PRESS RELEASE

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スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

物価上昇率の「買い物かご」の6分の1は、実際には支払われていない家賃だった

── 除いて測ると1.9%は2.2%に。さらに高齢者世帯の買い方で計算し直すと2.42%、差は0.52ポイント

2026年8月21日に公表された消費者物価指数(全国・2026年7月分)の総合は1.9%でした。ただしその買い物かごのうち1,634/10,000(16.3%)は「持家の帰属家賃」で、持ち家の人が「もし借りていたら払うはずの家賃」として計上された、実際には支払われていない支出です。統計局はこれを除いた値を2.2%として併せて公表しています。ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部が、公表された費目別上昇率に家計調査(2025年平均)の世帯類型別の支出構成を掛け直したところ、二人以上の世帯2.18%、高齢単身無職世帯2.34%、夫婦高齢者無職世帯2.42%となりました。全数値はCSVで公開し、出典明記のうえCC BY 4.0で自由に引用・転載できます。

図1:公表値と、世帯類型別に計算し直した物価上昇率(2026年7月分)

上2本は総務省統計局の公表値。下3本は公表された費目別上昇率に家計調査の支出構成を掛け直した編集部試算

公表の総合1.9パーセント、持家の帰属家賃を除く総合2.2パーセントに対し、編集部試算では二人以上の世帯2.18、高齢単身無職世帯2.34、夫婦高齢者無職世帯2.42パーセント

本リリースの位置づけ(必ずお読みください)

1. 公表されたのは「総合 1.9%」

2026年8月21日、総務省統計局は消費者物価指数(全国・2026年7月分)を公表しました。総合指数は2025年を100として102.0、前年同月比1.9%の上昇です。

この指数は、全国の世帯が平均的に何をどれだけ買っているかという「買い物かご」を決めて、その中身の値段の変化を測っています。かごの中身の比率が「ウエイト」で、総合を10,000として費目ごとに割り振られています。

費目前年同月比ウエイト(総合=10,000)
食料+3.5%2,754
住居
持家の帰属家賃を除く
+2.7%548
光熱・水道+0.7%698
家具・家事用品+3.7%372
被服及び履物+1.2%299
保健医療+2.1%466
交通・通信+2.6%1,444
教育-3.8%311
教養娯楽+1.9%906
諸雑費+0.4%570
(参考)住居(持家の帰属家賃を含む)+1.0%2,182
(参考)生鮮食品(食料の内数)+7.0%379

出典:総務省統計局「消費者物価指数 全国 2026年7月分」(2026年8月21日公表・2026-08-22確認)。住居は家計調査と突き合わせるため「持家の帰属家賃を除く住居」の値。網掛けは本文で扱う費目。

2. かごの6分の1は「持家の帰属家賃」

住居のウエイトは2,182です。ところがそのうち1,634は「持家の帰属家賃」で、実際に家賃を払っている人の支出ではありません。持ち家に住む人が「もし借りていたら払うであろう家賃」を擬制的に計上したものです。

買い物かご全体の16.3%、およそ6分の1がこれにあたります。持ち家の帰属家賃を含めるのは国際的な統計基準にのっとった扱いで、それ自体は妥当なものです。ただしほとんど上がらないため、全体の上昇率を押し下げる方向に働きます。本リリースの費目別上昇率から逆算すると、帰属家賃の前年同月比は+0.43%でした。

統計局はこの点を承知していて、「持家の帰属家賃を除く総合」を2.2%として併せて公表しています。実際に支払っている支出だけで見ると、上昇率は1.9%ではなく2.2%だということです。

3. 計算式が公表値を再現できることを確かめた

世帯類型別に計算し直す前に、その計算式が公表値を再現できるかを確認しました。

公表されている費目別の上昇率とウエイトから、帰属家賃だけを外して同じ式で計算すると2.25%。公表値2.2%を0.05ポイント以内で再現できます。全体を計算し直した場合も1.95%で、公表の1.9%を同じ精度で再現します。

このずれは公表値が小数第1位に丸められているためです(公表されている費目別寄与度の合計自体が1.955)。式そのものは成立しています。あとは、かごの中身の比率を世帯類型ごとに差し替えるだけです。

4. 世帯ごとの「買い物かご」に差し替える

家計調査(2025年平均)には、世帯類型ごとに何にいくら使っているかが金額で出ています。これを比率にして、費目別の上昇率に掛け直しました。

費目二人以上の世帯夫婦高齢者無職世帯高齢単身無職世帯
食料94,89578,96442,545
住居18,67817,73911,416
光熱・水道24,54723,54015,565
家具・家事用品13,06811,2376,069
被服及び履物10,0635,3543,049
保健医療15,86317,9418,388
交通・通信45,73031,32513,601
教育11,93900
教養娯楽32,12526,53816,132
諸雑費26,57222,04714,052
計算に使った10費目の計293,480234,685130,817
(除外)こづかい・交際費・仕送り金20,52129,29417,629
(参考)消費支出314,001263,979148,445

単位:円(1か月あたり)。出典:総務省統計局「家計調査 家計収支編 2025年平均」表Ⅰ-1-1・表2(2026-08-22確認)。家計調査の「その他の消費支出」のうち諸雑費はCPIの「諸雑費」に対応するので計算に含め、こづかい・交際費・仕送り金は対応する価格指数がないため除いています。費目ごとに年計を12で割って四捨五入しているため、内訳の合計は消費支出と数円ずれます。

費目前年同月比公表かご二人以上の世帯夫婦高齢者無職世帯高齢単身無職世帯
食料+3.5%32.9%32.3%33.6%32.5%
住居+2.7%6.5%6.4%7.6%8.7%
光熱・水道+0.7%8.3%8.4%10.0%11.9%
家具・家事用品+3.7%4.5%4.5%4.8%4.6%
被服及び履物+1.2%3.6%3.4%2.3%2.3%
保健医療+2.1%5.6%5.4%7.6%6.4%
交通・通信+2.6%17.3%15.6%13.3%10.4%
教育-3.8%3.7%4.1%0.0%0.0%
教養娯楽+1.9%10.8%10.9%11.3%12.3%
諸雑費+0.4%6.8%9.1%9.4%10.7%

支出に占める割合(%)。「公表かご」は帰属家賃を除いた公表ウエイトを同じ10費目で比率にしたもの。

結果は次のとおりです。

注意深く見ておきたいのは、二人以上の世帯(2.18%)は公表かご(2.25%)とほぼ同じ、むしろわずかに低いという点です。「実際の支出構成で計算し直すとどの世帯も高く出る」わけではありません。差が開くのは高齢世帯です。

5. 0.52ポイントの差は、どこから来ているか

公表値1.9%と夫婦高齢者無職世帯2.42%の差は0.52ポイント。内訳は3つです。

つまり、公表値との差の大半は指標の定義に由来するもので、世帯類型そのものの違いは0.17ポイントです。二人以上の世帯(2.18%)と夫婦高齢者無職世帯(2.42%)を直接比べた差は0.24ポイントになります。

図2:買い物かごの違い(0.17ポイント)の費目別内訳

夫婦高齢者無職世帯と公表の買い物かごで、費目ごとの寄与度がどれだけ違うか

寄与度の差の費目別内訳。教育がプラス0.14ポイントで最大、次いで保健医療0.04、住居0.03、食料0.03。交通・通信はマイナス0.10ポイントと押し下げ側
費目前年同月比公表かごの
寄与度
夫婦高齢者無職
世帯の寄与度
教育-3.8%-0.1410.000+0.141
保健医療+2.1%0.1170.161+0.044
住居+2.7%0.1770.204+0.027
食料+3.5%1.1521.178+0.026
家具・家事用品+3.7%0.1640.177+0.013
光熱・水道+0.7%0.0580.070+0.012
諸雑費+0.4%0.0270.038+0.011
教養娯楽+1.9%0.2060.215+0.009
被服及び履物+1.2%0.0430.027-0.016
交通・通信+2.6%0.4490.347-0.102
合計2.252.420.17

単位:ポイント。寄与度=その費目の上昇率×支出に占める割合。差が大きい順に並べています。網掛けは最大・最小の費目。

6. 差の主役は食料ではなく、教育だった

高齢世帯は食料の割合が大きい(公表かご32.9%→33.6%)ため、そこが差の主因だと考えたくなります。しかし分解すると、最大の要因は教育(+0.141ポイント)で、食料(+0.026ポイント)はその5分の1程度です。

全体を押し下げている教育の-3.8%は、主に高等学校授業料(私立)の-73.2%によるものです(総合への寄与度-0.15)。背景には、高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律(令和8年3月31日成立・4月1日施行)による所得制限の撤廃があります。文部科学省は「いわゆる『高校無償化』と表現されることが多いが、的確な表現としては授業料を支援する『高等学校等就学支援金』」としています。

つまりこれは値下がりというより制度による負担の付け替えで、恩恵が届くのは私立高校に通う子のいる世帯です。高齢者世帯の支出に占める教育の割合は0.0%なので、押し下げは効きません。

逆方向にも大きな費目があります。交通・通信は-0.102ポイントと、高齢世帯の上昇率を押し下げる側に働いています(支出割合が17.3%→13.3%と小さいため)。差はこれらの打ち消し合いの結果です。

編集部より

消費者物価指数は、全国の世帯を平均した指標として正しく設計されています。問題は指標ではなく、それを「自分の家計の数字」として読んでしまうことにあります。

今回いちばん大きかったのは、世帯の違いではなく帰属家賃でした。買い物かごの約6分の1が「実際には支払われていない家賃」で、しかもそれがほとんど上がらないため、全体を0.30ポイント押し下げています。統計局自身がこれを除いた値を併せて公表しているのに、報じられるのはたいてい総合の側です。

その上で、世帯の買い方による差が0.17ポイント乗ります。ただしこれは「高齢世帯は食料が重いから」という単純な話ではありませんでした。実際にいちばん効いていたのは教育の値下がりが届かないことで、逆に交通・通信は押し下げ側に働いています。当初は食料を主因と考えましたが、分解すると順序が違っていました。

年金の改定や各種の給付・支援は、全国平均の物価指標を基準に設計されます。平均より速い上昇に直面している世帯にとって、平均で設計された調整は、その分だけ届きにくくなります。誰の物価上昇率で語っているのかを、そのつど確かめる必要があります。

本試算の計算式は、統計局が公表している「持家の帰属家賃を除く総合」を0.05ポイント以内で再現できることで検算しました。使ったデータはすべて公表値で、元の金額・構成比・寄与度をCSVで公開しています。同じ手順で、別の世帯類型についても計算できます。

IKIGAI TOWN 編集長/

7. 調査概要

調査名:帰属家賃と世帯類型別の物価上昇率の試算(IKIGAI TOWN 編集部調べ)

調査主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

対象:消費者物価指数(全国・2026年7月分)の10大費目別 前年同月比と公表ウエイト/家計調査 家計収支編 2025年平均の世帯類型別 費目別月平均額。

出典:総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年7月分」(2026年8月21日公表)同「家計調査 家計収支編 2025年平均」文部科学省「高校生等への修学支援」(いずれも2026-08-22確認)

計算方法:世帯類型別の上昇率 = Σ(費目別の前年同月比 × その世帯類型の費目別支出構成比)。
・10大費目すべてを使いました。家計調査の「その他の消費支出」のうち諸雑費はCPIの「諸雑費」(ウエイト570・+0.4%)に対応するので計算に含め、こづかい・交際費・仕送り金は対応する価格指数がないため除いています。
・CPIの「住居」は持家の帰属家賃を含みますが家計調査の「住居」は含まないため、突き合わせに「持家の帰属家賃を除く住居」(ウエイト548・前年同月比+2.7%)を使いました。
・公表値そのものに加工は加えていません。編集部が算出したのは構成比・寄与度・世帯類型別の上昇率・帰属家賃の前年同月比(住居全体からの逆算)のみです。

検算:公表ウエイトから帰属家賃だけを外して同じ式で計算すると2.25%となり、統計局が公表する「持家の帰属家賃を除く総合」2.2%を0.05ポイント以内で再現します(全体では1.95%で公表の1.9%を同じ精度で再現)。ずれは公表値が小数第1位に丸められているためです。各世帯類型の構成比合計が100%になること、寄与度の合計が上昇率と一致すること、費目別の差の合計が0.17ポイントと一致することも確認しています。

留意点:本試算は編集部によるものであり、総務省が公表している世帯類型別の物価指数ではありません。公表されている消費者物価指数の妥当性を否定するものでもありません(帰属家賃を含めるのは国際的な統計基準にのっとった扱いで、統計局はこれを除いた値も併せて公表しています)。対象は65歳以上の無職世帯(夫婦のみ/単身)で、就業している高齢世帯は含みません。家計調査の支出構成は2025年平均、CPIの上昇率は2026年7月で時点が異なります。個々の世帯の実際の上昇率は、その世帯が何をどれだけ買っているかで変わります。

総務省・文部科学省への事前確認:事前の内容確認は行っていません。記載内容に誤りがある場合はご連絡いただければ速やかに訂正します。

報道関係者向け「そのまま記事化パック」

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▍記事本文(リード・小見出し付き・注記込みでご出稿ください)
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▍図表(1200px・出典クレジット焼き込み済み)

▍数値データ(5表・費目別CPI/世帯類型別の金額と構成比/寄与度/まとめ)
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媒体記事用(25字):物価指数の6分の1は、実際には支払われていない家賃
SNS・タイトル用(39字):公表1.9%、実際に払う支出だけなら2.2%、高齢者世帯の買い方なら2.42%
短尺(10字・全角換算8字):高齢世帯は2.42%

▍出典表記(コピペ用)

出典:<a href="https://ikigai.town/ja/press/2026-08-22/">IKIGAI TOWN 編集部試算(総務省統計局「消費者物価指数」「家計調査」より)</a>

▍追加集計・取材
別の世帯類型・別の月での再計算、計算手順の詳細をご提供できます。support@ikigai.town(メールのみ)

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引用・転載(CC BY 4.0)

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出典:<a href="https://ikigai.town/ja/press/2026-08-22/">IKIGAI TOWN 編集部試算(総務省統計局「消費者物価指数」「家計調査」より)</a>

数値・図表のみを引用される場合も、次の点を必ず併記してください。世帯類型別の上昇率は編集部による試算であり総務省が公表する指数ではないこと/公表値との差0.52ポイントのうち世帯類型に固有なのは0.17ポイントで、残りは丸めと帰属家賃という全世帯共通の定義の問題であること/対象は65歳以上の無職世帯であること/家計調査の支出構成は2025年平均でCPIの上昇率は2026年7月であること/価格指数を持たないこづかい・交際費・仕送り金を除いた10費目で計算していること。

本リリースは公表情報を調査時点で確認し整理・再計算したものであり、報道関係者向けの情報提供資料です。公表されている消費者物価指数の妥当性を否定するものではありません。

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