PRESS RELEASE

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スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

高額療養費の上限引き上げ、会社員らの89.0%が休職後に「実際いくら使えるか」未試算

── 44.7%が社会保険料・住民税を考慮せず14.1%は「給与の3分の2をそのまま使える」と想定――40〜59歳30,015人調査

2026年8月から高額療養費制度の自己負担限度額が引き上げられました。しかし病気やケガで療養するとき、家計を圧迫するのは医療費の支出だけではありません。働けない期間は収入も止まります。ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部が40〜59歳30,015人に聞いたところ、会社員の所得補償にあたる傷病手当金について、受給資格のある被用者(会社員・公務員・パート等、19,202人)の89.0%が、休職後に実際いくら使えるのかを試算していませんでした。内訳は、「休職中の税金や社会保険料の負担を深く考慮していなかった」44.7%「自営業等のため対象外、または制度内容をよく理解していない」28.3%「給与の3分の2がそのまま使える資金になると想定していた」14.1%です。手残り額まで含めて家計をシミュレーションしていたのは11.0%にとどまりました。図表・データは出典明記のうえCC BY 4.0で自由に引用・転載できます。

なぜいま公開するのか

2026年8月の改正で注目が集まったのは、医療費の自己負担上限でした。しかし療養の家計インパクトは「支出が増える」と「収入が減る」の二方向から来ます。上限が引き上げられた分の支出増を、多くの人は貯蓄で埋めようとしますが、その貯蓄を取り崩すのは収入が減っている最中です。

厚生労働省の資料によれば、協会けんぽにおける傷病手当金の平均支給期間は164日(平成30年度)。新生物(がん)では180日、精神疾患では212日です。半年前後にわたって収入が約3分の2になり、そこからさらに社会保険料と住民税が引かれ続ける。この期間の手取りを具体的に把握しているかを尋ねました。

調査結果のポイント

  1. 会社員ら被用者の89.0%が、休職後に「実際いくら使えるか」を試算していない。手残り額まで含めて家計をシミュレーションしていたのは11.0%のみ。会社員12.9%、公務員・教職員15.0%、経営者・役員17.0%と、最も高い層でも2割に届きません。
  2. 44.7%が「休職中の税金や社会保険料の負担を深く考慮していなかった」。傷病手当金の受給中も、社会保険料の本人負担分と住民税(前年所得に基づく)の支払いは続きます。
  3. 14.1%は「給与の3分の2がそのまま使える資金になる」と想定。約7人に1人が、額面と手取りを取り違えていました。
  4. 受給資格があるのに知らない層が28.3%。被用者でありながら「自営業等のため制度対象外、または制度内容をよく理解していない」を選んだ割合です。3.5人に1人が、自分に使える制度を認識していないことになります。
  5. 自営業・自由業では72.5%が「対象外、または内容を理解していない」。傷病手当金は健康保険の給付で、国民健康保険では法律上「任意給付」の位置づけです。働けなくなったときの公的な所得補償が実質的にない層が、この規模で存在します。
  6. 医療費の理解と収入の理解は連動する。手残りまでシミュレーションしている層は、高額療養費制度についても誤解が9.7%(全体33.1%)、耐久期間の試算済みが59.3%(全体10.3%)。逆に傷病手当金を「対象外/未理解」とした層は、高額療養費の誤解も50.8%と高くなります。

1. 89.0%が、休職後の手取りを試算していない

傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けなくなった健康保険の被保険者に支給されます。1日あたりの額は「直近12か月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2」、支給期間は支給を開始した日から通算して1年6か月です(全国健康保険協会)。

ただし、この「3分の2」は額面です。受給中も社会保険料の本人負担分は発生し、住民税は前年の所得に基づいて課税され続けます。手元に残る額はさらに小さくなります。

図1:傷病手当金の「手残り額」を試算しているか

40〜59歳・n=30,015(被用者=会社員・会社員(一般職)・公務員/教職員・パート/アルバイト、n=19,202)

傷病手当金の手残り額の試算。被用者では税社会保険料を考慮せず44.7%、対象外または未理解28.3%、2/3がそのまま使えると想定14.1%、シミュレーション済み11.0%。自営業は72.5%が対象外または未理解

受給資格のある被用者(19,202人)に限っても、手残り額まで含めて家計のシミュレーションを行っている人は11.0%。裏返せば89.0%が、休職したら実際にいくら使えるのかを把握していないことになります。最も多いのは「休職中の税金や社会保険料の負担について、深く考慮していなかった」44.7%でした。

さらに14.1%は「給与の3分の2がそのまま使える資金になると想定していた」と回答しています。額面の3分の2から社会保険料と住民税が引かれることを踏まえると、実際の手取りは想定を下回ります。

2. 受給資格があるのに、28.3%が制度を認識していない

注目すべきは、被用者でありながら「自営業等のため制度対象外、または制度内容をよく理解していない」を選んだ人が28.3%いることです。会社員(一般職)で29.8%、パート・アルバイトで38.2%と高くなります。

パート・アルバイトであっても、社会保険(健康保険)の被保険者であれば傷病手当金の対象です。にもかかわらず4割近くが自分を対象外と考えているか、内容を知らない状態にあります。制度がないのではなく、届いていないという構図です。

3. 職業別 ── 最も高い層でも17.0%

図2:職業別・傷病手当金の手残り額を試算している割合

40〜59歳・n=30,015(n=300以上の職業のみ)

職業別の試算済み割合。経営者役員17.0%、公務員教職員15.0%、医療関係者14.1%、会社員12.9%、会社員一般職9.8%、専業主婦主夫9.4%、自営業7.4%、パートアルバイト7.1%、無職5.5%
職業n税・社保を未考慮対象外/未理解2/3がそのまま試算済み
会社員8,78545.2%23.8%16.4%12.9%
会社員(一般職)5,14244.8%29.8%14.1%9.8%
公務員・教職員1,21645.6%21.9%16.5%15.0%
パート・アルバイト4,05943.3%38.2%8.5%7.1%
経営者・役員59934.4%32.9%14.2%17.0%
医療関係者56146.9%24.6%13.4%14.1%
自営業・自由業2,54313.6%72.5%5.0%7.4%
無職3,58523.8%59.0%2.6%5.5%

制度を最も身近に扱うはずの医療関係者でも、試算済みは14.1%。「休職中の税金や社会保険料の負担を深く考慮していなかった」は46.9%で、全職業のなかで最も高い水準でした。

4. 自営業・フリーランスには、そもそも所得補償がない

自営業・自由業では72.5%が「対象外、または制度内容をよく理解していない」と回答しました。傷病手当金は健康保険の給付であり、国民健康保険では法律上「任意給付」と位置づけられています。

つまり自営業・フリーランスの多くは、働けなくなった期間の収入を補う公的な仕組みを持ちません。医療費の上限は引き上げられ、収入を補う制度はない ── この層にとって、今回の改正は貯蓄で受け止めるほかない変化です。

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5. 医療費の理解と、収入の理解は連動している

傷病手当金についての回答n高額療養費を誤解耐久期間を試算済み
手残り額まで含めてシミュレーションしている3,0119.7%59.3%
2/3がそのまま使えると想定していた3,40222.7%11.9%
休職中の税金・社会保険料を深く考慮していなかった11,63327.0%3.7%
対象外、または制度内容をよく理解していない11,09250.8%3.9%

傷病手当金の手残りまでシミュレーションしている層は、高額療養費制度についても誤解が9.7%と、全体(33.1%)の3分の1以下。耐久期間の試算済みは59.3%で、全体(10.3%)の約6倍です。

逆に、傷病手当金を「対象外/内容を知らない」とした層は、高額療養費の誤解も50.8%と半数を超えます。片方の制度を把握していない人は、もう片方も把握していないという関係がはっきり出ました。制度ごとの知識の問題ではなく、「働けなくなったとき、家計に何が起きるか」を一度も通しで考えたことがあるかどうかの差だと読めます。

読み解き ── 支出の上限は決まっても、収入の下限は決まらない

高額療養費制度は、医療費の支出に上限を設ける仕組みです。2026年8月の改正でその上限は引き上げられましたが、年間上限の新設によって長期療養では軽くなるケースもあり、単純な負担増とは言えません。

問題は、その上限額を支払い続ける原資が、減っている最中の収入と貯蓄だということです。協会けんぽの平均支給期間164日、がんでは180日という数字は、半年前後にわたってその状態が続きうることを示しています。

今回の調査で見えたのは、この期間の手取りを具体的に計算した人が1割程度しかいないという実態です。制度は上限を決めてくれますが、収入の下限は誰も決めてくれません。そこを埋めるのは、貯蓄か、勤務先の制度か、民間の保障か、あるいは家族の収入です。どれを当てにするかは家庭ごとに違いますが、「何も当てにしていない」状態が最も多いというのが数字の示すところです。

編集部より

相談の現場で「働けなくなったらどうしますか」と伺うと、多くの方が「傷病手当金があるので」と答えられます。そこで「いくら入ってくると思いますか」と重ねると、答えが止まります。額面の3分の2までは知られていても、そこから社会保険料と住民税が引かれること、住民税は前年の所得で決まるため収入が減った年でも高いままであることは、あまり知られていません。

この計算は難しくありません。給与明細と直近の住民税額があれば、30分で概算が出ます。必要なのは新しい備えを買うことではなく、まず今ある制度でいくら入るのかを一度数字にしておくことです。そのうえで足りない分をどうするかを考える順番だと考えています。

IKIGAI TOWN 編集長/

調査概要

調査名:FP相談モニタープログラム「IKIGAI TOWN」 事前アンケート(医療費と就業不能に関するリスク認識調査)

調査主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)

調査方法:インターネット調査(スクリーニング全数集計)

調査時期:2026年3月期・4月期・5月期の3回分を合算。実施時期は納品データのレコード日時に基づく(2026年3月期=2026年3月23日 19時53分 記録/4月期=2026年4月6日 18時47分 記録/5月期=2026年5月17日 21時25分 記録)。

有効回答:30,015名(40〜59歳・平均50.7歳・男性64.4%)。職業別の集計はn=300以上の区分のみ掲載。

制度の出典:全国健康保険協会「傷病手当金」(支給要件・支給額・支給期間)、厚生労働省 第127回社会保障審議会医療保険部会 資料1「傷病手当金について」(平均支給期間164日・疾病別構成/平成30年度)。数値は2026年8月3日時点で確認。

留意点:回答者はFP相談モニターへの参加を検討した、お金・資産形成への関心が高い層が中心で、全国の縮図(国勢調査ベースの代表サンプル)ではありません。40〜59歳限定で全世代の縮図ではありません。本文の「89.0%が試算していない」は、被用者19,202人のうち「手残り額まで含めて家計のシミュレーションを行っている」(11.0%)と回答した人以外を指し、「その他」1.9%を含みます。明示的に未試算にあたる3つの選択肢の合計は87.1%です。選択肢「自営業等のため制度対象外、または制度内容をよく理解していない」は対象外の認識と理解不足が同一選択肢に含まれるため、両者を分離できません。職業は自己申告で、社会保険の加入状況は聴取していません。構成比は小数第1位までを表示し、四捨五入のため合計が100%にならない場合があります。

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短尺(全角13字):傷病手当金 試算1割

▍出典表記(コピペ用)

出典:<a href="https://ikigai.town/ja/press/2026-08-03/">IKIGAI TOWN モニター調査(40〜59歳・n=30,015)</a>

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出典:<a href="https://ikigai.town/ja/press/2026-08-03/">IKIGAI TOWN モニター調査(40〜59歳・n=30,015)</a>

本リリースは制度の一般的な解説を目的とした情報提供であり、特定の金融商品・保険商品の推奨や契約の勧誘を目的とするものではありません。傷病手当金の受給要件の該当可否や申請手続きについては、加入されている健康保険組合・協会けんぽ・勤務先の担当部署にご確認ください。国民健康保険における傷病手当金の実施状況は、お住まいの市区町村にご確認ください。

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