手続きガイド

年末調整の書き方【2026年版】
3つの申告書の記入例と提出手順

公開日:2026年4月11日 更新日:2026年4月11日 執筆:IKIGAI TOWN 編集部

毎年11月ごろに会社から配られる「年末調整の書類」。扶養控除等申告書、基礎控除・配偶者控除等申告書、保険料控除申告書――名前だけで心が折れそうになる3枚セットですが、実は書き方にパターンがあります。本記事では、会社員の方が迷わず記入できるように、3つの申告書の書き方を記入例つきで図解解説し、よくあるつまずきポイントと2026年最新の改正点を整理します。年末調整は単なる事務作業ではなく、所得税の還付額に直結する「1年で最も大事な節税タイミング」です。

年末調整とは?基本の仕組み

年末調整とは、毎月の給与から概算で天引きされてきた所得税を、12月の最終給与で精算する手続きのことです。毎月の源泉徴収は「仮払い」にすぎず、年間の正確な控除額(扶養・生命保険料・iDeCoなど)を反映させて1年分の所得税を確定させる――これが年末調整の役割です。

会社員の場合、基本的には会社が代行してくれるため、従業員がすることは「3つの申告書に記入して提出する」だけ。ただし、この3枚の内容が不正確だと控除が使えず、払いすぎた税金が戻らないままになります。

Point

年末調整で処理できないのは、主に①医療費控除 ②ふるさと納税(6自治体超) ③住宅ローン控除の初年度 ④寄附金控除(認定NPO等)の4つです。これらは年明けの確定申告で別途手続きが必要になります。

扶養控除等(異動)申告書の書き方

正式名称は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」。1枚目に渡されることが多い、最も重要な申告書です。記入するのは「翌年分」である点に注意しましょう(例:2026年11月に書く年末調整書類は「2027年分」となります)。

①本人情報欄

氏名・住所・個人番号(マイナンバー)・生年月日・世帯主の氏名と続柄を記入します。マイナンバーは会社が管理する情報と突合されるため、誤記に注意してください。

②源泉控除対象配偶者

配偶者の年間所得見積額が95万円以下(給与年収150万円以下)で、本人の年間所得が900万円以下の場合に記入します。配偶者の見積年収・マイナンバーを記入します。

③控除対象扶養親族

16歳以上の扶養親族(子・親など)を記入します。記入例の代表パターンは以下の通りです。

区分対象控除額
一般の控除対象扶養親族16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満38万円
特定扶養親族19歳以上23歳未満(大学生世代)63万円
同居老親等70歳以上の親・祖父母と同居58万円
同居老親等以外70歳以上で別居(仕送り等)48万円

④障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生

本人または扶養親族に該当者がいる場合、該当欄にチェックを入れます。特別障害者は控除額が大きく、同居特別障害者はさらに上乗せされます。

⑤16歳未満の扶養親族

16歳未満の子は所得税の扶養控除対象外ですが、住民税の非課税判定と児童手当の事務で使われるため、記入漏れは住民税に跳ね返る可能性があります。必ず記入しましょう。

基礎控除・配偶者控除等・所得金額調整控除申告書の書き方

正式名称は長いですが、1枚に3つの申告書がまとめられた「合体用紙」です。上から順に見ていきます。

①基礎控除申告書

本人の合計所得金額の見積額を記入します。給与年収のみの方は、年収欄に見込額、所得欄に給与所得控除後の金額を記入します。

合計所得金額基礎控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超 2,450万円以下32万円
2,450万円超 2,500万円以下16万円
2,500万円超0円

②配偶者控除等申告書

配偶者の合計所得金額と本人の合計所得金額を照合して、配偶者控除・配偶者特別控除のどちらに該当するかを判定します。いわゆる「103万円の壁」「150万円の壁」「201万円の壁」が出てくる欄です。

配偶者の給与年収控除の区分控除額(本人の所得900万円以下の場合)
〜103万円配偶者控除38万円
103万円〜150万円配偶者特別控除(満額)38万円
150万円〜201.6万円未満配偶者特別控除(逓減)3〜36万円
201.6万円以上対象外0円

③所得金額調整控除申告書

給与年収850万円超の人で、①23歳未満の扶養親族がいる ②本人が特別障害者 ③特別障害者である同一生計配偶者・扶養親族がいる――のいずれかに該当する場合に記入します。控除額は「(給与年収−850万円)×10%」で最大15万円です。

保険料控除申告書の書き方

生命保険会社・損害保険会社から10〜11月ごろに届く控除証明書を手元に用意し、転記していきます。

①生命保険料控除

「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3区分に分けて記入します。さらに、それぞれ2012年1月以降契約の「新制度」と2011年12月以前契約の「旧制度」に分かれ、計算式が異なります。

区分新制度(2012年以降)最大旧制度(2011年以前)最大
一般生命保険料4万円5万円
介護医療保険料4万円―(旧制度なし)
個人年金保険料4万円5万円
合計上限12万円10万円

②地震保険料控除

地震保険料は最大5万円、旧長期損害保険料は最大1.5万円、合算で最大5万円が所得から控除されます。火災保険部分は対象外なので、証明書の記載通りに書き写してください。

③社会保険料控除

会社の給与から天引きされている社会保険料は会社側が自動計算するため、記入不要です。自分で支払った国民年金・国民健康保険、家族分の国民年金保険料がある場合だけ、この欄に記入し、国民年金は控除証明書を添付します。

④小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)

個人払込のiDeCo加入者は、国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」の年間掛金合計額をそのまま記入します。iDeCoの掛金は全額が所得控除になるため、節税効果は保険料控除より大きいケースが多く、記入忘れは絶対に避けたい項目です。

注意

生命保険料控除は「新制度」と「旧制度」が混在しており、計算式が異なります。自分で計算するのが不安な場合は、証明書の「申告額」欄に記載されている金額(すでに計算済み)を使うと安全です。

住宅ローン控除(2年目以降)の添付書類

住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で処理できます。必要な書類は次の2点です。

  • 税務署から送付される「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」(9年分まとめて届いています)
  • 金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」

年末残高と連帯債務割合から控除額を計算して、申告書と残高証明書を会社に提出します。

提出期限とよくある間違い

提出期限は会社が個別に設定しますが、一般的には11月中旬〜12月初旬です。年末の給与計算に反映させるため、締切の延長はほぼ不可能と考えた方が安全です。

よくある間違いトップ5

  1. iDeCo掛金の記入漏れ:証明書が10月下旬と遅く届くため、書き忘れが多い。
  2. 配偶者の年収見込みが途中で変わる:育休復帰・副業開始などで12月時点の見込みとズレると、翌年に修正申告が必要になることがある。
  3. 別居の親の扶養漏れ:仕送り等で生計を一にしていれば、別居でも扶養控除の対象。
  4. 新旧の生命保険料控除の混同:契約年月で区分が変わるのを見落として計算ミス。
  5. 16歳未満の子を書かない:所得税の控除はないが、住民税の判定で使うので書く必要あり。

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FAQ

Q. 年末調整はいつまでに提出すれば良いですか?
A. 会社ごとに異なりますが、多くは11月中旬〜12月初旬です。税務署への法定調書提出が1月31日のため、会社側はそれに間に合うスケジュールで社内締切を設定しています。
Q. 年末調整と確定申告の違いは何ですか?
A. 年末調整は会社が代行する精算、確定申告は自分で行う精算です。年末調整を済ませていても、医療費控除・初年度住宅ローン控除・ふるさと納税(ワンストップ対象外)などは確定申告が必要です。
Q. ふるさと納税は年末調整で控除できますか?
A. できません。ワンストップ特例または確定申告のどちらかを選ぶ必要があります。
Q. 扶養に入れる親の条件は?
A. 年間合計所得が48万円以下(公的年金のみなら65歳以上158万円以下、65歳未満108万円以下)で、生計を一にしていること。別居でも仕送りがあれば該当し得ます。
Q. 中途入社の場合はどうなりますか?
A. 前職の源泉徴収票を新しい会社に提出すれば、前職分と合算して年末調整されます。源泉徴収票が間に合わない場合は自分で確定申告します。
Q. 退職した年に年末調整されていない場合は?
A. 確定申告(還付申告)で払い過ぎた税金を取り戻します。翌年2月16日〜3月15日が申告期間ですが、還付申告は1月から可能です。

まとめ

  • 年末調整は毎月天引きされてきた所得税の年次精算
  • 会社員は3つの申告書(扶養控除等・基礎控除等・保険料控除)を記入して提出
  • 医療費控除・ふるさと納税(6自治体超)・住宅ローン控除初年度は確定申告で別途対応
  • iDeCoや別居の親の扶養は記入漏れの代表格、証明書が届いたら即保管
  • 2026年分・2027年分ともに基礎控除・配偶者控除の金額体系は上記の通り
※ 本記事は2026年4月時点の一般的な情報をもとに作成しています。税制は毎年改正される可能性があるため、実際の申告にあたっては国税庁「年末調整がよくわかるページ」など公式情報をご確認のうえ、必要に応じて税理士などの専門家にご相談ください。