開業・税務

退職所得控除の使い方
iDeCo・共済の出口で税金を最小化する受取順序【2026】

事業の支出と家計を見える化し次の判断を整える場面
制度や節税だけでなく、事業と生活のキャッシュフローを同じ表で確認します。

iDeCo・小規模企業共済・退職金を一括受取するときに使える退職所得控除。

目次(14セクション)
  1. 退職所得控除とは — 事業主が知るべき基本
  2. 勤続年数別の控除額計算と早見表
  3. 19年ルールと5年ルール — 通算ルールの全体像
  4. 小規模企業共済の退職金と退職所得控除
  5. iDeCoとの併用 — 控除枠を最大化する受取順序
  6. 退職金の受け取り方 — 一括 vs 年金の税額比較
  7. 確定申告の手順と必要書類チェックリスト
  8. 法人成り(法人化)した場合の退職所得控除
  9. 事業廃止・廃業時の退職金と控除の取扱い
  10. 2026年税制改正の影響と今後の動向
  11. 退職金受取シミュレーション — 3パターンで比較
  12. 事業主のための退職所得 節税テクニック7選
  13. 退職所得控除の注意点と落とし穴
  14. よくある質問(FAQ)

退職所得控除とは — 事業主が知るべき基本

退職所得控除とは、退職金や退職一時金を受け取るときに、一定額を差し引いてから課税する仕組みです。会社員だけでなく、個人事業主・フリーランスが小規模企業共済やiDeCoから一時金を受け取る場合にも適用されます。

退職所得の計算式

退職所得の金額は、以下の計算式で求めます。

退職所得の計算式

退職所得 =(退職金の収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2

※勤続年数5年以下の役員等の場合は1/2課税の適用なし。2022年以降、勤続5年以下の従業員も300万円超部分は1/2適用なし。

退職所得は分離課税です。事業所得や給与所得とは合算されないため、累進課税の影響を受けにくく、手取りが大幅に有利になります。

事業主にとっての退職所得控除の意味

会社員であれば退職金制度は会社が用意しますが、個人事業主・フリーランスには自分で「退職金」を用意する必要があります。その手段が以下の3つです。

  • 小規模企業共済 — 中小機構が運営する事業主の退職金制度。掛金は全額所得控除、受取時は退職所得控除の対象
  • iDeCo(個人型確定拠出年金) — 掛金は全額小規模企業共済等掛金控除、一時金受取時は退職所得控除の対象
  • 法人化後の役員退職金 — 法人成りした場合に法人から支給する退職金。法人側は損金算入、個人側は退職所得控除の対象

これら3つの制度を組み合わせて活用できるかどうかが、事業主の老後の手取り額を大きく左右します。

勤続年数別の控除額計算と早見表

退職所得控除額は、勤続年数(加入年数)によって計算方法が異なります。

控除額の計算ルール

  • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
  • 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

勤続年数の端数は1年に切り上げます。たとえば15年3ヶ月の場合は16年として計算します。

退職所得控除額 早見表

勤続/加入年数退職所得控除額控除内で受け取れる退職金(税額0円)
5年200万円200万円まで非課税
10年400万円400万円まで非課税
15年600万円600万円まで非課税
20年800万円800万円まで非課税
25年1,150万円1,150万円まで非課税
30年1,500万円1,500万円まで非課税
35年1,850万円1,850万円まで非課税
40年2,200万円2,200万円まで非課税

計算例:加入25年で退職金1,500万円を受け取る場合

計算例

退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 ×(25年 − 20年)= 1,150万円

退職所得 =(1,500万円 − 1,150万円)× 1/2 = 175万円

所得税 = 175万円 × 5% = 87,500円

住民税 = 175万円 × 10% = 175,000円

合計税額 = 約262,500円(実効税率 約1.75%)

同じ1,500万円を事業所得として受け取ると、所得税・住民税・事業税で約450万円以上の課税になります。退職所得控除がいかに有利かがわかります。

19年ルールと5年ルール — 通算ルールの全体像

事業主にとって最も重要なのが、複数の退職一時金を受け取るときの「通算ルール」です。同じ年、または近接する年に複数の退職一時金を受け取ると、退職所得控除が「重複期間を除いた合算年数」で計算されます。

5年ルール(iDeCo → 他の退職金)

iDeCo一時金を先に受け取り、翌年以降5年を超えてから他の退職金を受け取れば、退職所得控除はリセットされてフルに使えます。

  • iDeCoを先、退職金を後 → 5年超空ければ控除リセット
  • 退職金を先、iDeCoを後 → 20年超空けないとリセットされない

この「順序」が極めて重要です。必ずiDeCoを先に受け取るのが鉄則です。

19年ルール(小規模企業共済 → 退職金)

小規模企業共済の共済金を受け取った翌年以降19年以内に退職金を受け取ると、重複する加入期間分だけ退職所得控除が縮みます。

最適な受取順序チャート

年齢受け取る制度控除の状態
60歳iDeCo一時金iDeCo加入年数でフル控除
65歳小規模企業共済(共済金A)加入年数でフル控除(iDeCoから5年超経過)
70歳役員退職金(法人の場合)勤続年数でフル控除(共済から5年超経過)

Point

多くの事業主にとって最強の組み合わせは「60歳でiDeCo一時金 → 65歳で小規模企業共済 → 70歳で役員退職金」のように5年以上空けて分散すること。控除を最大3回フルに使えます。

同じ年に受け取ってしまうとどうなるか

たとえばiDeCoと小規模企業共済を同じ年に一時金で受け取ると、加入期間が重複している部分は1回分しか退職所得控除が使えません。仮にどちらも20年加入で完全に重複していれば、控除額は800万円×2回ではなく800万円×1回分です。

小規模企業共済の退職金と退職所得控除

小規模企業共済は、個人事業主や中小企業の経営者が加入できる退職金制度です。中小機構が運営し、掛金は月額1,000円〜70,000円(500円刻み)、全額が所得控除の対象になります。

共済金の種類と退職所得控除の関係

共済金の種類受取事由税務上の扱い
共済金A廃業・死亡退職所得(一括)/ 雑所得(分割)
共済金B65歳以上かつ加入15年以上退職所得(一括)/ 雑所得(分割)
準共済金法人成りで未加入退職所得(一括)
解約手当金任意解約一時所得 ※退職所得控除は使えない

注意

任意解約(解約手当金)は退職所得ではなく「一時所得」扱いです。退職所得控除が使えないため、税負担が大幅に増えます。加入20年未満の解約は元本割れにもなるため、安易な解約は避けるべきです。

掛金の所得控除と受取時の退職所得控除 — ダブルの節税効果

小規模企業共済は「入口」と「出口」の両方で税制優遇があります。

  • 入口(掛金拠出時):掛金の全額が所得控除 → 所得税・住民税が軽減
  • 出口(受取時):一括受取なら退職所得控除 → 控除内であれば非課税

計算例:月額7万円を30年間掛けた場合

計算例

掛金総額 = 7万円 × 12ヶ月 × 30年 = 2,520万円

共済金A受取額 = 約2,960万円(付加共済金を含む概算)

退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 ×(30年 − 20年)= 1,500万円

退職所得 =(2,960万円 − 1,500万円)× 1/2 = 730万円

所得税 = 730万円 × 23% − 636,000円 = 約103万円

住民税 = 730万円 × 10% = 73万円

合計税額 = 約176万円(実効税率 約5.9%)

30年間の掛金控除による節税効果(所得税率20%の場合)は約504万円、さらに受取時の税額が176万円で済むため、合計で数百万円のメリットがあります。

iDeCoとの併用 — 控除枠を最大化する受取順序

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、個人事業主の場合、月額68,000円(年額816,000円)まで掛金を拠出でき、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象です。一時金として受け取る場合は退職所得控除が適用されます。

小規模企業共済とiDeCoの比較

項目小規模企業共済iDeCo
掛金上限(月額)70,000円68,000円(第1号被保険者)
所得控除の種類小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済等掛金控除
運用中小機構が運用(予定利率1.0%)自分で運用商品を選択
一時金受取退職所得退職所得
分割受取雑所得(公的年金等控除)雑所得(公的年金等控除)
受取開始年齢事由発生時(廃業等)/ 65歳60〜75歳(加入10年以上で60歳)
貸付制度あり(掛金の7〜9割)なし
中途解約可(20年未満は元本割れの可能性)原則不可(60歳まで引出不可)

両方の控除枠をフルに使う設計

iDeCoと小規模企業共済の両方に加入している事業主が最も効率よく控除を使うには、以下の順序で受け取ります。

  1. 60歳:iDeCo一時金を受け取る(加入年数分の退職所得控除をフル活用)
  2. 65歳以降:小規模企業共済の共済金Bを一括受取(iDeCoから5年超経過しているため、加入年数分の退職所得控除をフル活用)

この5年間隔を守ることで、控除を2回分フルに使えます。

併用時の掛金上限

個人事業主の場合、小規模企業共済の掛金(最大月7万円)とiDeCoの掛金(最大月68,000円)は別枠です。合計で月額最大138,000円(年額約165万円)を全額所得控除にできます。

退職金の受け取り方 — 一括 vs 年金の税額比較

小規模企業共済もiDeCoも、受取方法は「一括(一時金)」「分割(年金)」「併用」の3パターンがあります。どちらが有利かは、他の所得や年金額によって変わります。

一括受取のメリット・デメリット

  • メリット:退職所得控除+1/2課税+分離課税の三重優遇。控除内なら税額ゼロ
  • メリット:社会保険料(国民健康保険・介護保険)の算定対象にならない
  • デメリット:一度に大きな金額を受け取るため、資産管理が必要

分割受取のメリット・デメリット

  • メリット:毎年少額ずつ受け取れるため計画的に使える
  • デメリット:雑所得として総合課税。公的年金と合算されるため税率が上がりやすい
  • デメリット:国民健康保険料・介護保険料の算定対象になる

税額シミュレーション比較(受取総額2,000万円の場合)

項目一括受取分割受取(10年)
受取総額2,000万円2,000万円(年200万円×10年)
適用控除退職所得控除1,500万円(30年加入)公的年金等控除(65歳以上:年110万円)
課税所得(2,000万−1,500万)×1/2=250万円年90万円×10年=900万円(累計)
所得税・住民税(概算)約37万円約135万円(年13.5万円×10年)
社会保険料への影響なし国保・介護保険料が年5〜10万円増加
合計負担約37万円約185〜235万円

Point

退職所得控除の枠内に収まる場合は一括受取が圧倒的に有利です。控除枠を超える部分が大きい場合は、一括と分割の併用で税額と社会保険料のバランスを取る方法もあります。

確定申告の手順と必要書類チェックリスト

退職一時金を受け取った場合の税務手続きは、受取元によって異なります。

「退職所得の受給に関する申告書」の提出

退職金の支払者に対して「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、源泉徴収で課税が完結し、原則として確定申告は不要です。提出しなかった場合は、退職金の全額に対して20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算する必要があります。

確定申告が必要になるケース

  • 同じ年に複数の退職一時金を受け取った場合
  • 「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合
  • 退職金以外の所得と損益通算したい場合
  • 住宅ローン控除など他の税額控除を適用したい場合

必要書類チェックリスト

確定申告に必要な書類

  • ☑ 確定申告書(第一表・第三表=分離課税用)
  • ☑ 退職所得の源泉徴収票(支払者から交付)
  • ☑ 小規模企業共済の支払通知書(中小機構から郵送)
  • ☑ iDeCoの一時金支払通知書(運営管理機関から郵送)
  • ☑ マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類
  • ☑ 銀行口座情報(還付先)
  • ☑ 過去の退職所得の受給に関する申告書の控え(複数回受取の場合)

申告期限と注意点

確定申告の期限は、退職金を受け取った年の翌年2月16日〜3月15日です。還付申告であれば翌年1月1日から提出可能です。

複数の退職一時金を異なる年に受け取る計画の場合は、各年で「前年以前に受け取った退職手当等」の情報が必要になります。過去の申告書・源泉徴収票は必ず保管しておいてください。

法人成り(法人化)した場合の退職所得控除

個人事業主が法人成り(法人化)すると、退職所得控除の取扱いが変わります。法人からの役員退職金が使えるようになる一方、注意すべきポイントもあります。

個人事業の期間は勤続年数に含まれるか

原則として、個人事業主の時代の年数は法人の役員としての勤続年数には含まれません。法人成りした時点から役員としての勤続年数がスタートします。

ただし、小規模企業共済は法人成り後も引き続き加入できるため、個人事業時代からの通算加入年数で退職所得控除が計算されます。

法人成り後の退職金設計

制度法人成り後の取扱い勤続/加入年数
小規模企業共済引き続き加入可(役員として)個人事業時代から通算
iDeCo企業型DCがなければ継続加入可加入年数は通算
役員退職金法人成り後の勤続年数で計算法人設立日からカウント
経営セーフティ共済法人に引き継ぎ可退職所得控除の対象外(解約手当金は法人の益金)

役員退職金の適正額

法人から役員に退職金を支払う場合、税務上「不相当に高額」と判定されると損金算入が否認されます。一般的な算定式は以下のとおりです。

功績倍率方式

役員退職金 = 最終月額報酬 × 勤続年数 × 功績倍率

功績倍率の目安:代表取締役 3.0倍、取締役 2.0〜2.5倍、監査役 2.0倍

例)月額報酬50万円 × 勤続20年 × 3.0倍 = 3,000万円

事業廃止・廃業時の退職金と控除の取扱い

個人事業を廃止(廃業)した場合、小規模企業共済は「共済金A」として受け取れます。これは最も有利な受取区分です。

廃業事由別の共済金区分

廃業の事由共済金区分税務上の扱い
事業の廃止(届出済み)共済金A退職所得(一括)/ 雑所得(分割)
死亡共済金A相続税の対象(みなし相続財産)
法人成りで加入資格喪失準共済金退職所得(一括)
65歳以上+加入15年以上共済金B退職所得(一括)/ 雑所得(分割)
任意解約解約手当金一時所得

廃業時のiDeCoの取扱い

iDeCoは事業の廃止とは無関係に、60歳以降に受給を開始します。廃業して国民年金の第1号被保険者のままであれば掛金拠出を継続でき、再就職して厚生年金に加入すれば企業型DCへの移換も検討対象になります。

事業廃止届と退職所得の関係

小規模企業共済で共済金Aを請求するには、税務署への「個人事業の廃業等届出書」の提出が必要です。届出書のコピーを中小機構に提出して共済金を請求します。

廃業後に再び開業した場合でも、過去に受け取った共済金に対する退職所得控除の年数が通算ルールに影響する点に注意してください。

2026年税制改正の影響と今後の動向

退職所得控除をめぐる税制は近年大きな議論の対象になっています。事業主は今後の改正動向を把握し、受取タイミングの計画を調整する必要があります。

2022年改正(勤続5年以下ルール)

2022年分の所得税から、勤続年数5年以下の従業員の退職金のうち、退職所得控除額を差し引いた残額の300万円超部分は1/2課税が適用されなくなりました。なお、役員等はもともと1/2課税の適用がありません。

議論されている改正の方向性

政府税制調査会では、退職所得控除の「勤続20年超で1年あたり70万円に増額」の部分が長期勤続を優遇しすぎるとの議論があります。以下のような改正案が検討されてきました。

  • 勤続年数にかかわらず一律40万円/年とする案
  • 控除上限額を設ける案
  • 1/2課税を見直す案

2026年時点の状況

2026年度税制改正大綱では、退職所得控除の見直しは見送りとなりました。ただし「引き続き検討する」との記載があり、2027年度以降の改正で変更される可能性は残っています。事業主は現行制度が有利なうちに受取計画を固めることが重要です。

事業主が今やるべきこと

  1. 現行の退職所得控除制度が続くうちに、iDeCo・小規模企業共済の加入年数を積み上げる
  2. 受取年齢・順序のシミュレーションを行い、制度が変わっても対応できるプランBを用意する
  3. 税制改正の情報を定期的にチェックし、受取タイミングの前倒し・後ろ倒しを柔軟に判断する

退職金受取シミュレーション — 3パターンで比較

実際の事業主を想定した3パターンで、受取方法と税額を比較します。

パターンA:個人事業主(55歳・加入20年)が60歳で全額一括受取

項目小規模企業共済iDeCo合計
加入年数25年25年
受取額1,800万円1,200万円3,000万円
退職所得控除通算25年 → 1,150万円(重複分は1回のみ)1,150万円
退職所得(3,000万−1,150万)×1/2925万円
所得税+住民税約234万円

パターンB:同条件で5年ずらして受取

項目60歳 iDeCo65歳 共済金B合計
加入年数25年30年
受取額1,200万円2,100万円3,300万円
退職所得控除1,150万円1,500万円2,650万円
退職所得(1,200万−1,150万)×1/2=25万(2,100万−1,500万)×1/2=300万325万円
所得税+住民税約3.7万円約49万円約52.7万円

パターンC:法人成りして役員退職金も使う(3段階受取)

項目60歳 iDeCo65歳 共済金B70歳 役員退職金合計
年数25年30年20年
受取額1,200万円2,100万円3,000万円6,300万円
退職所得控除1,150万円1,500万円800万円3,450万円
退職所得25万円300万円1,100万円1,425万円
所得税+住民税約3.7万円約49万円約282万円約335万円

比較まとめ

同じ3,000万円でも、同時受取(パターンA)は税額約234万円、5年ずらし(パターンB)は約52.7万円と、約180万円の差が出ます。さらに法人成りで役員退職金を加えると、総額6,300万円を合計約335万円の税負担で受け取れます。

事業主のための退職所得 節税テクニック7選

退職所得控除を最大限に活用するための実務テクニックをまとめます。

1. iDeCoは早く始めて加入年数を稼ぐ

退職所得控除は加入年数で決まるため、1年でも早くiDeCoに加入することが最大の節税策です。仮に30歳から始めれば60歳時点で30年分(1,500万円)の控除枠が使えます。

2. 受取順序は「iDeCo → 共済 → 退職金」を厳守する

5年ルールを活かすには、iDeCoを最初に受け取るのが鉄則です。順序を間違えると控除のリセットに20年かかり、取り返しがつきません。

3. 受取年を5年以上空けて控除を複数回使う

iDeCoと小規模企業共済の受取年を5年以上空けることで、それぞれの加入年数でフルに退職所得控除を使えます。

4. 小規模企業共済は「共済金A」か「共済金B」で受け取る

任意解約(解約手当金)は一時所得扱いで退職所得控除が使えません。廃業または65歳+15年以上加入の条件を満たして受け取るのが有利です。

5. 控除枠を超える部分は分割受取を検討する

退職所得控除額を大幅に超える受取額がある場合、超過分は分割受取にして公的年金等控除を使う「併用プラン」が有効です。ただし社会保険料への影響も加味して判断してください。

6. 法人成りで「役員退職金」という3つ目の枠を作る

個人事業から法人化することで、小規模企業共済・iDeCoに加えて役員退職金の退職所得控除枠を確保できます。法人の損金算入メリットもあります。

7. 経営セーフティ共済は退職所得控除と別枠で活用する

倒産防止共済(経営セーフティ共済)の解約手当金は退職所得ではなく事業所得(法人は益金)です。退職所得控除とは無関係のため、退職金プランとは独立して活用できます。解約タイミングは事業所得が低い年に合わせるのが有利です。

退職所得控除の注意点と落とし穴

退職所得控除は非常に有利な制度ですが、知らないと損する落とし穴もあります。

落とし穴1:任意解約は退職所得にならない

小規模企業共済を途中で任意解約すると「解約手当金」として一時所得扱いになり、退職所得控除は使えません。特に加入20年未満の解約は元本割れするうえ、税負担も重くなります。

落とし穴2:受取順序を間違えると控除リセットに20年

退職金を先に受け取り、後からiDeCo一時金を受け取る「逆順」にすると、控除のリセットに20年超かかります。60歳で退職金を受け取ると80歳まで控除がリセットされない計算です。

落とし穴3:勤続5年以下の短期退職手当等

2022年以降、勤続5年以下の従業員は退職所得控除額を差し引いた残額の300万円超部分について1/2課税が適用されません。法人成りして間もない場合は要注意です。

落とし穴4:分割受取と国民健康保険料の関係

分割受取は雑所得として国民健康保険料の算定基礎に含まれます。年間の受取額が大きいと保険料が上限に達し、年間100万円近い保険料負担になることもあります。

落とし穴5:死亡退職金はみなし相続財産

加入者が死亡した場合の共済金は「みなし相続財産」として相続税の対象になります。退職所得控除は適用されませんが、「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があります。

よくある質問(FAQ)

個人事業主でも退職所得控除は使えますか?
はい、使えます。個人事業主本人は会社からの退職金はありませんが、小規模企業共済の共済金(一括受取)やiDeCoの一時金は退職所得として扱われ、退職所得控除の対象になります。
小規模企業共済とiDeCoは同時に加入できますか?
はい、同時に加入できます。個人事業主(第1号被保険者)の場合、小規模企業共済は月額最大7万円、iDeCoは月額最大68,000円で、掛金の所得控除も別枠です。両方をフル活用することで年間約165万円を所得控除にできます。
退職所得控除の勤続年数に端数がある場合はどうなりますか?
勤続年数の1年未満の端数は切り上げて1年として計算します。たとえば加入期間が22年4ヶ月の場合は23年として扱われ、控除額は800万円+70万円×3年=1,010万円になります。1日でも超えれば1年に切り上がるため、加入期間の端数は有利に働きます。
法人成りしたら小規模企業共済は解約しないといけませんか?
いいえ、法人成り後も小規模企業共済に継続加入できます。個人事業を廃止して法人の役員になった場合は、「個人事業の廃業に伴う届出」をしたうえで役員として加入を継続できます。加入年数は個人事業時代から通算されるため、解約せずに継続するのが有利です。
退職所得控除を使うのに確定申告は必要ですか?
退職金の支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、源泉徴収で課税が完結するため、原則として確定申告は不要です。ただし、同じ年に複数の退職一時金を受け取った場合や、申告書を提出しなかった場合は確定申告が必要になります。
2026年以降に退職所得控除の制度が変わる可能性はありますか?
2026年度税制改正大綱では退職所得控除の見直しは見送られましたが、政府税制調査会は「勤続20年超の優遇措置」について引き続き検討する姿勢を示しています。特に勤続年数に応じた控除額の段差(20年以下は40万円/年、20年超は70万円/年)を一律化する案が議論されています。制度改正の可能性がある以上、現行制度が有利なうちに受取計画を立てておくことを推奨します。

事業のお金を調べたあとに

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事業と家計の固定費を確認する場面
資金繰り 売上だけでなく、毎月出ていくお金を先に整える。
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  1. STEP1. 予約

    希望日時を選んで、無料相談を予約します(Google Meet 30分から)。

  2. STEP2. 事業資金と生活費を分けて確認

    売上、固定費、税金、生活費、家族の支出を確認します。

  3. STEP3. 資金繰りと制度活用を整理

    補助金、融資、税金、社会保険、生活防衛資金を同じ表に置きます。

  4. STEP4. 事業と暮らしが崩れない家計を整理

    助成金、家族の生活費、将来資金を残す順番を決めます。

相談を担当するFP

ファイナンシャルプランナー 左右木 伸也

左右木 伸也 (そうき しんや)

FP1級、CFP®、証券外務員1種、相続診断士ライフプラン全般、家計最適化、相続

最上位資格を持つFPとして、家計に関するあらゆるご相談をトータルでサポートいたします。 事業資金・生活費・固定費を同じ表に置いて整理します。

左右木FPと、使っていいお金を見える化して、お金の悩みを楽にする家計の整理をする

Google Meet 30分から / 何度でも無料 / 営業電話なし

安心してご相談いただくために

なぜ無料なの?

金融機関からの契約手数料で運営しております。お客さまには相談に関する料金負担が一切ございませんので安心してご相談ください。

  • すべてウェブ相談です。パソコン・スマホから、全国どこでもご相談いただけます(来店不要)。
  • 気軽にご相談ください。ちょっとした悩みを話して聞いてもらうだけでもOKです。

「相談しようと思っていた時に、いいきっかけだった」という声もよくいただきます。

ここまで読んだあとに

事業のお金を見たあと、暮らしまで我慢だけにしない3つの体験

事業主は、忙しさと資金繰りで家族の楽しみを後回しにしがちです。事業資金と生活費を分け、休む日や外食の余白も守ります。

一人で休息する時間
仕事から離れる半日資金繰りを見える化し、休むことを後ろめたくしない。
家族や夫婦で外食する時間
家族との外食事業の波があっても、暮らしの楽しみを全部削らない。
家族旅行の思い出を残す体験
短くても行ける旅行繁忙期と資金繰りを見て、行けるタイミングを家計に残す。
IKIGAI TOWN相談者がかなえる「ささやかな贅沢」一覧を見る

事業も暮らしも、我慢だけにしない

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最終確認日:2026年5月15日

※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

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