中小企業の補助金・助成金 完全ガイド
4大制度(ものづくり・省力化・持続化・IT導入)を比較【2026】
ものづくり補助金・省力化補助金・小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金の4大補助金と、キャリアアップ助成金・業務改善助成金の2大助成金を、対象・上限・採択率・電子申請まで一気通貫で比較するハブページ。
目次(13セクション)
補助金と助成金の違い
「補助金」と「助成金」は名前が似ていますが、制度設計の根幹が異なります。この違いを正確に理解しておくことが、申請戦略を立てる第一歩です。
制度設計の根本的な違い
補助金は主に経済産業省・中小企業庁が所管し、原資は国の一般会計(税金)です。国が推進したい政策目標(DX・グリーン・生産性向上など)に合致する事業者を「審査で選ぶ」仕組みのため、採択枠があり、申請しても不採択になる可能性があります。
一方、助成金は主に厚生労働省が所管し、原資は雇用保険料です。雇用の安定・拡大という政策目標に沿って、要件を満たせば原則として受給できます。「審査で落ちる」という概念がほぼないのが最大の違いです。
| 項目 | 補助金(経産省系が多い) | 助成金(厚労省系が多い) |
|---|---|---|
| 原資 | 税金(一般会計) | 雇用保険料 |
| 対象 | 設備投資・販路開拓・DX | 雇用・人材育成・労働環境 |
| 採択 | 審査・採択枠あり(落ちる) | 要件を満たせば原則受給可 |
| 公募 | 期間限定(年1〜数回) | 通年募集が多い |
| 入金 | 事業実施後の精算払い(後払い) | 後払いだが計画段階で確定可 |
| 主管 | 経済産業省・中小企業庁 | 厚生労働省 |
| 電子申請 | jGrants(gBizID必須) | 各都道府県労働局窓口 |
どちらを先に検討すべきか
設備投資・販路開拓・ITツール導入がテーマなら補助金、人を雇う・正社員化・賃上げがテーマなら助成金が基本ルートです。両方に該当する場合は、対象経費が重複しない限り併用も検討できます。
Point
「審査がある=補助金」「要件さえ満たせば=助成金」とまずざっくり理解。設備投資なら補助金、雇用なら助成金が基本ルートです。迷ったら商工会議所・よろず支援拠点に相談すれば、どちらが適切か無料で判断してもらえます。
2026年度 主要補助金一覧比較表
中小企業・個人事業主が活用できる主要な補助金を一覧で比較します。2026年度は「省力化投資」「賃上げ」「DX」の3テーマに予算が重点配分されており、これらに該当する事業者は採択率の面でも有利です。
| 補助金 | 対象投資 | 補助上限 | 補助率 | 公募頻度 | 難易度目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| ものづくり補助金 | 革新的設備・試作開発 | 750万〜4,000万円 | 1/2〜2/3 | 年3〜4回 | ★★★★ |
| 省力化補助金 | カタログ型省人化設備 | 200万〜1,500万円 | 1/2 | 通年(カタログ型) | ★★ |
| 持続化補助金 | 販路開拓・広告・HP | 50万〜250万円 | 2/3〜3/4 | 年3〜4回 | ★★★ |
| IT導入補助金 | ソフトウェア・クラウド | 5万〜450万円 | 1/2〜3/4 | 年複数回 | ★★ |
| 事業再構築補助金 | 業態転換・新分野展開 | 100万〜7,000万円 | 1/2〜2/3 | 年1〜2回 | ★★★★★ |
難易度の「★」は事業計画書の作り込みレベルを目安にしたものです。★が多いほど計画書に求められる具体性・論理性が高く、認定支援機関との連携が事実上必須になります。
Point
初めて補助金に挑戦するなら、計画書の分量が比較的少ない持続化補助金か、カタログから選ぶだけの省力化補助金から始めるのが現実的です。
小規模事業者持続化補助金
従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者を対象とした補助金で、補助金制度の中でも最も申請しやすいものの一つです。
対象経費と活用例
販路開拓に直結する経費が幅広く対象になります。具体的には、チラシ・パンフレットの作成費、ホームページの制作・リニューアル費用、展示会への出展費、店舗の改装費(販路拡大目的に限る)、広告掲載費などが該当します。
たとえば、町の洋菓子店がECサイトを構築して通販を始める、理容室が新しいメニュー(ヘッドスパ)を宣伝するためにチラシを配布するなど、日常的な事業改善に使えるのが特徴です。
申請枠と補助額
通常枠は補助上限50万円(補助率2/3)ですが、「賃金引上げ枠」「卒業枠」「創業枠」などの特別枠を使うと上限が200万円まで拡大します。インボイス特例の加算(50万円上乗せ)を組み合わせれば、最大250万円の補助を受けることも可能です。
申請の注意点
商工会議所・商工会の管轄地域によって窓口が異なり、申請前に「事業支援計画書」の発行を受ける必要があります。この発行手続きに数日〜数週間かかるため、締切直前の駆け込みは避けましょう。
注意
持続化補助金は「販路開拓」が主目的です。単なる老朽設備の入れ替えや、売上増加に直結しない社内用システムの導入は対象外になるケースがあります。計画書には「この投資でどう売上が伸びるか」を明確に書く必要があります。
ものづくり補助金
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。名前に「ものづくり」とありますが、製造業だけでなくサービス業や小売業も対象です。
制度の概要
中小企業・小規模事業者が取り組む「革新的な製品・サービスの開発」や「生産プロセスの改善」に必要な設備投資を支援する制度です。補助上限は通常枠で750万〜1,250万円、グローバル展開型では最大3,000万円〜4,000万円にのぼり、中小企業向け補助金としては大型の部類です。
主な申請枠(2026年度)
- 通常枠(革新的製品・サービス開発):新商品・新サービスの試作開発や生産プロセスの改善。補助率1/2(小規模事業者は2/3)
- 省力化枠:人手不足に対応するための設備投資。デジタル技術を活用した省力化が対象
- グローバル展開型:海外市場への進出を目的とした設備投資。補助上限が大幅に拡大
採択のカギは「革新性」の説明
ものづくり補助金の審査で最も重視されるのは、事業の「革新性」です。単に新しい機械を入れるだけでは不十分で、「自社にとって何が新しいのか」「それによって顧客にどんな価値を提供できるのか」を論理的に説明する必要があります。
また、補助事業終了後3〜5年間の事業計画で、付加価値額の年率3%以上の向上と、給与支給総額の年率1.5%以上の増加を盛り込む必要があります。この数値目標を達成できないと補助金の一部返還を求められる場合があるため、無理のない計画を立てることが重要です。
IT導入補助金
中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を後押しする補助金です。会計ソフト・受発注システム・顧客管理(CRM)・ECサイト構築ツールなど、業務効率化に役立つITツールの導入費用を補助します。
申請枠と補助額
| 枠 | 対象 | 補助上限 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 業務効率化ソフト全般 | 5万〜150万円未満 / 150万〜450万円 | 1/2 |
| インボイス枠 | 会計・受発注・決済ソフト | 〜350万円 | 2/3〜3/4(小規模は4/5) |
| セキュリティ対策推進枠 | サイバーセキュリティ対策 | 5万〜100万円 | 1/2 |
| 複数社連携IT導入枠 | サプライチェーン連携 | 〜3,000万円 | 1/2〜2/3 |
IT導入補助金の特徴
IT導入補助金の大きな特徴は、導入するITツールが事前に「IT導入支援事業者」として登録されたベンダーの製品に限られる点です。自社開発のシステムや、登録されていないツールは対象外です。
逆に言えば、登録済みツールの中から選ぶだけなので、計画書の自由度は低い代わりに書類作成の負担は比較的軽くなります。ITベンダーが申請をサポートしてくれることが多いのも、初めての方にとっては心強いポイントです。
Point
インボイス対応で会計ソフトの入れ替えを検討しているなら、インボイス枠は補助率が最大4/5と非常に手厚いのでぜひ活用を。freee・マネーフォワード・弥生など主要クラウド会計は軒並み登録済みです。
事業再構築補助金
コロナ禍で創設され、その後「成長分野への大胆な事業再構築」を支援する制度として再編された大型補助金です。既存事業からの業態転換や新分野への進出を目的とする設備投資・建物改修・システム構築などが対象です。
対象となる事業類型
- 新市場進出(新分野展開・業態転換):既存の事業とは異なる市場・顧客に向けた新事業を開始する
- 事業転換:主たる事業を別の事業に転換する(売上構成比が最大になる事業が変わる)
- 業種転換:日本標準産業分類上の業種そのものを変更する
- 事業再編:合併・会社分割・事業譲渡等を通じた事業の再構築
申請のハードル
事業再構築補助金は補助額が大きい分、審査も厳格です。事業計画書は15ページ前後が標準で、市場調査・競合分析・収支計画・実施体制まで詳細に記述する必要があります。認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認書が必須であり、補助額が3,000万円を超える場合は金融機関の確認書も求められます。
注意
事業再構築補助金は2026年度以降、公募回数が縮小傾向にあります。過去の不採択者の再申請が増え競争率も上がっているため、初めて挑戦する場合は専門家の支援を強くおすすめします。
省力化(省人化)補助金
深刻化する人手不足に対応するため、2024年度に新設された比較的新しい補助金です。「カタログ型」と呼ばれる独自の仕組みにより、従来の補助金と比べて申請手続きが大幅に簡素化されています。
カタログ型の仕組み
あらかじめ事務局に登録された省力化製品(ロボット・IoTセンサー・自動精算機・配膳ロボット・自動清掃機・無人受付システムなど)の「カタログ」から導入する製品を選び、製品を提供する「販売事業者」と連名で申請します。
製品がカタログに掲載されていることが前提なので、自社で独自に開発した設備は対象外です。一方で、カタログから選ぶだけなので事業計画書の分量は少なく、審査期間も短い傾向にあります。
補助額と従業員規模
| 従業員数 | 補助上限 | 補助率 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 200万円 | 1/2 |
| 6〜20人 | 500万円 | 1/2 |
| 21人以上 | 1,000万〜1,500万円 | 1/2 |
賃上げ要件を満たすと補助率や補助上限が引き上げられる加点措置があり、従業員の賃金を一定以上引き上げる計画を盛り込むことで有利になります。
雇用系2大助成金の比較
補助金が「モノへの投資」を支援するのに対し、助成金は「ヒトへの投資」を支援します。特に中小企業にとって使いやすい2つの助成金を比較します。
| 助成金 | 対象 | 主な金額 | 主な要件 |
|---|---|---|---|
| キャリアアップ助成金 | 非正規→正社員化 | 57万〜80万円/人 | 就業規則整備・賃金3%以上アップ |
| 業務改善助成金 | 賃金引上げ+設備投資 | 30万〜600万円 | 事業場内最低賃金30〜90円アップ |
キャリアアップ助成金の活用ポイント
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、有期雇用のパート・アルバイトや契約社員を正社員に転換した場合に支給されます。1人あたり57万円(中小企業は80万円)と金額が大きく、複数人の転換にも適用できるため、累計で数百万円の受給も可能です。
重要なのは、転換前に「キャリアアップ計画書」を労働局に提出しておく必要がある点です。計画書の提出なしに転換を行ってしまうと、後から遡って申請することはできません。パート・アルバイトの正社員化を検討しているなら、先に計画書だけでも出しておくのが賢明です。
業務改善助成金の活用ポイント
事業場内の最低賃金が一定額以下の事業者を対象に、賃金引上げと同時に行う設備投資を支援する助成金です。賃金を30円以上引き上げると最大30万円、90円以上なら最大600万円が受給できます。
ユニークなのは、賃上げのための原資を生み出す設備投資(POSレジの導入、業務効率化ソフトなど)も対象経費に含まれる点です。「まず生産性を上げてから賃上げする」という順序で計画を組めるため、現実的な活用がしやすい制度です。
補助金申請の基本ステップ — gBizIDから入金まで
主要な補助金はほぼすべて電子申請に移行しており、gBizID(プライム)の取得が事実上の必須条件です。ここでは、申請から入金までの全体フローを時系列で整理します。
ステップ1:gBizIDプライムの取得(所要2〜3週間)
gBizIDはデジタル庁が運営する法人・個人事業主向けの認証アカウントです。「エントリー」「メンバー」「プライム」の3種類がありますが、補助金の電子申請には「プライム」が必要です。申請書と印鑑証明書を郵送し、審査を経て発行されるまでに2〜3週間かかります。
補助金の公募が始まってから慌てて申請しても間に合わないため、事業を営んでいるなら今すぐ取得しておくことを強くおすすめします。取得自体は無料です。
ステップ2:公募要領の確認と事業計画書の作成
公募開始後、まず「公募要領」を精読します。対象経費・補助率・審査基準・加点項目がすべて記載されているため、ここを読み飛ばすと的外れな計画書を作ってしまうことになります。
ステップ3:jGrants(電子申請システム)から申請
gBizIDでjGrantsにログインし、必要書類(事業計画書・経費明細・決算書・見積書など)をアップロードして申請を完了します。締切は厳守で、システムの混雑による遅延は考慮されません。余裕をもって提出しましょう。
ステップ4:審査・採択(1〜3か月)
書面審査(一部の制度は面接審査あり)を経て、採択・不採択の結果が通知されます。採択率は制度・公募回によって大きく異なります。
ステップ5:交付申請 → 事業実施 → 実績報告 → 入金
採択後、改めて「交付申請」を行い、交付決定通知を受領してから設備の発注・納品・支払いを行います。事業完了後に「実績報告書」を提出し、事務局の確認(確定検査)を経て、ようやく補助金が振り込まれます。
注意
採択前の発注・契約は対象外です(事前着手届が認められる場合を除く)。「採択前は動かない」が補助金実務の鉄則です。また、実績報告から入金まで数か月かかるため、設備投資の資金は一度自己負担で立て替える必要があります。つなぎ融資の検討も忘れずに。
採択率を上げる7つのコツ
補助金の審査は「事業計画書」の内容で合否が決まります。審査員に「この事業には補助する価値がある」と思わせるために、以下の7つのポイントを押さえましょう。
1. 公募要領の審査基準を逆算する
審査基準は公募要領に明記されています。「革新性」「実現可能性」「市場性」「費用対効果」「地域経済への貢献」など、各項目に対してきちんと答える形で計画書を構成しましょう。審査員はチェックリスト方式で採点することが多いため、基準に対応する見出しを計画書に設けると読みやすくなります。
2. 加点項目を可能な限り取得する
ほとんどの補助金には「加点項目」が設定されています。代表的なものは以下のとおりです。
- 経営革新計画の承認:都道府県に申請。審査に1〜2か月かかるため早めの準備が必要
- 賃上げ加点:事業計画期間中の給与総額アップを表明
- 事業継続力強化計画(BCP)の認定:中小企業庁に申請。比較的取得しやすい
- パートナーシップ構築宣言:ポータルサイトから登録するだけ(無料・即日)
加点項目を1つも取らずに申請するのは、それだけでハンデを背負っているのと同じです。取得可能なものは必ず押さえましょう。
3. 数字で語る
「売上が向上する見込みです」ではなく、「月間来店客数○○人 × 客単価○○円 × 購入率○○% = 年間売上○○万円増」のように、根拠のある数字で計画を示します。審査員は1日に何十件も計画書を読むため、抽象的な表現では印象に残りません。
4. 競合との差別化を明確にする
「なぜ自社がこの事業をやるべきか」「既存の競合と何が違うのか」を明示します。SWOT分析などのフレームワークを使って体系的に整理すると、論理性が伝わりやすくなります。
5. 実施体制と資金計画を具体的に
事業を実行する体制(誰が・いつ・何をするか)と、補助金以外の自己資金・融資の調達計画を具体的に記述します。「計画は素晴らしいが実行できるのか?」という審査員の疑問を先回りして解消しましょう。
6. 写真・図表を効果的に使う
現状の課題(老朽化した設備の写真)、導入予定設備のカタログ画像、売上推移のグラフなど、視覚的な資料を効果的に配置します。テキストだけの計画書よりも、図表が入った計画書のほうが審査員の理解は格段に早くなります。
7. 認定支援機関を早めに巻き込む
ものづくり補助金や事業再構築補助金は、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認書が必須です。商工会議所・商工会は無料の認定支援機関であり、事業計画書の相談にも乗ってもらえます。締切直前に駆け込むと対応が間に合わないため、公募開始と同時に相談を始めましょう。
事業計画書の書き方 — 審査員に伝わる構成
補助金の採否を分けるのは、最終的には事業計画書の出来です。ここでは、審査員に伝わる計画書の標準的な構成を解説します。
標準的な構成(全10パート)
- 会社概要・事業概要:事業内容・沿革・従業員数・売上推移を簡潔に。決算書の数字と矛盾しないこと
- 現状の課題:何が問題か。老朽設備・人手不足・売上減少・品質問題など具体的に
- 補助事業の目的・内容:課題をどう解決するか。導入する設備・システムの詳細
- 革新性・新規性:自社にとって何が新しいか。業界全体の動向との位置づけ
- 市場分析・競合分析:ターゲット市場の規模・成長性。競合との差別化ポイント
- 事業の実施体制:誰が責任者で、どのような体制で事業を遂行するか
- 事業スケジュール:月単位のガントチャートで発注・納品・試運転・本稼働の工程を明示
- 経費明細・資金計画:補助対象経費の内訳。見積書との整合性が重要
- 収益計画(3〜5年):売上・原価・利益の推移を年度別に試算。付加価値額の伸び率も明記
- その他(加点項目の証拠書類など):経営革新計画の承認書・BCP認定書のコピーなど
よくある失敗パターン
- 課題と解決策が論理的につながっていない:「人手不足が課題」なのに「新商品開発の設備を導入」では説得力がない
- 収益計画に根拠がない:「売上が30%増える見込み」の30%の根拠が書かれていない
- 見積書と経費明細の金額が不一致:転記ミスだが、審査では致命的な減点対象
- 他社の計画書をコピーしている:審査員は大量の計画書を読んでいるため、テンプレート丸写しはすぐにわかる
Point
事業計画書は「上手な文章」より「論理の一貫性」が重要です。課題→解決策→効果→数値目標がストーリーとして一本の線で繋がっていれば、文章力が多少拙くても採択される可能性は十分にあります。
補助金の経理処理 — 圧縮記帳と消費税
補助金を受給した後の経理処理は、多くの事業者が見落としがちなポイントです。特に「圧縮記帳」と「消費税の取り扱い」は、処理を誤ると思わぬ税負担が発生するため注意が必要です。
補助金は課税対象(雑収入)
補助金は法人税・所得税の課税対象です。たとえば1,000万円の設備を導入し、500万円の補助金を受給した場合、その500万円は「雑収入」として計上する必要があります。何も対策をしなければ、受給した年度に補助金に対する法人税(実効税率約30%なら約150万円)が課税されます。
圧縮記帳で課税を繰り延べる
この一時的な税負担を軽減する仕組みが「圧縮記帳」です。補助金で取得した固定資産の帳簿価額を補助金相当額だけ圧縮(減額)して記帳することで、受給年度の課税所得を減らせます。
上記の例であれば、1,000万円の設備の帳簿価額を500万円に圧縮して計上します。受給年度の課税所得は減りますが、翌年度以降の減価償却費が小さくなるため、長期的には税額は同じです。あくまで「課税の繰り延べ」であり「免税」ではありませんが、資金繰りの面では大きなメリットがあります。
消費税の取り扱い
補助金の補助対象経費は「税抜金額」が基本です。消費税は原則として補助対象外であり、課税事業者(消費税の納税義務がある事業者)は消費税分を自己負担する必要があります。
ただし、免税事業者の場合は消費税を含めた金額が補助対象になるケースもあります。また、補助事業完了後に「消費税仕入控除税額報告書」の提出が求められることがあり、仕入税額控除を受けた場合はその分の補助金を返還する必要があります。
注意
圧縮記帳の適用漏れは、補助金の経理処理で最も多いミスの一つです。確定申告の際に税理士と必ず確認してください。また、補助金の入金は事業完了後の後払いとなるため、設備投資の資金繰り(つなぎ融資の要否)も事前に計画しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
- 補助金と助成金は併用できますか?
原則として、同一経費に対する二重受給は認められません。ただし、対象経費が異なれば併用可能なケースがあります。たとえば、ものづくり補助金で設備を導入し、その設備を使う人材のためにキャリアアップ助成金を申請するといった組み合わせは可能です。併用を検討する場合は、事前にそれぞれの事務局へ確認しましょう。
- 個人事業主でも補助金は申請できますか?
はい。小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金・省力化補助金は個人事業主も対象です。ものづくり補助金も個人事業主が申請可能ですが、設備投資の規模が大きいため法人化を検討するケースが多いです。確定申告書(青色申告決算書)が申請書類に含まれるため、白色申告の方は青色申告への切り替えを先に行うことをおすすめします。
- 補助金の採択率はどのくらいですか?
制度や公募回によって異なりますが、ものづくり補助金は概ね40〜60%、持続化補助金は50〜70%、IT導入補助金は60〜80%程度で推移しています。加点項目(賃上げ・経営革新計画など)を確実に押さえることで採択率は大きく向上します。初回申請で不採択になっても、計画書を改善して再申請することは可能です。
- 採択前に設備を発注してしまうと補助金はもらえませんか?
原則として、交付決定日より前の発注・契約・支払いは補助対象外です。事前着手届が認められる場合もありますが、これは例外措置であり確実ではありません。採択通知を受領し、交付決定を経てから発注するのが鉄則です。特に中古設備の購入や季節性のある工事は発注タイミングが限られるため、公募スケジュールとの調整が重要になります。
- 補助金を受け取ったら税金はかかりますか?
補助金は法人税・所得税の課税対象(雑収入)となります。ただし、圧縮記帳の適用により、補助金で取得した固定資産の帳簿価額を圧縮して課税を繰り延べることが可能です。圧縮記帳の適用漏れは最も多い経理ミスの一つなので、確定申告の前に税理士と事前に確認しましょう。
- 補助金の申請を専門家に依頼する場合の費用相場は?
着手金5〜15万円+成功報酬10〜15%が一般的な相場です。無料の認定支援機関(商工会議所・よろず支援拠点)も利用できるため、まずは公的機関への相談をおすすめします。なお、コンサル費用自体は補助対象経費にはなりません。また、「成功報酬100%」「採択保証」を謳う業者には注意が必要です。
事業のお金を調べたあとに
補助金や制度を調べたあと、事業と暮らしを守る3つの見方
事業のお金は、制度の対象だけでなく、資金繰り、助成金の取り逃し、家族の生活費を同時に見る必要があります。
貯めた貯金を、減らしたくない方へ「コツコツ貯めた貯金」が、物価高で気づかないうちに目減りしていませんか?✓左右木FPが、使っていいお金と、守るお金を一緒に整理します。無料相談を予約する→
FP相談で取り戻したいもの:売上や資金繰りに追われても、家族との外食や休む日を諦めない余白。事業資金と生活費を分け、固定費の順番を整えます。
- 資金繰りの余白を見る
- 助成金の取り逃しを確認
- 家族のお金を守る
相談者の声
事業のお金を調べた人に近い相談者の声
事業主の方は、補助金や制度だけでなく、助成金の取り逃し、資金繰り、家族の生活費を同時に確認しています。
N.Fさん(40代・男性・個人事業主)
★★★★★ 資金繰り・生活費・税金
「売上と生活費を分けたら、何から整えるか見えました」
事業固定費、生活費、税金、保険、制度活用の順番を分けたケース。
A.Yさん(30代・女性・フリーランス)
★★★★★ 収入の波・将来不安
「不安だから働き続ける、から必要な備えを作るに変わりました」
収入変動、生活防衛資金、国保・年金、教育費を整理したケース。
K.Sさん(50代・男性・小規模法人)
★★★★★ 役員報酬・退職準備
「会社のお金と家族のお金を分けて考えられました」
役員報酬、法人保険、退職金、家族生活費を一枚にしたケース。
※相談内容をもとに個人が特定されない形で要約した例です。実際の提案内容は家計・制度・時期により異なります。
無料相談の流れ
-
STEP1. 予約
希望日時を選んで、無料相談を予約します(Google Meet 30分から)。
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STEP2. 事業資金と生活費を分けて確認
売上、固定費、税金、生活費、家族の支出を確認します。
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STEP3. 資金繰りと制度活用を整理
補助金、融資、税金、社会保険、生活防衛資金を同じ表に置きます。
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STEP4. 事業と暮らしが崩れない家計を整理
助成金、家族の生活費、将来資金を残す順番を決めます。
相談を担当するFP
左右木 伸也 (そうき しんや)
最上位資格を持つFPとして、家計に関するあらゆるご相談をトータルでサポートいたします。 事業資金・生活費・固定費を同じ表に置いて整理します。
安心してご相談いただくために
なぜ無料なの?
金融機関からの契約手数料で運営しております。お客さまには相談に関する料金負担が一切ございませんので安心してご相談ください。
- すべてウェブ相談です。パソコン・スマホから、全国どこでもご相談いただけます(来店不要)。
- 気軽にご相談ください。ちょっとした悩みを話して聞いてもらうだけでもOKです。
「相談しようと思っていた時に、いいきっかけだった」という声もよくいただきます。
ここまで読んだあとに
事業のお金を見たあと、暮らしまで我慢だけにしない3つの体験
事業主は、忙しさと資金繰りで家族の楽しみを後回しにしがちです。事業資金と生活費を分け、休む日や外食の余白も守ります。
出典・改訂履歴・免責事項を見る
本ページの制度概要・要件・税率は、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(執筆時点)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。FPは記事を直接監修してはおらず、関連テーマでご相談を受けるFPとしてご紹介しています。
- 出典: 中小機構(独立行政法人 中小企業基盤整備機構)公式サイト — 小規模企業共済・倒産防止共済の所管
- 出典: 国税庁 公式サイト — 所得税・法人税・インボイス・退職所得控除
- 出典: 日本政策金融公庫 公式サイト — 創業融資・事業承継融資
- 出典: 中小企業庁 公式サイト — 事業承継税制・補助金
- 出典: 勤労者退職金共済機構 公式サイト — 中退共・建退共
最終確認日:2026年5月15日
※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。
本相談はIKIGAI TOWN編集部が運営するFP相談サービスです。各自治体の給付金窓口とは異なります。