中退共・建退共の違いと従業員退職金の仕組み
助成金・加入手順を整理【2026】
中退共(中小企業退職金共済)と建退共(建設業退職金共済)は、中小企業の従業員のための退職金制度です。掛金の一部に国庫助成があり、企業側は全額損金算入できるため、人材確保と節税の両立に使われます。本記事では両制度の違い、助成金の額、転職時のポータビリティ、加入手順まで実務目線で整理します。
この記事の結論
中小企業退職金共済(中退共)と建設業退職金共済(建退共)は中小企業の従業員のための退職金制度。掛金の国庫助成、損金算入、両者の違い、転職時のポータビリティ、加入手順までを解説します。
中退共と建退共の基本
中退共は厚生労働省所管・勤労者退職金共済機構が運営する、中小企業全般を対象にした退職金制度です。掛金は月額5,000円〜30,000円(短時間労働者は2,000円〜)の16段階で従業員ごとに設定します。
建退共は同じく勤労者退職金共済機構が運営しますが、対象は建設業の現場労働者に限定。掛金は1日単位の証紙を貼付する仕組み(電子申請にも移行中)で、現場を移動しても加入記録が累積されます。
Point
建設業の経営事項審査(経審)では、建退共加入が加点項目。公共工事入札を意識する事業者は実質的に加入が必須です。
国庫助成と税務メリット
中退共の主な助成は次の2つです。
- 新規加入助成:加入後4か月目から1年間、掛金月額の1/2(上限5,000円)を国が負担
- 月額変更助成:18,000円以下から増額した場合、増額分の1/3を1年間助成(短時間労働者は別枠)
掛金は法人なら損金、個人事業主なら必要経費。退職金は従業員が直接共済から受け取り、退職所得として課税されます(事業主側に課税は発生しない)。
加入できる企業・できない企業
中退共の対象は中小企業(業種により資本金・従業員数の上限あり)。役員・事業主本人は加入不可で、従業員のための制度です。事業主自身の退職金は小規模企業共済で別途用意します。
建退共は元請・下請を問わず、建設業の作業員(現場で働く人)が対象。事務員のみの建設会社は加入対象になりません。
転職時のポータビリティ
中退共加入企業同士で転職した場合、申請により加入期間を通算できます(過去の加入機関に納付実績がある場合)。建退共は業界共通制度のため、現場・元請が変わっても証紙は累積され続けます。
従業員にとっては「中小企業を渡り歩いても退職金が積み上がる」のが最大の安心材料。求人票に「中退共加入」を明記する企業も増えています。
加入手続きと運用ポイント
中退共の加入は、金融機関・委託事業主団体(商工会議所など)の窓口で申込書を提出します。掛金は口座振替で月末締。退職金は従業員が直接「退職金共済手帳(被共済者証)」で請求します。
建退共は元請が一括加入し、下請労働者にも証紙を交付する責任があります。電子申請方式(書面の証紙貼付の代替)への移行が進んでおり、2026年度時点では併用期間中です。