住み替え・リバースモーゲージ・リースバック徹底比較
【2026】60代の住宅出口戦略
60代を迎えて「子どもが独立して部屋が余っている」「住宅ローンがまだ残っている」「老後資金を確保したい」——そんな時に選択肢になるのが、住み替え・リバースモーゲージ・リースバックの3つ。
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目次(14セクション)
3つの出口戦略を30秒で整理
- 住み替え:今の家を売却し、より小さい/安い家に買い替える
- リバースモーゲージ:自宅を担保にしてお金を借り、死亡時に自宅を処分して返済する
- リースバック:自宅を不動産会社に売却し、賃貸契約でそのまま住み続ける
共通するのは"自宅という資産を現金化する"という目的ですが、住み続けるか/引っ越すか/所有権を手放すかの組み合わせが異なります。
| 項目 | 住み替え | リバースモーゲージ | リースバック |
|---|---|---|---|
| 所有権 | 新居に移転 | 契約中は維持 | 売却で手放す |
| 住み続けるか | 引っ越す | 住み続ける | 住み続ける |
| まとまった現金 | 売却差額 | 融資で受取 | 売却代金 |
| 毎月の負担 | 新居のローンまたは家賃 | 利息のみ | リース料(家賃) |
| 相続への影響 | 新居を相続可 | 原則なし(売却で返済) | 原則なし |
| 主な対象年齢 | 全年齢 | 55歳以上が中心 | 全年齢 |
住み替え|ダウンサイジングの王道
子どもが独立して3LDK→2LDKへ、戸建て→駅近マンションへ、地方→子ども世帯の近くへ——こうしたダウンサイジング住み替えは、60代の住宅出口戦略として最も王道の選択肢です。
メリット
- 光熱費・固定資産税・管理費などのランニングコストが削減できる
- 階段のない物件に移ることでバリアフリー化が一気に進む
- 売却益でローン完済+余剰金を老後資金に充てられる
デメリット・注意点
- 売却と購入のタイミングがずれると"仮住まい費用"がかかる
- 住み替え先のエリアで人間関係をゼロから構築する負担
- 住み替えローン(買い先行)を組む場合、60代では審査が厳しい
- 譲渡所得税(3,000万円特別控除の適用要件を必ず確認)
リバースモーゲージ|自宅を担保に老後資金を借りる
リバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関から資金を借り、契約者が亡くなった時点で自宅を売却して一括返済する仕組み。毎月の支払いは「利息のみ」または「返済不要」のタイプがあります。
向いている人
- 子どもが独立済みで、自宅を相続させる必要性が低い
- 公的年金と貯金だけでは老後生活に不安がある
- 今の家に死ぬまで住み続けたい
注意点
- 金利上昇リスクがある(契約後に金利が上がると利息負担が増える)
- 長生きリスクで融資額が担保評価額を超える可能性
- 不動産価格下落リスクで追加担保を求められるケース
- 戸建て中心で、マンションや地方物件は対象外のことが多い
- 配偶者が契約者の死亡後も住み続けられるかは商品による
注意
リバースモーゲージは金融機関ごとに商品設計が大きく異なります。「金利」「対象物件」「配偶者の継続居住」「相続時の精算方法」の4点は必ず契約前に確認してください。
リースバック|売っても住み続ける選択肢
リースバックは、自宅を不動産会社や投資家に売却し、同時に賃貸借契約を結んで同じ家に住み続ける仕組みです。まとまった現金を手にしつつ、引っ越しの負担を避けられるのが最大の特徴です。
向いている人
- 住み慣れた家を離れたくないが、まとまった現金が必要
- 住宅ローンの残債を一括返済して月々の負担を減らしたい
- 将来的に買い戻す可能性を残しておきたい
- 近隣に引っ越し先が見つからない、または引っ越しの体力がない
注意点
- 売却価格は市場相場の7〜8割が目安(安く買い叩かれやすい)
- リース料(家賃)が売却額の8〜12%に設定されることが多く、相場家賃より割高になりやすい
- 定期借家契約の場合、更新を拒否されるリスクがある
- 買戻し特約があっても、実際に買い戻せる資金を確保できるかは別問題
- 固定資産税の負担はなくなるが、リース料に実質転嫁されている
費用シミュレーション|3つの選択で手残りはいくら違う?
自宅評価額2,500万円・住宅ローン残債500万円・65歳夫婦のケースで、手残り額と月々の負担を試算します。
| 項目 | 住み替え | リバースモーゲージ | リースバック |
|---|---|---|---|
| 売却・融資額 | 約2,400万円 | 約1,250万円(担保評価の50%) | 約1,750〜2,000万円(相場の7〜8割) |
| ローン返済後の手残り | 約1,900万円 | 約750万円(融資金から返済) | 約1,250〜1,500万円 |
| 新居購入/諸費用 | 約1,500〜1,800万円 | なし | なし |
| 月々の負担 | 管理費等 約2〜3万円 | 利息 約2〜3万円 | リース料 約12〜16万円 |
※上記は概算です。仲介手数料(売却額の3%+6万円)・登記費用・引越し費用・譲渡所得税等は別途かかります。リバースモーゲージの融資割合・金利は金融機関ごとに異なります。
住み替えローンと通常ローンの違い
住み替えローン(買い替えローン)は、現在の住宅ローン残債と新居の購入資金をまとめて借りられる商品です。通常の住宅ローンとの主な違いを整理します。
| 比較項目 | 住み替えローン | 通常の住宅ローン |
|---|---|---|
| 残債の扱い | 旧ローン残債も合算 | 旧ローン完済が前提 |
| 担保評価 | 新居の評価額を超える融資も可能 | 担保評価額以内が原則 |
| 審査の厳しさ | 厳しい(オーバーローン状態のため) | 標準 |
| 取扱金融機関 | 大手銀行中心(限定的) | ほぼ全ての金融機関 |
| 住宅ローン控除 | 新居分のみ適用可 | 通常どおり適用可 |
住み替えローンは便利ですが、新居の価値以上の借入を抱えることになるため、返済計画は慎重に検討する必要があります。60代で組む場合、返済期間が短くなり月々の負担が重くなる点も要注意です。
リバースモーゲージの種類と金融機関選びのポイント
リバースモーゲージには大きく分けて3つのタイプがあります。
融資タイプの比較
| タイプ | 仕組み | 特徴 |
|---|---|---|
| 一括受取型 | 契約時に一括で融資を受ける | リフォーム・住宅ローン完済などまとまった資金ニーズに向く |
| 年金型(定期受取) | 毎月一定額を受け取る | 公的年金の補完として生活費に充てやすい |
| 枠型(随時引出) | 融資枠の範囲内で必要時に引き出す | 介護・医療費など突発的な出費に対応しやすい |
金融機関を選ぶ際の確認ポイント
- 対象物件:戸建てのみか、マンションも対象か
- 対象エリア:都市部限定か、地方も対応しているか
- 金利タイプ:変動金利か固定金利か(多くは変動金利)
- 融資限度額:担保評価額の何%まで借りられるか(50〜70%が一般的)
- 配偶者の継続居住:契約者死亡後、配偶者が引き続き住めるか
- 資金使途の制限:生活資金のみか、事業資金やリフォームにも使えるか
リースバックの契約で確認すべき5項目
リースバックは仕組みがシンプルに見えますが、契約条件によって長期的なコストが大きく変わります。以下の5項目は契約前に必ず確認してください。
- 賃貸借契約の種類:普通借家契約なら更新が原則可能。定期借家契約なら期間満了で退去を求められるリスクがある
- リース料(家賃)の設定:売却額に対する年間利回りで決まることが多い。相場は売却額の8〜12%÷12か月。周辺の賃貸相場と比較する
- 買戻し特約の有無と条件:買戻しが可能な場合、買戻し価格は売却額より高く設定されることが多い(売却額の110〜130%が目安)
- 修繕費・管理費の負担:所有者は不動産会社に移るが、修繕費の負担区分は契約次第。大規模修繕の扱いを明確にしておく
- 売却額の妥当性:複数社から見積もりを取り、市場価格と比較する。1社だけの見積もりで判断しない
税金の違い|譲渡所得税・固定資産税・相続税
3つの選択肢は税金面でも大きく異なります。
譲渡所得税
住み替えとリースバックでは自宅を売却するため、譲渡所得が発生すると課税対象になります。ただし「居住用財産の3,000万円特別控除」を適用できれば、多くのケースで非課税になります。
- 適用要件:自分が住んでいた家であること(住まなくなった日から3年目の12月31日まで)
- 所有期間10年超の場合は、3,000万円控除後の課税所得に軽減税率(6,000万円以下の部分は14.21%)が適用される
- 住み替えの場合:買換え特例(課税繰延べ)との選択適用が可能(併用は不可)
固定資産税
- 住み替え:新居分の固定資産税が発生(ダウンサイジングすれば減額)
- リバースモーゲージ:所有権は維持するため、引き続き固定資産税を負担
- リースバック:所有権が移転するため、固定資産税の負担はなくなる
相続税への影響
- 住み替え:新居が相続財産になる。小規模宅地等の特例(最大80%減額)の適用可否を確認
- リバースモーゲージ:死亡時に自宅売却で返済するため、相続財産から除外される(残債務が相続財産を上回れば相続放棄の検討も)
- リースバック:自宅は売却済みのため相続財産に含まれない。売却代金の残りが現金として相続対象になる
年齢・家族構成別|向いている選択肢の判定チャート
以下のチェックリストで、自分に合った選択肢の目安を確認してみてください。
住み替えが向いている人
- ☐ 今の家が広すぎる・持て余している
- ☐ バリアフリーの住まいに移りたい
- ☐ 子ども世帯の近くに引っ越したい
- ☐ 住宅ローンを完済し、身軽になりたい
- ☐ 引っ越しに対する体力・気力がある
リバースモーゲージが向いている人
- ☐ 今の家に死ぬまで住み続けたい
- ☐ 子どもに自宅を相続させる必要がない
- ☐ 年金だけでは生活費が不安
- ☐ 戸建てを所有している(マンションは対象外の場合が多い)
- ☐ 借金を増やすことに心理的な抵抗が少ない
リースバックが向いている人
- ☐ まとまった現金が必要だが引っ越したくない
- ☐ 住宅ローンの返済が厳しくなってきた
- ☐ 将来的に買い戻す可能性を残したい
- ☐ 固定資産税・修繕費の負担をなくしたい
- ☐ 周囲に住み替えを知られたくない
失敗事例に学ぶ|よくある後悔パターン
住宅の出口戦略は金額が大きいため、判断ミスのダメージも大きくなります。FP相談で寄せられる代表的な後悔パターンを紹介します。
住み替えの後悔
- 売り急いで数百万円損した:引っ越し日を先に決めてしまい、買い叩かれた。売却は3〜6か月の余裕を持つ
- 仮住まい費用を想定していなかった:売却と購入のタイミングがずれ、3か月の仮住まいで約60万円の出費
- 住み替え先で孤立した:利便性だけで選び、地域コミュニティに溶け込めなかった
リバースモーゲージの後悔
- 金利上昇で利息負担が想定の倍になった:変動金利で契約し、金利が1.5%→3.0%に上昇。月々の利息が倍増
- 不動産評価が下がり、追加担保を求められた:地方の物件で路線価が下落し、融資額の見直しを迫られた
- 配偶者が住み続けられなかった:契約者名義のみの契約で、死亡後に配偶者の継続居住が認められなかった
リースバックの後悔
- リース料が周辺相場の1.5倍だった:売却額は安く、家賃は高い。長期的に見ると賃貸に引っ越した方が安かった
- 定期借家で更新を拒否された:2年の定期借家契約で、更新時に退去を求められた
- 買戻しを諦めた:買戻し特約があったが、売却額の130%の買戻し価格を用意できなかった
手続きの流れ|住み替え・リバースモーゲージ・リースバック
それぞれの手続きの流れと必要期間の目安を整理します。
住み替えの手続き(3〜6か月)
- 現自宅の査定(複数社に依頼)
- 新居の候補探し・内見
- 売却活動開始(仲介契約締結)
- 売買契約締結・手付金受領
- 新居の売買契約・住宅ローン申込み
- 引き渡し・引越し・旧ローン完済
- 確定申告(譲渡所得の申告・特別控除の適用)
リバースモーゲージの手続き(1〜2か月)
- 取扱金融機関への相談・仮審査
- 不動産の担保評価(金融機関による鑑定)
- 本審査・融資条件の提示
- 契約締結・抵当権設定
- 融資実行(一括 or 年金型 or 枠設定)
リースバックの手続き(2週間〜1か月)
- リースバック業者への査定依頼(複数社推奨)
- 売却価格・リース料の提示を比較
- 売買契約+賃貸借契約の締結
- 売却代金の受領・旧ローン完済
- リース料の支払い開始
住み替え時に使える公的支援制度
60代の住み替えでは、以下の公的支援制度が活用できる場合があります。
- 住宅金融支援機構のリ・バース60:満60歳以上を対象としたリバースモーゲージ型住宅ローン。住み替え先の購入やリフォームに利用可能。月々の支払いは利息のみで、元金は死亡時に相続人が一括返済または自宅売却で精算
- 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除):住み替え先を新たにローンで購入する場合、要件を満たせば控除対象に。ただし旧居の3,000万円特別控除との併用は不可
- すまい給付金(制度終了済み):2021年12月で終了。現在は利用できないが、過去に申請済みの方は確認を
- バリアフリー改修の補助金:住み替え先でバリアフリー工事を行う場合、自治体の補助制度が利用できることがある
- 不動産取得税の軽減:一定要件を満たす住宅取得には不動産取得税の軽減措置がある
ポイント
住宅ローン控除と3,000万円特別控除は併用できません。どちらが有利かは、売却益の額・新居のローン残高・所得税額によって変わるため、FPや税理士に試算してもらうのが確実です。
よくある質問(FAQ)
- Q. リバースモーゲージとリースバック、どちらが手残りが多い?
- A. 一般的にリースバックの方がまとまった現金を一括で受け取れます。ただしリースバックは毎月のリース料が発生するため、10年以上住む場合はリバースモーゲージの方が総コストで有利になるケースもあります。具体的な金額は物件評価額・金利・リース料率によるため、個別の試算が必要です。
- Q. マンションでもリバースモーゲージは使える?
- A. 利用できる金融機関は限られます。住宅金融支援機構の「リ・バース60」はマンションも対象ですが、民間金融機関のリバースモーゲージは戸建て限定のところが多いです。マンションの場合は、築年数や立地条件でさらに制限がかかることがあります。
- Q. 住み替えで売却と購入、どちらを先にすべき?
- A. 資金に余裕がない場合は「売り先行」が安全です。売却額が確定してから新居を探すため、資金計画が立てやすくなります。一方「買い先行」は理想の物件を逃さずに済みますが、売れるまでの二重ローンや仮住まい費用のリスクがあります。
- Q. リースバックの家賃は交渉できる?
- A. 交渉の余地はあります。複数社から見積もりを取ることで、競争原理が働き条件が改善されることがあります。ただし、家賃を下げると売却価格も下がる構造のため、トータルで判断する必要があります。
- Q. 配偶者が認知症の場合、住み替えはできる?
- A. 共有名義の場合、認知症の配偶者の意思能力が確認できないと不動産の売却契約ができません。事前に「家族信託」を設定しておくか、成年後見人を選任する必要があります。手続きに時間がかかるため、早めの準備が重要です。
- Q. 60代で住み替えローンの審査は通る?
- A. 年齢だけで一律に否決されることはありませんが、完済時年齢が80歳を超えると審査は厳しくなります。年金収入のみの場合、借入可能額は年金額の5〜6倍程度が目安です。頭金を多く用意する、返済期間を短くする等の工夫が必要です。
その先に、選べる暮らしが増えます
お金の不安が強いと、働き方も、家族との時間も、自分のやりたいことも、どうしても後回しになりがちです。
家計を整理する目的は、ただ節約することではありません。
給付金を確認し、毎月のお金の流れを整えることで、仕事を減らす、家族との時間を増やす、好きな仕事や生きがいに時間を使う、といった選択肢が見えやすくなります。
たとえば、こんな選択肢を数字で確認できます。
お金の不安だけで、働き方や暮らし方を決めなくてよくなる。そのための家計チェックです。
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本ページの制度概要・要件・税率は、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(執筆時点)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。FPは記事を直接監修してはおらず、関連テーマでご相談を受けるFPとしてご紹介しています。
最終確認日:2026年5月15日
※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。
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