開業・税務

自社株評価の引き下げ<br>役員退職金・持株会社・種類株式の活用法【2026】

事業の承継と税金・自社株の整理を後継者と確認し円滑な引き継ぎを進める場面
事業承継の制度と自社株の整理を、後継者と将来の経営の判断につなげます。

自社株評価の引き下げは「①評価方式を理解する ②利益・配当・純資産を一時的に下げる(役員退職金・配当抑制・含み損処分)③持株会社や種類株式で構造を変える」の3層。

目次(5セクション)
  1. 自社株評価の3方式
  2. 利益・配当・純資産を下げる打ち手
  3. 持株会社スキームと種類株式
  4. 事業承継税制との組み合わせ
  5. よくある質問(FAQ)

自社株評価の3方式

非上場株式の相続税評価は会社規模で方式が変わります。

  • 類似業種比準方式(大会社):同業の上場企業の株価・配当・利益・純資産から算定。利益・配当・純資産を下げると株価が下がるのがポイント。
  • 純資産価額方式(小会社):会社の資産・負債を相続税評価額で再計算した純資産で算定。含み益が大きいと高くなる。
  • 併用方式(中会社):上記2つを会社規模に応じた割合で併用。

どの方式かで効く打ち手が変わるため、まず自社の規模区分と方式を確認します。

利益・配当・純資産を下げる打ち手

類似業種比準方式が効く会社では、評価のもとになる利益・配当・純資産を一時的に下げることで株価を圧縮できます。代表的な打ち手は次の通り。

  • 役員退職金の支給:オーナーや先代に適正額の退職金を支給すると、利益と純資産が大きく減り株価が下がる。受け取る側も退職所得控除+1/2課税で軽い(最強の出口)。
  • 配当の引き下げ・記念配当の活用:評価上の配当金額を下げる。
  • 含み損資産の処分・大型設備投資:純資産・利益を圧縮。

ただし経営上の合理性がないと税務署に否認されます。退職金は功績倍率法など合理的な算定根拠を残すことが必須です。役員退職金の考え方は法人の節税もあわせてご覧ください。

持株会社スキームと種類株式

構造そのものを変える応用策です。

  • 持株会社スキーム:後継者が設立した持株会社に事業会社株を移し、株価上昇を持株会社の評価に閉じ込める/借入で買い取り純資産を圧縮する等。株式保有特定会社に該当しない設計が要点。
  • 種類株式議決権制限株式(後継者以外には配当優先・無議決権で渡し経営権を集中)、拒否権付株式(黄金株)(先代が重要事項に拒否権を残す)など、株式の権利を設計して承継を円滑にする。

いずれも専門性が高く、設計を誤ると否認・紛争リスクがあります。税理士・弁護士と組んで進めるべき領域です。

事業承継税制との組み合わせ

評価を下げたうえで事業承継税制(納税猶予)を使えば、贈与・相続の税負担を大きく圧縮できます。特例措置は特例承継計画の提出期限(令和8年=2026年3月末)適用期限(2027年12月末)があり、期限が迫っています。制度の全体像と期限は事業承継税制の変遷、個人事業の場合は個人版事業承継税制を参照してください。期限・要件は改正されるため、実行前に必ず公式(中小企業庁・国税庁)で確認を。

よくある質問(FAQ)

自社株の評価を下げる一番効果的な方法は何ですか?
オーナーや先代への適正額の役員退職金の支給です。利益と純資産が大きく減り、類似業種比準方式の株価が下がります。受け取る側も退職所得控除+1/2課税で軽い負担で済みます。ただし不相当に高額だと損金否認されるため、功績倍率法など合理的な算定根拠が必要です。
持株会社スキームとは何ですか?
後継者が設立した持株会社に事業会社の株式を移すことで、その後の株価上昇を持株会社の評価に閉じ込めたり、借入で買い取って純資産を圧縮したりする手法です。株式保有特定会社に該当しない設計が要点で、専門家と組んで慎重に進める必要があります。
種類株式は事業承継にどう使えますか?
後継者以外には無議決権・配当優先の議決権制限株式を渡して経営権を後継者に集中させたり、先代が重要事項に拒否権を持つ黄金株を残したりできます。株式の権利を設計することで、円滑な承継と経営の安定を両立できます。
評価を下げる対策に否認リスクはありますか?
あります。経営上の合理性がない、純粋に株価引き下げだけが目的と見られる対策は税務署に否認される恐れがあります。退職金には合理的な算定根拠を残し、各施策に事業上の理由を備えることが重要です。
評価引き下げと事業承継税制はどちらを先にやるべきですか?
一般には評価を適正に下げたうえで事業承継税制(納税猶予)を適用するのが効果的です。特例措置は特例承継計画の提出期限(2026年3月末)と適用期限(2027年12月末)があるため、評価対策と並行してスケジュールを逆算することが大切です。

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最終確認日:2026年6月23日

※本記事は2026年6月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。