年金シミュレーション
あなたの年金額を計算
年収・加入年数・繰上げ/繰下げを入力すると、年金の月額・年額・生涯受給額の概算がわかる
年金の最適受給開始時期を、FPに無料で診断してもらう(Zoom30分から)
目次(14セクション)
- 年金シミュレーター
- 計算式の解説――老齢基礎年金と老齢厚生年金
- ねんきん定期便の見方――50歳未満と50歳以上で異なる読み方
- ねんきんネットの使い方――将来の年金見込額を試算する手順
- 年収別シミュレーション(300万・500万・700万・1,000万円)
- 繰上げ受給と繰下げ受給の比較シミュレーション
- 加給年金と振替加算――見落としがちな上乗せ年金
- 在職老齢年金の減額シミュレーション
- 年金と退職金の受取最適化――一時金 vs 年金受取
- 夫婦世帯のモデルケースで年金額を試算
- 年金だけでは足りない?不足額と老後資金の対策
- iDeCo・新NISAで年金の不足分を補填するプラン
- シミュレーション結果の活用方法
- よくある質問(FAQ)
年金シミュレーター
まず、下のシミュレーターで「自分の年金はいくらになるか」を概算してみましょう。平均年収・厚生年金の加入年数・国民年金の納付月数・繰上げ/繰下げ年数の4項目を入力するだけで、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額を試算できます。
年金受給額シミュレーター
年収・加入年数・繰上げ/繰下げ年数を入力してください。2026年度の概算です。
※ 概算です。正確な金額はねんきんネットでご確認ください。繰上げは月0.4%減額、繰下げは月0.7%増額で計算。
シミュレーターの数字だけでは判断に不十分なケースもあります。以下のセクションで計算式の背景、年収別の具体例、繰上げ・繰下げの損益分岐点、在職老齢年金の減額ルールなどを詳しく解説します。
計算式の解説――老齢基礎年金と老齢厚生年金
年金額を正しく理解するには、まず2階建て構造を押さえる必要があります。1階部分の老齢基礎年金(国民年金)と、2階部分の老齢厚生年金は、それぞれ別の計算式で決まります。
老齢基礎年金の計算式(2026年度)
老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間(480か月)のうち、保険料を納付した月数に比例して決まります。2026年度の満額は年831,700円(月約69,308円)です。
老齢基礎年金の計算式
老齢基礎年金(年額)= 831,700円 ×(保険料納付月数 ÷ 480)
- 40年間すべて納付 → 831,700円(満額)
- 35年間納付(420か月)→ 831,700 × 420/480 ≒ 727,738円
- 25年間納付(300か月)→ 831,700 × 300/480 ≒ 519,813円
免除期間がある場合は、全額免除=1/2、3/4免除=5/8、半額免除=3/4、1/4免除=7/8 の割合で反映されます(2009年4月以降の免除月)。
老齢厚生年金の計算式
老齢厚生年金は、会社員・公務員として厚生年金に加入していた期間の報酬に連動します。2003年4月以降に加入した期間は、次の報酬比例部分の式で算出されます。
老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算式
老齢厚生年金(年額)= 平均標準報酬額 × 5.481/1,000 × 加入月数
- 平均標準報酬額:加入期間中の標準報酬月額と標準賞与額を月割りで平均した額
- 5.481/1,000:報酬比例の乗率(2003年4月以降分)
- 加入月数:厚生年金に加入した月数の合計
2003年3月以前の加入期間がある場合は、乗率7.125/1,000で別途計算し合算します。
たとえば平均年収500万円(平均標準報酬額 約41.7万円)で38年間(456か月)加入した場合、報酬比例部分は 417,000 × 5.481/1,000 × 456 ≒ 約104万円となります。これに老齢基礎年金を加えた合計が、65歳からの年金額になります。
経過的加算(差額加算)
60歳以降も厚生年金に加入して働く場合、国民年金の加入期間(20〜60歳)を超えた部分は老齢基礎年金には反映されません。その代わり、老齢厚生年金に経過的加算として上乗せされます。金額は1か月あたり約1,700円程度ですが、65歳以降も5年間働くと年間約10万円の上乗せになります。
ねんきん定期便の見方――50歳未満と50歳以上で異なる読み方
年金シミュレーションの精度を上げるには、毎年届くねんきん定期便の情報が不可欠です。ただし、50歳を境に記載される数字の意味がまったく異なるため、読み間違えると大きな誤解につながります。
50歳未満に届くねんきん定期便
50歳未満の方に届く定期便には、「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されています。これは将来の見込額ではなく、今日時点で年金加入をやめた場合の金額です。実際には今後も保険料を払い続けるため、最終的な年金額はこれより大幅に増えます。
50歳未満の定期便:チェックポイント
- 記載額=「ここまでの実績で計算した年金額」であり、将来の見込額ではない
- 将来の年金額を知りたい場合は、ねんきんネットで今後の見込みを入力して試算する
- 加入月数や標準報酬月額の推移に誤りがないか確認する(転職時の空白期間に注意)
- 35歳・45歳の節目年齢には詳細版(封書)が届く
50歳以上に届くねんきん定期便
50歳以上の方には、「今の収入が60歳まで続いた場合の年金見込額」が記載されます。これは将来の受給額にかなり近い数字であり、老後の生活設計に直接使えます。
50歳以上の定期便:チェックポイント
- 記載額 ≒ 65歳から受給する場合の年金見込額(精度が高い)
- 繰上げ・繰下げの増減は反映されていない(別途計算が必要)
- 今後、収入が大きく変動する予定がある場合はねんきんネットで再試算する
- 加給年金・振替加算は反映されていないため、該当する場合は別途加算する
「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」の使い分け
ねんきん定期便は年1回届く「スナップショット」です。転職・独立・育休などで今後の収入が変わる場合は、ねんきんネットで条件を変えたシミュレーションを行うほうが正確な見込額を得られます。
ねんきんネットの使い方――将来の年金見込額を試算する手順
日本年金機構が無料で提供している「ねんきんネット」は、自分の加入実績を反映したうえで、今後の働き方を想定したシミュレーションができる公式ツールです。以下に登録から試算までの手順をまとめます。
ステップ1:ねんきんネットに登録する
- マイナポータル経由(推奨):マイナンバーカードがあれば、マイナポータルからワンクリックでねんきんネットに連携できます。新規のユーザーID発行が不要で、即日利用可能です。
- ユーザーIDを新規取得:マイナンバーカードがない場合は、基礎年金番号とメールアドレスで申請し、約5営業日後に届くユーザーIDでログインします。
ステップ2:加入記録を確認する
ログインしたら、まず「年金記録の一覧」画面で、自分の加入履歴に漏れがないか確認します。転職が多い方は、前の会社を退職した月と次の会社に入社した月の間に空白がないか注意してください。未統合の記録がある場合は年金事務所に問い合わせることで統合できます。
ステップ3:年金見込額を試算する
「将来の年金額を試算する」メニューには3つのモードがあります。
ねんきんネットの3つの試算モード
- かんたん試算:現在の加入条件が60歳まで続く前提で自動計算。入力不要で最も手軽
- 詳細な条件で試算:今後の働き方(転職・独立・退職時期など)を自由に設定できる。収入が変動する予定がある方向け
- 繰下げ受給の試算:受給開始年齢を66〜75歳に変更した場合の増額後の年金額を表示
おすすめは「詳細な条件で試算」です。60歳で退職するパターン、65歳まで再雇用で働くパターン、70歳まで短時間勤務するパターンなど、複数のシナリオを比較してみましょう。
ステップ4:結果を保存して比較する
試算結果はPDFで保存できます。条件を変えて複数回試算し、シナリオごとのPDFを並べて比較すると、どの働き方がもっとも年金額を増やせるかが一目瞭然になります。このPDFはFPへの相談時にも大変役立ちます。
年収別シミュレーション(300万・500万・700万・1,000万円)
年収によって年金額がどう変わるのか、代表的な4パターンで具体的にシミュレーションします。いずれも厚生年金38年加入・国民年金40年納付・65歳受給開始の前提です。
年収別の年金シミュレーション(65歳受給開始・38年加入)
| 項目 | 年収300万円 | 年収500万円 | 年収700万円 | 年収1,000万円 |
|---|---|---|---|---|
| 老齢基礎年金(年額) | 約83万円 | 約83万円 | 約83万円 | 約83万円 |
| 老齢厚生年金(年額) | 約63万円 | 約104万円 | 約146万円 | 約196万円 |
| 合計(年額) | 約146万円 | 約187万円 | 約229万円 | 約279万円 |
| 月額換算 | 約12.2万円 | 約15.6万円 | 約19.1万円 | 約23.3万円 |
| 手取り月額(税・社保控除後の目安) | 約10.8万円 | 約13.5万円 | 約16.2万円 | 約19.3万円 |
※ 老齢厚生年金は標準報酬月額の上限(65万円)があるため、年収が高くなるほど年金額の伸びは鈍化します。年収1,000万円以上でも厚生年金は頭打ちになる点に注意してください。
注目すべきは手取り月額です。年金からは所得税・住民税・健康保険料・介護保険料が天引きされるため、額面の85〜88%程度が実際の手取りになります。額面だけで老後の生活費を計算すると、実態より多めに見積もってしまう落とし穴があります。詳しくは年金の手取り額早見表をご覧ください。
繰上げ受給と繰下げ受給の比較シミュレーション
年金の受給開始時期は、原則の65歳に対して60〜64歳への繰上げと66〜75歳への繰下げを選べます。この選択によって生涯の受取総額が大きく変わります。
繰上げ受給の仕組みと減額率
繰上げ受給を選ぶと、1か月あたり0.4%の減額が一生続きます。60歳開始なら5年(60か月)×0.4%=24%の減額です。一度繰り上げると取り消しはできません。
繰下げ受給の仕組みと増額率
繰下げ受給を選ぶと、1か月あたり0.7%の増額が一生続きます。70歳開始なら5年(60か月)×0.7%=42%の増額、75歳開始なら10年(120か月)×0.7%=84%の増額です。
受給開始年齢別の年金額比較(年額187万円=年収500万円・38年加入の場合)
| 受給開始 | 増減率 | 年額 | 月額 | 損益分岐年齢 |
|---|---|---|---|---|
| 60歳 | -24.0% | 約142万円 | 約11.8万円 | 80歳10か月 |
| 62歳 | -14.4% | 約160万円 | 約13.3万円 | 80歳10か月 |
| 65歳(原則) | ±0% | 約187万円 | 約15.6万円 | — |
| 68歳 | +25.2% | 約234万円 | 約19.5万円 | 79歳11か月 |
| 70歳 | +42.0% | 約266万円 | 約22.1万円 | 81歳11か月 |
| 75歳 | +84.0% | 約344万円 | 約28.7万円 | 86歳11か月 |
※ 損益分岐年齢 = 繰下げ(または繰上げ)の累計受給額が65歳開始の累計を上回る(または下回り始める)年齢。税・社会保険料を考慮すると損益分岐はさらに後ろにずれます。
判断のポイント
- 健康状態と家族歴:長寿家系なら繰下げの恩恵を受けやすい
- 65歳〜受給開始までの生活費:繰下げ中は年金が入らないため、退職金・預貯金・他の収入で生活費を賄えるかが条件
- 加給年金への影響:繰下げ中は加給年金も停止されるため、配偶者が年下の場合は加給年金の受給額も計算に入れる
- 税・社会保険料の増加:繰下げで年金額が増えると、所得税・住民税の税率区分が上がり、国民健康保険料・介護保険料も増加する。手取りベースの損益分岐は額面ベースより2〜3年後ろにずれる
加給年金と振替加算――見落としがちな上乗せ年金
年金シミュレーションでは見落とされがちですが、加給年金と振替加算は条件を満たせば年間数十万円の上乗せになります。該当する場合はシミュレーション結果に手動で加算してください。
加給年金とは
厚生年金に20年以上加入した方が65歳になった時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳未満の子がいる場合に支給される家族手当のような年金です。
加給年金の額(2026年度)
- 配偶者:年額 約234,800円 + 特別加算(受給者の生年月日により最大約173,300円)= 最大約408,100円
- 第1子・第2子:各 年額 234,800円
- 第3子以降:各 年額 78,300円
配偶者が65歳に達すると加給年金は終了します。5歳差の夫婦なら5年間で最大約200万円の上乗せです。
振替加算とは
配偶者が65歳になって加給年金が終了すると、今度は配偶者自身の老齢基礎年金に振替加算が上乗せされます。金額は配偶者の生年月日によって決まり、1966年4月2日以降生まれの方はゼロ(制度の経過措置のため)です。1961年4月2日生まれの場合で年額約15,300円です。
加給年金の盲点:繰下げ中は支給されない
老齢厚生年金を繰下げ受給する場合、繰下げ待機中は加給年金も支給停止になります。年下の配偶者がいる場合、加給年金の受け取り総額と繰下げ増額を天秤にかけて判断する必要があります。FPに相談すれば、基礎年金だけ繰下げて厚生年金は65歳で受給するなど、柔軟な組み合わせを検討できます。
在職老齢年金の減額シミュレーション
65歳以降も会社員として働きながら厚生年金を受給する場合、収入が一定額を超えると年金の一部が支給停止になります。これが在職老齢年金制度です。
支給停止の計算式(2024年度以降)
在職老齢年金の支給停止額
基本月額 + 総報酬月額相当額 > 50万円 の場合
支給停止月額 =(基本月額 + 総報酬月額相当額 − 50万円)÷ 2
- 基本月額:老齢厚生年金の月額(老齢基礎年金は対象外)
- 総報酬月額相当額:その月の標準報酬月額 + 直近1年の標準賞与額÷12
具体的な減額シミュレーション
老齢厚生年金の基本月額が15万円の方が、65歳以降も給与を得て働くケースで見てみましょう。
| 月給(賞与込み月額換算) | 合計額 | 支給停止額 | 年金の受取月額 |
|---|---|---|---|
| 25万円 | 40万円 | 0円 | 15万円(全額支給) |
| 35万円 | 50万円 | 0円 | 15万円(全額支給) |
| 40万円 | 55万円 | 2.5万円 | 12.5万円 |
| 50万円 | 65万円 | 7.5万円 | 7.5万円 |
| 65万円以上 | 80万円 | 15万円 | 0円(全額停止) |
ポイントは「老齢基礎年金は支給停止の対象外」ということです。基礎年金部分は給与がいくら高くても全額受け取れます。また、支給停止された分は将来増額されるわけではなく、その期間の年金は戻ってきません。ただし、在職中に新たに積み立てた厚生年金保険料は将来の年金額に反映されます。
在職老齢年金を踏まえた働き方の選択
- 給与を50万円−基本月額以下に抑える:年金の全額支給を維持しつつ働く方法
- フルタイムで働いて年金を一部停止:給与+年金(減額後)の合計は必ず増えるため、トータル収入は増加する
- 業務委託・個人事業に切り替える:厚生年金の被保険者でなくなれば在職老齢年金の対象外。ただし厚生年金保険料の積み上げも止まる
年金と退職金の受取最適化――一時金 vs 年金受取
退職金を「一時金」で受け取るか「年金」で受け取るかは、手取り額に大きく影響します。年金シミュレーションと合わせて最適な受取方法を検討しましょう。
退職一時金のメリット
- 退職所得控除が大きい:勤続20年超の場合、控除額=800万円+70万円×(勤続年数−20年)。勤続38年なら控除額は2,060万円
- 分離課税・1/2課税:退職金から退職所得控除を差し引いた額の1/2にだけ課税されるため、税負担が非常に軽い
- 社会保険料に影響しない:退職一時金は年金受給中の社会保険料の算定対象にならない
年金受取のメリットと注意点
- 運用益が期待できる:企業年金基金が予定利率(1.5〜2.5%程度)で運用してくれるため、一時金より総受取額が増える可能性がある
- 雑所得として課税される:年金受取は公的年金と合算して雑所得として課税され、税率が上がることがある
- 社会保険料が増加する:年金受取額が雑所得に加わると、国民健康保険料・介護保険料が増加する
受取方法の選択指針
- 退職所得控除の枠内に収まるなら → 一時金受取が有利(ほぼ非課税)
- 退職金が高額で控除枠を大きく超えるなら → 一時金+年金の併用で税負担を分散
- 65歳以降の年金収入が少なく公的年金等控除の枠が余るなら → 年金受取も選択肢
- 退職金を住宅ローンの一括返済に充てたい場合 → 一時金受取一択
退職金と公的年金の受取方法を総合的に最適化するには、退職前3〜5年のうちにFPに相談して、税・社会保険料のシミュレーションを行うことをおすすめします。
夫婦世帯のモデルケースで年金額を試算
年金は個人単位で計算されますが、実際の家計は世帯で考える必要があります。代表的な3つの夫婦モデルケースで、世帯としての年金額を見てみましょう。
モデル1:共働き夫婦(フルタイム×フルタイム)
共働き夫婦のモデルケース
- 夫:平均年収600万円・厚生年金38年加入 → 年金月額 約18万円
- 妻:平均年収400万円・厚生年金35年加入 → 年金月額 約13.5万円
- 世帯合計:月額 約31.5万円(年額 約378万円)
共働き世帯は2人とも厚生年金があるため、老後の年金収入は比較的余裕があります。ただし、どちらかが先に亡くなった場合の遺族年金の設計が重要です。
モデル2:片働き夫婦(会社員+専業主婦/主夫)
片働き夫婦のモデルケース
- 夫:平均年収500万円・厚生年金38年加入 → 年金月額 約15.6万円
- 妻:国民年金のみ(第3号被保険者30年+自営業10年)→ 年金月額 約6.9万円
- 加給年金(妻が65歳未満の期間):年額 約40.8万円 → 月額 約3.4万円
- 世帯合計:月額 約22.5万円(加給年金終了後)〜 約25.9万円(加給年金あり期間)
片働き世帯は、加給年金の終了後に世帯収入が下がるタイミングに備える必要があります。
モデル3:自営業夫婦
自営業夫婦のモデルケース
- 夫:国民年金40年満額 → 年金月額 約6.9万円
- 妻:国民年金35年納付 → 年金月額 約6.1万円
- 世帯合計:月額 約13万円(年額 約156万円)
自営業夫婦は厚生年金がないため、年金だけでは生活費が大きく不足します。国民年金基金・付加年金・iDeCo・小規模企業共済など、自助努力での上乗せが不可欠です。
いずれのモデルでも、配偶者が亡くなった場合の遺族厚生年金の受給額と、老齢年金との併給ルールを事前に確認しておくことが大切です。
年金だけでは足りない?不足額と老後資金の対策
シミュレーションで年金額がわかったら、次は毎月の生活費との差額(不足額)を計算しましょう。不足額がわかれば、今からいくら準備すべきかが具体的に見えてきます。
老後の生活費の目安
総務省「家計調査報告(2024年)」によると、65歳以上の夫婦世帯の平均支出は月約28.2万円、単身世帯は月約15.7万円です。ゆとりある老後生活を送りたい場合は月36万円程度が目安とされています(生命保険文化センター調査)。
不足額の計算例
片働き夫婦(年収500万円)の不足額シミュレーション
- 世帯年金(手取り月額):約19万円
- 毎月の支出見込み:約28万円(平均的な生活)
- 月の不足額:約9万円
- 不足額 × 12か月 × 25年(65〜90歳)= 約2,700万円
住宅ローンの残債、介護費用、住宅のリフォーム費用、医療費の自己負担増などを加味すると、実際の必要額はさらに上振れする可能性があります。
不足額を埋める5つの柱
- 退職金:勤続38年の大企業で平均約2,000万円、中小企業で約1,000万円
- iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金全額所得控除+運用益非課税。60歳まで引き出し不可
- 新NISA:年間投資枠360万円・生涯上限1,800万円。運用益非課税でいつでも引き出し可
- 企業型確定拠出年金(DC):会社が掛金を拠出。マッチング拠出で自己負担分も所得控除
- 繰下げ受給:年金自体を増やす方法。70歳まで繰り下げれば42%増額
iDeCo・新NISAで年金の不足分を補填するプラン
年金の不足額がわかったら、iDeCoと新NISAを使った具体的な補填プランを考えましょう。両制度は税制優遇の仕組みが異なるため、組み合わせて使うのが最も効率的です。
iDeCoの活用プラン
iDeCoの掛金上限と節税効果(会社員の場合)
- 企業年金なし:月23,000円(年276,000円)
- 企業型DC加入者:月20,000円(年240,000円)
- DB(確定給付型)加入者:月12,000円(年144,000円)
- 公務員:月12,000円(年144,000円)
月23,000円を年利4%で25年運用した場合の資産:約1,183万円(元本690万円+運用益約493万円)。さらに、掛金の所得控除で年収500万円なら年間約5.5万円の節税効果があります。
新NISAの活用プラン
新NISAの活用例
- つみたて投資枠:年120万円まで(月10万円)。長期の積立投資向け
- 成長投資枠:年240万円まで。個別株・ETF・投資信託に幅広く投資可能
- 生涯投資枠:1,800万円(うち成長投資枠1,200万円まで)
月5万円を年利4%で20年積み立てた場合の資産:約1,834万円(元本1,200万円+運用益約634万円)。運用益はすべて非課税で受け取れます。
iDeCo+新NISAの組み合わせ例
| 制度 | 月額 | 20年後の資産(年利4%) | 引出しの自由度 |
|---|---|---|---|
| iDeCo | 2.3万円 | 約845万円 | 60歳まで不可 |
| 新NISA | 5万円 | 約1,834万円 | いつでも可 |
| 合計 | 7.3万円 | 約2,679万円 | — |
月7.3万円の積立で20年後に約2,700万円の資産を作れる計算です。年金の不足額2,700万円を補填するのにちょうど合致するプランです。積立開始が5年遅れると、同じ資産を作るのに必要な月額は約9.5万円に増加します。早く始めるほど月々の負担は軽くなります。
シミュレーション結果の活用方法
ここまでの各セクションで計算した年金額・不足額・補填プランを、実際の行動に結びつけましょう。
ステップ1:年金見込額を確定する
- ねんきん定期便・ねんきんネットの数字と、本ページのシミュレーション結果を照合する
- 加給年金・振替加算の該当有無を確認し、該当する場合は年金額に加算する
- 在職老齢年金の対象になるか確認し、該当する場合は減額後の金額を使う
ステップ2:老後の生活費との差額を計算する
- 月の支出見込み − 年金月額(手取り)= 月の不足額
- 不足額 × 12か月 × 想定老後年数(25〜30年)= 必要な老後資金の総額
- 住宅ローン残債、介護費用(1人あたり平均約580万円)、リフォーム費用も加算する
ステップ3:補填プランを立てる
- 退職金の見込額を確認する(人事部に「退職金見込額証明書」を依頼)
- 退職金でカバーできない部分をiDeCo+新NISAの積立で準備する
- 繰下げ受給の損益分岐年齢と、自分の健康状態・家族歴を照らし合わせる
これらの情報を整理したうえで、詳しい試算は老後資金シミュレーションのページもご覧ください。数字を一覧にまとめてFPに見せれば、30分の相談でもかなり具体的なアドバイスを得られます。
よくある質問(FAQ)
- 年金シミュレーションの結果は正確ですか?
- ねんきんネットのシミュレーションは加入実績に基づく概算です。今後の収入変動・制度改正で変わるため、±10〜15%程度の誤差を見込んでください。より精度の高い試算はねんきん定期便の見込額と合わせて確認することをおすすめします。
- 年金シミュレーションはスマホでもできますか?
- はい。日本年金機構の「ねんきんネット」はスマホ対応しています。マイナンバーカードがあればマイナポータル経由でログインでき、加入履歴の確認から将来の年金見込額の試算まで可能です。
- 繰下げ受給と繰上げ受給はどちらが得ですか?
- 一般に、81歳11か月以上生きる場合は繰下げ受給(70歳開始)のほうが生涯受給額で有利になります。ただし健康状態、他の収入源、税・社会保険料の増加も考慮する必要があります。繰下げ中は加給年金も止まるため、配偶者が年下の方は加給年金の総額も計算に入れて判断してください。個別の損益分岐点はFPに相談するのが確実です。
- 加給年金と振替加算は誰がもらえますか?
- 加給年金は厚生年金の加入期間が20年以上ある方が65歳になったとき、生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳未満の子がいる場合に支給されます。配偶者が65歳になると加給年金は終了し、代わりに配偶者自身の年金に振替加算が加わります。振替加算は1966年4月2日以降生まれの方はゼロです。
- 在職老齢年金で年金はいくら減りますか?
- 65歳以上の在職老齢年金は「基本月額+総報酬月額相当額」が50万円を超えた分の2分の1が支給停止となります。たとえば基本月額15万円・給与35万円なら合計50万円でギリギリ全額支給ですが、給与が40万円になると月2.5万円が停止されます。なお、老齢基礎年金は在職老齢年金の対象外で、全額受給できます。
- 年金の不足額はiDeCoやNISAで補えますか?
- iDeCoは掛金が全額所得控除になるため節税しながら老後資金を積み立てられます。新NISAは運用益が非課税で、いつでも引き出せる柔軟性があります。月7.3万円(iDeCo 2.3万円+NISA 5万円)を年利4%で20年運用すると約2,700万円になり、一般的な年金不足額を補填できる水準です。積立開始が遅れるほど月々の必要額が増えるため、早めの着手が有利です。
給付金の確認から、我慢していた支出を選び直す家計へ
ここで確認したいのは、受け取れるお金だけではありません。いま我慢している「休む・任せる・移動する・学ぶ」支出を、いつなら選べるかまで数字で見ることです。
たとえば最初に見るのは「安心して休める時間」。日帰りホテルの個室、寝具、食洗機やミールキットのように、物価高で後回しにしがちな支出を家計の中で選べるかを確認します。
お金の不安が強いと、働き方も、家族との時間も、自分のやりたいことも、どうしても後回しになりがちです。
FPに家計を相談する目的は、ただ節約することではありません。
給付金を確認し、毎月のお金の流れを整えることで、我慢していた支出を「いつ・いくらまでなら選べるか」まで整理し、休む、任せる、移動する、学ぶ、親や家族との時間を作る、といった選択肢が見えやすくなります。
なぜFP相談で変わるのか。使える給付金、毎月の固定費、教育費、住宅費、老後資金を同じ表に並べると、「削るべき支出」と「取り戻したい暮らしに使ってよい支出」の境目が見えやすくなるからです。
たとえば、こんな選択肢を数字で確認できます。
安心して休める時間
誰にも要求されない時間、眠れる環境、責任を一時停止できる仕組みにお金を使えるか。
家事・育児・段取りからの解放
名もなき家事、献立、送迎、連絡、調整を一人で抱えない形にできるか。
家計と将来不安の軽減
物価高、教育費、住宅ローン、老後資金の不安を見える化できるか。
子どもの選択肢を広げる教育・体験
英語、体験、旅行、習い事など、世界を見せる予算を作れるか。
家族の再起動としての旅行・非日常
連泊、温泉、自然の中で家族会話を回復する余白を作れるか。
健康回復・睡眠・老化対策
疲れが抜ける、痛くない、眠れる、朝動ける状態に投資できるか。
夫婦の関係回復
運営組織ではなく、伴侶として話せる時間を取り戻せるか。
親の介護・親との時間への備え
介護、見守り、帰省、親孝行、自分の老後準備に備えられるか。
自分の物理的逃げ場
書斎、椅子、ベランダ、サウナ、カフェのような避難場所を持てるか。
疲れない移動
駅近、送迎、グリーン車、ミニバン、近場高級宿を選べるか。
人生がまだ動く感覚
学び直し、副業、趣味、旅、挑戦にもう一度向かえるか。
お金の不安だけで、働き方や暮らし方を決めなくてよくなる。FPと一緒に、我慢の家計から選べる家計へ戻すための確認です。
FPと30分で、我慢していた支出を選べる家計に整理する(無料・Zoom) →
出典・改訂履歴・免責事項を見る
本ページの制度概要・要件・税率は、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(執筆時点)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。FPは記事を直接監修してはおらず、関連テーマでご相談を受けるFPとしてご紹介しています。
最終確認日:2026-05-15
※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・金額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。
本相談はIKIGAI TOWN編集部が運営するFP相談サービスです。各自治体の給付金窓口とは異なります。


































































































