加給年金とは
もらえる条件・金額・振替加算・廃止議論【2026】
配偶者加算:年額408,100円+特別加算165,800円=年額約57万円(2026年度・最大)
目次(9セクション)
加給年金とは
加給年金は、老齢厚生年金の「家族手当」的な加算です。長く厚生年金を払ってきた方が65歳で年金を受給し始めるとき、まだ年金を受け取れない配偶者や子を扶養している場合に、その分の生活費を補う目的で上乗せされます。
もらえる条件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 本人 | 厚生年金の被保険者期間が20年以上(または中高齢の特例で15〜19年) |
| 配偶者 | 65歳未満/生計維持関係/配偶者自身の年収850万円未満(または所得655.5万円未満) |
| 子 | 18歳年度末までの子、または20歳未満で障害等級1・2級の子 |
| 除外 | 配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間20年以上)や障害年金を受給中の場合は支給されない |
金額(2026年度)
| 対象 | 加給年金の基本額 | 特別加算(受給者生年月日別) | 合計年額 |
|---|---|---|---|
| 配偶者 | 239,300円 | 最大168,800円(昭和18年4月2日以後生まれ) | 最大408,100円 |
| 第1子・第2子(各) | 239,300円 | — | 239,300円 |
| 第3子以降(各) | 79,800円 | — | 79,800円 |
※ 特別加算を含めると配偶者加算は実質年額約40万円前後。生年月日が早いほど特別加算は小さくなります。
振替加算への切り替え
加給年金は配偶者が65歳になり自身の老齢基礎年金を受給開始した時点で停止します。代わりに、配偶者(主に妻)の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされます。振替加算の金額は配偶者の生年月日が遅いほど小さくなり、昭和41年4月2日以降生まれの方は振替加算はありません。
加給年金 → 振替加算のタイムライン
① 本人65歳&配偶者64歳以下 → 加給年金 支給開始
② 配偶者65歳 → 加給年金 停止、配偶者の基礎年金に振替加算 上乗せ
③ 配偶者が昭和41年4月2日以降生まれ → 振替加算なし(制度の完全終了)
加給年金が止まる4つのケース
- 配偶者が65歳になった(もっとも一般的)
- 配偶者が自身の老齢厚生年金(20年以上)や障害年金の受給を開始した
- 離婚した/生計維持関係がなくなった
- 本人の年金を繰下げ受給している期間(加給年金も繰下げ中は支給されず、増額もしない)
繰下げとの組み合わせに注意
老齢厚生年金を繰下げている間は加給年金も止まります。しかも繰下げで増額されるのは本体年金のみで、加給年金は増えません。配偶者年齢差が大きい世帯では、繰下げのメリット/デメリットを加給年金込みで計算し直す必要があります。
加給年金の受給要件チェックリスト
加給年金は条件が複数あるため、自分が対象かどうかを見落とすケースが少なくありません。以下のチェックリストで、受給要件を1つずつ確認しましょう。すべての項目に該当する方が加給年金の対象です。
| チェック項目 | 判定基準 | 確認方法 |
|---|---|---|
| ①厚生年金加入期間 | 20年以上(中高齢特例:40歳以降15〜19年) | ねんきん定期便・ねんきんネット |
| ②老齢厚生年金の受給権 | 65歳到達時(または特別支給の老齢厚生年金の受給権発生時) | 年金事務所で確認 |
| ③配偶者の年齢 | 65歳未満であること | 戸籍・住民票 |
| ④生計維持関係 | 同居(別居でも仕送り・健康保険の扶養で可) | 住民票・健康保険証 |
| ⑤配偶者の年収 | 850万円未満(所得655.5万円未満) | 源泉徴収票・確定申告書 |
| ⑥配偶者自身の年金 | 老齢厚生年金(20年以上)や障害年金を受給していない | ねんきん定期便 |
特に見落としやすいのが④の「生計維持関係」です。単身赴任や施設入所で別居していても、仕送りの実績があれば要件を満たすことがあります。逆に、同居していても配偶者の年収が850万円以上であれば対象外となります。
中高齢の特例とは
昭和22年4月1日以前に生まれた方が対象で、40歳(女性は35歳)以降の厚生年金加入期間が15年〜19年でも20年とみなされます。2026年時点で新規に該当する方はほぼいませんが、既に受給中の方は見直しの際に確認しておきましょう。
チェックリストの⑤について補足すると、年収850万円の判定は「前年の年収」または「前々年の年収」で行います。一時的に850万円を超えた場合でも、おおむね5年以内に850万円未満に下がると見込まれる場合は要件を満たすことがあります。退職予定のある共働き世帯では、退職後に申請し直すことで加給年金が受けられるケースもあります。
加給年金と振替加算の関係
加給年金と振替加算は「年金の家族手当」というひとつの制度の前半と後半です。加給年金は受給者本人の年金に加算され、振替加算は配偶者自身の基礎年金に加算されます。この2つの関係を正しく理解しておくと、世帯全体の年金受給額を正確に把握できます。
| 比較項目 | 加給年金 | 振替加算 |
|---|---|---|
| 加算先 | 受給者本人の老齢厚生年金 | 配偶者の老齢基礎年金 |
| 支給期間 | 配偶者が65歳になるまで | 配偶者が生涯受給 |
| 金額(2026年度) | 最大408,100円/年 | 最大15,732円/年(昭和2年4月2日〜昭和3年4月1日生まれ) |
| 生年月日の影響 | 受給者の生年月日で特別加算額が変動 | 配偶者の生年月日が遅いほど減額→昭和41年4月2日以降生まれは0円 |
| 届出 | 老齢厚生年金の裁定請求時に届出 | 原則自動切替(届出漏れ事例あり) |
振替加算の「届出漏れ」は過去に大きな社会問題になりました。2017年に日本年金機構が調査した結果、約10.6万人が振替加算を受け取れていなかったことが判明し、未払い総額は約598億円にのぼりました。特に、夫婦の年金記録が別々の年金事務所で管理されていた場合や、婚姻届の届出時期と年金受給開始時期がずれていた場合に漏れが発生しやすい傾向があります。
振替加算の届出漏れを確認する方法
配偶者が65歳以上で老齢基礎年金を受給中の方は、年金振込通知書の「振替加算」欄を確認してください。記載がない場合、年金事務所に問い合わせると未払い分を遡って受け取れる可能性があります。時効は5年ですが、届出漏れが年金機構側の原因であれば5年を超えて遡及されることもあります。
世帯全体で見ると、加給年金の方が金額は大きい一方、支給期間は限定的です。たとえば夫婦の年齢差が3歳(本人65歳・配偶者62歳)の場合、加給年金は3年間で約122万円、その後の振替加算は年額数千円〜1万円程度が配偶者の生涯にわたって加算されます。年齢差が大きいほど加給年金の総額は増えるため、繰下げ判断にも影響します。
なお、配偶者が年上の場合は注意が必要です。本人が65歳に達した時点で配偶者がすでに65歳以上であれば、加給年金は1日も支給されません。この場合、振替加算のみが配偶者の老齢基礎年金に加算されます。
加給年金がもらえないケースと対処法
「自分は加給年金がもらえると思っていた」のに、実際には支給されなかったという相談は少なくありません。ここでは、加給年金が支給されない代表的なケースと、それぞれの対処法を整理します。
| もらえないケース | 理由 | 対処法 |
|---|---|---|
| 厚生年金が19年11か月 | 20年未満で要件不足 | 任意継続・再就職で1か月追加し20年に到達させる |
| 配偶者が年上 | 本人65歳時に配偶者が既に65歳以上 | 振替加算のみ対象。世帯の年金戦略を再設計 |
| 配偶者の年収が850万円以上 | 生計維持要件を満たさない | 退職・減収後に改めて届出(事後申請可能) |
| 配偶者が厚生年金20年以上 | 配偶者自身が老齢厚生年金を受給 | 世帯合計で試算し、繰下げ等で最適化 |
| 離婚した | 生計維持関係の喪失 | 年金分割制度の活用を検討 |
| 本人が繰下げ中 | 繰下げ期間中は加給年金も停止 | 加給年金を含めた繰下げ損益分岐点を再計算 |
特に注意が必要なのが「厚生年金20年」のカウント方法です。育児休業期間は厚生年金の被保険者期間に含まれますが、国民年金の任意加入期間は含まれません。また、共済組合の加入期間は2015年10月の被用者年金一元化以降、厚生年金期間として通算されるようになりました。
「あと数か月で20年」の方へ
厚生年金の加入期間があと数か月で20年に届く場合、60歳以降も厚生年金適用事業所で働くことで期間を延ばせます。パートタイムでも、週20時間以上・月額賃金8.8万円以上などの要件を満たせば厚生年金に加入できます(2024年10月以降、従業員51人以上の事業所に拡大)。加給年金の年額約40万円を考えると、数か月の追加加入は十分に元が取れます。
繰下げとの関係では、配偶者との年齢差が大きい世帯ほど慎重な判断が求められます。たとえば、本人65歳・配偶者55歳の場合、加給年金は最大10年間で約400万円。この400万円を放棄してまで繰下げて本体年金を増やすメリットがあるかどうかは、健康状態・他の収入源・資産状況によって異なります。
共働き世帯で配偶者も厚生年金20年以上ある場合、加給年金は支給されませんが、世帯全体の年金額は高くなるケースが多いです。この場合は、夫婦それぞれの繰下げタイミングを最適化することで、世帯の生涯年金総額を最大化する戦略が有効です。
加給年金の手続き方法と必要書類
加給年金は「届出をしないともらえない年金」です。老齢厚生年金の裁定請求時に、配偶者や子に関する届出を一緒に行う必要があります。届出を忘れると、遡って受け取れる期間は原則5年に限られるため、65歳到達前に準備を始めることが大切です。
| 手続きの段階 | 時期の目安 | やること |
|---|---|---|
| ①事前確認 | 64歳〜65歳の誕生日3か月前 | ねんきんネットで加入期間20年以上を確認。配偶者の年齢・年収・年金加入状況を整理 |
| ②書類準備 | 65歳の誕生日2か月前 | 戸籍謄本(または戸籍抄本)・世帯全員の住民票・配偶者の所得証明書(課税証明書)を取得 |
| ③裁定請求 | 65歳の誕生日〜誕生月末 | 年金事務所または街角の年金相談センターで老齢厚生年金裁定請求書を提出。加給年金の加算対象者欄に配偶者・子の情報を記入 |
| ④支給開始 | 請求の1〜2か月後 | 年金証書が届き、偶数月の15日に振込開始 |
必要書類は以下のとおりです。書類の有効期限は発行日から6か月以内のものが必要です。
- 老齢厚生年金・老齢基礎年金裁定請求書(年金事務所の窓口またはねんきんネットからダウンロード)
- 戸籍謄本(全部事項証明書)または戸籍抄本 — 配偶者との婚姻関係を証明
- 世帯全員の住民票(マイナンバー記載なし)— 生計同一関係を証明
- 配偶者の所得証明書(課税証明書・非課税証明書)— 年収850万円未満を証明
- 年金手帳または基礎年金番号通知書 — 本人・配偶者の両方
- 振込先金融機関の通帳(コピー可)
- 非課税証明書(配偶者が無収入の場合)
届出が遅れた場合の遡及請求
加給年金の届出が遅れた場合、遡及して受け取れるのは原則として請求月の翌月から5年前までです。ただし、「やむを得ない事情」(長期入院・災害・年金事務所の案内不備など)が認められれば、5年を超えて遡及できるケースもあります。届出が遅れていることに気づいたら、できるだけ早く年金事務所に相談してください。
2024年度からは、マイナンバーカードを利用したオンライン手続きが一部可能になっています。ただし、加給年金の加算に関する届出は添付書類の原本確認が必要なため、最終的には年金事務所への来所または郵送が必要です。事前にねんきんネットで受給見込額を確認し、必要書類を揃えてから年金事務所に予約を取ると、1回の来所で手続きが完了します。
なお、特別支給の老齢厚生年金(60歳〜64歳)を受給中の方は、その裁定請求時に加給年金の届出もできます。ただし、実際に加給年金が加算されるのは本来の受給権発生(原則65歳)からです。早めに届出を済ませておくと、65歳到達時にスムーズに加算が始まります。
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- 出典: 厚生労働省 公式サイト — 各種給付金・社会保険・労働関連制度の所管
- 出典: 内閣府 公式サイト — 子ども・子育て支援、低所得世帯給付金の所管
- 出典: 国税庁 公式サイト — 定額減税・税制上の優遇措置
- 出典: 日本年金機構 公式サイト — 年金制度・年金生活者支援給付金
- 出典: 総務省 公式サイト — マイナンバー制度・自治体情報
- 出典: ハローワーク インターネットサービス — 失業給付・育児休業給付金
最終確認日:2026年5月15日
※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。
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