PRESS RELEASE

発表日:

スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

授業料は制度が見る。家庭が積むのは月4.6万〜7.5万円

── 所得制限の撤廃で授業料の負担は下がる。残るのは通学関係費・教材費・部活動費・塾代で、いちばん重いのは入学の年だった

2026年4月、高等学校等就学支援金の所得制限が撤廃され、授業料の支給上限は公立118,800円・私立457,200円になりました。ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部が、文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」で高校でかかるお金の内訳を確認したところ、支援を受けたあとに家庭が払っていた授業料は、学習費総額の私立23.7%・公立7.6%でした(授業料の定価で置き直すと私立33.7%・公立17.7%)。授業料が消えても、私立で年900,091円、公立で年551,682円が残ります。月あたりでは私立約75,008円・公立約45,974円です。公立の学校教育費で最大の費目は通学関係費(交通費・制服・通学用品の合計)97,634円でした。なお本調査の「授業料」は就学支援金等による減免を差し引いた家庭の実負担額です(定価は公立118,800円、私立は平均約457,200円)。何にいくらかかるかが分かっていれば、前もって積むことができます。全数値はCSVで公開し、出典明記のうえCC BY 4.0で自由に引用・転載できます。

図1:授業料と、それ以外に残るお金(高等学校・全日制/年額)

文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」の学習費総額を、授業料とそれ以外に分けたもの

高校の学習費総額の内訳。公立は総額596,954円のうち授業料45,272円(7.6パーセント)で残り551,682円、私立は総額1,179,261円のうち授業料279,170円(23.7パーセント)で残り900,091円

本リリースの位置づけ(必ずお読みください)

1. 制度:所得制限が撤廃された

高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律(令和8年3月31日成立・4月1日施行)により、高等学校等就学支援金の所得制限の撤廃が行われました。年収に関わらず、高等学校等に通う生徒が支援の対象になります。

区分支給上限額(年額)
公立118,800円
私立(全日制)457,200円
私立(通信制)337,200円
新制度の対象外となる生徒
国籍・在留資格等の要件(定住者・家族滞在・外国人学校在籍など)
旧制度と同水準の支援
在校生・新入生で条件が異なります

出典:文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」(2026-08-22確認)。国立高校等についても実質無償とされています。新制度の対象外となるのは、国籍・在留資格等の要件(在留資格が定住者で日本への永住の意思がない、在留資格が家族滞在で日本の小・中学校を卒業していない、外国人学校に在籍しているなど)に該当する生徒で、日本国籍で通常の高校に通う生徒は在校生・新入生とも新制度の対象です。制度資料は上限額の水準について、公立の118,800円を「公立高校の授業料」、私立の457,200円を「私立高校の平均授業料を勘案した水準」と記しています。

支援されるのは授業料です。では、高校でかかるお金のうち授業料はどれくらいを占めるのでしょうか。

2. 支援の対象は授業料。家庭が用意するのは、その外側

文部科学省「子供の学習費調査」は、授業料だけでなく通学費・教材費・部活動費・修学旅行費、さらに塾などの学校外活動費まで含めた総額を調べています。令和5年度の高等学校(全日制)は次のとおりでした。

区分(年額)公立私立
学習費総額596,954円1,179,261円
うち学校教育費351,523円832,650円
うち学校外活動費(塾など)245,431円346,611円
うち授業料45,272円279,170円
授業料(減免後の実負担)が学習費総額に占める割合7.6%23.7%
(参考)授業料を定価で置き直した場合17.7%33.7%

出典:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」表1・表4-4(2026-08-22確認)。これらは平均値です。学校外活動費に含まれる学習塾費は「0円」の世帯が公立61.4%・私立62.4%(同調査 表8-2)で、支出している世帯としていない世帯の差が大きい費目です。

表の「授業料」は、就学支援金等による減免を差し引いたあとに家庭が実際に払った額です。旧制度には所得制限があったため、支援を満額受けた世帯と対象外だった世帯が混ざり、平均で公立45,272円・私立279,170円になっています。

2026年の改正では所得制限がなくなり、支給上限は公立118,800円・私立457,200円。制度資料はこの水準を「公立高校の授業料」「私立高校の平均授業料を勘案した水準」と説明しています。上限が授業料そのものの水準に置かれているため、授業料の負担は大きく下がります。

一方、授業料を除いた部分は就学支援金の対象外です。公立で年551,682円、私立で年900,091円、月あたりに直すと公立約45,974円、私立約75,008円。ここには塾などの学校外活動費が含まれるので、学校に払う分(学校教育費)だけに絞ると公立で年306,251円(月約25,521円)、私立で年553,480円(月約46,123円)になります。

ただし授業料以外がすべて自己負担というわけではありません。高校生等奨学給付金は「教科書費、教材費など、授業料以外の教育費を支援する返還不要の給付金」で、令和8年度から対象世帯が拡充されました。文部科学省のリーフレットは私立高校・全日制の目安として、住民税所得割が非課税の世帯に約15万円、年収270万円以上380万円未満に約5万円、380万円以上490万円未満に約4万円と示しています。就学支援金とは別に申し込みが必要で、都道府県によって実施状況が異なります

3. 公立でいちばん大きい費目は、通学関係費

学校教育費の内訳を見ると、公立で最も大きいのは授業料ではありません。なお本調査では、「通学関係費」は通学のための交通費・制服・通学用品費の合計部活動は「教科外活動費」(クラブ活動、学芸会・運動会・芸術鑑賞会等)に分類されています。

図2:高等学校(全日制)の費目別 年額

支援の対象は「授業料」だけで、それ以外の費目は制度の対象外です

高校の費目別年額。公立は通学関係費97,634円が授業料45,272円を上回り、学校外活動費は245,431円。私立は授業料279,170円が最大だが学校外活動費346,611円がそれを上回る
費目(年額)公立構成比私立構成比
授業料45,27212.9%279,17033.5%
通学関係費97,63427.8%136,79016.4%
図書・学用品・実習材料費等62,28417.7%73,3128.8%
学校納付金等35,63010.1%127,34615.3%
教科外活動費49,49914.1%63,4407.6%
修学旅行費等36,50010.4%62,7787.5%
入学金等18,0275.1%80,2909.6%
その他6,6771.9%9,5241.1%
学校教育費 計351,523100.0%832,650100.0%

単位:円。構成比は学校教育費に占める割合。出典:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」表4-4(2026-08-22確認)。網掛けは支援の対象となる費目。

公立の学校教育費で最大の費目は通学関係費 97,634円。次いで図書・学用品・実習材料費等が62,284円、部活動を含む教科外活動費が49,499円と続きます。授業料45,272円と教科外活動費49,499円を足した額(94,771円)よりも、通学関係費のほうが大きいという構成です。

ここで押さえておきたいのは出ていく時期です。通学関係費のうち交通費は毎月ですが、制服と通学用品は入学時にまとまって出ます。修学旅行費等36,500円、入学金等18,027円も、特定の時期に集中する支出です。

私立では授業料(減免後の実負担)が最大の費目ですが、それでも学校教育費の33.5%です。学校納付金等127,346円、通学関係費136,790円、入学金等80,290円が続きます。授業料の支援が広がったぶん、これらをどう積むかが家計の設計になります。

4. いちばん重いのは1年生 ── 3年間で均等にはかからない

同じ調査は学年別の学習費総額も出しています。3年間で均等にかかるわけではありません。

学習費総額(年額)公立私立
総額うち学校
教育費
うち塾など
学校外活動費
総額うち学校
教育費
うち塾など
学校外活動費
第1学年700,240505,049195,1911,392,7121,099,413293,299
第2学年580,958355,197225,7611,150,924769,651381,273
第3学年503,697184,497319,200977,725609,865367,860
1年→3年の増減-196,543-320,552+124,009-414,987-489,548+74,561

単位:円。学習費総額=学校教育費+学校外活動費(高校に学校給食費はありません)。学校外活動費には塾・予備校などの補助学習費が含まれます。出典:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」表2・表5(2026-08-22確認)。同調査は「公立のうち最も多いのは、高等学校(全日制)第1学年の約70万円」としています。3年平均は公立594,965円・私立1,173,787円。

いちばん重いのは第1学年です。3年平均でならして積むと、公立で105,275円、私立で218,925円足りません。逆に第3学年は平均より公立91,268円、私立196,062円少なくなります。

この総額には塾代も含まれています。3年生になると塾などの学校外活動費は増えます(公立+124,009円、私立+74,561円)。それでも総額が下がるのは、入学金・制服・通学用品がなくなって学校教育費が大きく減るためです(公立-320,552円、私立-489,548円)。差引で公立-196,543円、私立-414,987円の減少になります。塾代を除いたから1年生が重く見えるのではありません。含めたうえで、なお1年生が重いということです。

一方、学習費総額に含まれる学校外活動費は逆の動きをします。高校ではその大半が塾・予備校などの補助学習費です。

区分(年額)公立私立
学校外活動費245,431円346,611円
うち補助学習費(塾・予備校など)200,994円238,422円
うちその他の学校外活動費44,437円108,189円
(第1学年)学校外活動費195,191円293,299円
(第1学年)うち補助学習費140,247円169,414円
(第3学年)学校外活動費319,200円367,860円
(第3学年)うち補助学習費285,156円304,816円

出典:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」表5(2026-08-22確認)

公立高校の補助学習費は第1学年140,247円 → 第3学年285,156円と、3年間で約2倍になります。私立も第1学年169,414円 → 第3学年304,816円です。

それでも学習費総額が第1学年で最も多いのは、塾代の増加を、入学時費用がなくなる分が上回るためです。塾に通わせるかどうかは各家庭の判断で、学習塾費が0円の世帯は公立61.4%・私立62.4%あります。

つまり高校のお金は、3年間で均等にかかるのではありません。入学時に制服・入学金等がまとまって出て、3年生で塾代が膨らみます。塾に通わせるかどうかは各家庭の判断ですが、可能性があるなら1年生のうちから積んでおくほうが楽です

編集部より

昨日のリリースでは、消費者物価指数の「教育」が下がり、その主因が私立高校授業料の−73.2%であることを示しました。所得制限の撤廃で、これまで支援の外にいた世帯の負担は確実に減っています。

そのうえで、この記事でお伝えしたいのは「足りない」ということではありません。授業料という一番大きく見えていた項目を制度が引き受けたので、家計は残りに集中できるということです。そして残りの中身は、調査で細かく分かっています。

金額よりも大事なのはいつ出ていくかでした。調べる前は「3年生の塾代が重いのだろう」と考えていましたが、学年別の総額を見ると逆で、いちばん重いのは第1学年です(公立700,240円・私立1,392,712円)。塾代は3年生で増えますが、入学金・制服・通学用品がなくなる分がそれを上回ります。3年間ならして積むと、足りなくなるのは入学の年です。

逆に言えば、備える時期は高校入学より前にあります。月あたりに直せば公立で約45,974円、私立で約75,008円。ここから逆算すれば、いつ・いくら用意しておけばよいかは決められます。

なお本リリースの金額は制度改正前の令和5年度のものです。改正後の授業料がいくらになるかは、次回調査の公表を待つ必要があります。私たちが示したのは「授業料以外に何がいくらかかっているか」であって、改正後の授業料額の推計ではありません。

IKIGAI TOWN 編集長/

5. 調査概要

調査名:高校でかかるお金と就学支援金の対象範囲の整理(IKIGAI TOWN 編集部調べ)

調査主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

対象:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」の高等学校(全日制)に関する数値(表1・表4-4・表5)/高等学校等就学支援金の支給上限額。

出典:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査 調査結果の概要」(令和8年1月16日差替版)/同 調査票(令和7年度調査のもの。授業料の記入方法は同じ)同「高等学校等就学支援金・新制度の概要」同「就学支援金新制度対象外となる生徒等への支援」同「高校生等奨学給付金」同「高校生等への修学支援」(いずれも2026-08-22確認)

方法:公表値をそのまま転記しました。編集部が算出したのは、授業料が学習費総額・学校教育費に占める割合、授業料以外に残る額(学校外活動費を含む場合と、学校教育費のみの場合の両方)とその月あたり概算(年額÷12)だけです。公表値そのものに加工は加えていません。
本調査の「授業料」は就学支援金等による減免分を差し引いた家庭の実負担額です(調査票に「就学支援金等による減免分は除いた金額を記入すること 例:授業料額118,800円-高等学校就学支援金や学校独自等の減免額118,800円=記入額0円」と明記)。定価は公立118,800円、私立は平均約457,200円です。実負担である授業料と実費である他費目は性質が異なるため、両者の倍率は算出していません。

検算:学校教育費の費目別内訳の合計が学校教育費と一致すること(公立351,523円/私立832,650円)、学校教育費と学校外活動費の合計が学習費総額と一致すること(公立596,954円/私立1,179,261円)、学校外活動費の内訳(補助学習費+その他)が学校外活動費と一致することを確認しています。いずれか1つでも合わない場合は図表・CSVを生成しない仕組みにしています。

留意点:「子供の学習費調査」は隔年実施で、令和5年度が最新です(令和7年度調査は集計中で、公表は2026年12月頃の予定)。制度改正前の年度であり、本リリースは改正後の授業料額を推計するものではありません。個々の学校の授業料は支給上限を超えることがあります。新制度の対象外となるのは国籍・在留資格等の要件に該当する生徒で、所得によるものではありません。授業料以外の教育費には高校生等奨学給付金(令和8年度から対象世帯を拡充)があります。金額はすべて年額・生徒1人あたりで、全日制のみを対象としています。本リリースは制度の是非や十分性を評価するものではありません

文部科学省への事前確認:事前の内容確認は行っていません。記載内容に誤りがある場合はご連絡いただければ速やかに訂正します。

報道関係者向け「そのまま記事化パック」

記事化に必要な素材を、そのまま使える形で用意しています

本リリースの図表・数値・本文は、出典を明記いただければCC BY 4.0のもと、改変を含めて自由にご利用いただけます(事前連絡不要)。

▍記事本文(リード・小見出し付き・注記込みでご出稿ください)
kiji-honbun.txt をダウンロード(見出し3案・調査概要・媒体別の切り口メモを同梱)

▍図表(1200px・出典クレジット焼き込み済み)

▍数値データ(5表・費目別の実額と構成比・学年別の学校外活動費)
CSV をダウンロード

▍見出し案
媒体記事用(28字):授業料は制度が見る。家庭が積むのは月4.6万〜7.5万円
SNS・タイトル用(38字):高校でいちばん重いのは1年生。公立70万円・私立139万円で3年平均を上回る
短尺(13字・全角換算11.5字):重いのは高1、公立70万円

▍出典表記(コピペ用)

出典:<a href="https://ikigai.town/ja/press/2026-08-23/">IKIGAI TOWN 編集部調べ(文部科学省「子供の学習費調査」「高等学校等就学支援金」より)</a>

▍追加集計・取材
小中学校を含む学校種別の集計、学年別の内訳をご提供できます。support@ikigai.town(メールのみ)

本リリースの利用について

引用・転載(CC BY 4.0)

本リリースの数値・図表・CSVデータは、クリエイティブ・コモンズ表示 4.0 国際ライセンス(CC BY 4.0)のもと、出典を明記すれば商用利用を含め自由に引用・転載・加工できます。

出典:<a href="https://ikigai.town/ja/press/2026-08-23/">IKIGAI TOWN 編集部調べ(文部科学省「子供の学習費調査」「高等学校等就学支援金」より)</a>

数値・図表のみを引用される場合も、次の点を必ず併記してください。本調査の「授業料」は就学支援金等による減免分を差し引いた家庭の実負担額であり、定価は公立118,800円・私立は平均約457,200円であること/金額は令和5年度の調査値であり制度改正前の年度であること/改正後の授業料額を推計したものではないこと/個々の学校の授業料は支給上限を超えうること/金額はすべて年額・生徒1人あたり・全日制であること/制度の正式名称は「高等学校等就学支援金」であること。

本リリースは公表情報を調査時点で確認し整理したものであり、報道関係者向けの情報提供資料です。制度の是非や十分性を評価するものではありません。

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