歯列矯正(歯科矯正)の医療費控除
大人・子供の対象条件、いくら戻るか、やり方
歯列矯正は、子供の不正咬合の矯正など治療として必要な場合は医療費控除の対象、見た目を整えるための矯正は対象外です
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目次(11セクション)
歯列矯正は医療費控除の対象?|国税庁の基準は「年齢」と「目的」
国税庁は、歯の治療費のうち歯列矯正について次のように示しています(No.1128)。
- 対象になる:発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用。
- 対象にならない:同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用。
質疑応答事例「歯列を矯正するための費用」では、将来の就職や結婚を考えての歯列矯正は「一般的に容姿を美化し又は容貌を変えるためのもの」として、医療費控除の対象にならないとされています。
| ケース | 医療費控除 | 国税庁の資料での位置づけ |
|---|---|---|
| 発育段階にある子供の不正咬合の矯正 | 対象 | 「成長を阻害しないようにするため」の矯正の例として示されている |
| 年齢や目的からみて、治療として必要と認められる大人の矯正 | 対象になりうる | 「年齢や矯正の目的などからみて」必要と認められる場合の費用は対象 |
| 容ぼうを美化する(見た目を整える)ための矯正 | 対象外 | 同じ歯列矯正でも、容ぼうの美化のための費用は対象にならない |
| 将来の就職や結婚を考えての矯正 | 対象外 | 質疑応答事例で「一般的に容姿を美化し又は容貌を変えるためのもの」とされている |
つまり「歯列矯正だから対象」「大人だから対象外」と一律に決まるのではなく、その矯正が治療として必要かどうかで分かれます。治療として必要かどうかは、まず矯正を担当する歯科医師に確認するのが出発点です。
子供の歯列矯正(小児矯正)の医療費控除
子供の矯正は、国税庁が対象の例として挙げている「発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正」にあたることが多く、医療費控除の対象として扱われやすいケースです。
- 申告するのは子供ではなく、医療費を払った家族:医療費控除は、自分や生計を一にする配偶者やその他の親族のために払った医療費が対象です(No.1120)。子供の矯正費は、実際に払った親などが自分の医療費と合わせて申告します。
- 家族の医療費は合計できる:同じ年に家族が払った通院費や薬代も、生計を一にする家族の分なら合わせて計算できます。
- 通院の電車代・バス代も対象:矯正は月1回前後の通院が何年も続くことが多いので、交通費の記録が積み上がります。
子供の矯正費が戻る金額は、申告する家族の所得税率で変わります。計算のしかたは歯列矯正の医療費控除はいくら戻る?で詳しく試算しています。
大人の歯列矯正の医療費控除|対象になるかは目的で決まる
大人の矯正でも、国税庁の基準は同じく「年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められるか」です。年齢だけで対象外になるわけではありません。
- 対象になりうる例:かみ合わせの異常などにより、治療として矯正が必要と歯科医師が判断している場合。
- 対象外になる例:歯並びの見た目を整えることが目的の場合。質疑応答事例では、就職や結婚を考えての矯正は対象外とされています。
医療費控除の明細書に診断書を添付する決まりはありません(No.1120 で添付するのは医療費控除の明細書、または医療保険者の医療費通知)。ただし、後から税務署に治療の目的を説明できるよう、治療の目的が分かる書類(歯科医師の説明書や診断書など)を手元に残しておくと安心です。判断に迷う場合は、申告前に税務署へ確認してください。
マウスピース矯正・部分矯正も医療費控除の対象?
国税庁の資料が基準にしているのは、矯正の年齢と目的です。マウスピース矯正かワイヤー矯正か、全体矯正か前歯だけの部分矯正かといった装置や範囲の違いで対象かどうかが決まる、とは示されていません。
そのため、マウスピース矯正や部分矯正でも、治療として必要と認められれば対象になりえ、見た目を整える目的なら対象外になる、と考えるのが国税庁の基準に沿った整理です。前歯だけの部分矯正は見た目の改善を目的に選ばれることも多いため、目的を歯科医師に確認しておきましょう。
歯列矯正で医療費控除の対象になる費用・ならない費用
矯正にかかるお金のうち、医療費控除で数えられるものと数えられないものは次のとおりです。
| お金 | 医療費控除 | 注意点 |
|---|---|---|
| 矯正の治療費(検査・装置・調整料など) | 対象(治療として必要な矯正の場合) | 目的が見た目の美化なら対象外 |
| 通院の電車代・バス代 | 対象 | 領収書が出ないので、日付・区間・金額を記録しておく |
| タクシー代 | 原則対象外 | 電車やバスなどの公共交通機関が使えない場合を除く |
| 自家用車のガソリン代・駐車場代 | 対象外 | — |
| 歯科ローンで立て替えてもらった治療費 | 対象 | ローン契約が成立した年の医療費になる |
| 歯科ローンの金利・手数料 | 対象外 | — |
保険診療で行う矯正の自己負担分も、払った医療費として数えます。生命保険や医療保険から給付金を受け取った場合は、その額を差し引いて計算します(No.1120 の「保険金などで補てんされる金額」)。
歯列矯正の医療費控除はいくら戻る?計算式と目安
医療費控除の金額は次の式で計算します(No.1120・最高200万円)。
医療費控除額 = その年に実際に払った医療費の合計 − 保険金などで補てんされる金額 − 10万円
(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%)
医療費控除額がそのまま戻るわけではありません。戻るのは、医療費控除額 × 所得税率(復興特別所得税2.1%を含む)の所得税と、翌年度の住民税が医療費控除額 × 10%安くなる分です。
たとえば、ある年に矯正費を100万円払い(ほかの医療費・保険金の補てんなし)、所得税率が20%の場合、医療費控除額は90万円、所得税の還付は約183,780円、住民税の軽減は約90,000円が目安です(仮定事例)。費用と税率ごとの早見表はいくら戻るかの早見表にまとめています。
分割払い・歯科ローン(デンタルローン)の医療費控除
矯正費の払い方によって、どの年の医療費になるかが変わります。
- 歯科医院への分割払い:医療費控除は「その年の1月1日から12月31日までに払った医療費」が対象で、未払いの医療費は現実に払った年の対象になります(No.1120)。分割で払った場合は、払った年ごとにその年の医療費になります。
- 歯科ローン(信販会社の立替払い):信販会社が立て替えた金額は、立替払いをした年(歯科ローン契約が成立した時)の医療費控除の対象になります(No.1128)。毎月の返済の年ではありません。
- ローンの金利・手数料は対象外:歯科ローンにかかる金利と手数料相当分は医療費控除の対象になりません(No.1128)。
- ローンの場合の書類:歯科医の領収書が手元にないときは、歯科ローンの契約書や信販会社の領収書を、支出を証明する書類として保存します(No.1128)。
同じ総額でも、1年にまとめて払うか数年に分けて払うかで、10万円の差し引きが何回かかるかが変わります。くわしい比較はいくら戻るかの試算で示しています。
歯列矯正の医療費控除のやり方|確定申告の手順と必要書類
医療費控除は、医療費控除の明細書などを記載した確定申告書を提出して受ける控除です(No.1120)。国税庁は、給与所得者が確定申告で税金の還付を受けられる例として「多額の医療費を支出したとき(医療費控除)」を挙げています(No.2030)。会社員も、年末調整とは別に確定申告(還付申告)をします。
- 1年分(1月〜12月)の領収書を集める:矯正の領収書、家族の医療費の領収書、通院交通費の記録、歯科ローンの契約書・信販会社の領収書など。
- 医療費控除の明細書を作る:領収書をもとに、医療を受けた人・病院や薬局ごとに金額をまとめます。医療保険者の医療費通知があれば、添付して明細書の記載を簡略化できます(No.1120)。
- 確定申告書を作って提出する:国税庁の確定申告書等作成コーナーやe-Taxのほか、税務署への郵送・持参で提出できます。
- 領収書は手元で保存する:税務署は、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、明細書の内容を確かめるために領収書(医療費通知を添付したものを除く)の提示や提出を求める場合があります(No.1120)。
医療費控除だけを受けるための申告は「還付申告」で、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(No.2030)。確定申告書の書き方の全体は医療費控除の申告方法と書き方で、記入例つきで整理しています。
歯列矯正の医療費控除ができなかったとき
「歯列矯正の医療費控除ができなかった」という声には、そもそも対象外の矯正だった場合と、対象なのに計算や書類で受けられなかった場合があります。
- 見た目を整える目的の矯正と判断された
- その年の医療費が10万円(総所得金額等の5%)を超えなかった
- 歯科ローンの年を返済の年と取り違えた
- 領収書やローンの書類がそろわなかった
- そもそも確定申告をしていなかった
申告していなかっただけなら、5年以内であれば還付申告でさかのぼれます。理由ごとの見分け方と今からできることは歯列矯正の医療費控除ができなかった理由と対処で整理しています。
矯正費を払う前に、家計で決めておきたいこと
- 払い方:一括・歯科医院への分割・歯科ローンのどれにするか。ローンは金利・手数料がかかり、その分は医療費控除の対象になりません。
- 払う年:同じ年にほかの医療費(出産・入院など)が重なる見込みがあるか。医療費控除は1年ごとに10万円を差し引いて計算します。
- ほかの教育費・生活費とのバランス:子供の矯正は小学生〜中学生の時期に重なることが多く、塾や習い事の費用、家族の生活防衛資金と並べて、無理のない払い方を決めます。
歯列矯正の医療費控除のよくある質問(FAQ)
- 歯列矯正は医療費控除の対象になりますか?
- 国税庁は、発育段階にある子供の不正咬合の矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて必要と認められる場合の費用は医療費控除の対象になるとしています。一方、容ぼうを美化するための歯列矯正の費用は対象になりません。
- 大人の歯列矯正も医療費控除の対象になりますか?
- 大人でも、年齢や矯正の目的などからみて治療として必要と認められる場合は対象になりえます。見た目を整える目的の矯正は対象外で、国税庁の質疑応答事例では、将来の就職や結婚を考えての矯正は対象にならないとされています。
- マウスピース矯正も医療費控除の対象ですか?
- 国税庁の資料が基準にしているのは矯正の年齢と目的で、マウスピース矯正かワイヤー矯正かという装置の違いで対象かどうかが決まるとは示されていません。治療として必要と認められれば対象になりえ、見た目を整える目的なら対象外です。
- 子供の矯正費は誰が医療費控除を申告しますか?
- 医療費控除は、自分や生計を一にする配偶者やその他の親族のために払った医療費が対象です。子供の矯正費は、実際に払った親などが自分や家族の医療費と合わせて申告します。
- 歯列矯正の医療費控除でいくら戻りますか?
- 医療費控除額は、その年に払った医療費から保険金などの補てんと10万円(総所得金額等が200万円未満なら5%)を差し引いた額です。戻るのは、この額に所得税率(復興特別所得税を含む)をかけた所得税と、翌年度の住民税が10%分安くなる分です。
- 歯科ローンで払った矯正費はいつの医療費控除になりますか?
- 信販会社が立て替えた金額は、立替払いをした年、つまり歯科ローン契約が成立した年の医療費控除の対象になります。ローンの金利と手数料は対象になりません。歯科医の領収書がない場合は、ローンの契約書や信販会社の領収書を保存します。
- 医療費控除に歯科医師の診断書は必要ですか?
- 国税庁の案内では、確定申告書に添付するのは医療費控除の明細書(または医療保険者の医療費通知)で、診断書を添付する決まりはありません。ただし治療の目的を説明できるよう、歯科医師の説明書や診断書などを手元に残しておくと安心です。
- 去年の矯正費を申告し忘れました。今からでも医療費控除を受けられますか?
- 医療費控除だけを受けるための還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。5年以内の年分であれば、さかのぼって申告できます。
出典・改訂履歴・免責事項を見る
本ページの制度の要件・計算式・税率は、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(確認時点:2026年10月)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。
- 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 質疑応答事例「歯列を矯正するための費用」(令和7年8月1日現在の法令・通達等)
- 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.2030 還付申告」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」(令和8年4月1日現在法令等)
- 総務省「個人住民税」
最終確認日:2026年10月20日
改訂履歴:2026年10月20日 公開
※本記事は国税庁・総務省が公表している一般的な制度の解説で、個別の税務相談や申告書の作成に代わるものではありません。ご自身の矯正費が医療費控除の対象になるか、税額がいくらになるかは、税務署または税理士にご確認ください。歯列矯正が治療として必要かどうかの判断は歯科医師が行います。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。