小規模宅地等の特例とは?
要件・計算方法・申告手続き【2026】
小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた自宅や事業に使っていた土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度です。たとえば路線価評価額5,000万円の自宅敷地なら、課税上の評価は1,000万円まで下がります。相続税の大幅な軽減につながるため、土地を相続する方は必ず確認すべき制度です。
記事の答えを確認した次に
相続税、うちは申告が必要?納税資金はいくら残す?
決めるタイミング: 財産の概算が見えたとき。分け方や売却を決める前。
相談で繰り返される本音
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初回で口頭整理できること
初回は、家族、財産、借入、使える現金を伺い、税理士へ確認する論点と納税資金の見方を口頭で整理します。
その次に分けること
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初回の範囲: 申告要否・税額・特例適用の確定、税務申告、財産評価、金融商品の申込みは初回に行いません。
初回は口頭で整理します。資料がなくても、分かる範囲から始められます
相談前のFAQ
資料がそろっていなくても相談できますか?
はい。初回は、いま分かる範囲から迷いと確認順を整理します。通知書、通帳、財産や家計のメモなどが手元にあれば、分かる範囲だけご用意ください。
初回で何を持ち帰れますか?
いま決めること、まだ決めなくてよいこと、次に確認する数字や窓口を口頭で整理して持ち帰れます。初回当日の資料完成は約束していません。
初回に商品や契約の話がありますか?
初回は迷いと数字の整理に使います。金融商品の見積り、申込み、契約変更は初回の範囲に含みません。
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目次(11セクション)
小規模宅地等の特例とは|最大80%の評価減
小規模宅地等の特例(租税特別措置法第69条の4)は、被相続人が住んでいた自宅の土地や、事業に使っていた土地の相続税評価額を大幅に減額できる制度です。相続税の計算において最もインパクトの大きい特例の一つであり、適用の有無で納税額が数百万円から数千万円変わることも珍しくありません。
この特例の趣旨は、遺族の生活基盤や事業の継続を守ることにあります。自宅の土地に高額な相続税が課されると、遺族が自宅を売却して納税資金を確保しなければならない事態が起こり得ます。それを防ぐために、一定の面積までは評価額を大幅に引き下げる仕組みが設けられています。
特例の概要
- 対象:被相続人の居住用・事業用・貸付事業用の土地(借地権を含む)
- 減額割合:最大80%(区分により50%の場合もある)
- 限度面積:最大330平米(区分により200〜400平米)
- 申告要件:相続税の申告書の提出が必須(特例で税額ゼロでも申告が必要)
たとえば、相続税評価額5,000万円の自宅敷地が全て特定居住用宅地等に該当し、限度面積内なら、課税価格へ算入する額は5,000万円 × 20% = 1,000万円です。減るのは土地の課税価格であり、税額が4,000万円減る意味ではありません。実際の税額差は遺産全体、法定相続人、取得割合、他の特例・控除で変わります。
ただし、適用には厳格な要件があり、「誰が」「どの土地を」「どのように」取得するかによって適用の可否が変わります。以下のセクションで区分ごとに詳しく解説します。
4つの区分と減額割合(特定居住用・特定事業用・貸付事業用・特定同族会社事業用)
小規模宅地等の特例は、土地の用途に応じて4つの区分に分かれており、それぞれ限度面積と減額割合が異なります。
| 区分 | 用途 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 被相続人の自宅の土地 | 330平米 | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 被相続人の事業用の土地 | 400平米 | 80% |
| 特定同族会社事業用宅地等 | 同族会社の事業用の土地 | 400平米 | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | 賃貸アパート・駐車場等の土地 | 200平米 | 50% |
複数区分の併用ルール
複数の土地がある場合、区分を組み合わせて適用することも可能ですが、併用には面積の調整計算が必要です。
- 特定居住用(330平米)+ 特定事業用(400平米):完全併用が可能。合計730平米まで適用できる
- 貸付事業用を含む場合:面積の按分調整が必要。貸付事業用200平米を使うと、他の区分の限度面積が圧縮される
按分調整の計算式
貸付事業用宅地等を併用する場合の調整計算:
A × 200/330 + B × 200/400 + C ≦ 200平米
A=特定居住用の面積、B=特定事業用と特定同族会社事業用の合計面積、C=貸付事業用の面積
どの宅地等を選ぶかは、面積だけでなく評価額、減額割合、取得持分、取得者要件、事業・居住の継続を同じ前提で比較します。「80%減額の土地から選べば常に有利」とは限らないため、候補を税理士へ示して確認してください。
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小規模宅地等の特例「確認準備ツール」
8項目を選ぶと、検討する区分候補、まだ確認が必要な事実、集める資料、期限対応を一枚に整理します。「使える・使えない」を自己判断するためではなく、税務署・税理士への確認漏れを減らすためのツールです。
氏名・住所・評価額は入力不要です。選択内容を結果作成のために外部送信・永続保存する処理はこのツールになく、ブラウザ内で整理します。サイト全体のアクセス解析については個人情報保護方針をご確認ください。
重要:本ツールは一般的な確認項目を整理するもので、個別の適用可否を判定するものではありません。税額計算・申告書作成も行いません。結果を持って、税務署または税理士へ確認してください。
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根拠:国税庁 No.4124、国税庁 No.4208、令和8年分の申告様式(2026年9月12日確認)
特定居住用宅地等の適用要件|配偶者・同居・家なき子
最も利用されるのが「特定居住用宅地等」の区分です。被相続人の自宅の土地について330平米まで80%減額できますが、誰が取得するかによって要件が大きく異なります。
1. 配偶者が取得する場合
その宅地等が被相続人等の居住用であるなど、特定居住用宅地等そのものの要件を満たすことが前提です。そのうえで配偶者が取得する場合、配偶者について同居・居住継続・保有継続という追加の取得者要件はありません。制度全体が無条件になるわけではなく、対象土地、取得範囲、分割、申告書類は別に確認します。
2. 同居親族が取得する場合
被相続人と同居していた親族が取得する場合は、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 居住継続要件:相続税の申告期限(10か月)まで、その自宅に住み続けること
- 保有継続要件:相続税の申告期限まで、その土地を保有し続けること
つまり、相続後すぐに自宅を売却したり、引っ越したりすると特例が適用できなくなります。
3. 家なき子が取得する場合(別居親族)
被相続人に配偶者がおらず、かつ相続開始直前に被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人がいない場合など、国税庁No.4124の6要件をすべて満たす別居親族は対象になり得ます。一般に「家なき子特例」と呼ばれますが、単に本人名義の家がないだけでは足りません(次セクションで詳述)。
| 取得者 | 居住要件 | 保有要件 | その他の条件 |
|---|---|---|---|
| 配偶者 | 追加の居住継続要件なし | 追加の保有継続要件なし | 対象土地・分割・申告等の共通要件は確認 |
| 同居親族 | 申告期限まで居住継続 | 申告期限まで保有継続 | 被相続人と同居していたこと |
| 別居親族(いわゆる家なき子) | 過去3年の居住先等を確認 | 申告期限まで保有継続 | 国籍・納税義務、配偶者、被相続人宅の同居相続人、所有関係を含む6要件 |
家なき子特例の要件と2018年改正の影響
「家なき子特例」は、被相続人の自宅を別居の親族が相続する場合でも小規模宅地等の特例を適用できる制度です。ただし、要件は非常に厳格であり、2018年(平成30年)の税制改正でさらに厳しくなりました。
家なき子特例の適用要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 1. 国籍・納税義務 | 居住制限納税義務者・非居住制限納税義務者のうち、日本国籍を有しない人に該当しないこと |
| 2. 配偶者 | 被相続人に配偶者がいないこと |
| 3. 被相続人宅の同居相続人 | 相続開始直前に、被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人がいないこと |
| 4. 過去3年の居住先 | 相続開始前3年以内に、日本国内にある取得者、取得者の配偶者、三親等内の親族、または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に住んでいないこと(被相続人が相続開始直前に住んでいた家屋を除く) |
| 5. 現在の居住家屋の過去所有 | 相続開始時に住んでいる家屋を、相続開始前のいずれの時にも所有したことがないこと |
| 6. 保有継続 | 対象宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで保有すること |
2018年改正で何が変わったか
改正前は、持ち家を売却して賃貸に住み替えるだけで家なき子要件を満たせたため、「形式的な家なき子」による節税スキームが横行していました。2018年改正では次の要件が追加され、この抜け道がふさがれました。
- 三親等内の親族や取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に住んでいた場合も確認対象に追加
- 相続開始時に住んでいる家を過去に所有していたことがないことを追加(持ち家を売却して賃貸転居するスキームの封じ込め)
- 国籍・納税義務、被相続人の配偶者、被相続人宅の同居相続人、対象宅地の保有継続を含む6要件すべてで判定
注意:安易な「家なき子スキーム」は否認リスク大
持ち家を配偶者や子に名義変更したうえで家なき子特例を狙うスキームは、2018年改正で事実上封じられています。税務調査で否認された場合、本税に加えて加算税・延滞税が課されるため、安易な節税策は避け、税理士に事前相談してください。
計算例|自宅330平米の土地で相続税がいくら変わるか
具体的な計算例で、小規模宅地等の特例の節税効果を確認しましょう。
前提条件
- 被相続人:父(母は先に死亡)
- 相続人:長男・次男の2人(法定相続人2人)
- 自宅の土地:路線価評価額 5,000万円(面積300平米 < 330平米の限度内)
- その他の遺産:預貯金3,000万円、生命保険金1,000万円(非課税枠500万円×2人=1,000万円で全額非課税)
- 長男が自宅に同居しており、同居親族として自宅の土地を取得
特例なし vs 特例ありの比較
| 項目 | 特例なし | 特例あり |
|---|---|---|
| 自宅の土地の評価額 | 5,000万円 | 1,000万円(80%減額) |
| 預貯金 | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 生命保険金(非課税後) | 0円 | 0円 |
| 課税価格の合計額 | 8,000万円 | 4,000万円 |
| 基礎控除(3,000万円+600万円×2人) | ▲4,200万円 | ▲4,200万円 |
| 課税遺産総額 | 3,800万円 | 0円(基礎控除以下) |
| 法定相続分での仮計算 | 1,900万円 × 15% − 50万円 = 235万円/人 | 課税遺産総額が0円のため計算なし |
| 相続税の総額 | 470万円 | 0円 |
この限定例では、特例なしの相続税総額は470万円です。特例を反映すると課税価格の合計4,000万円が基礎控除4,200万円以下となりますが、その結論は長男が取得者要件を満たし、必要書類を添えて特例を適用する前提です。土地以外の評価、債務、取得割合、税額控除等を含む実際の申告額は変わります。
330平米を超える場合
土地の面積が限度面積(330平米)を超える場合は、超える部分は通常の評価額で計算します。
例:面積500平米・評価額7,500万円(1平米あたり15万円)の場合
・330平米分:15万円 × 330平米 × 20% = 990万円
・超過170平米分:15万円 × 170平米 = 2,550万円
・合計評価額:3,540万円(特例なしの7,500万円 → 3,540万円に減額)
二世帯住宅・老人ホーム入居時の適用可否
実務で問い合わせが多いのが、二世帯住宅や老人ホーム入居のケースです。それぞれ適用の可否を整理します。
二世帯住宅の場合
二世帯住宅は、建物が区分所有建物として登記されているかで「被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物」の範囲が変わります。区分所有登記でないだけで敷地全体の適用が確定するわけではなく、誰がどの部分に住み、誰が宅地を取得し、申告期限まで居住・保有するかも確認します。
- 区分所有登記でない建物:被相続人またはその親族が居住していた部分を含み得る。内部で行き来できるかだけでは決まらない
- 区分所有登記の建物:被相続人が居住していた部分を基礎に判定する。子世帯部分まで当然に対象とはならない
二世帯住宅を建てる前に確認を
登記には税務だけでなく、持分、住宅ローン、贈与、将来売却などの影響があります。「特例のために共有登記へ変更」と決めず、建築・登記前に税理士と司法書士へ事実関係を示して確認してください。
老人ホーム入居の場合
被相続人が自宅を離れて老人ホームに入居していた場合でも、次の老人ホーム入居に関する要件を満たせば、元の自宅の土地が特定居住用宅地等の候補になり得ます。これとは別に、土地を取得する人の要件、分割、申告書類も確認します。
- 相続開始直前に、被相続人が要介護認定・要支援認定等を受けていたこと
- 入居先が老人福祉法等に定める施設(特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等)であること
- 元の自宅を、被相続人が居住できなくなった後に事業の用または新たに被相続人等以外の人の居住の用に供していないこと
老人ホーム入居後に自宅を賃貸・事業利用した場合や、被相続人と生計を一にしていなかった親族等が新たに住み始めた場合は、元の居住用宅地としての対象から外れ得ます。別区分の要件を満たすかは改めて判定するため、「親族が住めば常に対象」「自動的に貸付事業用へ切り替わる」とは考えません。
貸付事業用宅地等の要件と3年縛り
賃貸アパートや駐車場として使われている土地は、「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例の対象になります。ただし、減額割合は50%、限度面積は200平米と、居住用や事業用に比べて適用範囲が限定的です。
適用要件
- 被相続人等の貸付事業の用に供されていた土地であること
- 被相続人の貸付事業用宅地等を取得する親族は、その貸付事業を申告期限までに引き継ぎ、申告期限まで継続すること
- 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業用宅地等をその親族が取得する場合は、その貸付事業を相続開始前から相続税の申告期限まで継続すること
- 相続税の申告期限まで、その土地を保有し続けること
3年以内の貸付開始は原則対象外
2018年(平成30年)の税制改正で、相続開始前3年以内に新たに貸付事業を開始した土地は原則として特例の対象外となりました。相続税対策として直前に賃貸を始めるスキームを封じる趣旨です。
例外は、相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っていた被相続人等が、その特定貸付事業に使っていた宅地等です。ここで特定貸付事業とは貸付事業のうち準事業以外をいい、別税目で使われる規模の目安だけで置き換えて判定しません。土地の取得日ではなく、貸付開始日と事業継続期間を確認します。
駐車場・資材置場も対象になる?
月極駐車場やコインパーキング敷地も貸付事業用宅地等の対象になり得ますが、構築物(アスファルト舗装・フェンス等)があることが求められます。更地のまま青空駐車場として貸している場合は、原則として特例の適用が認められません。
小規模宅地等の特例と配偶者控除の併用
相続税の計算では、小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減(いわゆる配偶者控除)を併用できます。配偶者の税額軽減は、配偶者が取得した遺産について法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い金額まで相続税がかからない制度です。
併用の効果
たとえば、配偶者が自宅の土地(評価額5,000万円)を相続する場合、まず小規模宅地等の特例で評価額を1,000万円まで減額。さらに配偶者の税額軽減で、この1,000万円を含む配偶者取得分について相続税がゼロになるケースが多くあります。
一次相続と二次相続のバランス
ただし、配偶者に遺産を集中させすぎると、二次相続(配偶者が亡くなったとき)で相続税が高額になるリスクがあります。二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、法定相続人が1人減ることで基礎控除額も下がるためです。
取得者を検討するときは、一次・二次相続の概算税額だけでなく、配偶者の生活資金、居住継続、納税資金、代償金、家族の意思も並べます。税額が小さい案だけで遺産分割の妥当性は決まりません。
二次相続シミュレーションのすすめ
FPは家計・生活資金・納税資金・家族の希望を整理できます。特例の適用判定や申告税額の試算は税理士へ依頼し、両方の結果を家族の分割方針と照合してください。
申告手続き|必要書類と期限
小規模宅地等の特例は、相続税の申告書を税務署に提出することで初めて適用されます。特例により相続税がゼロになる場合でも申告は必須です。
申告期限
相続税の法定申告期限は原則、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。ただし、小規模宅地等の特例は期限後申告だから一律に適用不可ではありません。期限後申告書でも要件と添付書類を満たせば適用できる場合があります。一方で加算税・延滞税や分割状況の論点があるため、期限を過ぎたら放置せず税務署または税理士へ早急に確認してください。
共通して確認する主な書類
必要書類は申告年分、宅地等の区分、取得者、居住・施設入居・事業の状況で変わります。以下は一律の完結リストではありません。国税庁の当該年分の「相続税の申告のしかた」と添付書類一覧で確認してください。
- 相続税の申告書と「第11・11の2表の付表1」等の小規模宅地等に関する明細書(相続開始年に対応する様式を使用)
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 遺産分割協議書の写し(または遺言書の写し)
- 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に添付)
- 土地・建物の登記事項証明書、評価資料など、所有・利用・評価を確認する資料(提出要否は区分と手引きで確認)
状況ごとに追加確認する書類
- 配偶者:戸籍謄本(配偶者であることの証明)
- 同居親族・別居親族:住所・居住関係を確認する資料。マイナンバーの記載状況等により提出を省略できる資料があるため、最新手引きを確認
- 別居親族:過去3年の住所と、居住家屋の所有者を示す登記事項証明書等。賃貸借契約書だけで6要件すべてを証明できるとは限らない
- 老人ホーム等:施設区分・入居契約・要介護認定等を確認する資料。写しを提出する際は保険者番号・被保険者等記号番号を復元できない程度にマスキング
遺産分割が間に合わない場合
申告期限までに対象財産が未分割なら、当初申告では原則として特例を適用できません。「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付し、原則として申告期限から3年以内に分割した場合は、分割の日の翌日から4か月以内に更正の請求をして適用を受けられます。3年以内に分割できない一定のやむを得ない事情には、別途、税務署長への承認申請期限があります。
よくある失敗例と注意点
小規模宅地等の特例は要件が複雑なため、適用を誤って否認されるケースが後を絶ちません。よくある失敗例を確認しておきましょう。
失敗例1:申告しなかった
特例で課税価格が基礎控除以下になるため「何もしなくてよい」と思い込んだケースです。特例の適用には、申告書へ適用する旨を記載し、明細書などを添付する必要があります。期限後申告でも適用できる場合はありますが、加算税・延滞税が生じることがあるため、期限を過ぎたら自己判断せず早急に確認します。
失敗例2:申告期限前に売却した
同居親族が自宅の土地を相続し、申告期限(10か月)の前に売却してしまったケースです。同居親族には申告期限まで保有+居住の継続が求められるため、売却した時点で要件を満たさなくなります。
失敗例3:家なき子の要件を満たしていなかった
2018年改正後の要件を確認せず、改正前の知識で家なき子特例を適用したケースです。持ち家を配偶者に名義変更してから賃貸に住む「偽装家なき子」は否認されます。
失敗例4:区分所有登記の二世帯住宅
二世帯住宅を「同じ建物だから敷地全体が対象」と決めつけたケースです。区分所有登記の有無で一棟の建物の範囲が変わり、取得者の居住・保有要件も別に確認します。共有登記なら必ず敷地全体へ適用できる、という反対の決めつけも避けます。
失敗例5:遺産分割を考慮しなかった
配偶者がすべての遺産を相続し、一次相続の税額はゼロにできたが、二次相続で子が多額の相続税を負担することになったケースです。一次・二次の合計で見ると、子が一次相続で自宅を取得した方が税負担が少ないこともあります。
| チェック項目 | 確認内容 | 該当する場合 |
|---|---|---|
| 申告書の提出 | 特例で税額ゼロでも申告するか | 必ず申告する |
| 保有・居住の継続 | 申告期限まで売却・引越しをしないか | 10か月間は現状維持 |
| 家なき子の要件 | 2018年改正後の6要件を全て満たすか | 税理士に事前確認 |
| 二世帯住宅の登記 | 区分所有登記、居住部分、取得者要件を確認したか | 変更前に税理士・司法書士へ確認 |
| 二次相続の検討 | 税額だけでなく生活・居住・納税資金を比較したか | FPが家計を整理し、税額は税理士へ確認 |
| 遺産分割の期限 | 分割未了なら「分割見込書」を添付したか | 後日の更正請求へ影響するため早急に税理士等へ確認 |
小規模宅地等の特例は事実関係で結論が変わります。相続前なら土地・建物の利用と登記、相続後なら取得者・分割状況・期限までの居住や事業予定を整理してください。個別の適用判定と申告は税務署または税理士、登記は司法書士へ確認します。
よくある質問
- Q1. 小規模宅地等の特例を使うと税額は土地の評価減と同じ額だけ下がりますか?
- いいえ。減るのは一定面積までの宅地等の課税価格です。実際の税額差は、遺産全体、法定相続人、取得割合、他の特例・控除で変わります。
- Q2. 小規模宅地等の特例は誰でも使える?
- いいえ。まず宅地等の利用区分を確認し、特定居住用宅地等では取得者が配偶者、一定の同居親族、または6要件を満たす別居親族等に該当するかを確認します。居住・保有・事業継続の要件は区分と取得者で異なります。
- Q3. 家なき子特例とは何ですか?
- 被相続人の配偶者や被相続人宅に同居していた相続人がいない場合などに、別居親族が国税庁No.4124の6要件をすべて満たすと対象になり得る取扱いです。自分・配偶者だけでなく三親等内の親族や一定の関係法人が所有する家屋への過去3年の居住も確認します。
- Q4. 老人ホームに入居していた場合でも特例は使える?
- 一定の認定・施設要件に加え、元の自宅が入居後に事業用または新たに被相続人等以外の人の居住用に使われていないことなどを確認します。親族が住んでいれば常に対象になるわけではありません。
- Q5. 申告期限を過ぎたら小規模宅地等の特例は一切使えませんか?
- 一律に適用不可ではありません。期限後申告でも要件と添付書類を満たせば適用できる場合があります。ただし加算税・延滞税や分割状況の論点があるため、期限を過ぎたら早急に税務署または税理士へ確認してください。
- Q6. 小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減は併用できる?
- 要件をそれぞれ満たせば併用できます。先に小規模宅地等の特例を反映した課税価格を使って相続税を計算し、その後に配偶者の税額軽減を計算します。申告と必要書類が必要で、二次相続や生活資金も含めた個別判断は税理士等へ確認してください。
出典・改訂履歴・免責事項を見る
本ページの制度概要・要件・税率は、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(執筆時点)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。FPは記事を直接監修してはおらず、関連テーマでご相談を受けるFPとしてご紹介しています。
- 国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
- 国税庁「No.4208 相続財産が分割されていないときの申告」
- 国税庁「No.4152 相続税の計算」
- 国税庁「No.4155 相続税の税率」
- 国税庁「令和8年分相続税の申告書等の様式一覧」
最終確認日:
※本記事は2026年9月12日時点の一般的な情報であり、個別の税務・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税務署・税理士・司法書士・弁護士など担当分野の専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。
本相談は個別の法律・税務判断、申告、登記、交渉を代行するものではありません。必要な場合は、確認すべき専門家と論点を分けます。