個人事業主の年金戦略
国民年金基金・iDeCo・付加年金の組み合わせ【2026】
個人事業主の老後最大の課題は「2階部分」がないことです。会社員は厚生年金で月15万円前後の上乗せがありますが、個人事業主は国民年金のみだと月6.8万円程度。この差を埋めるために、付加年金・国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済をどう組み合わせるかが、引退後の生活水準を決めます。本記事では、年代別の優先順位と2025〜2026年の制度改正を踏まえた最適解を整理します。
この記事の結論
個人事業主は会社員より将来の年金が少なくなりがち。国民年金基金、付加年金、iDeCo、小規模企業共済を組み合わせて「自分年金」を作る戦略を、年代別の優先順位で整理します。
会社員と個人事業主の年金格差
令和7年度の年金額(満額)は次のとおりです。
- 会社員(厚生年金):基礎年金 約81万円/年 + 厚生年金 約180万円/年(年収500万円・40年勤務の場合)
- 個人事業主(国民年金のみ):基礎年金 約81万円/年
差額は年200万円超。これを埋めるには月17万円相当の自分年金が必要です。
付加年金(月400円)の費用対効果
付加年金は国民年金第1号被保険者(個人事業主など)が月400円を上乗せ納付すると、将来の年金が「200円×納付月数」分増える仕組みです。
40年(480か月)納付すると、追加負担19.2万円に対し、年金増額は年96,000円。2年で元が取れる圧倒的に有利な制度です。ただし国民年金基金とは併用不可なので注意。
国民年金基金 vs iDeCo
どちらも掛金は全額所得控除。違いは次のとおりです。
| 項目 | 国民年金基金 | iDeCo |
|---|---|---|
| 運用 | 共同運用(予定利率1.5%) | 自分で選択(投資信託・元本保証) |
| 受取 | 終身年金が選べる | 原則一時金または5〜20年確定年金 |
| 途中解約 | 不可 | 原則不可 |
| 受取開始 | 65歳 | 60〜75歳 |
| 上限 | 月68,000円(iDeCoと合算) | 同左 |
「長生きリスクに備えたい」なら国民年金基金(終身年金)、「自分で運用したい・受取の自由度を取りたい」ならiDeCoが向きます。
年代別・優先順位の組み立て方
20〜30代
- 国民年金の付加年金(月400円)→ 即元が取れる
- iDeCo(運用期間が長い=複利が効く)
- 小規模企業共済(資金繰り保険を兼ねる)
40〜50代
- 国民年金基金で終身年金枠を確保
- 小規模企業共済で退職金枠を満額に
- NISA併用で取り崩しの自由度を持つ
50代後半〜60代
新規加入よりも「出口戦略」が主役。共済金とiDeCoの一時金受取年をずらして、退職所得控除を最大限活用。
2025〜2026年の制度改正
2025年改正で議論されている主な論点は次のとおりです。
- iDeCo拠出可能年齢の上限を65歳→70歳に引き上げ(2027年施行予定)
- iDeCo一時金受取と退職所得控除の調整ルール(5年→10年への厳格化)
- 国民年金保険料の納付期間が40年→45年に延長される議論(2026年改定で結論)
受取年の戦略が制度改正で大きく変わるため、50代以降は2年に1回はFP・税理士と出口設計を見直すのが安全です。
※ 本記事は2026年4月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FPなど専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。