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年金は原則65歳から受給開始。繰上げで60歳から、繰下げで最長75歳まで受給開始を遅らせることができる

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目次(12セクション)
  1. 老齢基礎年金の支給開始年齢(原則65歳)
  2. 老齢厚生年金の支給開始年齢
  3. 特別支給の老齢厚生年金(生年月日別)
  4. 繰上げ受給(60〜64歳)の仕組みと注意点
  5. 繰下げ受給(66〜75歳)の仕組みとメリット
  6. 繰上げ・繰下げの損益分岐点 比較テーブル
  7. 年金の受給資格期間(10年ルール)
  8. 加入期間が足りない場合の対策
  9. 障害年金・遺族年金の支給開始タイミング
  10. 年金請求手続きの流れ
  11. 受給開始年齢を決めるときのチェックポイント
  12. よくある質問(FAQ)

老齢基礎年金の支給開始年齢(原則65歳)

老齢基礎年金は、国民年金に加入していたすべての人が受け取れる年金で、支給開始年齢は原則65歳です。20歳から60歳までの40年間(480か月)すべて保険料を納付した場合、2026年度の満額は年間約81万6,000円(月額約6万8,000円)となります。

老齢基礎年金の金額は加入期間に比例します。たとえば30年間(360か月)しか納付していない場合は、満額の75%(約61万2,000円)が年金額です。未納・免除期間がある方は、その分だけ年金額が減少します。

老齢基礎年金の基本ルール

  • 対象者:国民年金に加入していた人(第1号・第2号・第3号被保険者すべて)
  • 支給開始:原則65歳の誕生日の翌月分から
  • 受給資格:保険料納付済期間+免除期間+合算対象期間が10年(120か月)以上
  • 年金額:納付月数 ÷ 480 × 満額(約81万6,000円)

自営業・フリーランス(第1号被保険者)は国民年金のみの加入なので、老齢基礎年金だけが老後の公的年金となります。会社員・公務員は老齢厚生年金が上乗せされます。

老齢厚生年金の支給開始年齢

老齢厚生年金は、厚生年金に加入していた会社員・公務員が、老齢基礎年金に上乗せして受け取れる年金です。支給開始年齢は老齢基礎年金と同じく原則65歳です。

老齢厚生年金の金額は、現役時代の平均標準報酬額加入期間によって決まります。報酬が高く、加入期間が長いほど年金額は多くなります。

老齢厚生年金の計算式(概算)

  • 報酬比例部分:平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数(2003年4月以降分)
  • 経過的加算:厚生年金加入月数が480月を超える場合などに上乗せされる差額
  • 加給年金:厚生年金20年以上加入で、65歳未満の配偶者や18歳未満の子がいる場合に加算(年約39万7,500円)

たとえば平均標準報酬額が40万円で38年間(456か月)加入した場合、報酬比例部分だけで年間約100万円になります。老齢基礎年金と合わせると年間約180万円(月額約15万円)が目安です。

特別支給の老齢厚生年金(生年月日別)

かつて厚生年金の支給開始年齢は60歳でしたが、法改正により段階的に65歳へ引き上げられました。この移行期間に該当する方は、65歳前に「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れます。

特別支給の老齢厚生年金は「報酬比例部分」「定額部分」の2階建てでしたが、定額部分の引き上げが先に完了し、報酬比例部分も段階的に引き上げ中です。

男性の支給開始年齢(報酬比例部分)

生年月日報酬比例部分の開始年齢
1953年4月2日〜1955年4月1日61歳
1955年4月2日〜1957年4月1日62歳
1957年4月2日〜1959年4月1日63歳
1959年4月2日〜1961年4月1日64歳
1961年4月2日以降65歳(特別支給なし)

女性の支給開始年齢(報酬比例部分)

生年月日報酬比例部分の開始年齢
1958年4月2日〜1960年4月1日61歳
1960年4月2日〜1962年4月1日62歳
1962年4月2日〜1964年4月1日63歳
1964年4月2日〜1966年4月1日64歳
1966年4月2日以降65歳(特別支給なし)

特別支給の老齢厚生年金は繰下げができません。該当する方は受給開始年齢になったら速やかに請求手続きを行ってください。請求しないまま5年を過ぎると時効で受け取れなくなります。

注意:特別支給は請求しないともらえない

特別支給の老齢厚生年金は自動的には振り込まれません。対象者には日本年金機構から「年金請求書」が届きますが、届かない場合や届いても放置した場合は受給が遅れます。心当たりのある方は日本年金機構に確認しましょう。

繰上げ受給(60〜64歳)の仕組みと注意点

65歳前に年金を受け取り始めるのが繰上げ受給です。繰り上げた月数に応じて年金額が生涯にわたって減額されます。2022年4月以降の法改正により、1962年4月2日以降生まれの方は減額率が月0.4%(旧0.5%)に緩和されています。

繰上げ受給の減額率テーブル

受給開始年齢繰上げ月数減額率年金額(満額比)
60歳0か月60か月24.0%減満額の76.0%
61歳0か月48か月19.2%減満額の80.8%
62歳0か月36か月14.4%減満額の85.6%
63歳0か月24か月9.6%減満額の90.4%
64歳0か月12か月4.8%減満額の95.2%
65歳0か月0か月0%満額の100%

繰上げ受給のデメリット・注意点

  • 減額は一生続く:一度繰り上げると、65歳以降も減額された金額のまま。取り消しはできない
  • 障害基礎年金が請求できなくなる:繰上げ後に障害状態になっても、原則として障害基礎年金は受給できない
  • 寡婦年金が受給できなくなる:国民年金の寡婦年金を受けている場合は権利が消滅する
  • 国民年金の任意加入ができなくなる:60歳以降に加入期間を延ばすことが不可になる
  • 基礎年金と厚生年金を同時に繰り上げる必要がある:片方だけの繰上げはできない

詳しくは年金は60歳からもらった方が賢い?繰上げ受給のメリット・デメリットで解説しています。

繰下げ受給(66〜75歳)の仕組みとメリット

65歳を過ぎてから年金を受け取り始めるのが繰下げ受給です。繰り下げた月数×0.7%の増額が生涯続くため、長生きするほど有利になります。2022年4月の法改正で上限が70歳から75歳に延長されました。

繰下げ受給の増額率テーブル

受給開始年齢繰下げ月数増額率65歳時 月10万円の場合
66歳0か月12か月8.4%増月10万8,400円
67歳0か月24か月16.8%増月11万6,800円
68歳0か月36か月25.2%増月12万5,200円
70歳0か月60か月42.0%増月14万2,000円
72歳0か月84か月58.8%増月15万8,800円
75歳0か月120か月84.0%増月18万4,000円

繰下げ受給の注意点

  • 基礎年金と厚生年金を別々に繰下げ可能:2022年4月以降、それぞれ独立して繰下げ時期を選べる
  • 加給年金は繰下げ待機中もらえない:厚生年金を繰り下げている間は加給年金(配偶者加算)が停止する
  • 在職老齢年金で停止された部分は増額対象外:高収入で年金の一部が停止されている場合、その停止分は繰下げ増額の対象にならない
  • 税金・社会保険料が増える可能性:年金額が増えると所得税・住民税・国民健康保険料・介護保険料も増加する
  • 繰下げ待機中に亡くなった場合:遺族は65歳時点の金額で未支給年金を一括請求できる(増額分は反映されない)

繰下げの判断で迷う方は年金の繰下げで後悔する5つのパターンもご確認ください。

繰上げ・繰下げの損益分岐点 比較テーブル

何歳まで生きれば繰下げが得になるのか、逆に何歳より前に亡くなると繰上げが得になるのか。累計受給額が逆転する損益分岐点を一覧にまとめました。

比較パターン損益分岐年齢(概算)解説
60歳繰上げ vs 65歳通常約80歳10か月80歳以前に亡くなれば繰上げが得、それ以降なら65歳開始が得
62歳繰上げ vs 65歳通常約79歳10か月繰上げ月数が少ないほど分岐点は早まる
66歳繰下げ vs 65歳通常約77歳11か月1年の繰下げなら78歳前後で元が取れる
68歳繰下げ vs 65歳通常約79歳11か月80歳まで生きれば繰下げが有利になる
70歳繰下げ vs 65歳通常約81歳10か月男性平均寿命(約81歳)付近。微妙な判断
75歳繰下げ vs 65歳通常約86歳11か月女性平均寿命(約87歳)付近。長寿家系なら有利

損益分岐点だけで判断しない

損益分岐点は「税金・社会保険料ゼロ」の前提です。実際には繰下げで年金が増えると所得税・住民税・国民健康保険料・介護保険料も上がるため、手取りベースの分岐点はさらに後ろにずれます。また、年金の使い途(日常生活費か余裕資金か)によっても最適解は変わります。詳しくは繰下げ・繰上げ損益分岐の比較計算を参照してください。

年金の受給資格期間(10年ルール)

年金を受け取るためには、保険料の納付済期間が一定以上必要です。2017年8月の法改正により、必要な期間が25年から10年に短縮されました。

受給資格期間にカウントされるもの

  • 保険料納付済期間:国民年金保険料を実際に納めた期間+厚生年金・共済組合の加入期間
  • 保険料免除期間:全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の各期間(年金額には反映割合が異なる)
  • 納付猶予期間:50歳未満の方の納付猶予、学生納付特例の期間(受給資格にはカウントされるが、追納しないと年金額には反映されない)
  • 合算対象期間(カラ期間):海外在住期間、1986年4月以前の被扶養配偶者で任意加入しなかった期間など(年金額には反映されないが資格期間に算入)

10年あっても年金額は少ない

受給資格期間が10年あれば年金はもらえますが、金額は満額の4分の1(年間約20万4,000円・月額約1万7,000円)にすぎません。老後の生活資金としては不十分なため、可能な限り加入期間を延ばすことが重要です。

加入期間が足りない場合の対策

年金の受給資格期間(10年)に届かない方や、年金額を増やしたい方には以下の対策があります。

1. 国民年金の任意加入(60〜65歳)

60歳時点で加入期間が40年に満たない方は、65歳まで任意加入して期間を延ばすことができます。受給資格期間が10年未満の方は、70歳まで加入可能(特例任意加入)です。

2. 保険料の追納(過去10年分)

免除・猶予を受けていた期間の保険料は、過去10年以内なら追納できます。追納すると年金額が増えるだけでなく、社会保険料控除として所得税の節税にもなります。

3. 厚生年金に加入する(就労)

パートやアルバイトでも、一定の要件を満たせば厚生年金に加入できます。2022年10月以降、従業員101人以上の企業で週20時間以上・月額8万8,000円以上で加入対象に拡大。2024年10月からは51人以上の企業にも拡大されました。

4. 付加年金への加入

第1号被保険者は月額400円の付加保険料を納めることで、将来の年金に「200円×納付月数」が上乗せされます。2年で元が取れる非常にコストパフォーマンスの良い制度です。

5. 合算対象期間(カラ期間)の確認

海外在住だった方、1986年以前に会社員の配偶者だった方は、カラ期間が受給資格に算入される場合があります。年金事務所で記録を確認しましょう。

障害年金・遺族年金の支給開始タイミング

老齢年金とは別に、障害年金遺族年金は年齢に関係なく一定の条件を満たしたときから受給できます。

障害年金の支給開始

障害年金は、病気やケガで障害状態になった場合に支給されます。年齢条件は以下の通りです。

  • 障害基礎年金:20歳以上で初診日がある場合、障害認定日(初診日から1年6か月後)から支給。20歳前に初診日がある場合は20歳到達日から支給
  • 障害厚生年金:厚生年金加入中に初診日がある場合、障害認定日から支給。障害等級1〜3級が対象(3級は厚生年金のみ)
  • 保険料納付要件:初診日の前日時点で、加入期間の3分の2以上の納付実績があること(特例:直近1年間に未納がないこと)

障害年金の金額目安(2026年度)

  • 障害基礎年金1級:年間約102万円+子の加算
  • 障害基礎年金2級:年間約81万6,000円+子の加算
  • 障害厚生年金:報酬比例の年金額に応じて決定(1級は1.25倍+配偶者加算)

遺族年金の支給開始

遺族年金は、年金加入者や受給者が亡くなったときに、残された家族に支給されます。

  • 遺族基礎年金:死亡日の翌月から支給。対象は「18歳未満の子がいる配偶者」または「18歳未満の子」
  • 遺族厚生年金:死亡日の翌月から支給。対象は配偶者・子・父母・孫・祖父母(優先順位あり)
  • 寡婦年金:国民年金第1号被保険者の夫が死亡した場合、妻が60歳から65歳まで受給
  • 死亡一時金:保険料を36か月以上納付した人が年金を受けずに死亡した場合、遺族に一時金(12万〜32万円)

年金請求手続きの流れ

年金は自動的に振り込まれるわけではありません。自分で請求手続きをする必要があります。請求が遅れると、受給開始が遅れるだけでなく、5年の時効で受け取れない分が発生する可能性もあります。

手続きの基本ステップ

年金請求の流れ

  1. 年金請求書の受領:受給開始年齢の約3か月前に日本年金機構から届く
  2. 必要書類の準備:戸籍謄本・住民票・所得証明書・預金通帳のコピーなど
  3. 請求書の提出:最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターに提出(郵送も可)
  4. 審査・決定:提出から1〜2か月で「年金証書・年金決定通知書」が届く
  5. 初回振込:年金証書到着から1〜2か月後。初回は届くまでに時間がかかることがある

請求に必要な主な書類

  • 年金請求書(日本年金機構から届くもの)
  • 本人確認書類(マイナンバーカードまたは運転免許証など)
  • 年金手帳またはマイナンバーカード
  • 戸籍謄本(加給年金・振替加算を請求する場合)
  • 受取先金融機関の通帳またはキャッシュカードのコピー
  • 所得に関する書類(雑所得の源泉徴収のため)

繰上げ・繰下げの請求方法

繰上げ受給の場合は、60歳以降に年金事務所で「繰上げ請求書」を提出します。提出した月の翌月分から減額された年金が支給されます。

繰下げ受給の場合は、66歳以降の希望するタイミングで「繰下げ申出書」を提出します。65歳時点で何も手続きをしなければ自動的に繰下げ待機状態になります。

受給開始年齢を決めるときのチェックポイント

受給開始年齢は一度決めると原則やり直しがきかない重要な判断です。以下のポイントを総合的に検討しましょう。

健康状態と平均余命

自身の健康状態や家族の長寿傾向を考慮します。日本人の平均寿命は男性約81歳・女性約87歳ですが、65歳時点の平均余命は男性約20年(85歳)・女性約25年(90歳)とさらに長くなります。

他の収入源の有無

退職金・企業年金・iDeCo・NISA・不動産収入など、年金以外の収入源がある場合は繰下げを検討しやすくなります。逆に年金が唯一の収入源なら、早く受け取る必要があるかもしれません。

配偶者の年金・年齢

夫婦の年齢差や配偶者の年金額によって、加給年金・振替加算・遺族厚生年金のバランスが変わります。一方が繰下げ、他方が通常受給というような組み合わせも有効です。

税金・社会保険料の影響

繰下げで年金額が増えると、所得税・住民税だけでなく、国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料も増える可能性があります。額面の増額率と手取りの増額率は異なることを理解しておきましょう。

住宅ローン・教育費の残債

60歳時点でまだ住宅ローンや子どもの教育費が残っている場合、繰上げ受給で早期にキャッシュフローを確保する選択肢もあります。ただし減額は一生続くため、他の方法で資金を工面できないか検討が必要です。

よくある質問(FAQ)

基礎年金と厚生年金で別々に繰上げ・繰下げできる?
A. 繰下げは老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々にできます(2022年4月以降)。たとえば「基礎年金は65歳から受給し、厚生年金は70歳まで繰り下げる」といった選択が可能です。ただし繰上げは両方同時に行う必要があり、片方だけの繰上げはできません。
在職中でも繰下げできる?
A. できます。ただし在職老齢年金制度(月収と年金の合計が50万円超で一部停止)の対象になる場合、停止された部分は繰下げの増額計算に含まれません。高収入の方は繰下げの恩恵が小さくなるため、事前にシミュレーションすることをおすすめします。
年金の受給開始年齢を一度決めた後に変更できる?
A. 繰上げは取り消し不可です。一方、繰下げの場合は待機中であれば「やっぱり65歳時点に遡って一括で受け取る」という選択もできます。ただし70歳以降に請求した場合、5年の時効により65歳時点まで遡れないケースがあるため注意が必要です(2023年4月以降は特例あり)。
受給資格期間の10年に1か月足りない場合はどうなる?
A. 10年に満たないと年金は1円ももらえません。ただし60歳以降の任意加入で不足期間を補えます。また、合算対象期間(カラ期間)が加わることで10年を満たせる場合もあるため、年金事務所で加入記録を確認してください。
特別支給の老齢厚生年金と繰上げ受給は同じもの?
A. 別の制度です。特別支給の老齢厚生年金は生年月日の条件を満たす方に自動的に権利が発生するもので、減額はありません。一方、繰上げ受給は本人の希望で65歳前に受給を開始する制度で、恒久的な減額が伴います。特別支給に該当する方は、繰上げではなく特別支給として請求する方が有利です。
年金を受け取りながら働くと年金は減る?
A. 厚生年金に加入しながら働く場合、在職老齢年金制度により年金の一部が停止される可能性があります。2026年度の基準は、月収(賞与込みの総報酬月額相当額)と年金月額の合計が50万円を超えると、超えた額の半分が停止されます。なお65歳以降は基礎年金は全額支給され、停止対象は厚生年金部分のみです。

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最終確認日:2026-05-15

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