── 実質賃金は6か月連続プラス、それでも消費支出は7か月連続マイナス。金融資産1,000万円以上の44.4%が「お金を使わなすぎた」と後悔していた
総務省統計局が2026年8月7日に公表した家計調査報告(2026年6月分)で、二人以上の世帯の消費支出は1世帯あたり290,886円、実質前年同月比−3.3%となり、7か月連続のマイナスでした。一方、勤労者世帯の実収入は1,013,986円で実質+2.0%。厚生労働省が8月4日に公表した毎月勤労統計でも、実質賃金は+1.6%で6か月連続のプラスです。収入は増えているのに、消費は減り続けていることになります。ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部が、この乖離を自社の生活者調査と突き合わせたところ、金融資産1,000万円以上の44.4%が「お金を使わなすぎた」と後悔し、55.7%は毎月いくらまで使ってよいかを把握していませんでした。図表・データは出典明記のうえCC BY 4.0で自由に引用・転載できます。
賃金が上がれば消費は戻る、という前提で語られてきた局面が、統計上そうなっていません。賃金と消費が逆方向に7か月動き続けているのは、景気循環の話であると同時に、家計側の行動の話でもあります。
当編集部は延べ164,941件の生活者調査を継続しており、「使えるのに使わない」層のデータを持っています。公的統計が示す事実に、その裏側を重ねて公開します。
総務省「家計調査報告」2026年6月分、厚生労働省「毎月勤労統計調査」2026年6月分結果速報
| 指標 | 金額 | 実質 前年同月比 | 名目 前年同月比 |
|---|---|---|---|
| 二人以上の世帯 消費支出 | 290,886円 | −3.3% | −1.5% |
| 二人以上の世帯 消費支出(季節調整済・前月比) | ― | −6.4% | ― |
| 勤労者世帯 実収入 | 1,013,986円 | +2.0% | +3.9% |
| 実質賃金(毎月勤労統計・現金給与総額ベース) | ― | +1.6% | ― |
2026年6月は前年より日曜日が1日少なく、台風などの天候不順と低めの気温も減少要因として報じられています。実際、落ち込みが大きいのは交通−20.8%、被服・履物−19.9%、家具・家事用品−11.4%で、外出や季節商材に直結する項目です。単月の−3.3%を、そのまま「家計の防衛姿勢」と読むことはできません。
それでも注目すべきは、7か月連続という長さです。天候も曜日配列も毎月変わりますが、マイナスは変わっていません。
| 品目 | 実質 前年同月比 | 性質 |
|---|---|---|
| 交通 | −20.8% | 移動・外出に直結(天候の影響大) |
| 被服・履物 | −19.9% | 季節商材(気温の影響大) |
| 家具・家事用品 | −11.4% | 先送りできる耐久財 |
| 飲料 | −8.6% | 気温の影響 |
| 外食 | −2.9% | 裁量的支出 |
| 食料 | −2.5% | 基礎的支出 |
天候・気温で説明できる項目が上位に並ぶ一方、先送りのきく耐久財(家具・家事用品−11.4%)や、裁量的な支出(外食−2.9%)も減っています。基礎的支出である食料まで−2.5%です。
では、収入が増えた家計はなぜ支出を戻さないのか。当編集部の生活者調査には、この問いに関わる数字があります。
IKIGAI TOWN モニター調査(設問により対象が異なる。n=25,018/19,862/30,015)
金融資産1,000万円以上の層に「人生が来年までなら、どちらを後悔するか」と尋ねると、「お金を使わなすぎた」が44.4%で、「使いすぎた」11.5%の約4倍でした(45〜65歳・n=25,018)。貯めることに成功した層ほど、使わなかったことを悔いています。
その背景にあるのは、判断の前提が決まっていないことです。将来の生活費を一度も計算したことがない人が80.2%(n=30,015)、毎月いくらまで使ってよいかを把握していない人が55.7%(n=19,862)。お金を理由に我慢した経験がある人は72.0%で、金融資産1,000万円以上でも71.5%と、ほとんど差がありません。
資産があっても我慢は減っていないということです。収入が増えても消費が戻らない背景には、景気の見通しだけでなく、「いくらまでなら使ってよいのか分からない」という状態があると考えられます。
公的統計と自社調査を並べたCSVをダウンロード(品目別・資産帯別・出典付き)
賃金が上がれば消費が戻る、という想定は、家計に「増えた分をどう使うか」の設計があることを前提にしています。ところが実際には、8割が将来の生活費を計算しておらず、半数以上が毎月の上限額を把握していません。設計がないところに収入だけが増えると、行き先は貯蓄になります。
そして、それは後悔として蓄積していきます。1,000万円以上を貯めた層の44.4%が「使わなすぎた」と答えているのは、貯蓄が失敗だったという意味ではありません。使ってよい金額の線引きを持たないまま時間が過ぎたことへの後悔だと、当編集部は読んでいます。
必要なのは、節約でも消費喚起でもなく、「公的制度でいくら守れて、いくらまでなら使ってよいのか」を一度数字にすることだと考えます。
公的統計:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2026年6月分」(2026年8月7日公表)/厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026年6月分結果速報」(2026年8月4日公表)。https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html 内容は2026年8月8日時点で確認。
調査名:FP相談モニタープログラム「IKIGAI TOWN」 事前アンケート
調査主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)
調査方法:インターネット調査(スクリーニング全数集計)
調査対象・調査人数:「使わなすぎた/使いすぎた」の後悔は45〜65歳 n=25,018。「毎月いくら使ってよいか」「お金を理由に我慢した経験」は n=19,862。「将来の生活費の計算」は40〜59歳 n=30,015。設問により対象と実施回が異なります。
調査日:2026年1月期(2026年1月22日 記録)/2月期(2月2日 記録)/3月期(3月23日 記録)/4月期(4月6日 記録)/5月期(5月17日 記録)/6月期(6月28日 記録)/7月期(7月12日 記録)。実施時期は納品データのレコード日時に基づく。
初出発表日:「使わなすぎた」44.4%は2026年7月28日に公表済み(2026年7月28日リリース)。本リリースは公的統計との突き合わせとして再掲しています。
留意点:回答者はお金・資産形成への関心が高い層が中心で、国勢調査ベースの代表サンプルではありません。公的統計と自社調査は対象・手法が異なるため、合算や単一の数値化は行わず、並記にとどめています。構成比は小数第1位までを表示し、四捨五入のため合計が100%にならない場合があります。
本リリースの図表・数値・本文は、出典を明記いただければCC BY 4.0のもと、改変を含めて自由にご利用いただけます(事前連絡不要)。
▍記事本文(リード・小見出し付き・そのまま出稿可)
kiji-honbun.txt をダウンロード(見出し3案・調査概要・媒体別の切り口メモを同梱)
▍図表(1200px・出典クレジット焼き込み済み)
▍数値データ
公的統計+自社調査・出典付きCSV
▍見出し案
媒体記事用(40字):収入は実質+2.0%、消費は実質−3.3% 7か月連続減
SNS・タイトル用(60字):賃金は6か月連続で増えた。それでも消費は7か月連続で減った ── 資産1,000万円以上の44.4%が「使わなすぎた」と後悔
短尺(全角13字):収入増でも消費減
▍出典表記(コピペ用)
▍追加集計・取材
年代別・資産帯別・都道府県別の追加集計をご提供できます。support@ikigai.town(メールのみ)
本リリースの数値・図表・CSVデータは、クリエイティブ・コモンズ表示 4.0 国際ライセンス(CC BY 4.0)のもと、出典を明記すれば商用利用を含め自由に引用・転載・加工できます。
本リリースは家計に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・保険商品の推奨や、契約の勧誘を目的とするものではありません。また、個別の税額計算や税務判断を行うものでもなく、個別の税務に関するご相談は税理士または国税庁の窓口にご確認ください。景気動向の予測を示すものでもありません。
編集部より
相談の現場で「いくらまで使っていいですか」と聞かれることが増えました。この質問には、家計の全体像を並べないと答えられません。逆に言えば、並べれば答えられます。
今回の統計は、収入が増えた月にも消費が戻らなかったことを示しています。ただ、これを「不安だから使わない」と一言で片づけると、対策も「安心してください」という精神論になってしまいます。使ってよい額が分からないから使えない――そう捉えたほうが、やることははっきりします。まず一度、数字にすることです。
IKIGAI TOWN 編集長/塩飽 哲生