年金・老後

年金改正トラッカー
2025〜2028年の制度改正まとめ

老後資金と使ってよいお金を逆算して家計を整える場面
年金額だけでなく、医療費、楽しみ、使ってよいお金の余白まで確認します。

本ページは年金制度改正の動向を週次で更新する「生きた」一覧です。社会保障審議会年金部会・国会審議・省令公布の進捗を追跡し、施行予定日・議論段階・家計への影響を整理します。

記事の答えを確認した次に

年金のこと、結局どこから決めればいい?

決めるタイミング: 制度を一通り読んでも、自分に必要な手続きや判断が絞れないとき。

相談で繰り返される本音

  • 制度の名前が多く、自分に関係するものが分からない
  • 親世代の話と今の制度が違いそうで不安
  • 金額、働き方、受け取り時期を一緒に考えたい

初回で口頭整理できること

初回は、いま迷っていることを伺い、決める順番と確認が必要な数字を口頭で整理します。

その次に分けること

追加計算や専門家の確認が必要な論点は、次に集める資料と確認先を分けます。

初回の範囲: 初回で資料の完成、制度の適用判定、手続き代行、金融商品の見積り・申込みは行いません。

相談前のFAQ

資料がそろっていなくても相談できますか?

はい。初回は、いま分かる範囲から迷いと確認順を整理します。通知書、通帳、財産や家計のメモなどが手元にあれば、分かる範囲だけご用意ください。

初回で何を持ち帰れますか?

いま決めること、まだ決めなくてよいこと、次に確認する数字や窓口を口頭で整理して持ち帰れます。初回当日の資料完成は約束していません。

初回に商品や契約の話がありますか?

初回は迷いと数字の整理に使います。金融商品の見積り、申込み、契約変更は初回の範囲に含みません。

目次(9セクション)
  1. いま追いかけている主要テーマ(2026年5月時点)
  2. 詳細:2025年 年金制度改革法案
  3. 詳細:遺族厚生年金 5年有期化
  4. 詳細:在職老齢年金 見直し
  5. 年金の繰上げ・繰下げ受給の損益分岐点
  6. 国民年金保険料の推移と今後の見通し
  7. iDeCoとの組み合わせ戦略
  8. 年金改正のスケジュールと次の注目改正
  9. 更新履歴

いま追いかけている主要テーマ(2026年5月時点)

テーマ状態施行予定家計への影響
2025年 年金制度改革法案国会審議中2026年4月〜段階施行標準報酬月額上限引き上げで高所得者の保険料増
遺族厚生年金 5年有期化審議会で議論中2028年4月想定子なし配偶者への長期受給が原則5年に短縮
在職老齢年金 見直し法案に盛り込み2026年4月〜調整額引き上げ月50万円→62万円で働きながら年金を受けやすく
確定拠出年金(iDeCo)拡充施行済・継続拡充2024年12月〜継続会社員(企業年金あり)の上限月2万円に統一
加給年金 見直し長期議論未定共働き世帯前提への転換で段階縮小の可能性
国民年金 納付期間5年延長検討段階2029年度以降想定60歳以降も国民年金保険料を納付、その分満額が増
マクロ経済スライド 早期終了2023〜2029年度で議論—実質年金額の目減りペースが変わる

詳細:2025年 年金制度改革法案

厚生労働省が国会に提出した年金制度改革関連法案の主な柱は以下の通り。標準報酬月額上限の引き上げ、被用者保険の適用拡大(企業規模要件の撤廃)、在職老齢年金の支給停止調整額の引き上げなどが含まれます。

  • 標準報酬月額上限:現行65万円 → 段階的に75万円に引き上げ(2026〜)
  • 被用者保険 適用拡大:企業規模要件(従業員51人以上)を段階的に撤廃
  • 在職老齢年金:支給停止調整額 月50万円 → 62万円へ

詳細:遺族厚生年金 5年有期化

現行制度で「妻は原則生涯、夫は55歳以上で60歳から」という男女差のある遺族厚生年金を、配偶者については原則5年の有期給付に見直す方向で議論が進んでいます。子がいる場合・高齢配偶者には例外措置を設ける前提です。詳細は 遺族厚生年金の改正 で解説。

詳細:在職老齢年金 見直し

働きながら年金を受給する65歳以上の方に適用される「在職老齢年金」で、給与+年金が調整額を超えると年金が一部停止される仕組み。改正で調整額は令和6年度水準の月50万円から62万円に引き上げられ、賃金変動による改定後の2026年度は月65万円です(厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」、2026年10月確認)。働きながら年金を受け取りやすくする方向。詳細は 在職老齢年金の改正 をご参照ください。

年金の繰上げ・繰下げ受給の損益分岐点

老齢基礎年金・老齢厚生年金は、原則65歳から受給開始ですが、60歳〜75歳の範囲で受給開始時期を自分で選べます。繰上げると1か月あたり0.4%減額(最大24%減)、繰下げると1か月あたり0.7%増額(最大84%増)されます。この選択は一度決めると取り消しができないため、慎重な判断が求められます。

損益分岐点は「繰上げ・繰下げしなかった場合と比べて、累計受給額が逆転する年齢」です。以下の表は、老齢基礎年金の満額(2026年度:年847,300円)をベースにした概算です。

受給開始年齢増減率年間受給額(概算)損益分岐年齢(概算)
60歳(5年繰上げ)−24.0%約64.4万円約80歳10か月
62歳(3年繰上げ)−14.4%約72.5万円約82歳10か月
65歳(原則)±0%約84.7万円—
68歳(3年繰下げ)+25.2%約106.1万円約79歳11か月
70歳(5年繰下げ)+42.0%約120.3万円約81歳10か月
75歳(10年繰下げ)+84.0%約155.9万円約86歳11か月

年間受給額=847,300円×(1+増減率)。損益分岐年齢は65歳開始と累計額が並ぶ年齢(増減率だけで決まり、満額の改定では変わりません)。出典: 厚生労働省『令和8年度の年金額改定についてお知らせします』(令和8年1月23日)、2026年10月確認・日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」、2026年10月確認

たとえば70歳まで繰下げた場合、年間受給額は約120.3万円に増えますが、65歳から受給した場合の5年分(約424万円)を取り戻すには約81歳10か月まで生きる必要があります。2024年の日本人の平均寿命は男性81.09歳・女性87.14歳(厚生労働省「簡易生命表」)ですので、女性は繰下げのメリットが大きく、男性は健康状態を踏まえた判断が重要です。

注意すべきポイントとして、繰下げ待機中は加給年金・振替加算が受け取れないこと、増額された年金には所得税・住民税・社会保険料がかかるため手取りベースの損益分岐点は上表より遅くなること、そして繰上げ受給すると障害基礎年金を請求できなくなるリスクがあります。

2025年改正法案では繰下げの上限年齢や増額率の変更は盛り込まれていませんが、今後の制度改正で見直される可能性があります。受給開始時期は「何歳まで生きるか」だけでなく、退職金・iDeCo・就労収入・配偶者の年金とセットで考える必要があります。

国民年金保険料の推移と今後の見通し

国民年金保険料は毎年度改定されます。2004年の年金制度改正で「保険料水準固定方式」が導入され、毎年280円ずつ引き上げて2017年度に月額16,900円(2004年度価格)で固定する設計になりました。実際の保険料額は名目賃金変動率で毎年度調整されるため、以下のように推移しています。

年度月額保険料年額前年度比
2020年度16,540円198,480円+130円
2021年度16,610円199,320円+70円
2022年度16,590円199,080円−20円
2023年度16,520円198,240円−70円
2024年度16,980円203,760円+460円
2025年度17,510円210,120円+530円
2026年度17,920円215,040円+410円

2026年度の月額17,920円は過去最高額で、2027年度は18,290円と公表されています(厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」)。名目賃金の上昇が続く場合、2027年度以降もさらなる引き上げが見込まれます。一方で、基礎年金の満額も賃金・物価に連動して改定されるため、保険料が上がっても将来の受給額が同程度増える仕組みです。

前述の「国民年金 納付期間5年延長」案が実現すると、60歳〜64歳も保険料納付が義務化される可能性があります。追加の保険料負担は5年間で約105万円ですが、その分だけ満額年金が年約10万円増える計算です。65歳以降の年金受給が75歳まで生きれば元が取れる水準となります。

自営業・フリーランスの方は、国民年金に加えて付加年金(月400円)の活用も検討に値します。付加年金は2年で元が取れる極めて有利な制度ですが、iDeCoの一部プランと併用できないケースがあるため注意が必要です。

iDeCoとの組み合わせ戦略

iDeCo(個人型確定拠出年金)は公的年金を補完する「3階部分」として、掛金が全額所得控除・運用益が非課税・受取時に退職所得控除や公的年金等控除が使える三重の税制メリットを持つ制度です。2024年12月の改正で加入可能年齢が70歳未満に拡大され、2025年以降も拡充が続いています。

加入区分月額上限(改正後)年間上限節税効果(税率20%の場合)
自営業(第1号)68,000円816,000円年約16.3万円
会社員(企業年金なし)23,000円276,000円年約5.5万円
会社員(企業年金あり)20,000円240,000円年約4.8万円
公務員20,000円240,000円年約4.8万円
専業主婦・主夫(第3号)23,000円276,000円所得なしの場合は節税効果なし

iDeCoと公的年金の組み合わせで重要なのは受取時の税金です。iDeCoを一時金で受け取る場合は退職所得控除が適用されますが、退職金と同じ年に受け取ると控除枠を使い切ってしまい課税される場合があります。2025年の税制改正大綱では退職所得控除の勤続年数による差(20年超で年70万円→年40万円)の見直しが議論されており、受取戦略にも影響します。

以下は、年齢別の組み合わせモデルケースです。

  • 30代会社員(企業年金あり):iDeCo月2万円+つみたてNISA月3万円。30年運用で年利3%想定の場合、iDeCoだけで約1,165万円(元本720万円+運用益約445万円)。運用益は非課税
  • 50代自営業:iDeCo月6.8万円+国民年金基金の併用。60歳までの10年で元本816万円。所得税・住民税の節税効果だけで約163万円
  • 60代・退職前後:iDeCoの受取時期を退職金と5年以上ずらすことで退職所得控除を二重に使える(現行制度)。繰下げ受給の待機期間中の生活費をiDeCoで賄う戦略も有効

なお、iDeCoは原則60歳まで引き出しができないため、住宅ローンの頭金や教育費など中期的な資金需要がある場合はNISAとの配分を慎重に検討する必要があります。企業型DCとの併用ルールも2024年12月に変更されているため、勤務先の制度を確認してください。

2025年改正法案では、企業年金がある会社員のiDeCo上限が月2万円に統一されました。これまで企業年金の掛金額によって上限が細かく異なっていたルールが簡素化され、加入しやすくなっています。

年金改正のスケジュールと次の注目改正

年金制度の改正は「5年に一度の財政検証」を起点に動きます。直近の2024年財政検証の結果を受けて、2025年に改正法案が国会に提出されました。この5年サイクルに加え、税制改正大綱(毎年12月)や補正予算での臨時措置も年金関連の制度変更に影響します。

時期イベント注目ポイント
2025年 通常国会年金制度改革法案 審議在職老齢年金・標準報酬月額上限・適用拡大
2026年4月改正法 段階施行在職老齢年金の調整額引き上げ(2026年度は月65万円)
2026年10月被用者保険 適用拡大企業規模要件の段階的撤廃開始
2027年度標準報酬月額上限 引き上げ65万円→段階的に75万円へ
2028年4月(想定)遺族厚生年金 有期化配偶者の受給が原則5年に短縮
2029年度(想定)国民年金 納付期間延長60歳以降も保険料納付の義務化議論
2029年次回 財政検証マクロ経済スライド終了時期・所得代替率の見直し

次に注目すべき改正テーマは大きく3つあります。

第一に、基礎年金の底上げ(マクロ経済スライドの早期終了)です。2024年財政検証では、厚生年金の積立金を基礎年金の財源に充てることで、マクロ経済スライドを2036年度までに終了させ、基礎年金の所得代替率を現行の36.2%から33.8%への低下にとどめる案が示されました。低年金者への影響が大きいテーマです。

第二に、在職老齢年金の廃止論です。今回の改正では調整額の引き上げにとどまりましたが、「高齢者の就労意欲を阻害する」として廃止を求める声は根強くあります。廃止した場合の財源(年間約4,000億円)をどう手当てするかが課題です。

第三に、第3号被保険者制度の見直しです。共働き世帯が主流となるなか、専業主婦・主夫が保険料を負担せずに基礎年金を受給できる仕組みへの批判が強まっています。2029年の次回財政検証に向けて、段階的な縮小案が議論される見込みです。

年金改正は「法案提出→国会審議→成立→施行」まで通常1〜3年かかります。法案段階で報道されても施行時に内容が修正されるケースも多いため、本トラッカーでは各テーマの「議論段階」を明記し、確定情報と検討段階の情報を区別しています。

更新履歴

日付更新内容
2026-05-15繰上げ・繰下げ損益分岐点、国民年金保険料推移、iDeCo組み合わせ戦略、改正スケジュールの4セクション追加。FAQ拡充
2026-04-19トラッカー初版公開。7テーマを整理

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最終確認日:2026年5月15日

※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

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