── 「備えは十分」と答えたのは資産500万円未満で6.9%、3,000万円以上で38.1%と5.5倍の差。加入者の49.4%は保険内容を3年以上確認していない――40〜59歳30,015人調査
がん経験者を対象とした調査では、治療開始から半年以内に「生活が苦しい」と感じるようになった人が46%にのぼります(ライフネット生命保険「がんとお金に関するアンケート調査2025」・n=719)。この統計を提示したうえで、ライフプランメディア「IKIGAI TOWN」(運営:スペシャリスト・ドクターズ株式会社)編集部が40〜59歳30,015人に自身の備えを尋ねたところ、生命保険に加入している18,820人のうち42.1%が「保険があるため大丈夫だと考えていたが、生活費全体の影響までは想定していなかった」と回答しました。この割合は資産500万円未満で52.6%、3,000万円以上では18.8%。逆に「備えは十分」と答えたのは6.9%対38.1%で5.5倍の開きがあり、保険に入っているかどうかより、資産があるかどうかで安心が分かれている構図が見えました。図表・データは出典明記のうえCC BY 4.0で自由に引用・転載できます。
2026年8月から高額療養費制度の自己負担限度額が引き上げられました。当編集部はこれを受け、公的制度と収入の側から2本のリリースを公開しています(後述)。本リリースはその3本目にあたり、民間の保険で埋められる部分と埋められない部分を扱います。
本リリースは特定の保険商品の推奨や、加入・見直しを促すことを目的としたものではありません。制度と保険それぞれがカバーする範囲を数字で確認するための情報提供です。
がん経験者719人への調査では、治療開始から半年以内に「生活が苦しい」と感じるようになった人が46%。収入が減ったあとの生活費の工面は「貯蓄の切り崩し」62%、「本人や家族の生活費の節約」52%、「公的制度の利用」44%、「民間保険からの給付」36%の順でした(ライフネット生命保険、2025年10月10日公表)。
この統計を提示したうえで、自身の備えと照らし合わせてどう思うかを尋ねました。
40〜59歳・保険加入者 n=18,820(資産帯別は金融資産に「わからない/答えたくない」と回答した層を除く)
| 回答 | 保険加入者 全体 | うち資産500万円未満 | うち3,000万円以上 | 保険に加入なし |
|---|---|---|---|---|
| 保険があるため大丈夫だと考えていたが、生活費全体の影響までは想定していなかった | 42.1% | 52.6% | 18.8% | 51.2% |
| 半年程度の予備費はあるが、それ以上の長期化には不安がある | 41.8% | 38.2% | 42.6% | 29.8% |
| 備えは十分であり、統計のような状況は回避できると考えている | 14.2% | 6.9% | 38.1% | 9.8% |
| その他 | 2.0% | 2.3% | 0.6% | 9.3% |
保険に加入している人でも、42.1%が「生活費全体の影響までは想定していなかった」と答えました。医療費への備えと、収入が減ることへの備えは別物ですが、両者が同じ「保険がある」という感覚にまとめられている可能性があります。
より大きいのは資産による差です。同じ保険加入者でも、資産500万円未満では52.6%がこの回答を選び、「備えは十分」はわずか6.9%。3,000万円以上では18.8%と38.1%で、ちょうど裏返しになります。安心を決めているのは保険の有無ではなく、取り崩せる資産があるかどうかだと読めます。
がん治療は入院中心から通院中心へと変化しています。加入中の保険が「通院保障の有無」や「支払対象となる疾患の範囲」で現在の医療実態に合っているか、直近で確認したかを尋ねました。
40〜59歳・保険加入者 n=18,820
「3年以上確認しておらず、内容が現代の治療に適しているか不安がある」が49.4%で、加入者のほぼ半数。1年以内に確認した人は18.9%でした。
ここにも資産差があります。3年以上未確認は資産500万円未満54.0%に対し3,000万円以上37.6%。1年以内に確認した人は15.4%対28.1%です。保険を持っているかどうかより、点検されているかどうかで差がついています。
全項目のCSV(保険加入有無別・資産帯別・年代別・n付き)をダウンロード
本リリースは、2026年8月の高額療養費制度の見直しを受けて公開している一連の調査の3本目です。
3本を通して同じ形が繰り返し現れました。公的制度でも、収入補償でも、民間保険でも、「あると思っていたもの」と「実際に埋まる範囲」の間にずれがあり、そのずれは資産の少ない層ほど大きいということです。
民間の医療保険やがん保険は、治療にかかる費用に対して給付されます。しかし療養で家計が苦しくなる理由は、治療費だけではありません。収入が減り、その一方で通院の交通費や食事代、家事の外注といった支出が増えます。これらは保険の対象外であることが多く、貯蓄から出ていきます。
がん経験者の調査で、収入減後の工面の1位が「貯蓄の切り崩し」62%、民間保険からの給付が36%にとどまっているのは、この構造を示しています。保険は治療費を埋めますが、暮らしそのものは貯蓄が支えているということです。
だとすれば、「備えは十分」と感じられる割合が資産500万円未満で6.9%、3,000万円以上で38.1%と5.5倍違うのは、自然な結果とも言えます。保険に入ることで安心が得られているのではなく、取り崩せる貯蓄があることで安心が得られている。今回の数字はそう読めます。
必要なのは保険を増やすことでも減らすことでもありません。公的制度でいくらまで抑えられ、保険でいくら出て、残りいくらを貯蓄から出すことになるのか。この3つを一度並べて数字にすることだと考えます。
調査名:FP相談モニタープログラム「IKIGAI TOWN」 事前アンケート(医療費と就業不能に関するリスク認識調査)
調査主体:スペシャリスト・ドクターズ株式会社(IKIGAI TOWN 運営)
調査方法:インターネット調査(スクリーニング全数集計)
調査時期:2026年3月期・4月期・5月期の3回分を合算。実施時期は納品データのレコード日時に基づく(2026年3月期=2026年3月23日 19時53分 記録/4月期=2026年4月6日 18時47分 記録/5月期=2026年5月17日 21時25分 記録)。
有効回答:30,015名(40〜59歳・平均50.7歳・男性64.4%)。うち生命保険の加入者18,820名、加入なし11,195名。資産帯別は金融資産の設問に「わからない/答えたくない」と回答した層を除く。
提示した統計の出典:ライフネット生命保険株式会社「がんとお金に関するアンケート調査2025」(2025年10月10日公表。がん経験者で診断時に勤労していた方719人)。「治療開始から半年以内に生活が苦しいと感じるようになった」46%、収入減後の工面は「貯蓄の切り崩し」62%、「本人や家族の生活費の節約」52%、「公的制度の利用」44%、「民間保険からの給付」36%。内容は2026年8月6日時点で確認。
留意点:回答者はFP相談モニターへの参加を検討した、お金・資産形成への関心が高い層が中心で、全国の縮図(国勢調査ベースの代表サンプル)ではありません。40〜59歳限定で全世代の縮図ではありません。本設問は上記の統計を提示したうえで回答を求める形式のため、提示を読んで初めて気づいた回答者が含まれます。「生命保険の加入者」は、加入中の保険の確認状況を尋ねた設問で「現在加入している生命保険はない」以外を選んだ層と定義しています。構成比は小数第1位までを表示し、四捨五入のため合計が100%にならない場合があります。
本リリースの図表・数値・本文は、出典を明記いただければCC BY 4.0のもと、改変を含めて自由にご利用いただけます(事前連絡不要)。
▍記事本文(リード・小見出し付き・そのまま出稿可)
kiji-honbun.txt をダウンロード(見出し3案・調査概要・媒体別の切り口メモを同梱)
▍図表(1200px・出典クレジット焼き込み済み)
▍数値データ
全項目・保険加入有無別/資産帯別/年代別(n付き・CSV)
▍見出し案
媒体記事用(40字):保険加入者の42.1%「生活費全体までは想定していなかった」
SNS・タイトル用(60字):保険に入っていても42.1%が「生活費全体までは想定していなかった」── 備えは十分は資産500万円未満6.9%、3,000万円以上38.1%
短尺(全角13字):保険あっても4割が想定外
▍出典表記(コピペ用)
▍追加集計・取材
年代別・性別・職業別・資産帯別などの追加集計をご提供できます。support@ikigai.town(メールのみ)
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本リリースは家計と公的制度に関する情報提供を目的としたものであり、特定の保険会社・保険商品の推奨や、契約・見直しの勧誘を目的とするものではありません。また個別の医療行為の判断に関する助言も含みません。保障内容の確認や見直しについては、ご契約中の保険会社・代理店にお問い合わせください。公的制度の適用可否は、加入されている健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の窓口にご確認ください。
編集部より
相談の現場で「がん保険には入っています」とおっしゃる方に、「治療中の生活費はどうしますか」と伺うと、多くの場合そこで話が止まります。治療費と生活費は別だと頭では分かっていても、家計として並べて考えたことがない、という状態です。
今回の調査で、保険に入っている方の42.1%が同じところで止まっていました。そして「備えは十分」と感じられるかどうかは、保険よりも貯蓄額で決まっていました。保険を売る側でも買う側でもなく、まず3つの財布(公的制度・民間保険・貯蓄)がそれぞれどこまで持つのかを、一度だけ紙に書いてみることをお勧めしています。
IKIGAI TOWN 編集長/塩飽 哲生