個人事業主のM&A
事業譲渡・後継者探しの実務とスモール市場【2026】
個人事業主・小規模法人のM&A(スモールM&A)は、マッチングプラットフォーム(バトンズ・TRANBI 等)の普及で身近になりました。譲渡側は引退・転業の出口、買い手側は新規開業の代替手段として使われます。本記事では、譲渡価格の相場・譲渡所得の税金・買い手側の融資(事業承継・引継ぎ補助金含む)・契約上の落とし穴を整理します。
この記事の結論
個人事業主・小規模法人のM&A(スモールM&A)は、マッチングプラットフォームの普及で身近になりました。譲渡価格の相場、譲渡所得の税金、買い手側の融資、契約上の落とし穴までを整理します。
スモールM&A市場の現在
譲渡額1,000万円以下のスモールM&Aは、過去5年で件数が3倍以上に伸びています。背景には、後継者不在問題と、買い手側の独立志向(脱サラ起業の代替)の双方があります。
主なプラットフォームは次のとおりです。
- バトンズ:日本最大級。譲渡額500万円〜が中心
- TRANBI(トランビ):個人事業案件多数
- 事業承継・引継ぎ支援センター:公的、無料相談
譲渡価格の相場と算定
個人事業主のM&Aの譲渡価格は、次のいずれかで算定するのが一般的です。
- 純資産+営業権(のれん):資産−負債 + 年間営業利益×2〜5年
- EBITDAマルチプル:EBITDA × 業種別倍率(中小企業で3〜5倍が目安)
- 類似取引法:プラットフォーム上の類似案件の成約価格を参考
飲食店・美容室・士業事務所など、業種ごとに相場感が大きく異なるため、複数のプラットフォームで類似案件を見るのが第一歩です。
譲渡所得・所得税の計算
個人事業の譲渡で発生する所得は、対象資産ごとに区分されます。
- 営業権(のれん):総合課税の譲渡所得(5年超保有なら長期譲渡で1/2課税)
- 棚卸資産:事業所得
- 固定資産(建物・機械等):譲渡所得
- 土地:分離課税の譲渡所得
区分を間違えると税負担が大きく変わるため、譲渡契約書で資産ごとの内訳を明確に書くのが重要。税理士に必ず相談を。
買い手側の融資と補助金
買い手側が使える資金調達手段は次のとおりです。
- 日本政策金融公庫の事業承継・集約・活性化支援資金:上限7,200万円
- 事業承継・引継ぎ補助金:M&A時の専門家費用や設備費を最大800万円補助
- 金融機関のM&Aローン:信金・地銀で取り扱い増加中
契約上の落とし穴
- 表明保証:譲渡側に隠れた負債・労務問題があった場合の補償ルールを明記
- 競業避止義務:譲渡後の同業再開禁止期間(通常2〜5年・地域限定)
- 従業員の処遇:転籍同意・労働条件継承を契約に書き込む
- 顧客・取引先への通知:契約上の地位移転に同意が必要なケース
個人M&Aは情報の非対称性が大きいため、専門家(M&Aアドバイザー・弁護士・税理士)の関与は必須です。
※ 本記事は2026年4月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FPなど専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。