所得税

源泉所得税とは
給与・賞与・退職金の天引きの仕組み【2026】

公開日: 更新日: 執筆:IKIGAI TOWN 編集部

源泉所得税とは、会社や取引先が給与・報酬を支払うときに、あらかじめ天引きして国に納める所得税です。給与明細の「所得税」欄に書かれている金額がこれにあたります。毎月の給与は概算で差し引かれ、11〜12月の年末調整で実際の税額と精算される――これが源泉徴収の基本的な流れです。給与・賞与・退職金・フリーランス報酬それぞれの計算ルールを整理します。

結論

  • 源泉所得税は「所得税の前払い」。最終税額は年末調整か確定申告で確定する。
  • 毎月の給与は「源泉徴収税額表(月額表)」で計算。扶養人数で税額が減る。
  • 賞与は前月給与ベースの税率を掛ける別ルール。年末調整で帳尻を合わせる。
  • 退職金は退職所得控除+1/2で、通常は軽い負担で終わる。

源泉所得税とは

所得税は本来、1年間の所得が確定してから1回でまとめて納めるものですが、それでは納税者の手元に大金が必要になり、国も年1回しか税収が入らなくなります。そこで、給与・報酬の支払者が支払時に天引きして先に国に納める仕組み――源泉徴収――が採用されています。

この天引き分が源泉所得税。あくまで「概算の前払い」なので、年末調整や確定申告で最終的な所得税額と比較し、足りなければ追加徴収、払いすぎていれば還付されます。

給与明細での位置づけ

給与明細で源泉所得税がどこに出てくるかを見てみましょう。

【支給】基本給300,000
   残業手当20,000
   通勤手当(非課税)12,000
   支給合計332,000
【控除】健康保険料△16,400
   厚生年金保険料△29,280
   雇用保険料△1,920
   所得税(源泉所得税)△6,750
   住民税△15,000
【差引】手取り262,650

「所得税」と書かれている6,750円が源泉所得税です。社会保険料を引いたあとの課税対象額と扶養人数から、源泉徴収税額表を使って会社が機械的に算出しています。

給与の源泉所得税の計算

月々の給与に対する源泉所得税は、国税庁が公表する「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」で求めます。計算手順は次の通りです。

  1. 社会保険料控除後の給与額を計算する(支給合計 − 健康保険・厚生年金・雇用保険)
  2. 扶養控除等申告書の「扶養親族等の数」を確認する
  3. 月額表の該当行(課税対象額)と該当列(扶養人数)の交点を読む

扶養人数が1人増えるごとに、月の源泉所得税は数千円ずつ下がります。扶養控除等申告書を提出していない場合は乙欄が適用され、甲欄(提出済み)より高い税額が徴収されます。副業先での給与が乙欄になるのはこのためです。

賞与の源泉所得税

賞与は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使います。前月の社会保険料控除後の給与額と扶養人数から算出率(0〜45.945%)を決め、これを賞与額(社会保険料控除後)に掛けて源泉所得税額を出します。

例:前月給与の課税対象額30万円・扶養1人・賞与60万円の場合

算出率は2.042%。賞与の社会保険料控除後を約51万円とすると、源泉所得税は約10,410円。

賞与の源泉徴収は「年収の12分の1を基準に年税率を一気に掛ける」形なので、控除が反映しきれず高く感じることがあります。違和感があっても、年末調整で最終的には平準化されるので問題ありません。

退職金の源泉所得税

退職金は分離課税で、他の所得とは別に所得税を計算します。計算式は次の通り。

課税退職所得 =(退職金 − 退職所得控除)× 1/2

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円 × 勤続年数(最低80万)
20年超800万 + 70万 ×(勤続年数 − 20)

勤続30年・退職金2,000万円なら、退職所得控除は800万+70万×10年=1,500万円。課税退職所得は(2,000万 − 1,500万)×1/2 = 250万円。ここに所得税率10%を掛けて252,500円 − 速算控除97,500円=155,000円。復興特別所得税込みで約158,255円の源泉所得税となります。退職所得の受給に関する申告書を会社に提出していれば、この計算が会社側で行われ、確定申告は不要になります(提出漏れの場合は20.42%の高い税率がかかります)。

フリーランス報酬の源泉徴収

フリーランスへの報酬でも、特定の業務(原稿料・講演料・デザイン料・弁護士/税理士報酬など)は支払者が源泉徴収します。

報酬額源泉徴収税率
100万円以下の部分10.21%
100万円超の部分20.42%

この源泉分はフリーランス本人の前払い税金なので、翌年の確定申告で年間所得税額と精算して取り戻したり追加納税したりします。経費が大きければ、源泉されていた分がほぼ還付になるケースもあります。

年末調整・確定申告で精算

毎月の源泉所得税はあくまで概算。以下の要素は、年末調整または確定申告で反映されて初めて税額に効きます。

  • 生命保険料控除・地震保険料控除
  • iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)
  • 扶養親族の増減(年の途中で家族が増えた)
  • 住宅ローン控除(2年目以降は年末調整で可)
  • 医療費控除・寄附金控除・住宅ローン控除の初年度(確定申告)
  • 副業所得20万円超の合算

書き方の詳細は年末調整の書き方、取り戻しの手順は確定申告の基本を参照してください。

給与明細の"引かれ方"、最適化できてる?

源泉所得税・社会保険料・住民税を合わせると、手取りの10〜25%が税・社保で引かれています。iDeCoや生命保険料控除、ふるさと納税の活用で、年に数万円〜十数万円戻る人も多くいます。

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※ 本記事は2026年4月25日時点の制度に基づく概算です。最新の税額表は国税庁 源泉徴収税額表でご確認ください。

IKIGAI TOWN 編集長より

塩飽 哲生

塩飽 哲生(しわく てつお)

IKIGAI TOWN 編集長 / スペシャリスト・ドクターズ株式会社 代表取締役

給与明細の「所得税」欄の数字を、ただ漫然と眺めていませんか? 扶養や控除の変動がきちんと反映されているか、年末調整後に1度だけでも自分で見返すと、数万円単位の取り戻しに気づけることがあります。源泉徴収票の右上の「源泉徴収税額」が年間の確定所得税額です。