相続・贈与

アパート・収益不動産による相続税対策<br>評価圧縮の仕組みと注意点【2026】

相続の手続きと税金・財産の整理を家族で確認し、もめない準備を進める場面
相続の手続きと対策の確認を、家族が揉めない準備と将来資金の判断につなげます。

現金を収益不動産に換えると相続税評価額が下がる。建物は固定資産税評価額+貸家30%減、土地は貸家建付地評価減、さらに小規模宅地(貸付事業用200㎡まで50%減)が効く。

▶ あわせて読みたい:相続税の改正史(基礎控除縮小・タワマン評価見直し)

目次(5セクション)
  1. なぜ収益不動産で相続税が下がるのか
  2. 小規模宅地等の特例(貸付事業用)
  3. 評価圧縮の効果(イメージ)
  4. リスクと「対策ありき」の危うさ
  5. よくある質問(FAQ)

なぜ収益不動産で相続税が下がるのか

相続税は財産の相続税評価額に対してかかります。現金1億円はそのまま1億円ですが、同じ1億円で建てたアパートは評価額が大きく下がります。理由は①建物は固定資産税評価額(建築費の約5〜6割)で評価され、さらに人に貸すと借家権割合30%分が減額 ②土地は「貸家建付地」として借地権割合×借家権割合分が減額されるため。結果として、現金より相続税評価額が下がり、相続税が軽くなります。

小規模宅地等の特例(貸付事業用)

賃貸アパートの敷地は、小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地)200㎡まで評価額を50%減額できます(自宅の特定居住用は330㎡まで80%減と別枠で、併用には調整計算あり)。相続開始前3年以内に新たに貸付を始めた不動産は原則対象外(事業的規模の例外あり)など要件が細かいため、適用可否は専門家に確認が必要です。仕組みの基本は小規模宅地等の特例を参照してください。

評価圧縮の効果(イメージ)

現金1億円でアパート(建物6,000万円・土地4,000万円)を建てた場合のイメージです。

資産現金のままアパートにした場合(概算)
建物6,000万円約2,100万円(評価5割×貸家7割)
土地4,000万円約2,700万円(貸家建付地)→小規模宅地で更に減
合計評価1億円おおむね4,000〜5,000万円台

※借地権割合・路線価・面積で大きく変わる概算です。正確な評価は税理士の試算で確認してください。

リスクと「対策ありき」の危うさ

評価が下がっても、空室・家賃下落・修繕・金利上昇・流動性の低さといった不動産経営のリスクは残ります。相続税の軽減額より、家賃下落や売却損が上回れば本末転倒です。また、借入で建てて相続直前に評価圧縮を狙う行き過ぎた手法は、税務署に「不当」と判断され否認された最高裁判例(2022年)もあります。「相続対策のためだけ」ではなく、賃貸経営として採算が取れることを前提に検討すべきです。生前の対策全体は相続税の節税・対策、不動産の手続きは不動産相続の手続きもあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

アパートを建てるとどれくらい相続税評価が下がりますか?
一般に現金の評価額に対し、建物は固定資産税評価額(建築費の約5〜6割)にさらに貸家30%減、土地は貸家建付地として借地権割合×借家権割合分が減額され、小規模宅地等の特例も使えます。合計で評価額がおおむね半分前後になることもありますが、路線価・借地権割合・面積で大きく変わります。
小規模宅地等の特例は賃貸アパートでも使えますか?
使えます。貸付事業用宅地として200㎡まで評価額を50%減額できます。ただし相続開始前3年以内に新たに貸付を始めた宅地は原則対象外(事業的規模の例外あり)など要件があり、自宅の特定居住用との併用には調整計算が必要です。
相続対策で借入してアパートを建てるのは安全ですか?
注意が必要です。評価圧縮の効果はありますが、空室・家賃下落・金利上昇・売却損のリスクが残ります。相続直前の行き過ぎた評価圧縮は否認された判例もあります。相続税の軽減額だけでなく、賃貸経営として採算が取れるかで判断すべきです。
タワーマンションでも同じ節税はできますか?
2024年の通達改正で、市場価格と相続税評価額の乖離が大きいタワーマンションは評価が見直され、過度な圧縮は難しくなりました。詳しくは相続税の改正史で解説しています。
空室が多いと評価減は受けられませんか?
貸家・貸家建付地の評価減は「貸している」ことが前提で、課税時期に空室が多いとその割合分は減額が認められないことがあります(一時的な空室は考慮される場合あり)。満室経営が評価面でも有利です。

相続を調べたあとに

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最終確認日:2026年6月23日

※本記事は2026年6月時点の一般的な情報であり、個別の税務・経営・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・税額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・社労士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。