所得税とは|計算方法・税率・控除の全体像
【2026年版】
給与所得者の所得税は「給与収入 − 給与所得控除 − 所得控除」×税率で決まる。
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目次(12セクション)
所得税とは|国税としての位置づけ
所得税は、個人の1年間(1月1日〜12月31日)の所得に対して国が課す税金です。課税方式は超過累進課税で、所得が多いほど高い税率がかかる仕組みになっています。会社員は源泉徴収+年末調整、個人事業主は確定申告、という形で最終的な税額を精算します。
「所得税」と一口に言っても、実際に私たちが負担するのは以下の3つを合算した金額です。
- 所得税(本税):課税所得 × 税率 − 控除額
- 復興特別所得税:所得税額 × 2.1%(2037年まで)
- 源泉所得税:給与・報酬支払時に天引きされる所得税(最終的には上記2つに含まれる)
所得税の計算方法 4ステップ
所得税の計算は、次の4ステップで整理すると迷いません。
Step1. 収入を把握する
給与・賞与・副業・年金・株式の譲渡益など、1年間に得た総額を集計します。会社員は源泉徴収票の「支払金額」欄がこれに該当します。
Step2. 所得を計算する(収入 − 経費等)
収入から、給与所得控除(会社員)や必要経費(事業所得)、公的年金等控除(年金受給者)を差し引きます。
| 給与収入(年収) | 給与所得控除額(2026年) |
|---|---|
| 162.5万円以下 | 55万円 |
| 162.5万円超〜180万円以下 | 収入×40% − 10万円 |
| 180万円超〜360万円以下 | 収入×30% + 8万円 |
| 360万円超〜660万円以下 | 収入×20% + 44万円 |
| 660万円超〜850万円以下 | 収入×10% + 110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
Step3. 課税所得を計算する(所得 − 所得控除)
所得から、基礎控除・配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除・生命保険料控除・医療費控除・iDeCo掛金控除などを差し引いた金額が課税所得です。各控除の金額は次章の一覧を参照してください。
Step4. 税額を計算する(課税所得 × 税率 − 控除額)
課税所得に超過累進税率を掛け、区分ごとの速算控除額を引くと所得税額が求まります。そこに復興特別所得税2.1%を上乗せし、住宅ローン控除など税額控除があれば最後に差し引きます。
計算例:年収500万円・独身・扶養なし
給与所得=500万 − 給与所得控除144万=356万円/社会保険料控除75万(年収×15%概算)+基礎控除48万=控除合計123万円/課税所得=356万 − 123万=233万円/所得税=233万×10% − 9.75万=13.55万円/復興特別所得税込みで約13.8万円。
2026年の所得税率表
課税所得に対する所得税率は、次の7段階の超過累進課税です。詳細な税率の読み方と早見表は別記事で解説しています。
| 課税所得 | 税率 | 速算控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
たとえば課税所得500万円なら、500万×20% − 42.75万=57.25万円。500万円全体に20%がかかるのではなく、195万までは5%、195〜330万は10%、330〜500万は20%、という階段状の計算を速算控除額で簡略化しているのがポイントです。
主要な所得控除一覧
| 控除の種類 | 所得税の控除額 | 対象 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 48万円 | 合計所得2,400万円以下の納税者全員 |
| 配偶者控除 | 38万円(70歳以上48万) | 配偶者の合計所得48万円以下 |
| 配偶者特別控除 | 最大38万円 | 配偶者の合計所得48万円超〜133万円以下 |
| 扶養控除(一般) | 38万円 | 16歳以上の扶養親族 |
| 特定扶養控除 | 63万円 | 19歳以上23歳未満の扶養親族 |
| 社会保険料控除 | 全額 | 本人・家族の社会保険料の支払額 |
| 生命保険料控除 | 最大12万円 | 一般・介護医療・個人年金の3区分合算 |
| iDeCo(小規模企業共済等掛金) | 全額 | iDeCoの年間掛金 |
| 医療費控除 | 支払額 − 10万円(総所得200万未満は総所得×5%) | 本人・家族の医療費 |
| 寄附金控除(ふるさと納税) | 寄附額 − 2,000円 | ふるさと納税等 |
住民税の控除額はこれよりやや少なめ(基礎控除43万、配偶者・扶養33万など)です。詳細は住民税の控除一覧で確認できます。
源泉所得税と年末調整の関係
会社員の給与明細の「所得税」欄に書かれているのが源泉所得税です。会社は「源泉徴収税額表」に基づき、毎月の給与から概算の所得税を天引きしています。このままだと生命保険料控除や扶養人数の変化が反映されないため、11〜12月の年末調整で実際の控除を加味して精算します。
年末調整で精算しきれない控除(医療費控除・ふるさと納税6自治体超・住宅ローン控除の初年度・副業の赤字など)は、翌年2月16日〜3月15日の確定申告で取り戻します。詳しくは源泉所得税の仕組みと年末調整の書き方をあわせてご覧ください。
住民税との違い
| 項目 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|
| 課税主体 | 国 | 都道府県・市区町村 |
| 対象所得 | 当年の所得 | 前年の所得 |
| 徴収方法(会社員) | 源泉徴収+年末調整 | 6月〜翌5月の特別徴収 |
| 税率 | 5〜45%(累進) | 所得割10%+均等割5,000円(一律) |
| 基礎控除 | 48万円 | 43万円 |
所得の種類|10種類の一覧と課税方式
所得税法では、所得をその性質に応じて10種類に分類しています。所得の種類によって計算方法や課税方式が異なるため、自分の収入がどの所得に該当するかを把握することが第一歩です。
| 所得の種類 | 概要 | 課税方式 |
|---|---|---|
| 給与所得 | 会社からの給与・賞与 | 総合課税 |
| 事業所得 | 自営業・フリーランスの事業収入 | 総合課税 |
| 不動産所得 | 家賃・地代など不動産の貸付収入 | 総合課税 |
| 利子所得 | 預貯金・公社債の利子 | 源泉分離課税(原則) |
| 配当所得 | 株式の配当金・投資信託の分配金 | 総合 or 申告分離 |
| 譲渡所得 | 土地・建物・株式などの売却益 | 分離課税(土地・株式) |
| 一時所得 | 保険の満期金・懸賞金など | 総合課税(1/2課税) |
| 雑所得 | 公的年金・副業収入・仮想通貨など | 総合課税 |
| 山林所得 | 山林の伐採・譲渡による所得 | 分離課税(5分5乗方式) |
| 退職所得 | 退職金・iDeCoの一時金 | 分離課税(1/2課税) |
総合課税の所得は合算して超過累進税率が適用され、分離課税の所得は他と合算せず個別の税率で計算します。たとえば会社員が副業でフリマ販売をした場合、給与所得+雑所得の合算額に累進税率がかかります。一方、株式の売却益は申告分離課税で一律20.315%です。
所得控除15種類の一覧
所得控除は全部で15種類あります。s4で主要な控除を紹介しましたが、ここでは全種類を網羅します。該当する控除を漏れなく適用することが、手取りを最大化する基本です。
| No. | 控除の種類 | 控除額(所得税) | 適用条件の要点 |
|---|---|---|---|
| 1 | 基礎控除 | 最大48万円 | 合計所得2,500万円以下の全員 |
| 2 | 配偶者控除 | 最大38万円 | 配偶者の合計所得48万円以下 |
| 3 | 配偶者特別控除 | 最大38万円 | 配偶者の合計所得48万円超〜133万円以下 |
| 4 | 扶養控除 | 38〜63万円 | 16歳以上の扶養親族(年齢区分で変動) |
| 5 | 社会保険料控除 | 全額 | 健康保険・厚生年金・国民年金等の支払額 |
| 6 | 小規模企業共済等掛金控除 | 全額 | iDeCo・小規模企業共済の掛金 |
| 7 | 生命保険料控除 | 最大12万円 | 一般・介護医療・個人年金の3区分合算 |
| 8 | 地震保険料控除 | 最大5万円 | 地震保険料の支払額 |
| 9 | 医療費控除 | 最大200万円 | 支払額 − 10万円(総所得200万未満は5%) |
| 10 | 寄附金控除 | 寄附額 − 2,000円 | ふるさと納税・特定公益法人等 |
| 11 | 雑損控除 | 損失額に応じて | 災害・盗難・横領による損失 |
| 12 | 障害者控除 | 27〜75万円 | 本人・配偶者・扶養親族が障害者 |
| 13 | 寡婦控除 | 27万円 | 夫と離婚・死別した一定の女性 |
| 14 | ひとり親控除 | 35万円 | 合計所得500万円以下のひとり親 |
| 15 | 勤労学生控除 | 27万円 | 合計所得75万円以下の勤労学生 |
会社員が年末調整で適用できるのは1〜8と12〜15です。医療費控除(9)・寄附金控除(10・ふるさと納税6自治体超)・雑損控除(11)は確定申告が必要です。該当する控除が多いほど課税所得が下がり、税額が減ります。
税額控除と所得控除の違い
所得税を減らす仕組みには所得控除と税額控除の2種類があり、効果の出方がまったく異なります。
| 比較項目 | 所得控除 | 税額控除 |
|---|---|---|
| 差し引くタイミング | 課税所得を計算するとき | 税額を計算した後 |
| 節税効果 | 税率に応じて変動(税率20%なら控除額の20%分) | 控除額がそのまま税額から減る |
| 高所得者ほど有利? | はい(税率が高いほど減税額が大きい) | 税率に関係なく一定 |
| 代表例 | 基礎控除・配偶者控除・社会保険料控除 | 住宅ローン控除・配当控除・外国税額控除 |
具体例で比較
課税所得500万円(税率20%)の人が、10万円の所得控除を受けた場合と、10万円の税額控除を受けた場合を比較します。
- 所得控除10万円:課税所得が490万円に → 税額の減少は10万×20%=2万円
- 税額控除10万円:税額から直接10万円が引かれる → 税額の減少は10万円
このように、同じ金額なら税額控除のほうが節税効果は大きいのが特徴です。住宅ローン控除が強力と言われるのは、ローン残高の0.7%が税額から直接差し引かれる税額控除だからです。
確定申告が必要なケース
会社員は年末調整で税額が精算されるため、原則として確定申告は不要です。ただし、以下のケースでは確定申告が義務または還付を受けるために必要になります。
確定申告が義務となるケース
- 給与収入が2,000万円超(年末調整の対象外)
- 副業・フリマ・仮想通貨などの所得が20万円超
- 2か所以上から給与を受けている(従たる給与の所得が20万円超)
- 個人事業主・フリーランス(事業所得がある)
- 不動産所得がある(家賃収入など)
- 退職所得について源泉徴収されていない場合
- 同族会社の役員で、会社から賃貸料・利子などを受け取っている場合
確定申告で還付を受けられるケース
- 医療費控除:年間の医療費が10万円超(セルフメディケーション税制は1.2万円超)
- ふるさと納税:6自治体超に寄附(ワンストップ特例の対象外)
- 住宅ローン控除:入居初年度(2年目以降は年末調整で可)
- 雑損控除:災害・盗難で資産に損害を受けた
- 配当控除:上場株式の配当を総合課税で申告する
- 年末調整で申告し忘れた控除がある
- 年の途中で退職し、年末調整を受けていない
確定申告の期間は毎年2月16日〜3月15日です。還付申告は1月1日から5年間提出可能なので、過去の控除漏れがあれば遡って申告できます。
年末調整の仕組み|会社員の税精算フロー
年末調整は、会社が従業員に代わって1年間の所得税額を精算する制度です。毎月の源泉徴収では概算の税額が天引きされているため、12月(または最終給与)の時点で過不足を調整します。
年末調整の流れ
- 10〜11月:会社から年末調整の書類(扶養控除等申告書・保険料控除申告書・基礎控除申告書など)が配布される
- 11月中旬〜下旬:従業員が書類に記入し、保険料の控除証明書などを添付して会社に提出
- 12月〜1月:会社が年間の給与総額・控除額・正確な税額を計算し、毎月天引きした源泉所得税の合計と比較
- 12月の給与 or 1月の給与:差額を還付(払いすぎの場合)または追加徴収(不足の場合)で精算
年末調整で提出する主な書類
| 書類名 | 適用される控除 |
|---|---|
| 扶養控除等(異動)申告書 | 扶養控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除 |
| 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 年金等受給者の扶養親族等申告書 | 基礎控除・配偶者控除・配偶者特別控除 |
| 保険料控除申告書 | 生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除 |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除(2年目以降) |
多くの会社員は年末調整だけで税務手続きが完結します。ただし、医療費控除・ふるさと納税(6自治体超)・住宅ローン控除の初年度などは年末調整では処理できないため、別途確定申告が必要です。
所得税のよくある質問(FAQ)
- 所得税はいくらから発生しますか?
- 給与収入のみの独身・扶養なしなら、年収103万円(給与所得控除55万+基礎控除48万)を超えた部分から所得税がかかります。配偶者や扶養家族がいる場合は、控除額が増える分だけ非課税ラインも上がります。
- 所得税と住民税は何が違いますか?
- 所得税は国税で、その年の所得に対して毎月の給与から源泉徴収され、年末調整または確定申告で精算されます。住民税は地方税で、前年の所得をもとに6月から翌年5月にかけて後払いで徴収されます。課税所得の計算は似ていますが、基礎控除額(所得税48万/住民税43万)など控除額が異なります。
- 源泉所得税とは何ですか?
- 会社や取引先が給与・報酬を支払う際に、あらかじめ天引きして国に納める所得税です。毎月の給与明細の「所得税」欄の金額がこれにあたり、年末調整や確定申告で最終税額と精算されます。
- 課税所得とは何ですか?
- 所得(収入から必要経費や給与所得控除を引いた金額)から、さらに基礎控除・配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除などの所得控除を差し引いた金額です。この課税所得に税率を掛けて所得税額が決まります。
- 所得税の税率は何%ですか?
- 所得税は超過累進課税で、課税所得に応じて5%・10%・20%・23%・33%・40%・45%の7段階です。加えて所得税額×2.1%の復興特別所得税が上乗せされます。2026年分の税率表は本記事内に掲載しています。
- 会社員でも確定申告が必要なケースは?
- 副業などの所得が20万円を超える場合、給与収入が2,000万円を超える場合、医療費控除を受ける場合、ふるさと納税の寄附先が6自治体を超える場合、住宅ローン控除の初年度などは、年末調整とは別に確定申告が必要です。還付申告は1月1日から5年間提出できます。詳しくは確定申告が必要なケースをご覧ください。
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本ページの制度概要・要件・税率は、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(執筆時点)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。FPは記事を直接監修してはおらず、関連テーマでご相談を受けるFPとしてご紹介しています。
- 出典: 国税庁 公式サイト — 所得税法・税率表・給与所得控除・基礎控除の所管
- 出典: 財務省 公式サイト — 税制改正・復興特別所得税
- 出典: 総務省 公式サイト — 住民税・個人住民税の所管
最終確認日:2026年5月14日
※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。
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