長崎県46.8%32.3%32.3%124
38長野県46.5%32.3%35.0%217
39愛媛県46.5%39.4%26.5%155
40茨城県46.4%32.9%32.6%377
全国52.2%38.9%37.2%19,862

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読み解き ── 「使ってよい額」がなければ、減税も給付も貯蓄に沈む

控えている支出の上位を食が占めるという結果は、食料品の負担軽減が生活実感に届きうることを示しています。一方で、その我慢の理由の過半は「老後資金が不安」であり、手元資金に余裕があるはずの金融資産1,000万円以上の層でその比率はむしろ高い(58.3%)。さらに、毎月使ってよい額を金額で把握している人は10.0%にとどまります。

今回の制度では、1%への引き下げに加えて残る1%相当分が中低所得者への現金給付という形をとります。ただし本調査に照らすと、価格が下がっても、現金が渡されても、「いくらまでなら使ってよいか」の目安がなければ、人は安全側に倒します。目安が分かった場合に近づけたい生活として「貯蓄や投資を増やしたい」が26.3%(資産1,000万円以上では29.8%)を占めたことは、その裏返しといえます。

負担の軽減と、将来の収支を一枚に並べて「使ってよい額」を確かめることは、別の作業です。政策の効果を見るうえでも、生活者の側の「我慢の理由」を併せて見る必要があると考えます。

編集長コメント

相談の現場では、「値段が高いから我慢している」という方より、「この先いくら要るのか分からないから、とりあえず控えている」という方のほうが多いのが実感です。今回、資産1,000万円以上の層で「老後資金が不安だから」という理由がむしろ高く出たことは、それを裏づけていると受け止めています。

制度の議論は制度の議論として、家計の側では、将来の収入と支出を一枚に並べて「ここまでは使って大丈夫」という線を一度引いておく。それだけで、同じ収入でも選べるものが変わります。

IKIGAI TOWN 編集長/

調査概要

調査名:「まいきゃり+」サービス改善プログラム 事前アンケート(お金の「我慢」と使ってよい額に関する調査)

調査主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

調査方法:インターネット調査(スクリーニング全数集計)

調査時期:2026年6月期・2026年7月期の2回分を合算。実施時期は納品データのレコード日時に基づく(2026年6月期=2026年6月28日 18時38分 記録/n=9,990、2026年7月期=2026年7月12日 19時23分 記録/n=9,872)。

有効回答:19,862名(50〜59歳・平均54.7歳・男性67.6%/女性32.2%)

留意点:回答者はFP相談モニターへの参加を検討した、お金・資産形成への関心が高い層が中心で、全国の縮図(国勢調査ベースの代表サンプル)ではありません。都道府県別は回答者数80人以上の40県のみを掲載し、各セルのnを併記しています。構成比は小数第1位までを表示し、四捨五入のため合計が100%にならない場合があります。複数回答の設問は合計が100%を超えます。

本リリースの利用について

引用・転載(CC BY 4.0)

本リリースの数値・図表・CSVデータは、クリエイティブ・コモンズ表示 4.0 国際ライセンス(CC BY 4.0)のもと、出典を明記すれば商用利用を含め自由に引用・転載・加工できます。出典表記のコピー用HTMLは以下のとおりです。

出典:<a href="https://ikigai.town/ja/press/2026-07-31/">IKIGAI TOWN「まいきゃり+」モニター調査(50代・n=19,862)</a>

本リリースは消費税率をはじめとする特定の政策に対する賛否を示すものではありません。また、特定の金融商品・保険商品の優劣を示すものでも、契約の勧誘や投資判断の推奨を目的とするものでもありません。個別の税額計算・控除の適用判定など税理士の独占業務にあたる内容は含みません。

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