高市首相は2026年7月30日、食料品の消費税率を2027年4月から2年間、8%から1%へ引き下げると正式に表明しました。残る1%相当分は中低所得者向けの現金給付で「実質ゼロ化」するとしています。消費税導入以来はじめての減税です。ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部は、この負担軽減が生活者の支出に結びつくかを考える材料として、50代19,862人に「お金のことを考えて実際に控えている支出」と「その理由」を聞いた調査を公開します。控えている支出の1位は減税の対象外とされる「外食」38.9%、2位が減税対象の「スーパーの食材」37.2%。一方で我慢の理由の最多は「老後資金が不安だから」54.3%で、金融資産1,000万円以上の層ではさらに高い58.3%でした。図表・都道府県別データ(40県)は出典明記のうえCC BY 4.0で自由に引用・転載できます。
高市首相は7月30日、食料品の消費税率を2027年4月から2年間に限って8%から1%へ引き下げると正式に表明しました。残る1%相当については中低所得者向けに現金給付を行い「実質ゼロ化」するとしています。財源は租税特別措置・補助金の見直しや税外収入の確保などで「赤字国債に頼らずに確保する」と説明し、2年後には税率を戻すと明言。8月上旬に閣議決定し、秋に想定される臨時国会へ関連法案を提出する方針です(外食は10%のまま据え置きの見通しと報じられています)。
ここで問われるのは、負担が軽くなった分・給付された分が実際に消費に向かうのかという点です。本調査は消費税の賛否や制度そのものを問うたものではなく、生活者が現に何を控えていて、なぜ控えているのかを聞いた実態調査です。政策効果を検討する際の生活者側のデータとしてご活用ください。当社は特定の政策的立場をとりません。
出典:時事ドットコム 2026年7月30日「食品消費税、来年4月に1% 2年限定、首相正式表明―財源『赤字国債に頼らず』」/日本経済新聞 2026年7月30日「食品消費税の来春1%、高市首相が30日表明」(会員限定記事)。制度の詳細は今後の閣議決定・法案で確定します。
「ここ半年〜1年を振り返って、外食・買い物・旅行・健康・趣味などで、本当は選びたいものやしたいことがあっても、お金のことを考えて控えた経験」を尋ね、控えている対象を複数回答で聞きました(n=19,862)。
50代19,862人ベース。■ 2027年4月以降も10%の見通し/■ 1%への引き下げ対象
支出を控えたり不安を感じたりする理由(複数回答)では、「老後資金が不安だから」が54.3%で最多。金融資産1,000万円以上の層に限ると58.3%とさらに高くなります。逆に「毎月の収支にあまり余裕がないから」は全体25.2%に対し1,000万円以上の層では12.9%と半分以下です。手元にお金がある層ほど、目先の家計ではなく将来不安を理由に我慢していることになります。
| 控える理由(複数回答) | 全体 | 金融資産1,000万円以上 |
|---|---|---|
| 老後資金が不安だから | 54.3% | 58.3% |
| 今後の収入減少や退職後の生活が不安だから | 33.4% | 32.5% |
| 毎月の収支にあまり余裕がないから | 25.2% | 12.9% |
| 特に不安や我慢はない | 20.2% | 22.1% |
| 保険料や固定費の負担が大きいから | 12.6% | 9.0% |
| 教育費や介護費など将来の支出が気になるから | 11.3% | 12.7% |
| 住宅ローンや住居費の負担があるから | 9.9% | 7.8% |
| どこまで使ってよいのか分からないから | 9.5% | 11.9% |
n=19,862/1,000万円以上 n=4,400。CSVをダウンロード
「毎月どのくらいなら将来に大きな影響なく使えるか」を尋ねたところ、「金額まで把握している」は10.0%にとどまり、「なんとなく把握している」34.4%、「よく分からない」25.4%、「ほとんど把握できていない」15.6%、「分からない」14.7%となりました。把握できていない層の合計は55.7%です。
また「将来に大きな問題がない範囲で、ここまでは使って大丈夫という目安が分かったら、どのような生活に近づけたいか」(複数回答)では、「温泉や旅行に行きたい」31.4%、「趣味や楽しみを続けたい」29.4%に次いで、「貯蓄や投資を増やしたい」が26.3%(金融資産1,000万円以上の層では29.8%)を占めました。使える金額の目安が示されても、その一部は消費ではなく貯蓄・投資に向かう可能性を示しています。
外食またはスーパーの食材のいずれかを控えていると答えた人の割合を都道府県別に集計しました。最も高いのは岩手県62.4%、最も低いのは茨城県46.4%で、16.0ポイントの開きがあります。回答者数が80人に満たない7県(宮崎・山梨・福井・島根・佐賀・高知・鳥取)は、値のぶれが大きいため掲載していません。
| 順位 | 都道府県 | 食のいずれかを控える | 外食を控える | 食材を控える | n |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 岩手県 | 62.4% | 44.1% | 46.2% | 186 |
| 2 | 大分県 | 60.5% | 40.4% | 36.0% | 114 |
| 3 | 沖縄県 | 59.1% | 43.2% | 44.3% | 88 |
| 4 | 岡山県 | 58.8% | 45.7% | 37.1% | 245 |
| 5 | 青森県 | 58.1% | 43.7% | 41.0% | 222 |
| 6 | 栃木県 | 57.7% | 43.1% | 42.7% | 253 |
| 7 | 岐阜県 | 57.1% | 45.1% | 38.5% | 275 |
| 8 | 宮城県 | 56.9% | 42.0% | 40.7% | 455 |
| 9 | 山形県 | 56.1% | 43.9% | 44.7% | 132 |
| 10 | 富山県 | 56.0% | 45.0% | 39.0% | 100 |
| 11 | 秋田県 | 55.9% | 40.6% | 43.4% | 143 |
| 12 | 三重県 | 55.3% | 37.4% | 43.4% | 219 |
| 13 | 新潟県 | 54.8% | 37.5% | 43.8% | 352 |
| 14 | 鹿児島県 | 54.4% | 41.1% | 37.3% | 158 |
| 15 | 滋賀県 | 54.1% | 39.9% | 39.2% | 148 |
| 16 | 石川県 | 53.7% | 38.1% | 42.9% | 147 |
| 17 | 徳島県 | 53.5% | 38.4% | 41.9% | 86 |
| 18 | 埼玉県 | 53.4% | 39.8% | 38.9% | 1,386 |
| 19 | 京都府 | 53.4% | 38.5% | 40.3% | 444 |
| 20 | 奈良県 | 52.8% | 40.2% | 38.8% | 214 |
| 21 | 千葉県 | 52.8% | 39.2% | 38.6% | 1,167 |
| 22 | 愛知県 | 52.6% | 39.8% | 36.4% | 1,172 |
| 23 | 東京都 | 52.3% | 40.3% | 36.5% | 3,125 |
| 24 | 香川県 | 52.0% | 33.1% | 40.6% | 175 |
| 25 | 群馬県 | 51.8% | 37.6% | 38.0% | 245 |
| 26 | 広島県 | 51.2% | 38.6% | 33.8% | 402 |
| 27 | 和歌山県 | 51.1% | 36.7% | 36.7% | 90 |
| 28 | 兵庫県 | 51.0% | 39.1% | 37.0% | 905 |
| 29 | 大阪府 | 50.9% | 36.4% | 36.2% | 1,546 |
| 30 | 北海道 | 50.9% | 37.8% | 37.3% | 904 |
| 31 | 福島県 | 50.5% | 42.3% | 34.2% | 196 |
| 32 | 神奈川県 | 50.3% | 37.9% | 35.4% | 1,946 |
| 33 | 熊本県 | 50.0% | 34.7% | 36.3% | 124 |
| 34 | 福岡県 | 49.2% | 35.1% | 34.4% | 579 |
| 35 | 山口県 | 48.1% | 32.6% | 34.1% | 135 |
| 36 | 静岡県 | 47.5% | 36.5% | 32.1% | 417 |
| 37 | 長崎県 | 46.8% | 32.3% | 32.3% | 124 |
| 38 | 長野県 | 46.5% | 32.3% | 35.0% | 217 |
| 39 | 愛媛県 | 46.5% | 39.4% | 26.5% | 155 |
| 40 | 茨城県 | 46.4% | 32.9% | 32.6% | 377 |
| — | 全国 | 52.2% | 38.9% | 37.2% | 19,862 |
控えている支出の上位を食が占めるという結果は、食料品の負担軽減が生活実感に届きうることを示しています。一方で、その我慢の理由の過半は「老後資金が不安」であり、手元資金に余裕があるはずの金融資産1,000万円以上の層でその比率はむしろ高い(58.3%)。さらに、毎月使ってよい額を金額で把握している人は10.0%にとどまります。
今回の制度では、1%への引き下げに加えて残る1%相当分が中低所得者への現金給付という形をとります。ただし本調査に照らすと、価格が下がっても、現金が渡されても、「いくらまでなら使ってよいか」の目安がなければ、人は安全側に倒します。目安が分かった場合に近づけたい生活として「貯蓄や投資を増やしたい」が26.3%(資産1,000万円以上では29.8%)を占めたことは、その裏返しといえます。
負担の軽減と、将来の収支を一枚に並べて「使ってよい額」を確かめることは、別の作業です。政策の効果を見るうえでも、生活者の側の「我慢の理由」を併せて見る必要があると考えます。
調査名:「まいきゃり+」サービス改善プログラム 事前アンケート(お金の「我慢」と使ってよい額に関する調査)
調査主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)
調査方法:インターネット調査(スクリーニング全数集計)
調査時期:2026年6月期・2026年7月期の2回分を合算。実施時期は納品データのレコード日時に基づく(2026年6月期=2026年6月28日 18時38分 記録/n=9,990、2026年7月期=2026年7月12日 19時23分 記録/n=9,872)。
有効回答:19,862名(50〜59歳・平均54.7歳・男性67.6%/女性32.2%)
留意点:回答者はFP相談モニターへの参加を検討した、お金・資産形成への関心が高い層が中心で、全国の縮図(国勢調査ベースの代表サンプル)ではありません。都道府県別は回答者数80人以上の40県のみを掲載し、各セルのnを併記しています。構成比は小数第1位までを表示し、四捨五入のため合計が100%にならない場合があります。複数回答の設問は合計が100%を超えます。
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本リリースは消費税率をはじめとする特定の政策に対する賛否を示すものではありません。また、特定の金融商品・保険商品の優劣を示すものでも、契約の勧誘や投資判断の推奨を目的とするものでもありません。個別の税額計算・控除の適用判定など税理士の独占業務にあたる内容は含みません。
編集長コメント
相談の現場では、「値段が高いから我慢している」という方より、「この先いくら要るのか分からないから、とりあえず控えている」という方のほうが多いのが実感です。今回、資産1,000万円以上の層で「老後資金が不安だから」という理由がむしろ高く出たことは、それを裏づけていると受け止めています。
制度の議論は制度の議論として、家計の側では、将来の収入と支出を一枚に並べて「ここまでは使って大丈夫」という線を一度引いておく。それだけで、同じ収入でも選べるものが変わります。
IKIGAI TOWN 編集長/塩飽 哲生