税金・節税

不動産投資の節税と「節税にならない」の真実
減価償却・損益通算の仕組み【2026】

税金と控除を確認して毎月の手取りの余白を整える場面
税金や控除の確認を、毎月の手取りと将来資金の判断につなげます。

不動産投資の節税は「減価償却で帳簿上の赤字をつくり、給与と損益通算する」仕組み。ただし本質は"課税の繰り延べ"で、売却時に課税が戻る。出口を誤ると節税にならない。

目次(7セクション)
  1. なぜ節税になると言われるか(減価償却)
  2. 損益通算の仕組み
  3. 「節税にならない・嘘」の正体(出口の譲渡課税)
  4. 5年の壁とデッドクロス
  5. ワンルーム・タワマンのリスク
  6. 本当に向いている人の条件
  7. よくある質問(FAQ)

なぜ節税になると言われるか(減価償却)

建物には減価償却があり、購入額のうち建物部分を耐用年数にわたって毎年経費に計上できます。ポイントは、これが実際の現金支出を伴わない経費だということ。家賃収入はあるのに帳簿上は経費が膨らみ、不動産所得が会計上の赤字になります。この赤字を給与所得などと相殺できるため、「課税所得が下がる=節税になる」と説明されます。

損益通算の仕組み

不動産所得の赤字は、給与所得・事業所得などと損益通算できます。たとえば給与所得900万円の人が不動産で200万円の赤字を出せば、課税所得は700万円に下がり、その分の所得税・住民税が減って、源泉徴収された税金の一部が還付されます。これが「不動産で節税」と言われる動きの正体です。
※土地取得の借入利子に対応する部分など、損益通算に制限がある赤字もあります。

「節税にならない・嘘」の正体(出口の譲渡課税)

ここが最重要です。減価償却で経費にした分だけ、その物件の帳簿上の取得費(簿価)は下がります。すると売却したとき、「売値 − 下がった取得費」で計算される譲渡所得が大きくなり、譲渡所得税が増えます。つまり保有中に減らした税金は、売却時に取り戻される――本質は「課税の繰り延べ」です。

得をするのは、保有中の所得税率(最大45%+住民税10%)より、売却時の譲渡税率が低いとき。逆に税率差が小さい人や、繰り延べた以上に物件が値下がりした人は、「節税のつもりが資産を減らした」となり、これが「不動産投資は節税にならない・嘘」と言われる理由です。譲渡所得税の仕組みもあわせて確認してください。

5年の壁とデッドクロス

譲渡所得税には「5年の壁」があります。所有期間5年以下の売却は短期譲渡で税率39.63%、5年超なら長期譲渡で20.315%。減価償却で簿価を下げた状態で短期売却すると、高い税率で課税され、節税効果が吹き飛びます。

もう一つの落とし穴がデッドクロス。ローン元金の返済額が減価償却費を上回ると、「帳簿は黒字(課税される)なのに手元の現金は苦しい」状態になります。減価償却が終わる頃にこれが起きやすく、保有中も安泰ではありません。

ワンルーム・タワマンのリスク

新築ワンルームは価格に販売経費が上乗せされやすく、減価償却も限定的で、節税額より値下がり・金利負担が上回りやすい代表例です。タワマンの相続税評価による圧縮も、2024年の評価ルール改正で抑制されました。「節税になります」というセールストークだけで判断せず、投資としての採算(利回り・空室・出口価格)を先に検証することが不可欠です。

本当に向いている人の条件

不動産投資の節税が機能するのは、次をすべて満たす人です。①保有中の所得税・住民税の限界税率が高い(高所得) ②5年超保有して長期譲渡税率を使う ③物件自体が家賃と売却の両方で採算が取れる。逆に、税率が低い人や、節税額より物件のリスクが大きい人にとっては、節税は買う理由になりません。判断に迷ったら、節税額・キャッシュフロー・出口価格を一枚に並べて、感情ではなく数字で確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

不動産投資はなぜ節税になると言われるのですか?
建物部分の減価償却費は、実際の現金支出を伴わずに帳簿上の経費になります。これにより不動産所得が会計上の赤字になり、給与所得などと損益通算して課税所得を圧縮できるため、所得税・住民税が下がる、という仕組みです。
「不動産投資は節税にならない・嘘」と言われるのはなぜですか?
減価償却で圧縮した分は、売却時に取得費が減っている分だけ譲渡所得が増え、課税が戻ってくるためです。本質は『課税の繰り延べ』で、保有中の所得税率より売却時の譲渡税率が高ければトータルで損になることもあります。家賃下落・空室・修繕費まで含めると、節税目的だけの投資は成り立たないことが多いのです。
減価償却による節税で得をするのはどんな人ですか?
保有中の所得税・住民税の限界税率が高い高所得者で、5年超保有して譲渡税率(長期20.315%)を下げ、かつ物件自体が家賃と売却でも採算が取れる人です。逆に税率が低い人や、節税額より物件の値下がり・空室損が大きい人は、節税どころか資産を減らします。
5年の壁とは何ですか?
不動産の譲渡所得は、所有期間が5年以下だと短期譲渡(税率39.63%)、5年超だと長期譲渡(20.315%)と大きく差があります。減価償却で取得費が減った状態で短期売却すると、高い税率で課税され、保有中に得た節税効果が吹き飛ぶことがあります。
ワンルームやタワマンの節税はどうですか?
新築ワンルームは価格に販売経費が乗りやすく、減価償却も限定的で、節税額より値下がり・金利負担が上回りやすい商品です。タワマンの相続税評価による圧縮は2024年の通達改正で抑制されました。いずれも『節税』を主目的にするのは慎重に、投資としての採算で判断すべきです。

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本ページの制度概要・税率・取扱いは、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(執筆時点)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。FPは記事を直接監修してはおらず、関連テーマでご相談を受けるFPとしてご紹介しています。

最終確認日:2026年6月23日

※本記事は2026年6月時点の一般的な情報であり、個別の税務・投資判断に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・FPなど専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。