── 宿泊料は1.61倍、パック旅行費は1.36倍。それでも消費支出は年度平均からわずか+275円。帰省の上乗せは、夏休みで消える教育費と下がる光熱費にほぼ吸収されていた
ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部は、総務省統計局「家計調査 家計収支編」第6-1表の2025年8月分と2025年度平均を費目別に突き合わせました。お盆を含む8月は、宿泊料が2,803円から4,503円へ1.61倍、パック旅行費が1.36倍、外食が1.16倍に増えます。ところが消費支出の総額は313,702円から313,977円へ、+275円しか変わりません。増えた費目の合計+12,159円を、教育−3,949円、光熱・水道−3,105円、交通・通信−2,324円などの減少がほぼ相殺しているためです。帰省や旅行の費用は、家計の総額を押し上げているのではなく、夏休みで消える費目と入れ替わる形で捻出されていました。全費目のデータはCSVで公開し、出典明記のうえCC BY 4.0で自由に引用・転載できます。
明日から8月13日、お盆の中日に入ります。帰省の高速道路や新幹線が最も混み合う数日で、「お盆は出費がかさむ月」という実感を多くの方が持つ時期です。
その実感が家計の統計にどう表れているのかを、月次と年次の公表値を突き合わせて確かめました。結果は実感と食い違いました。総額は動かず、中身だけが入れ替わっていたためです。
総務省統計局「家計調査 家計収支編」第6-1表 2025年8月分(2025年10月7日公表)/2025年度平均
| 費目 | 2025年8月 | 2025年度平均 | 差 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 消費支出 | 313,977円 | 313,702円 | +275円 | 1.00 |
| 食料 | 94,516円 | 90,358円 | +4,158円 | 1.05 |
| 教養娯楽 | 35,038円 | 31,546円 | +3,492円 | 1.11 |
| その他の消費支出 | 57,535円 | 53,786円 | +3,749円 | 1.07 |
| 家具・家事用品 | 13,853円 | 13,093円 | +760円 | 1.06 |
| 住居 | 18,915円 | 18,944円 | −29円 | 1.00 |
| 保健医療 | 15,456円 | 16,175円 | −719円 | 0.96 |
| 被服及び履物 | 7,955円 | 9,713円 | −1,758円 | 0.82 |
| 交通・通信 | 42,342円 | 44,666円 | −2,324円 | 0.95 |
| 光熱・水道 | 20,989円 | 24,094円 | −3,105円 | 0.87 |
| 教育 | 7,378円 | 11,327円 | −3,949円 | 0.65 |
教育費の落ち込みが最大です。8月は授業料等が発生しない月で、年度平均の0.65倍まで下がります。光熱・水道も0.87倍で、冷房を使う月であるにもかかわらず年度平均を下回りました。灯油や都市ガスの使用が減ることに加え、料金の請求が使用月の翌月以降になるためと考えられます。
円/月・二人以上の世帯。赤系=増えた費目、青=減った費目
| 帰省・旅行に関わる内訳 | 2025年8月 | 2025年度平均 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 宿泊料 | 4,503円 | 2,803円 | 1.61 |
| パック旅行費 | 4,156円 | 3,057円 | 1.36 |
| 教養娯楽サービス | 22,335円 | 18,430円 | 1.21 |
| 飲料 | 6,793円 | 5,808円 | 1.17 |
| 外食 | 16,942円 | 14,621円 | 1.16 |
| 交通 | 6,535円 | 5,652円 | 1.16 |
宿泊料の1.61倍が最大の伸びです。ただし金額としては+1,700円で、教育費の減少(−3,949円)より小さい。帰省や旅行で使う実額は、家計全体から見れば教育費が空く分でおつりが来る規模だったことになります。
全費目のCSVをダウンロード(10大費目と帰省・旅行に関わる内訳の、8月・年度平均・差・倍率を収録)。
比較対象は2025年度平均(2025年4月〜2026年3月)で、季節調整はしていません。8月単月と年度平均を並べた差であり、8月固有の要因と年度内の変動が混ざっています。
また本集計は全国平均の1世帯あたりの金額です。帰省する世帯としない世帯の平均であるため、実際に帰省した世帯の宿泊料はこれより大きくなります。「帰省費用の相場」を示すものではありません。
「その他の消費支出」は10大費目の1つで、諸雑費・交際費・仕送り金などを含みます。本集計では10大費目の合計と消費支出の差から算出しています。
総額が動かないのに負担感があるのは、支出の形が変わるからだと考えられます。授業料や光熱費は口座から自動的に引き落とされ、意識に上りません。一方、宿泊代・高速代・外食代・手土産代は、その場で財布から出ていく現金やカード決済です。
同じ金額でも、引き落としで消える支出と、目の前で払う支出とでは、記憶への残り方が違います。8月に増えているのは支出の総額ではなく、「払った感覚」の総量だと言えます。
家計管理の観点では、この構造は使えます。8月は教育費が空く月なので、帰省の費用をその範囲に収められれば、年間の収支は崩れません。逆に、教育費が空いた分を意識せずに使い切ると、9月以降に授業料が戻ってきたときに苦しくなります。
集計名:お盆の月の家計 ── 2025年8月と2025年度平均の費目別比較(IKIGAI TOWN 編集部集計)
集計主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)
使用データ:総務省統計局「家計調査 家計収支編」第6-1表「用途分類による1世帯当たり1か月間の収入と支出及び対前年増減率」二人以上の世帯。2025年8月分は2025年10月7日公表、2025年度平均は同表の年度値。内容は2026年8月12日時点で確認。
集計方法:同一表番号の月次値と年度値を費目別に差分し、倍率を算出しました。「その他の消費支出」は、消費支出から他の9費目の合計を差し引いて求めています。親費目と内訳の整合が確認できた項目のみを掲載しました。
留意点:年度平均は2025年4月〜2026年3月の平均で、季節調整は行っていません。全国平均の1世帯あたりの金額であり、帰省した世帯に限った金額ではないため、帰省費用の相場を示すものではありません。金額はいずれも公表値であり、当社の独自調査ではありません。
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媒体記事用(40字):お盆でも家計の総額は増えず 中身が入れ替わる
SNS・タイトル用(60字):お盆の月、家計の総額は増えていなかった ── 宿泊料は1.61倍でも消費支出は+275円
短尺(全角13字):お盆の家計+275円
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編集部より
「お盆はお金が飛ぶ」という感覚は誰にでもあると思います。私自身もそうです。ですから統計を見て、消費支出が年度平均と275円しか違わなかったのは意外でした。
実際に起きているのは、教育費と光熱費が空いた枠に、帰省と旅行が入り込んでいるという入れ替わりでした。家計簿をつけている方なら「8月だけ費目の並びが違う」と感じているはずで、その感覚のほうが正確です。総額を見るより、どの費目が空いてどの費目が埋まったかを見るほうが、8月の家計は理解しやすいと思います。
IKIGAI TOWN 編集長/塩飽 哲生