PRESS RELEASE

発表日:

スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

傷病手当金は「給与の2/3」で終わらない

── 休職中も社会保険料の本人負担は止まらない。東京都・月給30万円の会社員(40代)で月45,000円が続き、手残りは月給の51.7%。それでも手残り額まで試算した人は10.0%だった

ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部は、協会けんぽ 令和8年度の保険料額表と、自社モニター調査(40〜59歳・n=30,015)を突き合わせました。傷病手当金の額は標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2ですが、休職中も健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金・厚生年金の本人負担は止まりません。保険料の免除規定があるのは育児休業等と産前産後休業だけで、傷病による休職にはありません(健康保険法第159条・第159条の3)。東京都・標準報酬月額30万円・40代のモデルケースでは、休職中も月45,000円(月給のちょうど15.00%)を払い続けるため、手残りは155,010円=月給の51.7%になります。一方、調査では「手残り額まで含めて家計のシミュレーションを行っている」は10.0%にとどまり、38.8%が「休職中の税金や社会保険料の負担を深く考慮していなかった」と答えました。集計データはCSVで公開し、出典明記のうえCC BY 4.0で自由に引用・転載できます。

なぜいま公開するのか

傷病手当金は「給与のおよそ3分の2が出る」と説明されることが多い制度です。この説明自体は正しいのですが、受け取った額がそのまま使えるわけではありません

2026年4月からは子ども・子育て支援金(0.23%)の徴収も始まり、休職中に払い続ける項目が1つ増えました。制度の変わり目にあたるため、実額で確かめました。

本リリースの立場

本リリースは制度の是非や、保険の要否・特定商品の優劣を論じるものではありません。「備えるべきだ」という主張もしていません。示しているのは、公表されている料率から計算できる実額と、その実額を試算した人がどれくらいいるかという事実の2つです。どう判断するかは個々の状況によります。

調査結果のポイント

  1. 傷病手当金は標準報酬月額の2/3。標準報酬月額30万円なら1日6,667円、30日分で200,010円です(月給の66.7%)。
  2. しかし休職中も社会保険料の本人負担は止まらない。保険料の免除規定は育児休業等と産前産後休業に限られ、傷病による休職には免除がありません(健康保険法第159条・第159条の3)。
  3. 東京都・40代のモデルケースで月45,000円。健康保険+介護保険17,205円、子ども・子育て支援金345円、厚生年金27,450円。合計は月給のちょうど15.00%にあたります。
  4. 手残りは155,010円=月給の51.7%。「2/3=66.7%」との差は15ポイントです。
  5. 住民税はこれとは別に続く。傷病手当金は非課税ですが(健康保険法第62条)、住民税は前年の所得に対して課税されるため、休職中も納付が続きます。
  6. 手残りまで試算しているのは10.0%。「休職中の税金や社会保険料の負担を深く考慮していなかった」が38.8%、「給与の2/3がそのまま使える資金になると想定していた」が11.3%でした。
  7. 試算しているかどうかは資産帯で4.3倍の差。「手残り額まで含めてシミュレーション済み」は、金融資産500万円未満で5.8%、3,000万円以上で24.8%です。
  8. 都道府県でも負担額が変わる。健康保険料率が最も高い佐賀県(10.55%)と最も低い新潟県(9.21%)では、同じ月給30万円でも本人負担が月2,010円違います。

1. 「2/3」から、休職中も止まらない社会保険料が引かれる

図1:月給30万円の会社員が休職したときの手残り

東京都・標準報酬月額30万円・40代(介護保険第2号被保険者)のモデルケース。協会けんぽ 令和8年度 保険料額表(東京支部)

休職前の月給30万円に対し、傷病手当金の月30日分は200,010円で月給の66.7%。ここから休職中も払い続ける社会保険料45,000円を引くと手残りは155,010円で月給の51.7%になる
項目金額(月)月給に対する割合
休職前の月給(標準報酬月額)300,000円100%
傷病手当金(1日6,667円 × 30日)200,010円66.7%(=2/3)
健康保険+介護保険(率11.47%の折半)−17,205円5.735%
子ども・子育て支援金(率0.23%の折半)−345円0.115%
厚生年金保険(率18.300%の折半)−27,450円9.150%
社会保険料 本人負担 合計−45,000円15.00%
社会保険料を引いた手残り155,010円51.7%

「2/3」と「手残り」の差は15ポイントあります。これは制度の不備ではなく、休職中も健康保険の被保険者であり続け、厚生年金の加入期間も積み上がっていることの裏返しです。保険料を払っているからこそ、傷病手当金そのものが支給されています。

この数字の読み方について

モデルケースは標準報酬月額が12か月とも30万円で一定、賞与なし、給与の支払いが全くない完全休職、暦月30日として計算しています。実際の傷病手当金は支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額の平均を用い、待期3日を除いた4日目から支給されます(支給期間は通算1年6か月)。健康保険料率は都道府県によって異なり、介護保険料は40〜64歳のみが対象です。保険料の納付方法(会社が立て替えて後日精算するか、本人が振り込むか)は勤務先により異なります。個々の金額は加入している健康保険組合や勤務先の規定によって変わります。

2. 傷病手当金は非課税だが、住民税の納付は続く

傷病手当金には所得税がかかりません。健康保険法第62条が「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない」と定めているためです。

一方で住民税は前年の所得に対して課税されるため、休職して収入が下がっても、前年の所得に基づく納付は続きます。給与天引き(特別徴収)ができなくなると、残額を自分で納める(普通徴収)形に切り替わるのが一般的です。金額は前年の所得によって変わるため、図1の45,000円には含めていません。

本リリースが扱う範囲

住民税の具体的な税額計算は個々の所得・控除によって決まり、本リリースはその計算や税務上の判断を行うものではありません。個別の税額については、お住まいの市区町村または税理士にご確認ください。ここで述べているのは「前年所得に対する課税なので、休職中も納付が続く」という制度の仕組みのみです。

3. 手残りまで試算しているのは10.0%

図2:休職したときの手残り額を、どこまで把握しているか

IKIGAI TOWN モニター調査 40〜59歳 n=30,015(単一回答)

休職中の税金や社会保険料の負担について深く考慮していなかったが38.8%、自営業等のため制度対象外または制度内容をよく理解していないが37.0%、給与の2/3がそのまま使える資金になると想定していたが11.3%、手残り額まで含めて家計のシミュレーションを行っているが10.0%、その他が2.9%
選択肢全体資産500万円未満3,000万円以上40代50代
休職中の税金や社会保険料の負担について、深く考慮していなかった38.8%39.9%36.9%37.1%39.8%
自営業等のため制度対象外、または制度内容をよく理解していない37.0%40.5%21.7%40.1%34.9%
給与の2/3がそのまま使える資金になると想定していた11.3%10.7%15.0%11.8%11.0%
手残り額まで含めて家計のシミュレーションを行っている10.0%5.8%24.8%8.7%10.9%
その他2.9%3.1%1.7%2.3%3.3%

手残りまで試算しているのは10人に1人です。最も多かったのは「休職中の税金や社会保険料の負担について、深く考慮していなかった」の38.8%でした。

試算しているかどうかは、資産帯で大きく分かれます。金融資産500万円未満では5.8%、3,000万円以上では24.8%と4.3倍の開きがありました。手元の資金が少ないほど、休職時の手残りを把握していない傾向が出ています。

また「自営業等のため制度対象外、または制度内容をよく理解していない」が37.0%を占めます。国民健康保険には傷病手当金の法定給付がありません(自治体による任意給付を除く)。この層にとっては、そもそも制度が適用されない点を押さえておく必要があります。

集計データのCSVをダウンロード(モデルケースの内訳、都道府県別47件の本人負担額、設問の全選択肢×資産帯4区分×年代2区分・n付き)。

4. 都道府県でも、休職中に払う額は変わる

協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに決まります。令和8年度は佐賀県の10.55%が最も高く、新潟県の9.21%が最も低い組み合わせです。同じ標準報酬月額30万円でも、休職中に払い続ける本人負担はこれだけ変わります。

都道府県健康保険料率本人負担率本人負担額(月)手残り
佐賀県(最も高い)10.55%15.350%46,050円153,960円
東京都9.85%15.000%45,000円155,010円
新潟県(最も低い)9.21%14.680%44,040円155,970円

差は月2,010円、支給期間の上限である1年6か月まで休職した場合は約3万6千円です。額としては大きくありませんが、休職中の手残りは住んでいる場所によっても変わるという点は、試算する際に押さえておく価値があります。47都道府県すべての数値はCSVに収録しています。

なお令和8年度は、引き上げた都道府県はなく、35府県が引き下げ、12県が据え置きでした。全国平均は9.9%です。

読み解き ── 「もらえる額」ではなく「使える額」

傷病手当金の説明は「給与の2/3」で終わることが多く、この説明自体は間違っていません。しかし家計が向き合うのは、振り込まれた額から社会保険料と住民税が出ていった後の残りです。

今回のモデルケースでは、その差が15ポイントありました。月給30万円の人にとっては月45,000円、1年6か月で81万円になります。

調査では、この差を試算している人は10.0%でした。本リリースが述べているのは「試算したか」であって、「保険に入るべきか」ではありません。試算した結果、いまの貯蓄で足りるという結論もあり得ます。

編集部より

相談の現場で「傷病手当金があるから大丈夫」という言葉をよく聞きます。制度としては確かにあります。ただ、そのあとに「そこから社会保険料が引かれるのはご存じですか」と尋ねると、多くの方が初めて気づかれます。

今回の調査で、その感覚が数字になりました。手残りまで試算しているのは10.0%です。制度の名前を知っていることと、自分の家計での金額を把握していることは別だということだと思います。

ご自身の標準報酬月額は、給与明細か、ねんきん定期便で確認できます。そこに都道府県の料率を当てはめれば、この記事と同じ計算が5分でできます。

IKIGAI TOWN 編集長/

調査概要

集計名:傷病手当金の手残り額と、休職中に続く社会保険料の実額(IKIGAI TOWN 編集部集計)

集計主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

公表資料:全国健康保険協会(協会けんぽ)「令和8年度保険料額表(東京支部)」および「令和8年度 都道府県毎の保険料率」(健康保険料率は令和8年3月分〜、子ども・子育て支援金率0.23%は令和8年4月分〜適用)。厚生年金保険料率18.300%は日本年金機構(平成29年9月分〜固定)。傷病手当金の算定式・支給期間は協会けんぽの公表内容による。いずれも2026年8月15日時点で確認。

参照条文:健康保険法第62条(租税その他の公課の禁止)、同第159条(育児休業等期間中の保険料の徴収の特例)、同第159条の3(産前産後休業期間中の保険料の徴収の特例)。e-Gov 法令検索にて条文を確認。

モデルケースの前提:東京都・標準報酬月額300,000円(協会けんぽ健保22等級/厚年19等級)・40代(介護保険第2号被保険者)・賞与なし・支給開始日以前12か月の標準報酬月額がすべて30万円・給与の支払いが全くない完全休職・暦月30日。傷病手当金の日額は「標準報酬月額の平均÷30×2/3」を1円未満四捨五入して6,667円としました。

自社調査:IKIGAI TOWN モニター調査。対象は40〜59歳、有効回答 n=30,015(2026年3月期・4月期・5月期を合算)。設問は「傷病手当金の手残り額のシミュレーション」(単一回答)。

留意点:モデルケースは上記の前提に基づく試算であり、実際の支給額・保険料は、加入している健康保険(協会けんぽ/健康保険組合/共済組合)、標準報酬月額、休職期間、勤務先の規定によって変わります。住民税は前年の所得・控除によって決まるため、本試算には含めていません。本リリースは個別の税額計算・保険料計算・税務相談を行うものではなく、制度の是非や保険の要否、特定商品の優劣を論じるものでもありません。自社調査はモニター調査であり、回答者はお金・資産形成への関心が高い層が中心で、国勢調査ベースの代表サンプルではありません。

報道関係者向け「そのまま記事化パック」

記事化に必要な素材を、そのまま使える形で用意しています

本リリースの図表・数値・本文は、出典を明記いただければCC BY 4.0のもと、改変を含めて自由にご利用いただけます(事前連絡不要)。

▍記事本文(リード・小見出し付き・そのまま出稿可)
kiji-honbun.txt をダウンロード(見出し3案・調査概要・媒体別の切り口メモを同梱)

▍図表(1200px・出典クレジット焼き込み済み)

▍数値データ(都道府県47件・資産帯別・年代別・n付き)
CSV をダウンロード

▍見出し案
媒体記事用(40字):傷病手当金の手残り51.7% 保険料は止まらず
SNS・タイトル用(60字):傷病手当金は「給与の2/3」で終わらない ── 休職中も社会保険料は止まらず、手残りは月給の51.7%
短尺(全角13字):休職の手残り51.7%

▍出典表記(コピペ用)

出典:<a href="https://ikigai.town/ja/press/2026-08-16/">IKIGAI TOWN 編集部集計(協会けんぽ 令和8年度保険料額表および自社モニター調査 n=30,015)</a>

▍追加集計・取材
47都道府県すべての本人負担額、年代別・資産帯別のクロス集計、設問文の全文をご提供できます。support@ikigai.town(メールのみ)

本リリースの利用について

引用・転載(CC BY 4.0)

本リリースの数値・図表・CSVデータは、クリエイティブ・コモンズ表示 4.0 国際ライセンス(CC BY 4.0)のもと、出典を明記すれば商用利用を含め自由に引用・転載・加工できます。

出典:<a href="https://ikigai.town/ja/press/2026-08-16/">IKIGAI TOWN 編集部集計(協会けんぽ 令和8年度保険料額表および自社モニター調査 n=30,015)</a>

本リリースは公表資料と自社調査に基づく情報提供を目的としたものであり、個別の税額計算・保険料計算・税務相談を行うものではありません。また保険の要否や特定商品の優劣を論じるものでもなく、特定の保険商品の推奨や契約の勧誘を目的とするものでもありません。ご自身の支給額・保険料は、加入している健康保険と勤務先にご確認ください。個別の税額については、お住まいの市区町村または税理士にご確認ください。

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