住宅ローン

60歳までに住宅ローンを完済すべき?
退職金・年金とのバランスで考える返済計画【2026】

公開日:2026年4月11日 更新日:2026年4月11日 執筆:IKIGAI TOWN 編集部

「住宅ローンは60歳までに完済すべき」という言葉を信じて、50代から繰上返済に励む方は少なくありません。しかし定年延長・再雇用が一般化し、65歳・70歳まで働くことが珍しくなくなった2026年の今、この「60歳完済神話」は本当に正しいのでしょうか。退職金・年金・老後資金・教育費のバランスから、あなたに合った完済時期の最適解を整理します。

「60歳完済」は本当に正解か

昔ながらの住宅ローンの考え方では、「定年までに住宅ローンを完済すること」が理想とされてきました。これは、定年後は収入が大きく下がるため、現役時代のうちに返済を終わらせておくべき、という考え方に基づいています。

しかし、2026年の今、この前提は大きく変わっています。

  • 高年齢者雇用安定法により、65歳までの雇用確保が義務化
  • 70歳までの就業機会確保の努力義務も始動
  • 年金受給開始の繰下げ(75歳まで)で受給額を増やせる選択肢
  • 住宅ローン金利が歴史的低水準で、繰上返済の機会費用が相対的に大きい

つまり、現役収入が得られる期間が長くなったことで、「60歳で無理に完済する」ことが家計にとってベストとは限らない時代になっているのです。

退職金で完済するという選択のリスク

「退職金が入ったらまとめて返済する」という計画を立てる方は多いですが、これには以下のような見落としやすいリスクがあります。

リスク 内容
退職金減額リスク 業績悪化・制度変更で想定額を下回る可能性。DC(企業型確定拠出年金)の場合は相場次第で変動
老後資金枯渇リスク 退職金の大部分をローン完済に使うと、医療費・介護費・生活費に充てる現金が不足する恐れ
機会費用リスク 退職金を低金利ローンの返済に使う代わりに、NISAなど非課税制度を活用する選択肢を放棄する
団信消失リスク 完済によって団信(死亡時の残債免除)がなくなり、生命保険を追加購入する必要が出る場合がある

Point

退職金は「老後の生活費のためのもの」と考えるのが基本です。ローン完済に使うのは、それでもなお十分な老後資金が残せる場合に限るべきです。最低でも退職金の半分は老後資金として残す、という目安を持っておくと安心です。

年金生活での返済は可能か

「定年後、年金だけでローンを返せるのか」という不安は多くの方が抱きます。結論から言えば、返済可能な水準は、年金月額の20%以下に返済額を抑えることが目安です。

世帯タイプ 年金月額(目安) 返済可能額(上限目安)
会社員+専業主婦 約22万円 月4〜5万円まで
共働き(会社員同士) 約28万円 月5〜6万円まで
自営業(国民年金のみ) 約13万円 月2万円程度まで(推奨は完済)

注意すべきは、年金生活になると生活費・医療費に加えて、固定資産税・マンションなら管理費修繕積立金などの住居関連コストも続く点です。「返済額だけ」で考えず、住居関連支出全体を年金の30%以下に収められるかを検討しましょう。

注意

2026年時点で支給されている年金額は、現役時代の標準報酬月額・加入期間によって大きく変動します。ねんきん定期便・ねんきんネットで自身の見込額を必ず確認したうえで計画を立てましょう。

完済時期別|4つの返済戦略

戦略A|60歳完済(従来型)

現役収入のうちに完済する安全重視型。退職後の家計は身軽になりますが、繰上返済の機会費用(NISA・iDeCoの非課税枠未活用など)に注意が必要です。教育費のピークを越え、老後資金の目処が立っている方向け。

戦略B|65歳完済(再雇用活用型)

65歳までの再雇用期間を活かして返済を続ける現実的な戦略。月々の返済額を抑えつつ、完済時期を5年延ばすことで繰上返済の原資を老後資金に回せます。多くの50代にとって、バランスのよい選択肢です。

戦略C|70歳完済(年金併用型)

年金受給開始後も少額の返済を続ける戦略。年金の一部と再雇用収入で返済が可能なら、手元流動性を厚く保てます。ただし、健康リスク・雇用継続リスクがあるため、生活防衛資金を厚めに確保しておく必要があります。

戦略D|売却・住み替えで返済終了

自宅を売却して、売却益でローンを完済する戦略。住み替え先をコンパクトな物件にすれば、手元に老後資金も残せます。都心部や駅近物件など、資産性の高い物件をお持ちの方に向いています。

あなたに合う完済時期は、家計の全体像から導けます。

退職金・年金・教育費・老後資金を1枚のライフプラン表にまとめれば、
「無理なく返せて老後資金も残る」ポイントが可視化できます。

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まとめ|完済時期の決め方ステップ

  • まず「ねんきんネット」で将来受け取れる年金額の見込みを確認する
  • 定年後も働く場合の再雇用収入を現実的に見積もる
  • 退職金の50%は老後資金として残す前提で、完済資金の上限を決める
  • 年金収入の20%以内に返済額が収まる水準を確認する
  • 完済時期を5年単位で複数パターン試算し、もっとも家計が安定する時期を選ぶ

「60歳完済」という数字にとらわれず、あなたの家計・働き方・資産のなかで、最も無理なく・機会費用も少ない完済時期を探すことが、50代の住宅ローン戦略の本質です。

※ 本記事は2026年4月時点の一般的な情報をもとに作成した解説記事であり、特定の金融商品・住宅ローン条件・投資判断を推奨するものではありません。実際の判断にあたっては、住宅ローンアドバイザー・社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーなど独立した専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

IKIGAI TOWN 編集長より

塩飽 哲生

塩飽 哲生(しわく てつお)

IKIGAI TOWN 編集長 / スペシャリスト・ドクターズ株式会社 代表取締役
東京大学工学部卒・同大学院修士課程修了。3男2女の父。

東京大学で5年間ヘルスケアを研究し、その後20年以上にわたり医療・ライフプラン分野で新規事業の立ち上げやM&Aに携わってきました。私たちIKIGAI TOWNが最も大切にしているのは、お客様が生涯を通じて「お金の不安」から解放され、自分らしいIKIGAIを追い続けられる状態をつくることです。記事を読んで「自分の場合はどうだろう?」と感じた方は、ぜひ無料のライフプラン診断で、ご自身の現在地を確かめてみてください。

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