事業承継の基本
後継者選定・株式評価・税制特例の使い方【2026】
中小企業オーナーの事業承継は、後継者選定・株式評価・税制特例の3つで設計します。2018年に創設された事業承継税制(特例措置)は2027年12月末で適用期限を迎えるため、駆け込み準備の最終局面です。本記事では、税制特例の使い方、小規模宅地等の特例との組み合わせ、親族外承継・M&Aの選択肢までを整理します。
この記事の結論
中小企業オーナーの事業承継は、後継者選定・株式評価・税制特例の3つで設計します。事業承継税制(特例)の適用要件、小規模宅地の特例との組み合わせ、親族外承継・M&Aの選択肢を整理します。
事業承継の3つの選択肢
- 親族内承継:子・配偶者への承継。後継者育成期間と株式贈与・相続の税負担が課題
- 親族外承継(MBO/EBO):従業員・役員への承継。後継者の資金調達が課題
- M&A(第三者承継):外部企業への売却。スピードと譲渡価格の交渉が課題
中小企業庁の調査では、近年は親族内承継が約3割、M&Aを含む第三者承継が約4割と、M&Aが増加傾向です。
事業承継税制(特例措置)
事業承継税制は、後継者が先代から自社株を贈与・相続したときの税金(贈与税・相続税)を、事業継続を条件に100%猶予・免除する制度です。
- 特例承継計画を2026年3月末までに都道府県へ提出(延長可能性あり)
- 贈与・相続を2027年12月末までに実行
- 5年間の事業継続要件(雇用維持等)
注意
2026年4月時点で、特例承継計画の提出期限は2026年3月末から延長される動きがあります。最新情報を中小企業庁・都道府県の認定支援機関で確認してください。
株式評価の基本
非上場株式の評価方法は次の3つを組み合わせます。
- 類似業種比準方式:同業上場企業の株価をもとに評価(大会社向け)
- 純資産価額方式:会社の純資産を発行株数で割る(小会社向け)
- 配当還元方式:配当額から逆算(少数株主向け)
評価額を圧縮する典型策は「役員退職金支給」「不動産購入」「生命保険活用」など。実行は税理士と慎重に。
小規模宅地等の特例の活用
小規模宅地等の特例は、相続した宅地のうち事業用・居住用部分の評価を最大80%減額できる制度です。事業承継と組み合わせる場合、特定事業用宅地等として400㎡まで80%減額が使えます。
適用には「相続開始前から事業を継続」「相続後も継続」などの要件があり、適用漏れが多い論点。事業承継計画の中に組み込むのが鉄則です。
親族外承継とM&A
後継者不在の場合、M&Aは現実的な選択肢。中小機構の事業承継・引継ぎ支援センターが無料で初期相談を受け付けています。
M&A仲介手数料は譲渡額の5〜10%が相場。最近はマッチングプラットフォーム(バトンズ・トランビ等)も増え、小規模案件は仲介費用を抑えられる傾向にあります。