年金 繰下げ・繰上げ
損益分岐は何歳?比較計算機【2026】
年金の繰下げは月+0.7%(最大75歳で+84%)、繰上げは月-0.4%(最大60歳で-24%)。損益分岐は繰下げで約12年、繰上げで約20年。ただし税金・社会保険料・加給年金・健康状態など、累積額だけでは判断できない要素があります。本記事では比較計算機と「後悔しやすいパターン」で、あなたに合う受給開始年齢を整理します。
結論(3行まとめ)
- 70歳まで繰下げ → 累積で65歳開始を上回るのは81〜82歳
- 60歳に繰上げ → 累積で65歳開始に追い越されるのは80〜81歳
- 損益分岐の年齢は男女の平均寿命(男81歳・女87歳)にほぼ一致。健康状態と配偶者年齢で判断
繰下げ・繰上げ 比較計算機
65歳時点の想定年金額(月額)と受給開始年齢を入力すると、各年齢時点の累積受給額と月額を比較できます。
選択年齢の月額—
想定寿命までの累積—
65歳開始との差額—
65歳開始を上回る年齢—
※ 税・社会保険料・物価スライドを考慮しない単純累積比較。繰下げ中の加給年金停止、在職老齢年金による停止も反映していません。
仕組みと基本ルール
| 項目 | 繰上げ | 繰下げ |
|---|---|---|
| 開始可能年齢 | 60〜64歳 | 66〜75歳 |
| 月あたり調整率 | -0.4%(1ヶ月) | +0.7%(1ヶ月) |
| 最大調整率 | -24%(60歳開始) | +84%(75歳開始) |
| 変更可能性 | 一度開始したら取り消し不可 | 66歳以降いつでも開始可 |
| 加給年金への影響 | 通常通り支給 | 繰下げ中は支給停止・増額なし |
| 障害年金・遺族年金 | 繰上げ後は障害年金の新規裁定不可など制限 | 遺族年金と併給調整あり |
受給開始年齢別の月額と累積額
65歳時点の想定月額を16万円とした場合の比較です。
| 開始年齢 | 月額 | 年額 | 85歳までの累積 | 90歳までの累積 |
|---|---|---|---|---|
| 60歳 | 12.2万円 | 146万円 | 3,650万円 | 4,379万円 |
| 65歳(標準) | 16.0万円 | 192万円 | 3,840万円 | 4,800万円 |
| 70歳 | 22.7万円 | 273万円 | 4,089万円 | 5,452万円 |
| 75歳 | 29.4万円 | 353万円 | 3,534万円 | 5,301万円 |
損益分岐年齢
| 比較 | 損益分岐(概算) | 補足 |
|---|---|---|
| 60歳 vs 65歳 | 約80歳10ヶ月 | 81歳以上生きるなら65歳受給のほうが累積で上回る |
| 65歳 vs 70歳 | 約81歳10ヶ月 | 82歳以上生きるなら70歳受給のほうが累積で上回る |
| 65歳 vs 75歳 | 約86歳10ヶ月 | 87歳以上生きるなら75歳受給のほうが累積で上回る |
男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.14歳(厚労省「簡易生命表」令和5年)。男性は70歳繰下げで微妙、女性は70〜75歳繰下げが累積では有利、が目安です。
繰下げの落とし穴4つ
- ① 加給年金が止まる:繰下げ中は加給年金が支給されず、しかも増額もしない。年齢差5歳の夫婦で配偶者加算最大(年40万)×5年=200万円の損失
- ② 税・社会保険料が累進で増える:年金が増えると所得税・住民税・国民健康保険料・介護保険料も増える。手取りベースの増加率は表示上の増額率より低い
- ③ 健康リスク:繰下げ待機中に亡くなると、未支給年金として遺族が5年分しか遡及請求できない
- ④ 在職老齢年金との組み合わせ:繰下げ待機中も在職老齢年金の停止調整があり、実質増額率が目減りするケースがある
繰上げの落とし穴4つ
- ① 一生涯減額:60歳で-24%減額した金額が一生続く。長生きすると累積で大きく損する
- ② 障害年金の新規裁定不可:繰上げ後に病気・事故で障害状態になっても、障害基礎年金を新規で受給できない(併給調整の制約)
- ③ 寡婦年金の受給不可:繰上げ受給者は寡婦年金の対象外になる
- ④ 国民年金の任意加入不可:繰上げ後は480月に達していなくても任意加入で増やせない
判断のチェックリスト
繰下げを検討すべき人
✓ 65歳時点で働き続けている/他に収入がある
✓ 健康に自信があり、長寿家系
✓ 配偶者が自身より年上または同年齢
✓ 手取り減よりも将来の生活安定を重視
繰上げを検討すべき人
✓ 60歳以降、働けない・収入源がない
✓ 健康上の不安がある
✓ 60代前半に大きな支出が見込まれる
✓ 他の資産(退職金・iDeCo)で不足分を補えない
よくある質問
- 「年金は60歳からもらった方が賢い」は本当?
- 80歳前に亡くなる前提なら累積で有利ですが、男性の平均寿命81歳・女性87歳を考えると、大多数にとっては65歳以降の開始のほうが累積で有利です。「60歳から賢い」は健康不安や60代の収入断絶など個別事情がある場合の選択肢です。
- 繰下げは途中でやめられますか?
- はい。66歳以降であればいつでも繰下げ待機を終了して受給開始できます。また、最大5年分を一括で遡って受給することも可能(この場合は繰下げ増額なしで通常額)。
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げできますか?
- 可能です。たとえば基礎年金は65歳から受給、厚生年金は70歳まで繰下げ、という組み合わせもできます。加給年金の有無や税負担を考慮して個別最適化が可能です。
- 繰下げ中に亡くなったら?
- 遺族は5年以内の未支給年金を請求可能ですが、繰下げ増額は反映されません(標準の65歳からの金額で計算)。健康不安がある場合はリスクと考えるべきです。
※ 2026年度の制度。実際の手取りは税・社会保険料で変動します。日本年金機構「ねんきんネット」で個別シミュレーション可能。
