退職所得控除の使い方
iDeCo・共済の出口で税金を最小化する受取順序【2026】
退職所得控除は、iDeCo・小規模企業共済・退職金を一括で受取るときに使える、税負担を劇的に下げる枠です。ただし「19年ルール」「5年ルール(2026年改正で10年化議論中)」と呼ばれる通算ルールがあり、受取年を間違えると控除が共有されて手取りが大きく減ります。本記事では、控除の計算式・通算ルール・受取順序の最適解を、事業主の出口設計目線で整理します。
この記事の結論
iDeCo・小規模企業共済・退職金を一括受取するときに使える退職所得控除。年数の通算ルール(5年・19年ルール)、受取年をずらす設計、2026年改正の影響を、事業主目線で整理します。
退職所得控除の計算式
退職所得控除は勤続年数(または加入年数)に応じて次のように計算します。
- 20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
- 20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
| 勤続/加入年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 10年 | 400万円 |
| 20年 | 800万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
| 40年 | 2,200万円 |
退職所得=(受取額 − 退職所得控除)× 1/2。さらに分離課税で他の所得と合算されないため、控除内に収まればほぼ無税で受け取れます。
19年ルールと5年ルール
同じ年または近接する年に複数の退職一時金を受取ると、退職所得控除は「重複期間を除いた合算年数」で計算されます。これが通算ルールです。
- 19年ルール(小規模企業共済 → 退職金):共済金を受取った年の翌年以降19年以内に退職金を受取ると、加入期間が重複した分だけ控除が縮みます
- 5年ルール(iDeCo → 退職金):iDeCo一時金を先に受取り、5年経過後に退職金を受取れば控除はリセット。逆順だと20年
Point
多くの事業主にとって最強の組み合わせは「60歳でiDeCo一時金 → 65歳で小規模企業共済 → 70歳で役員退職金」のように5年以上空けて分散すること。控除を3回フルに使えます。
iDeCo・共済・退職金の受取順序
パターンA:iDeCo(60歳)→ 共済(65歳)→ 役員退職金(70歳)
5年・5年と空けることで、各受取で控除を独立適用。最も税負担が小さい王道。
パターンB:iDeCo(60歳)と共済(60歳)を同時受取
合算した受取額に対して、勤続年数の長い方の控除のみ適用。重複期間分は控除が圧縮されるため、税負担が増えます。
パターンC:iDeCo分割+共済一括
iDeCoを公的年金等控除(雑所得)で受け、共済を一括(退職所得)で受ける。所得分散と控除フル活用が両立できます。
一括 vs 分割(公的年金等)の比較
受取総額が大きく退職所得控除を超える場合、超過分を分割(公的年金等の雑所得)で受取ると、公的年金等控除(65歳以上は最低110万円)が使えます。
判断基準は「退職所得控除を超える額が、何年で受取れば公的年金等控除内に収まるか」。シミュレーションは中小機構や金融機関のツール、税理士に依頼するのが確実です。
2026年改正の論点
2024〜2026年の税制改正で議論されている論点は次のとおりです。
- iDeCo一時金と退職金の通算ルールを「5年」→「10年」に厳格化(先取りメリットの縮小)
- 退職所得控除の「20年超で1年あたり70万円」を「一律40万円」に統一する案(中長期)
改正されると現行の出口設計が成り立たなくなる可能性があるため、50代後半の方は最新情報のキャッチアップを欠かさないようにしてください。