相続・贈与

家族信託で認知症対策
費用・メリット・デメリットを徹底解説

相続税と納税資金を家族で確認しもめない準備を進める場面
税額だけでなく、納税資金、家族の分け方、親の意思を早めに整理します。

親が認知症になったとたん、本人名義の預金は引き出せなくなり、実家の売却もできなくなる——。これが「資産凍結リスク」と呼ばれる問題です。

記事の答えを確認した次に

遺言や家族信託、うちには本当に必要?

決めるタイミング: 本人の意思を確認でき、家族で財産管理や分け方を話せるうち。

相談で繰り返される本音

  • 親にどう切り出せばいいか分からない
  • 制度を作っても家族が使えなければ困る
  • 費用をかける前に必要性を見極めたい

初回で口頭整理できること

初回は、本人の希望、家族関係、管理が心配な財産を伺い、専門家へ確認する論点を口頭で整理します。

その次に分けること

必要性が見えた後、司法書士・弁護士・税理士などへ確認する内容を分けます。

初回の範囲: 法的有効性の判断、遺言・信託契約の作成、登記・税務手続きの代行は初回に行いません。

初回で必要性の見立てを聞く

初回は口頭で整理します。資料がなくても、分かる範囲から始められます

相談前のFAQ

資料がそろっていなくても相談できますか?

はい。初回は、いま分かる範囲から迷いと確認順を整理します。通知書、通帳、財産や家計のメモなどが手元にあれば、分かる範囲だけご用意ください。

初回で何を持ち帰れますか?

いま決めること、まだ決めなくてよいこと、次に確認する数字や窓口を口頭で整理して持ち帰れます。初回当日の資料完成は約束していません。

初回に商品や契約の話がありますか?

初回は迷いと数字の整理に使います。金融商品の見積り、申込み、契約変更は初回の範囲に含みません。

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目次(8セクション)
  1. 家族信託とは何か
  2. 認知症による資産凍結リスク
  3. 家族信託と成年後見制度・遺言の違い
  4. 家族信託の手続きの流れ
  5. 家族信託の費用相場
  6. 家族信託の注意点・デメリット
  7. どんな人が家族信託を使うべきか
  8. 関連する制度を深掘りする

家族信託とは何か

家族信託とは、信頼する家族に自分の財産の管理・運用・処分を託す契約のことです。法律上は「民事信託」の一種で、商業的な信託銀行の商品とは区別されます。登場人物は基本的に3人。

  • 委託者:財産の持ち主で、信託する人(例:親)
  • 受託者:財産の管理を託される人(例:子)
  • 受益者:その財産から生じる利益を受け取る人(例:親本人)

多くの家族信託では、委託者と受益者を親本人、受託者を子、という形で設計されます。これにより、親が元気なうちは実質的には従来どおり生活しつつ、判断能力が低下してからも子が財産を動かせる、という仕組みを実現できます。

家族信託は2007年の信託法改正で利用しやすくなり、近年は認知症対策として急速に注目を集めています。従来の成年後見制度に比べて柔軟性が高く、財産管理だけでなく不動産の売却・建て替え・賃貸経営の継続なども信託契約に盛り込めるのが特徴です。

家族信託で信託できる財産の範囲

家族信託に入れることができる財産は、金銭的な価値があり、特定できるものであれば基本的に何でも対象になります。代表的なものは以下のとおりです。

  • 不動産:自宅、収益物件(アパート・マンション)、土地、駐車場など
  • 金銭:預貯金、現金(信託口口座で管理)
  • 有価証券:上場株式、投資信託(ただし対応する証券会社が限られる)
  • その他:ゴルフ会員権、著作権、特許権など

一方、年金受給権や生命保険の受取人としての地位など、一身専属的な権利は信託に入れることができません。また、負債(借入金)そのものを信託することもできませんが、収益不動産に付随するローンがある場合は、金融機関と協議して信託の設計に組み込むことが実務上行われています。

認知症による資産凍結リスク

親が認知症と診断されると、本人名義の銀行口座は実質的に凍結され、預金の引き出しや定期預金の解約ができなくなります。不動産の売却や賃貸契約の変更も、本人の意思確認ができない限り進められません。これが「資産凍結リスク」です。

厚生労働省の推計によれば、65歳以上の高齢者のうち認知症の人は2025年時点で約700万人に達するとされています。「自分の親は大丈夫」と思っていても、判断能力の低下は突然やってきます。

資産凍結が起きると、次のような問題が生じます。

  • 親の介護費用を親の預金から支払えない
  • 実家を売却して施設入所費用に充てることができない
  • アパート経営の修繕・入居者募集などの意思決定ができない
  • 相続対策(生前贈与・生命保険の契約変更など)が一切できなくなる

家族信託は、こうした資産凍結リスクに備えるための最も柔軟な手段です。信託契約を結んでおけば、親の判断能力が低下した後も、受託者(子)が信託財産の管理・処分を続けることができます。

資産凍結が発生するタイミング

よく誤解されがちですが、資産凍結は「認知症と診断された瞬間」に自動的に起きるわけではありません。実際には、銀行窓口で本人確認ができない・意思確認が取れないと判断された時点で実質的な凍結が始まります。具体的には、定期預金の解約や大口の引き出し、不動産の登記手続きなどの場面で問題が顕在化します。

家族信託と成年後見制度・遺言の違い

財産管理や相続対策の手段としては、家族信託のほかに「成年後見制度」と「遺言」があります。それぞれの特徴を比較すると次のとおりです。

比較項目家族信託成年後見制度(法定後見)遺言
目的生前の財産管理+死後の承継判断能力低下後の財産保全死後の財産分配
開始時期契約締結時から家庭裁判所の審判後被相続人の死亡後
財産の柔軟な運用可能(売却・建替・投資など)原則不可(保全が目的)対象外
不動産の売却信託契約の範囲内で自由家庭裁判所の許可が必要対象外
誰が管理するか家族(受託者)家庭裁判所が選任した後見人遺言執行者
ランニングコスト基本なし(信託監督人を置く場合は別)後見人報酬(月2〜6万円程度)なし
本人の意思反映契約時に自由に設計可能制限あり(裁判所の監督下)遺言作成時の意思のみ
二次相続の指定可能(受益者連続型信託)不可不可(一代限り)
身上監護(介護契約等)不可(財産管理のみ)可能対象外

家族信託は生前の財産管理から死後の承継まで一体的にカバーできる点で優れていますが、身上監護(介護施設との契約や医療同意など)はカバーできません。認知症が進行した場合の身上監護が必要なケースでは、家族信託と任意後見契約を組み合わせて利用するのが一般的です。

受益者連続型信託とは

家族信託の大きな特徴の一つが「受益者連続型信託」です。遺言では財産の承継先を「次の一代」までしか指定できませんが、家族信託では「親の死後は配偶者が受益者、配偶者の死後は長男が受益者」というように、複数世代にわたる承継先を事前に決めておくことができます。

たとえば、再婚家庭で前妻の子と後妻がいるケースや、障害のある子がいるケースなど、通常の遺言だけでは対応が難しい状況で特に威力を発揮します。ただし、信託の期間は最長30年(受益者が死亡した場合はその次の受益者まで)という制限があります。

家族信託の手続きの流れ

家族信託を設定するまでの流れは、一般的に以下のステップで進みます。

ステップ1:家族での話し合い

まず、委託者(親)と受託者(子)の間で、どの財産を信託に入れるか、管理方針はどうするか、受益者を誰にするかを話し合います。兄弟姉妹がいる場合は、全員が納得できる形にすることが後のトラブル防止につながります。

ステップ2:専門家への相談

司法書士や弁護士などの専門家に相談し、信託契約書のドラフトを作成します。FPには生活資金・家計条件の整理を相談し、個別の税務判断は税務署または税理士に確認します。信託財産に不動産が含まれる場合は、信託登記の手続きも必要になります。

ステップ3:信託契約書の作成・公正証書化

信託契約書は私文書でも有効ですが、金融機関での信託口口座開設や、将来のトラブル防止のために公正証書で作成するのが実務上の標準です。公証役場で公証人立ち会いのもと作成します。

ステップ4:信託登記・信託口口座の開設

不動産がある場合は法務局で信託登記を行い、金銭は金融機関で信託口口座を開設します。信託口口座は受託者の個人口座とは別に管理され、受託者の破産等からも信託財産が保護されます。

ステップ5:信託の運用開始

契約締結・登記・口座開設が完了したら、信託の運用がスタートします。受託者は信託契約に基づいて財産を管理し、必要に応じて受益者に利益を給付します。帳簿の作成や年次報告など、受託者には一定の義務が課されます。

手続きにかかる期間の目安

家族での話し合いから信託の運用開始まで、通常2〜4か月程度かかります。家族間の合意形成に時間がかかるケースや、不動産が複数ある場合はさらに長くなることもあります。親の判断能力が急に低下するリスクを考えると、余裕を持って準備を始めることが大切です。

手続きの全体像を把握したうえで、まずはFPに家族の財産状況を整理してもらい、家族信託が必要かどうかの判断から始めるのが効率的です。

専門家の選び方

家族信託の契約書作成は、主に司法書士または弁護士に依頼します。選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

  • 家族信託の実績が豊富か:信託法は複雑で、一般的な相続手続きとは異なる専門知識が必要です。家族信託を専門に扱っている事務所を選びましょう。
  • 役割に応じた専門家との連携体制があるか:契約の法的判断は弁護士・司法書士等、個別の税務判断は税務署・税理士、生活資金・家計条件の整理はFPと、必要な役割へ接続できる体制を確認します。
  • アフターフォローがあるか:信託設定後も、契約内容の変更や信託の終了などの場面で専門家のサポートが必要になることがあります。

費用だけで選ぶのではなく、実績と対応力を重視して選ぶことが、後悔しない家族信託の設計につながります。

信託契約書に盛り込むべき主な条項

信託契約書には、将来起こりうるさまざまな事態を想定した条項を盛り込んでおく必要があります。代表的な条項は以下のとおりです。

  • 信託の目的:財産管理と受益者の生活保障のために信託を設定する旨
  • 信託財産の範囲:信託に入れる不動産・金銭・有価証券の特定
  • 受託者の権限:不動産の売却・賃貸・建替え・修繕の権限範囲
  • 受益者への給付方法:生活費・医療費・介護費の支出基準と手続き
  • 受託者の後任:受託者が先に亡くなった場合や辞任した場合の後任者
  • 信託の終了事由:どのような場合に信託が終了するか(受益者の死亡、目的の達成等)
  • 残余財産の帰属先:信託終了後に残った財産を誰に帰属させるか

契約書のひな型はインターネット上にも公開されていますが、家族ごとの事情は千差万別です。必ず専門家と相談のうえ、自分の家庭に合った契約書を作成しましょう。

家族信託の費用相場

家族信託の設定にかかる費用は、信託財産の額や不動産の有無によって大きく変わります。以下は一般的な費用の目安です。

費用項目目安金額備考
コンサルティング・契約書作成(司法書士・弁護士)30万〜80万円信託財産額の0.5〜1%程度が相場
公正証書作成費用3万〜10万円信託財産額に応じて公証人手数料が変動
不動産の信託登記(登録免許税)固定資産税評価額の0.3〜0.4%土地は0.3%、建物は0.4%
信託口口座開設無料〜数千円金融機関により異なる
信託監督人の報酬(任意)年10万〜30万円置かない場合は不要

たとえば、自宅(評価額2,000万円)と金銭1,000万円を信託する場合の初期費用は、概算で40万〜100万円程度になります。成年後見制度の後見人報酬が月2〜6万円(年24〜72万円)であることを考えると、長期的には家族信託の方がコストを抑えられるケースが少なくありません。

相続全体の費用感や不動産の扱いについては不動産相続の基本と注意点も参考になります。

信託財産額別の費用シミュレーション

具体的な費用感をつかむために、信託財産額別の概算費用を見てみましょう。

  • 信託財産3,000万円(自宅+預貯金):初期費用 約50〜90万円。後見人報酬と比較すると3〜4年で元が取れる計算です。
  • 信託財産5,000万円(自宅+収益不動産+預貯金):初期費用 約70〜120万円。収益不動産の管理継続ができるため、後見制度よりもメリットが大きい。
  • 信託財産1億円超(複数不動産+金融資産):初期費用 約100〜200万円。信託監督人の設置を検討する規模。税理士との連携も必要。

なお、家族信託は信託設定時に贈与税がかかりません(委託者=受益者の自益信託の場合)。また、不動産の信託登記にかかる登録免許税は、所有権移転登記(通常2%)と比べて0.3〜0.4%と大幅に低く設定されています。

Point

家族信託は「認知症になってから」では契約できません。あくまで判断能力がしっかりしているうちに結ぶ必要があります。「まだ元気だから不要」ではなく「元気なうちしか結べない」という理解が大切です。

家族信託の注意点・デメリット

家族信託は柔軟で便利な制度ですが、万能ではありません。以下の注意点を理解したうえで検討しましょう。

身上監護はカバーできない

家族信託はあくまで「財産管理」の仕組みです。介護施設との入所契約や、医療行為への同意など、本人の身の回りに関する法的な代理(身上監護)は信託の対象外です。身上監護が必要な場合は、任意後見契約を併用する必要があります。

受託者に適任者がいない場合がある

受託者は信託財産を管理する義務を負います。帳簿をつけ、税務申告を行い、受益者に対して報告する責任があります。こうした業務を担える家族がいない場合や、兄弟間で受託者の選定について合意できない場合は、信託の設定自体が難しくなります。

初期費用がかかる

前述のとおり、信託契約書の作成・公正証書化・登記手続きなどで数十万円の初期費用が発生します。信託財産が少額の場合は、費用対効果の面で成年後見制度の方が合理的なこともあります。

税制上のメリットは限定的

家族信託そのものに節税効果はありません。信託を設定しても贈与税や相続税が軽減されるわけではなく、あくまで「財産管理の仕組み」として活用するものです。節税を目的とする場合は、生前贈与や生命保険の活用を別途検討する必要があります。

金融機関の対応がまちまち

信託口口座の開設に対応している金融機関は年々増えていますが、すべての銀行が対応しているわけではありません。地方銀行や信用金庫では対応していないケースもあるため、事前に確認が必要です。

遺留分を侵害する信託設計はトラブルの原因になる

家族信託の設計次第では、一部の相続人の遺留分を侵害する形になる可能性があります。たとえば、信託によって特定の子にだけ財産が集中するような設計をすると、他の相続人から遺留分侵害額請求を受けるリスクがあります。信託契約を設計する際は、遺留分を考慮した上で、家族全員が納得できるバランスにすることが重要です。

信託契約の変更・終了が簡単ではないケースがある

信託契約は、委託者と受託者の合意があれば原則として変更や終了ができます。しかし、委託者が認知症になった後は本人の意思確認ができないため、変更が難しくなります。また、受益者が複数いる場合は全員の合意が必要になるなど、変更の手続きが複雑になることがあります。最初の契約設計段階で、将来の変更可能性も見据えた条項を盛り込んでおくことが大切です。

受託者の責任と義務

受託者になると、以下の法的義務が課されます。これらを事前に理解したうえで引き受けることが重要です。

  • 善管注意義務:善良な管理者としての注意をもって信託事務を処理する義務
  • 忠実義務:受益者の利益のためにのみ信託事務を処理する義務(受託者自身の利益と相反する行為の禁止)
  • 分別管理義務:信託財産を受託者の固有財産と分けて管理する義務
  • 帳簿作成・報告義務:信託財産の収支や管理状況を記録し、受益者に報告する義務

これらの義務に違反した場合、受託者は損害賠償責任を負うことがあります。兄弟間で受託者を選ぶ際には、こうした責任を理解し、実際に事務処理能力がある人を選ぶことが大切です。

家族信託と相続税の関係

家族信託を設定しても、それだけで相続税が変わることはありません。委託者=受益者(自益信託)の場合、信託設定時に贈与税は発生しません。委託者が亡くなった時点で、信託財産は通常の相続財産と同様に相続税の課税対象になります。

ただし、家族信託を活用して不動産の売却や組み替えを行うと、財産構成や将来の相続税評価に影響する場合があります。FPには生活資金・家計条件の整理を相談し、個別の税額計算・税務上の取扱いは税務署または税理士、信託契約の法的判断は弁護士や司法書士等に確認してください。

どんな人が家族信託を使うべきか

家族信託は万能ではありませんが、以下のようなケースで特に効果を発揮します。

  • 親に実家などの不動産があり、将来的に売却や賃貸の可能性がある
  • 親が元気なうちから子がまとまった金額の管理を任されることを想定している
  • アパート・マンションなど収益不動産を所有しており、判断能力低下後も運営を継続したい
  • 障害のある子のために、親亡き後も安心して財産を引き継がせたい
  • 二次相続まで見据えて、財産の承継先を指定しておきたい

逆に、財産が預貯金だけで少額の場合や、認知症のリスクが低い(まだ若い)場合は、遺言だけで十分なケースもあります。相続税の試算は相続税シミュレーターで概算できますので、まずは自分の家庭の状況を把握することから始めましょう。

モデルケース①:自宅+預貯金の家族信託

80代の父が自宅(評価額2,500万円)と預貯金1,500万円を保有。母は他界しており、子は長男と長女の2人。長男が近居で父の面倒を見ているケースです。

この場合、長男を受託者として「自宅の管理・売却権限」と「預貯金から介護費用を支出する権限」を信託契約に盛り込みます。父が施設に入所した際に自宅を売却して入所費用に充てる、といった対応が可能になります。信託しない場合、成年後見人の選任と家庭裁判所の許可が必要になり、売却に半年以上かかることもあります。

モデルケース②:収益不動産の家族信託

75歳の父がアパート2棟(年間家賃収入600万円)を保有。管理会社に委託しているものの、大規模修繕や入居者トラブルの対応、契約更新の判断は父が行っています。

父が認知症になると、修繕工事の発注・入居者募集条件の変更・家賃の値上げ改定などの意思決定ができなくなります。家族信託で長男を受託者にしておけば、長男がアパート経営の意思決定を引き継ぐことができます。家賃収入は信託口口座で管理し、父(受益者)の生活費や医療費に充てられます。

モデルケース③:障害のある子のための家族信託

知的障害のある30代の次男がいる家庭。両親が亡くなった後も、次男の生活を経済的に支え続けたい場合です。

この場合、「受益者連続型信託」を活用し、父の死後は母が受益者、母の死後は次男が受益者、長男を受託者として設計します。長男が次男の生活に必要な費用を信託財産から支出する仕組みを作ることで、親亡き後も次男の生活を守ることができます。遺言だけでは「財産を渡す」ことはできても「管理して使う」仕組みは作れないため、家族信託ならではの活用法です。

家族信託を始めるベストなタイミング

家族信託の設定は「元気なうちに」が鉄則ですが、具体的にはいつから検討すべきでしょうか。一般的な目安は以下のとおりです。

  • 親が70代前半まで:理想的なタイミング。判断能力に問題がなく、家族での話し合いもスムーズに進めやすい。
  • 親が70代後半〜80代前半:まだ間に合うが、判断能力の確認が重要。公証人による意思確認が必要。
  • 親が80代後半以降:個人差が大きいが、判断能力の低下リスクが高い。早急な対応が必要。
  • 軽度認知障害(MCI)と診断された後:契約できる可能性はあるが、公証人の判断次第。医師の診断書が求められることも。

「まだ早い」と先送りにしているうちに、親が認知症を発症してしまうケースは少なくありません。家族で相続について話し合う機会(お盆やお正月など)に合わせて、家族信託の検討を始めることをお勧めします。

家族信託と2024年の相続税制改正の関係

2024年1月から生前贈与の持ち戻し期間が3年から7年に延長されました。この改正により、暦年贈与の節税効果が薄れる中で、家族信託の重要性はさらに高まっています。家族信託は贈与ではないため、持ち戻しルールの影響を受けません。信託財産は委託者の相続財産として相続税の対象になりますが、認知症後も財産の管理・処分ができるメリットは贈与では実現できません。

相続対策の全体設計では、家族信託(認知症対策)+生前贈与(税金対策)+遺言(分割対策)の3本柱で考えることが重要です。それぞれの制度が補い合う関係にあるため、どれか一つだけでは十分な対策にはなりません。

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本ページの制度概要・要件・税率は、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(執筆時点)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。FPは記事を直接監修してはおらず、関連テーマでご相談を受けるFPとしてご紹介しています。

最終確認日:2026年5月14日

※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

本相談は個別の法律・税務判断、申告、登記、交渉を代行するものではありません。必要な場合は、確認すべき専門家と論点を分けます。