遺族年金

遺族年金はいつまでもらえる?
支給期間と失権条件

老後資金と使ってよいお金を逆算して家計を整える場面
年金額だけでなく、医療費、楽しみ、使ってよいお金の余白まで確認します。

遺族基礎年金は子が18歳年度末まで。遺族厚生年金は原則一生涯(再婚等で失権)。2025年改正で30歳未満の配偶者は5年有期に

記事の答えを確認した次に

申請できるか分からない。まず何を確認すればいい?

決めるタイミング: 初診日、家族の死亡、支援の通知など、申請のきっかけになる出来事があったとき。

相談で繰り返される本音

  • 対象かどうかだけでも早く知りたい
  • 書類が足りず、何度も窓口へ行くのは避けたい
  • 受け取れない場合の生活費も先に考えておきたい

初回で口頭整理できること

初回は、起きた出来事、手元の記録、公式窓口へ確認する質問を口頭で整理します。

その次に分けること

公式機関の確認結果をもとに、申請準備と家計への影響を分けて考えます。

初回の範囲: 受給可否の判定、診断書等の作成、申請代行、金融商品の見積り・申込みは初回に行いません。

初回で最初の確認事項を聞く

初回は口頭で整理します。資料がなくても、分かる範囲から始められます

相談前のFAQ

資料がそろっていなくても相談できますか?

はい。初回は、いま分かる範囲から迷いと確認順を整理します。通知書、通帳、財産や家計のメモなどが手元にあれば、分かる範囲だけご用意ください。

初回で何を持ち帰れますか?

いま決めること、まだ決めなくてよいこと、次に確認する数字や窓口を口頭で整理して持ち帰れます。初回当日の資料完成は約束していません。

初回に商品や契約の話がありますか?

初回は迷いと数字の整理に使います。金融商品の見積り、申込み、契約変更は初回の範囲に含みません。

目次(13セクション)
  1. 遺族年金の受給期間の概要
  2. 遺族基礎年金の支給期間|子が18歳年度末まで
  3. 遺族厚生年金の支給期間|原則終身だが例外あり
  4. 子のある配偶者の受給パターン
  5. 子がいない配偶者(30歳未満は5年有期)
  6. 再婚による失権|届出義務と注意点
  7. 子の年齢到達による失権|段階的な受給額変化
  8. 中高齢寡婦加算の期間|40歳から65歳まで
  9. 65歳以降の併給調整|老齢年金との関係
  10. 支給停止事由の一覧|届出を忘れると不正受給に
  11. 届出義務と手続き|受給中に必要な届出
  12. 失権後の備え|遺族年金が終わった後の生活設計
  13. よくある質問

遺族年金の受給期間の概要

遺族年金をいつまで受給できるかは、遺族基礎年金と遺族厚生年金で大きく異なります。また、受給者の状況(再婚・子の成長・所得変化)によって途中で終了することがあります。まず全体像を把握しましょう。

年金の種類受給者受給終了の主な原因受給期間の目安
遺族基礎年金子のある配偶者末子が18歳年度末に達したとき末子が18歳になるまで
遺族基礎年金子(配偶者がいない)18歳年度末に達したとき18歳年度末まで
遺族厚生年金(妻)配偶者(妻)再婚・死亡原則終身
遺族厚生年金(夫)配偶者(夫)55歳未満の死亡時は不支給、60歳から受給60歳〜終身(原則)
遺族厚生年金(30歳未満の妻・子なし)30歳未満の配偶者5年経過5年間の有期給付

以下のセクションでは、それぞれの年金ごとに「いつ始まり、いつ終わるのか」を具体的に解説します。

遺族基礎年金の支給期間|子が18歳年度末まで

遺族基礎年金は、国民年金に加入していた方が亡くなったときに、子のある配偶者またはに支給されます。支給期間は子の年齢に連動しており、末子が18歳に達した年度末(3月31日)を迎えると受給権が消滅します。

支給期間の具体例

  • 末子が2025年7月に18歳になる場合 → 2026年3月末で遺族基礎年金は終了
  • 子が3人いて、末子が2030年2月に18歳になる場合 → 2030年3月末まで受給可能
  • 障害等級1級または2級の子の場合は20歳に達するまで継続受給が可能

子の人数と加算額の変化

遺族基礎年金の加算額は子の人数で変わります。上の子が18歳年度末を迎えるたびに加算額が段階的に減少し、末子が18歳年度末を迎えた時点で受給権そのものが消滅します。

2026年度の遺族基礎年金額(年額)

  • 基本額:816,000円(月額 68,000円)
  • 子の加算:第1子・第2子 各234,800円、第3子以降 各78,300円
  • 子1人の場合:年額 約105万円 → 子が18歳年度末で全額停止

遺族厚生年金の支給期間|原則終身だが例外あり

遺族厚生年金は、厚生年金に加入していた方が亡くなったときに遺族に支給されます。配偶者(妻)の場合は再婚や死亡がなければ生涯にわたって受給できるのが原則です。ただし、受給者の性別・年齢・子の有無によって例外があります。

妻が受給する場合

  • 夫の死亡時に妻が30歳以上、または子のある妻 → 原則終身
  • 夫の死亡時に妻が30歳未満で子がいない → 5年間の有期給付(2025年改正)

夫が受給する場合

  • 妻の死亡時に夫が55歳以上でないと受給権が発生しない
  • 受給開始は60歳から(55〜59歳は受給権があっても支給停止)
  • 子のある夫の場合、遺族基礎年金を受給中は遺族厚生年金も年齢にかかわらず支給される

子・父母・孫・祖父母が受給する場合

配偶者以外の遺族が受給できるケースもあります。子・孫は18歳年度末まで(障害がある場合は20歳まで)、父母・祖父母は55歳以上で60歳から支給開始です。

子のある配偶者の受給パターン

子のある配偶者は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を同時に受給できるため、受給額が大きくなります。ただし、子の成長に伴い段階的に受給内容が変わります。

時期受給する年金年額の目安(子1人・夫の報酬月額35万円の場合)
子が18歳年度末まで遺族基礎年金+遺族厚生年金約160万円
子が18歳年度末を超えた後(妻40歳以上)遺族厚生年金+中高齢寡婦加算約110万円
妻65歳以降老齢基礎年金+遺族厚生年金(差額)自身の年金額による

子が複数いる場合は、上の子が18歳年度末を迎えるたびに遺族基礎年金の加算額が減ります。末子が18歳年度末を迎えた瞬間、遺族基礎年金は全額停止となり、家計に大きな影響が出ます。事前に収支計画を立てておくことが重要です。

子がいない配偶者(30歳未満は5年有期)

子のいない配偶者が遺族厚生年金を受給する場合、妻の年齢が重要な分岐点になります。

30歳以上の妻(子なし)

夫の死亡時に30歳以上の妻は、遺族厚生年金を原則終身で受給できます。ただし遺族基礎年金は支給されません(子がいないため)。

30歳未満の妻(子なし)― 5年有期給付

夫の死亡時に30歳未満で子のいない妻は、遺族厚生年金の受給が5年間に限定されます。これは2025年の年金制度改正で導入された規定です。

5年有期給付の具体例

  • 28歳で夫が死亡 → 遺族厚生年金は33歳までの5年間のみ
  • 5年経過後は受給権が消滅し、再開はできない
  • 5年以内に再婚した場合は再婚時点で失権
  • 制度趣旨:若年で子のいない配偶者は再就職・自立が可能との考え方に基づく

夫(子なし)

妻の死亡時に55歳以上であれば受給権が発生しますが、支給開始は60歳からです。55歳未満の夫には遺族厚生年金の受給権自体が発生しません。

再婚による失権|届出義務と注意点

遺族年金の受給者が再婚すると、遺族基礎年金・遺族厚生年金の両方について受給権が消滅します。消滅は再婚した月の翌月からです。

失権の対象となる「再婚」の範囲

  • 法律婚(婚姻届の提出):届出日の属する月の翌月から失権
  • 事実婚(内縁関係):事実上の婚姻関係が成立した時点で失権。同居の有無だけでなく、経済的な協力関係があるかを総合的に判断される
  • 再婚後に離婚しても受給権は復活しない ― 一度失権すると取り消し不可

届出を怠った場合のリスク

再婚や事実婚の成立を届け出ずに受給を続けると、不正受給として返還請求の対象になります。悪質な場合は詐欺罪に問われる可能性もあるため、速やかに年金事務所へ届け出てください。

子の年齢到達による失権|段階的な受給額変化

遺族基礎年金は子の年齢に連動して受給権が変動します。子が複数いる場合、段階的に受給額が減少していく点に注意が必要です。

子の年齢到達による変化の流れ

イベント遺族基礎年金への影響遺族厚生年金への影響
第1子が18歳年度末到達子の加算が1人分減額変化なし
末子が18歳年度末到達受給権消滅(全額停止)変化なし(ただし中高齢寡婦加算の判定に影響)
障害のある子が20歳到達受給権消滅変化なし
子の婚姻・養子縁組その子に関する加算が停止変化なし

末子が18歳年度末を迎えると遺族基礎年金が全額停止するため、年間で約80〜100万円の収入減が生じます。この「年金の崖」に備えて、就労収入の確保や貯蓄の計画を早めに立てることが大切です。

中高齢寡婦加算の期間|40歳から65歳まで

中高齢寡婦加算は、遺族厚生年金に上乗せされる加算制度で、40歳以上65歳未満の妻が対象です。遺族基礎年金を受給できない(子がいない、または末子が18歳年度末を超えた)期間の収入減を補う役割があります。

支給の条件

  • 夫の死亡時に40歳以上65歳未満で子のいない妻
  • または、遺族基礎年金の受給権が消滅した時点で40歳以上の妻
  • 2026年度の加算額:年額612,000円(月額 51,000円)

65歳で終了する理由

中高齢寡婦加算は妻が65歳になると終了します。これは65歳から自身の老齢基礎年金が支給されるためです。ただし、老齢基礎年金の額が中高齢寡婦加算より少ない場合は経過的寡婦加算として差額が補填されるケースがあります(1956年4月1日以前生まれの方が対象)。

65歳以降の併給調整|老齢年金との関係

65歳になると自身の老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)の受給が始まるため、遺族厚生年金との併給調整が行われます。

併給調整の仕組み(差額支給方式)

65歳以降は以下の順序で受給額が決まります。

  1. まず自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金を全額受給
  2. 遺族厚生年金の額が自身の老齢厚生年金を上回る場合 → 差額分が遺族厚生年金として支給
  3. 自身の老齢厚生年金のほうが高い場合 → 遺族厚生年金は全額支給停止

計算例:65歳以降の併給調整

  • 遺族厚生年金の額:年額60万円
  • 自身の老齢厚生年金の額:年額40万円
  • → 自身の老齢厚生年金40万円を全額受給し、遺族厚生年金との差額20万円が遺族厚生年金として追加支給
  • → これに自身の老齢基礎年金を加えた額が65歳以降の総受給額

共働き世帯では自身の老齢厚生年金が遺族厚生年金を上回り、遺族厚生年金が実質ゼロになるケースもあります。65歳時点の受給見込み額は「ねんきん定期便」で事前に確認しておきましょう。

支給停止事由の一覧|届出を忘れると不正受給に

遺族年金の支給が停止または消滅する主な事由をまとめます。

事由対象の年金停止・消滅のタイミング
再婚(法律婚)遺族基礎年金・遺族厚生年金再婚した月の翌月から消滅
事実婚(内縁関係)の成立同上内縁関係成立時から停止
末子の18歳年度末到達遺族基礎年金18歳年度末(3月31日)の翌日
受給者の死亡両年金死亡月の翌月から消滅
子の養子縁組(直系血族・直系姻族以外)遺族基礎年金養子縁組成立の翌月から停止
30歳未満の妻で5年経過遺族厚生年金5年経過した月の翌月から消滅
子のない妻が30歳未満になったとき遺族厚生年金遺族基礎年金の受給権消滅から5年
所在不明(1年以上)遺族基礎年金他の受給権者の申請で支給停止

上記のいずれかに該当した場合、14日以内に届出を行う義務があります(国民年金法第105条)。届出を怠ると過払い分の返還を求められるほか、悪質な場合は刑事罰の対象になります。

届出義務と手続き|受給中に必要な届出

遺族年金を受給している間は、状況の変化があるたびに届出が必要です。届出先は年金事務所または市区町村の年金窓口です。

届出が必要な主なケース

  • 再婚・事実婚の成立:遺族年金失権届(14日以内)
  • 受給者の住所変更:年金受給権者住所変更届
  • 受給者の氏名変更:年金受給権者氏名変更届
  • 子の婚姻・養子縁組:加算額改定届
  • 障害のある子の障害等級変更:障害等級変更届
  • 受給者の死亡:未支給年金請求届(遺族が届出)

届出を忘れやすいケース

特に注意が必要なのは事実婚(内縁関係)です。婚姻届を出さなくても、同居して経済的な生計を共にしている場合は事実婚とみなされ、届出義務が発生します。交際相手との同居を始めた段階で年金事務所に相談しておくのが安全です。

現況届(生存確認)について

以前は毎年「現況届」の提出が必要でしたが、現在は住民基本台帳ネットワークとの連携により原則として提出不要になっています。ただし、海外在住の方や住基ネットに登録されていない方は引き続き提出が必要です。

失権後の備え|遺族年金が終わった後の生活設計

遺族年金は永続的な所得保障ではありません。失権のタイミングを見据えて、早い段階から「年金がなくなった後」の生活設計を立てることが重要です。

遺族基礎年金が終わるタイミング(末子18歳年度末)の備え

  • 就労収入の確保:子が中学生頃からパート・正社員への復帰を検討
  • 教育費の見通し:遺族年金がなくなる時期と子の大学進学時期が重なりやすい
  • 寡婦年金・死亡一時金の受給可能性を確認(国民年金加入者の遺族向け)

中高齢寡婦加算が終わるタイミング(65歳)の備え

  • 自身の老齢基礎年金で代替されるが、満額に満たない場合は減収
  • 国民年金の任意加入制度(60歳〜65歳)で老齢基礎年金を満額に近づける

失権後に活用できる制度

  • 児童扶養手当:ひとり親世帯向け。遺族基礎年金終了後も所得条件を満たせば受給可能
  • ひとり親控除:所得税・住民税の控除(所得500万円以下)
  • 高等職業訓練促進給付金:看護師・介護福祉士等の資格取得中に月額10万円を支給
  • iDeCo・つみたてNISA:少額からの資産形成で65歳以降の収入源を確保

遺族年金の失権後に「どの制度が使えるか」「いくら不足するか」は、個々の家計状況によって大きく異なります。早めにFPへ相談し、キャッシュフロー表を作成しておくと安心です。

よくある質問

再婚すると遺族年金は完全に終わりますか?さかのぼって返還が必要ですか?
再婚した月の翌月から受給権が消滅します。さかのぼっての返還は不要ですが、再婚後に受給した分は不正受給となるため、速やかに届出をすることが必要です。なお、再婚後に離婚しても受給権は復活しません。
遺族厚生年金を受給しながら働いても減額されますか?
遺族厚生年金には在職老齢年金のような給与による減額はありません。フルタイムで働いても遺族厚生年金は全額受給できます。ただし、65歳以降に自身の老齢厚生年金の受給権が生じた場合、併給調整により受給額が変わることがあります。
子が障害等級の認定を受けている場合、20歳まで遺族基礎年金を受給できますか?
はい。子が20歳未満で障害等級1級または2級に認定されている場合は、18歳年度末を超えても20歳に達するまで遺族基礎年金を受給できます。障害認定の手続きは年金事務所にご相談ください。
30歳未満の妻が5年有期で遺族厚生年金を受給中に30歳を超えたら終身に変わりますか?
いいえ。5年有期の判定は夫の死亡時点の年齢で確定します。受給中に30歳を超えても有期から終身には切り替わりません。5年経過時点で受給権は消滅します。
遺族年金と老齢年金の両方を満額もらうことはできますか?
65歳以降は、自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金を優先的に受給し、遺族厚生年金はその差額分のみが支給されます。両方を満額受給することはできませんが、合計額としては遺族厚生年金のほうが高い場合にその分が上乗せされる仕組みです。
事実婚(内縁関係)でも遺族年金は打ち切られますか?
はい。法律婚だけでなく事実婚(内縁関係)が成立した場合も失権の対象です。交際相手との同居や経済的な協力関係がある場合は、年金事務所に届け出る義務があります。届出を怠ると過払い分の返還請求を受ける可能性があります。

関連トピック(あとで読む)

出典・改訂履歴・免責事項を見る

本ページの制度概要・要件・税率は、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(執筆時点)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。FPは記事を直接監修してはおらず、関連テーマでご相談を受けるFPとしてご紹介しています。

最終確認日:2026-05-15

※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・金額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

本相談は年金事務所・自治体・勤務先の手続きや受給額の確定を代行するものではありません。