相続・贈与

代襲相続とは?
範囲・要件・相続分の計算をわかりやすく解説【2026年版】

相続税と納税資金を家族で確認しもめない準備を進める場面
税額だけでなく、納税資金、家族の分け方、親の意思を早めに整理します。

代襲相続とは、本来の相続人が死亡・相続欠格・廃除により相続できない場合に、その子(孫)が代わりに相続する制度です(民法887条2項)。相続放棄は代襲原因にならない点が最大の注意ポイントです。

まずは30分で、相続に関する家計の見直しポイントを確認してみませんか。

相続を調べたあとに

相続税や土地評価を調べたあと、家族でもめないために見る3つのこと

相続は税額だけでなく、誰が何を引き継ぐか、納税資金をどう作るか、親の意思をどう残すかで家族の安心が変わります。

貯めた貯金を、減らしたくない方へ「教育費・住まいの山」で、貯金が一気に減る未来が見えていませんか?左右木FPが、使っていいお金と、守るお金を一緒に整理します。無料相談を予約する
家族で相続書類や手続きを整理する場面
家族でもめない 誰が何を引き継ぐかを、感情だけでなく数字で話せる状態にする。
相続税や納税資金を家計資料で確認する場面
税負担 土地、保険、現金を並べ、納税資金に困らない形を考える。
親との時間を大切にしながら相続を考える場面
親の意思 急いで決める前に、親の希望を聞ける時間を残す。

FP相談で取り戻したいもの:お金の不安で親との時間を険しくしない余裕。税金、保険、不動産、親の意思を早めに一枚へ整理します。

  • 家族でもめない分け方を考える
  • 税負担と納税資金を見通す
  • 親の意思を元気なうちに残す

IKIGAI TOWN相談者がかなえる「ささやかな贅沢」一覧を見る

相談者の声

相続を調べた人に近い相談者の声

相続を調べている方は、税額だけでなく、家族でもめない分け方、納税資金、親の意思をどう残すかまで早めに整理しています。

R.Sさん(50代・女性・長女)

★★★★★ 実家・兄弟・相続税不安

「税金より先に、家族で話す順番が分かりました」

土地、生命保険、現金、兄弟分担、親の意思を一枚にしたケース。

H.Oさん(60代・男性・夫婦)

★★★★★ 生前贈与・納税資金

「節税だけではなく、子どもが困らない形を考えられました」

贈与、保険、不動産、相続税、生活資金を同時に確認したケース。

Y.Kさん(40代・女性・親の介護中)

★★★★★ 介護と相続準備

「親が元気なうちに聞くことが、数字で整理できました」

介護費、親の資産、実家、相続手続きの前提を確認したケース。

※相談内容をもとに個人が特定されない形で要約した例です。実際の提案内容は家計・制度・時期により異なります。

無料相談の流れ

  1. STEP1. 予約

    希望日時を選んで、無料相談を予約します(Google Meet 30分から)。

  2. STEP2. 財産と家族状況の確認

    不動産、現金、保険、家族構成、親の意思、介護状況を確認します。

  3. STEP3. 税負担と分け方の候補を整理

    相続税、納税資金、生命保険、贈与、家族会議の論点を整理します。

  4. STEP4. 家族でもめない次の行動を整理

    誰に何を確認するか、専門家へつなぐ前に家計側で見ることを決めます。

相談を担当するFP

ファイナンシャルプランナー 左右木 伸也

左右木 伸也 (そうき しんや)

FP1級、CFP®、証券外務員1種、相続診断士ライフプラン全般、家計最適化、相続

最上位資格を持つFPとして、家計に関するあらゆるご相談をトータルでサポートいたします。 相続税・保険・不動産・家族会議の順番を整理します。

左右木FPと、家族の資産を目減りさせない相続準備をする

Google Meet 30分から / 何度でも無料 / 営業電話なし

相続で、家族の資産を目減りさせない準備をする(無料・Google Meet 30分から)

無料 / Google Meet 30分から / 何度でも利用OK / 営業電話なし / カード登録不要

ここまで読んだあとに

相続を見たあと、お金の話で壊したくない3つの時間

相続は節税だけでなく、家族が穏やかに話せる準備です。税額や分け方を整理し、親との時間を不安だけで終わらせないようにします。

家族で外へ出て話す時間
親と普通に話す時間お金の不安を先に整理し、急かす会話を減らす。
家族の将来を話し合う場面
家族会議を穏やかにする数字を一枚にまとめ、感情だけでぶつからない準備をする。
親の通院や移動を支える時間
残したい記憶手続きだけでなく、写真、食事、帰省の時間も大切にする。
IKIGAI TOWN相談者がかなえる「ささやかな贅沢」一覧を見る

相続で、家族の資産を目減りさせない準備をする

目次(15セクション)
  1. 代襲相続が発生する3つの要件(死亡・欠格・廃除)
  2. 代襲相続の範囲 ── 子の代襲と兄弟姉妹の代襲の違い
  3. 代襲相続人の相続分の計算方法
  4. 代襲相続と法定相続情報一覧図の記載方法
  5. 代襲相続でよくあるトラブルと注意点
  6. 代襲相続と相続税の計算
  7. 代襲相続の手続きと必要書類
  8. 代襲相続と遺言書の関係
  9. 代襲相続が発生した場合の遺産分割協議
  10. 代襲相続の具体的な計算例 ── 複雑なケースの法定相続分
  11. 代襲相続における相続放棄の影響と注意点
  12. 代襲相続でよくあるトラブルと解決策
  13. 代襲相続に備える生前対策のポイント
  14. 代襲相続に関するよくある質問(FAQ)
  15. その先に、選べる暮らしが増えます

代襲相続が発生する3つの要件

代襲相続が発生するのは、次の3つの場合に限られます(民法887条2項)。

  1. 死亡 ── 本来の相続人が被相続人より先に亡くなっている場合
  2. 相続欠格 ── 相続人が被相続人を殺害・遺言書を偽造するなど、民法891条に該当する行為をした場合
  3. 廃除 ── 被相続人が生前に家庭裁判所へ申し立て、または遺言で相続人を廃除した場合

Point

相続放棄は代襲原因になりません。相続放棄をすると「はじめから相続人ではなかった」とみなされるため、その子(孫)への代襲相続は発生しません。これは実務で最も間違えやすいポイントです。

たとえば、祖父Aの相続で長男Bが先に死亡していれば、Bの子(孫C)が代襲相続人になります。しかし、長男Bが相続放棄をしただけでは、孫Cは代襲相続できません。

代襲相続の範囲 ── 子の代襲と兄弟姉妹の代襲の違い

代襲相続は「誰の代襲か」によって範囲が大きく異なります。

被代襲者 代襲相続人 再代襲 根拠条文
あり(ひ孫以下も可)民法887条2項・3項
兄弟姉妹甥・姪なし(一代限り)民法889条2項

子の代襲 ── 再代襲あり

被相続人の子が先に死亡し、さらにその孫も先に死亡している場合は、ひ孫が再代襲相続人になります。理論上、何代でも下の世代に代襲が続きます。

兄弟姉妹の代襲 ── 甥姪まで

被相続人に子も直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。その兄弟姉妹が先に死亡していれば、甥・姪が代襲相続します。ただし、甥姪の子への再代襲は認められていません。

注意

兄弟姉妹の代襲に再代襲がない理由は、遠い親族への相続財産の拡散を防ぐためです。1981年の民法改正で廃止されました。

代襲相続人の相続分の計算方法

代襲相続人は、被代襲者(本来の相続人)の相続分をそのまま受け継ぎます。代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者の相続分を均等に分けます。

具体例 1:子の代襲(孫が2人)

被相続人A(遺産6,000万円)、配偶者B、長男C(存命)、次男D(先に死亡)、Dの子E・Fの場合:

  • 配偶者B:6,000万円 × 1/2 = 3,000万円
  • 長男C:6,000万円 × 1/2 × 1/2 = 1,500万円
  • 孫E(代襲):6,000万円 × 1/2 × 1/2 × 1/2 = 750万円
  • 孫F(代襲):6,000万円 × 1/2 × 1/2 × 1/2 = 750万円

具体例 2:兄弟姉妹の代襲(甥が1人)

被相続人A(独身・子なし・親死亡・遺産3,000万円)、兄B(存命)、姉C(先に死亡)、Cの子D(甥)の場合:

  • 兄B:3,000万円 × 1/2 = 1,500万円
  • 甥D(代襲):3,000万円 × 1/2 = 1,500万円

Point

代襲相続人が受け取る相続分は、被代襲者1人分の枠を分け合う「株分け」方式です。代襲相続人が何人いても、他の相続人の取り分には影響しません。

代襲相続と法定相続情報一覧図の記載方法

代襲相続が発生した場合、法定相続情報一覧図には被代襲者と代襲相続人の両方を記載する必要があります。

記載のポイント

  • 被代襲者(先に死亡した相続人)は「(被代襲者)」と付記し、死亡日を記載
  • 代襲相続人は「(代襲相続人)」と付記し、被代襲者との続柄を明記
  • 被代襲者の出生から死亡までの戸籍謄本一式が追加で必要

法務局への提出時には、通常の相続に比べて必要書類が増えるため、早めに準備を始めることが重要です。具体的には、被代襲者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、代襲相続人の現在の戸籍謄本が追加で求められます。

代襲相続でよくあるトラブルと注意点

養子の子の代襲相続

養子縁組に生まれた養子の子は代襲相続人になれます。しかし、養子縁組に生まれた養子の子は、被相続人の直系卑属にあたらないため、代襲相続人になれません(民法887条2項但書)。養子縁組の時期が重要です。

連れ子の代襲相続

再婚相手の連れ子は、法律上の親子関係がないため、そのままでは代襲相続人になれません。連れ子に相続権を持たせるには、養子縁組が必要です。

数次相続との区別

代襲相続と数次相続は混同されやすいですが、発生するタイミングが異なります。

区分 代襲相続 数次相続
相続人の死亡時期被相続人よりに死亡被相続人よりに死亡(遺産分割前)
相続分の計算被代襲者の相続分を引き継ぐ2回分の相続分を順に計算
相続放棄の影響代襲原因にならない各相続について個別に放棄可能

相続税の2割加算

代襲相続人がの場合、通常は2割加算の対象外です(孫が子に代わって相続するため)。ただし、養子が被代襲者の場合で、その養子が被相続人の孫でもあるケース(いわゆる孫養子)では、2割加算の適用を受ける場合があります。

注意

代襲相続は相続関係が複雑になりやすく、戸籍の取り寄せだけでも時間がかかります。相続発生前の段階で、法定相続人の範囲と相続分を専門家に確認しておくことをお勧めします。

代襲相続と相続税の計算

代襲相続が発生すると、法定相続人の数が変わり、相続税の計算に大きく影響する場合があります。ここでは基礎控除への影響と、2割加算の判定フローを具体例とともに解説します。

基礎控除額への影響 ── 法定相続人が増えるケース

相続税の基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算されます(相続税法15条1項)。代襲相続人は法定相続人としてカウントされるため、被代襲者1人が複数の代襲相続人に置き換わると、法定相続人の数が増え、基礎控除額も増加します。

具体例:法定相続人が3人→4人になるケース

被相続人Aの法定相続人が、配偶者B・長男C・次男D(先に死亡)の場合を考えます。次男Dに子E・Fの2人がいれば、代襲相続により法定相続人は「配偶者B・長男C・孫E・孫F」の4人になります。

ケース 法定相続人の数 基礎控除額
代襲なし(次男D存命)3人3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円
代襲あり(孫E・F)4人3,000万円 + 600万円 × 4 = 5,400万円

基礎控除が600万円増えることで、課税遺産総額が減り、結果として相続税額が低くなります。また、生命保険金の非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)や死亡退職金の非課税枠も同様に増えるため、トータルの節税効果はさらに大きくなります。

2割加算の判定フロー ── 代襲相続の孫は対象外

相続税には、被相続人の一親等の血族(子・父母)および配偶者以外が相続した場合、税額が2割加算される制度があります(相続税法18条)。孫は通常二親等ですが、代襲相続で孫が相続する場合は「子の代わり」として一親等扱いになるため、2割加算の対象外です。

ただし、以下のケースでは判定が変わるため注意が必要です。

  • 孫養子が代襲相続人の場合:孫を養子にしていた場合でも、代襲相続人として相続する場合は2割加算の対象外です
  • 孫養子が代襲相続人でない場合:被相続人が孫を養子にし、かつ孫の親(被相続人の子)が存命の場合、その孫養子は代襲相続人ではなく養子としての相続になるため、2割加算の対象になります

Point

「孫が相続すると2割加算」という情報を見かけますが、代襲相続の場合は対象外です。代襲か養子かによって扱いが異なるため、税理士に判定を依頼することをお勧めします。

代襲相続の手続きと必要書類

代襲相続では、通常の相続に比べて収集すべき戸籍が多くなり、手続きに時間がかかります。ここでは必要書類と手続きの流れ、費用の目安を整理します。

必要書類一覧

代襲相続で追加的に必要となる書類は以下のとおりです。通常の相続手続きに必要な書類に加えて準備します。

書類 取得先 目的
被相続人の出生〜死亡の戸籍謄本一式本籍地の市区町村役場法定相続人の確定
被代襲者の出生〜死亡の戸籍謄本一式本籍地の市区町村役場代襲相続の発生と代襲相続人の確認
代襲相続人の現在の戸籍謄本本籍地の市区町村役場代襲相続人の生存・身分の確認
代襲相続人の住民票住所地の市区町村役場不動産の名義変更等に使用
被相続人の住民票の除票最後の住所地の市区町村役場被相続人の特定

手続きの流れ

代襲相続の手続きは、大きく分けて次の4ステップで進めます。

  1. 戸籍の収集 ── 被相続人・被代襲者・代襲相続人の戸籍を漏れなく取得します。転籍や改製がある場合は複数の役場から取り寄せる必要があり、郵送請求を含めて1〜2か月かかることもあります。
  2. 法定相続人の確定 ── 収集した戸籍をもとに、法定相続人の範囲と人数を確定します。法務局で「法定相続情報一覧図」を取得しておくと、銀行・法務局・税務署への提出がスムーズになります。
  3. 遺産分割協議 ── 相続人全員(代襲相続人を含む)で遺産の分け方を話し合い、合意内容を遺産分割協議書にまとめます。相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。
  4. 各種名義変更・相続税申告 ── 不動産の相続登記(法務局)、預貯金の払戻し(金融機関)、相続税の申告・納付(税務署、申告期限は相続開始を知った日から10か月以内)を行います。

費用の目安

  • 戸籍謄本の取得費用:1通450円(除籍・改製原戸籍は1通750円)。代襲相続では被代襲者分が追加されるため、合計で5,000円〜1万5,000円程度になることが多いです。
  • 法定相続情報一覧図の交付:法務局への申出は無料です。
  • 司法書士報酬(相続登記):不動産の相続登記を司法書士に依頼する場合、一般的に6万〜15万円程度(不動産の数や難易度によって変動)。代襲相続で戸籍が複雑な場合は加算されることがあります。
  • 税理士報酬(相続税申告):遺産総額の0.5〜1%程度が目安です。代襲相続で相続人が多い場合、加算される事務所もあります。

注意

2024年4月から相続登記が義務化されました。正当な理由なく3年以内に登記しない場合、10万円以下の過料の対象になります。代襲相続で戸籍収集に時間がかかる場合でも、早めに着手しましょう。

代襲相続と遺言書の関係

遺言書がある場合の代襲相続については、遺言の効力や予備的遺言の重要性を理解しておく必要があります。

遺言で指定した相続人が先に死亡した場合

たとえば被相続人Aが「全財産を長男Bに相続させる」と遺言に書いたものの、長男Bが被相続人Aより先に死亡した場合、この遺言は原則として効力を失います。最高裁平成23年2月22日判決は「『相続させる』旨の遺言は、当該遺言により遺産を相続させるとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、原則として、その効力を生じない」と判示しました。

つまり、長男Bの子(孫)が代襲相続で遺言の財産を当然に取得するわけではありません。遺言が失効すれば、その財産は法定相続に戻り、相続人全員による遺産分割協議が必要になります。

予備的遺言(補充遺言)の重要性

上記のリスクを避けるためには、遺言書に「予備的遺言(補充遺言)」を記載しておくことが有効です。具体的には、次のような文言を加えます。

予備的遺言の記載例

「遺言者は、全財産を長男B(昭和○年○月○日生)に相続させる。ただし、長男Bが遺言者の死亡以前に死亡した場合には、長男Bに相続させるとした財産を、長男Bの子C(平成○年○月○日生)に相続させる。

予備的遺言を付けておけば、当初の受取人が先に死亡しても、遺言者の意思に沿った財産の承継が可能になります。遺言書を作成する際は、公正証書遺言で予備的遺言を含めて作成することをお勧めします。

遺留分と代襲相続の関係

代襲相続人にも遺留分(最低限保障される相続分)が認められます。遺留分の割合は、被代襲者が持っていた遺留分をそのまま引き継ぎます(民法1042条)。

たとえば、被相続人Aの相続で、配偶者Bと長男C(存命)、次男Dの子E(代襲相続人)がいる場合、Eの遺留分は次のとおりです。

  • 全体の遺留分:遺産の1/2
  • Eの遺留分割合:1/2(全体の遺留分)× 1/2(子の相続分)× 1/2(次男Dの代わり)= 1/8

遺言で特定の相続人に全財産を渡す内容であっても、代襲相続人は遺留分侵害額請求権を行使できます(民法1046条)。請求権の時効は、相続の開始と遺留分を侵害する遺贈・贈与があったことを知った時から1年、相続開始の時から10年です。

代襲相続が発生した場合の遺産分割協議

代襲相続人が遺産分割協議に参加する場合、通常の相続にはない特有の論点が生じます。とりわけ、代襲相続人が未成年者の場合や、複数いる場合は注意が必要です。

代襲相続人が未成年の場合 ── 特別代理人の選任

代襲相続人である孫が未成年者の場合、その法定代理人(親権者)が遺産分割協議に参加するのが原則です。しかし、親権者自身も同じ相続の相続人である場合は「利益相反」となり、親権者が未成年の子を代理することはできません(民法826条1項)。

たとえば、被相続人Aの長男Bが先に死亡し、Bの配偶者(Aの嫁)がBの子(Aの孫・未成年)の親権者であるケースでは、嫁はAの相続人ではないため利益相反にはなりません。しかし、被相続人Aの子C(存命)の子D(未成年)が代襲相続人となる場合で、Cも相続人であるときは利益相反が生じます。

利益相反に該当する場合は、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があります(民法826条1項)。申立てには以下が必要です。

  • 申立人:親権者または利害関係人
  • 申立先:未成年者の住所地の家庭裁判所
  • 費用:収入印紙800円 + 連絡用郵便切手(数百円程度)
  • 候補者:未成年者と利害関係のない親族(祖父母・叔父叔母など)が一般的

代襲相続人が複数いる場合の協議の進め方

代襲相続人が複数いる場合(たとえば、先に死亡した相続人に子が3人いる場合)、全員が遺産分割協議に参加する必要があります。遠方に住んでいる場合や疎遠な場合は、連絡先の把握から始めなければなりません。

実務上のポイントは以下のとおりです。

  • 戸籍の附票で現住所を調べ、手紙で連絡をとる
  • 協議書への署名・押印は郵送の持ち回りでも有効(全員が一堂に集まる必要はない)
  • 合意がまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を利用する
  • 代襲相続人同士で相続分が均等であることを丁寧に説明し、感情的な対立を防ぐ

注意

代襲相続人を1人でも欠いた遺産分割協議は無効です。「連絡がつかない」「存在を知らなかった」は理由になりません。戸籍を徹底的に調査し、全員を特定してから協議を始めてください。

代襲相続人の相続放棄

代襲相続人は、自らの判断で相続放棄をすることができます。相続放棄は家庭裁判所への申述により行い、期限は相続の開始を知った時から3か月以内です(民法915条1項)。

注意すべきポイントは以下のとおりです。

  • 代襲相続人が相続放棄をしても、他の代襲相続人の相続分は変わりません(放棄者の分は他の相続人に按分されます)
  • 代襲相続人が未成年の場合、法定代理人(親権者)が代わりに相続放棄の申述を行います
  • 被相続人に債務(借金・連帯保証など)がある場合、代襲相続人も債務を引き継ぐため、プラスの財産とマイナスの財産を比較して放棄を検討します
  • 限定承認(プラスの財産の範囲で債務を引き継ぐ方法)も選択肢ですが、相続人全員で行う必要があり、実務上はあまり利用されていません

代襲相続の具体的な計算例 ── 複雑なケースの法定相続分

ここでは、実務で判断に迷いやすい複雑なケースについて、法定相続分を具体的な金額で計算します。代襲相続が発生すると相続人の構成が変わるため、各人の取り分を正確に把握することが重要です。

ケース1:子が2人先に死亡し、孫が合計5人いる場合

被相続人A(遺産1億2,000万円)、配偶者B、長男C(先に死亡・子2人:G・H)、次男D(先に死亡・子3人:I・J・K)、三男E(存命)の場合を考えます。

相続人 計算式 相続分
配偶者B1億2,000万円 × 1/26,000万円
三男E(存命)1億2,000万円 × 1/2 × 1/32,000万円
孫G(長男C代襲)1億2,000万円 × 1/2 × 1/3 × 1/21,000万円
孫H(長男C代襲)1億2,000万円 × 1/2 × 1/3 × 1/21,000万円
孫I(次男D代襲)1億2,000万円 × 1/2 × 1/3 × 1/3約667万円
孫J(次男D代襲)1億2,000万円 × 1/2 × 1/3 × 1/3約667万円
孫K(次男D代襲)1億2,000万円 × 1/2 × 1/3 × 1/3約667万円

ポイントは、代襲相続人の数が被代襲者ごとに異なっても、他の相続人(配偶者B・三男E)の取り分には一切影響しないことです。長男Cの枠2,000万円を2人で、次男Dの枠2,000万円を3人で分けます。

ケース2:再代襲が発生する場合(孫も先に死亡)

被相続人A(遺産9,000万円)、配偶者なし(先に死亡)、長男B(先に死亡)、長男Bの子C(孫・先に死亡)、Cの子D・E(ひ孫)、次男F(存命)の場合:

  • 次男F:9,000万円 × 1/2 = 4,500万円
  • ひ孫D(再代襲):9,000万円 × 1/2 × 1/2 = 2,250万円
  • ひ孫E(再代襲):9,000万円 × 1/2 × 1/2 = 2,250万円

子の代襲相続には再代襲があるため、ひ孫D・Eは長男B → 孫Cと2段階の代襲を経て相続人になります。合計額は9,000万円で一致します。

ケース3:兄弟姉妹の代襲(配偶者+甥姪)

被相続人A(独身・子なし・両親死亡・遺産4,800万円)、兄B(存命)、姉C(先に死亡・子2人:D・E)、弟F(先に死亡・子1人:G)の場合:

相続人 計算式 相続分
兄B(存命)4,800万円 × 1/31,600万円
甥D(姉C代襲)4,800万円 × 1/3 × 1/2800万円
姪E(姉C代襲)4,800万円 × 1/3 × 1/2800万円
甥G(弟F代襲)4,800万円 × 1/31,600万円

兄弟姉妹は均等相続(各1/3)で、姉Cの枠1,600万円を甥D・姪Eの2人で分けます。弟Fの枠は甥G1人が全額取得します。なお、兄弟姉妹の代襲は甥姪までで再代襲はないため、甥G が先に死亡していても、Gの子への代襲は発生しません。

Point

代襲相続分の計算で最も多いミスは「代襲相続人の人数で遺産全体を割ってしまう」ことです。正しくは、まず被代襲者の法定相続分を確定し、その枠の中で代襲相続人が均等に分ける「株分け」方式です。

代襲相続における相続放棄の影響と注意点

相続放棄と代襲相続の関係は、相続実務で最も混乱が生じやすいテーマです。「放棄したら子に代襲されるのか」「代襲相続人が放棄するとどうなるのか」など、複数のパターンを整理します。

パターン1:本来の相続人が相続放棄した場合 → 代襲相続は発生しない

相続放棄をすると「初めから相続人ではなかった」とみなされるため(民法939条)、放棄は代襲原因に該当しません。たとえば、父Aの相続で長男Bが相続放棄をしても、Bの子(孫C)が代わりに相続することはできません。

この点は「死亡」による代襲相続と根本的に異なります。死亡は本人の意思によらない事由ですが、放棄は本人の意思による選択です。民法は、放棄という自発的な行為について、子への代襲を認めていません。

パターン2:代襲相続人が自ら相続放棄する場合

代襲相続人は、自分自身の判断で相続放棄ができます。たとえば、祖父Aの相続で父Bが先に死亡し、孫Cが代襲相続人になった場合、孫Cは家庭裁判所に申述して相続放棄が可能です。放棄の期限は相続の開始を知った時から3か月以内(民法915条1項)です。

代襲相続人が放棄した場合の相続分の変動を、具体例で示します。

状況 配偶者B 長男C 孫D(代襲) 孫E(代襲)
孫D・E とも承認1/21/41/81/8
孫Dが放棄1/21/41/4
孫D・E とも放棄1/21/2

孫Dが放棄すると、Dの相続分は孫Eに集約されます。孫D・Eの両方が放棄すると、次男の枠が消え、配偶者Bと長男Cで分けることになります。

パターン3:相続放棄と代襲相続の「順番」に注意

実務で問題になるのは、被相続人に多額の債務がある場合です。長男Bが「借金を相続したくない」と相続放棄しても、Bの子(孫C)には代襲相続は発生しません。しかし、長男Bが被相続人より先に死亡していた場合は、孫Cが代襲相続人になり、借金も含めて相続することになります。

この場合、孫C自身が3か月以内に相続放棄の申述をしなければなりません。被相続人の死亡を知ってから3か月の熟慮期間が過ぎると、単純承認したとみなされます(民法921条2号)。

注意

「親が放棄すれば子に回る」と誤解して、親世代に放棄を勧めるケースが散見されます。放棄では代襲は起こりません。次順位の相続人(直系尊属→兄弟姉妹)に相続権が移るだけです。債務逃れの目的で「代襲を狙った放棄」は制度上成立しないことを覚えておいてください。

代襲相続でよくあるトラブルと解決策

代襲相続は通常の相続に比べて関係者が多く、感情的な対立やコミュニケーションの問題が生じやすいです。ここでは実務で頻出するトラブルとその対処法を4つ紹介します。

トラブル1:代襲相続人と他の相続人が疎遠で連絡がとれない

先に死亡した相続人の子(代襲相続人)が遠方に住んでいる、または交流がないケースは珍しくありません。しかし、代襲相続人を除外した遺産分割協議は無効です。

解決策:戸籍の附票を取得して現住所を特定し、書面で連絡をとります。それでも応答がない場合は、家庭裁判所の不在者財産管理人の選任(民法25条)を申し立てるか、遺産分割調停を申し立てます。調停は相手の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます(家事事件手続法245条1項)。

トラブル2:「代襲相続人に遺産を渡したくない」と他の相続人が主張する

「甥や姪に財産が渡るのは納得できない」という感情的な反発は、兄弟姉妹の代襲相続で特に多く発生します。しかし、法定相続分は法律で定められた権利であり、他の相続人の意思だけで排除することはできません。

解決策:遺産分割協議の中で、代襲相続人の法的権利を丁寧に説明したうえで、全員が納得できる分割案を模索します。たとえば、不動産は存命の相続人が取得し、代襲相続人には預貯金や代償金で対応する方法があります。合意がまとまらなければ、家庭裁判所の調停を活用します。

トラブル3:代襲相続人が未成年で、特別代理人の選任に時間がかかる

代襲相続人である孫が未成年の場合、利益相反が生じるケースでは家庭裁判所で特別代理人を選任する必要があります。選任までに通常1〜2か月かかり、その間は遺産分割協議を進められません。

解決策:相続発生後できるだけ早く特別代理人の選任申立てを行います。候補者は利害関係のない親族(他の祖父母・叔父叔母)が一般的です。申立て費用は収入印紙800円と連絡用郵便切手のみで、弁護士を候補者にすることも可能です。並行して、戸籍収集や財産目録の作成を進めておくと効率的です。

トラブル4:代襲相続と数次相続の混同による手続きミス

「被相続人の死亡が先か、相続人の死亡が先か」で代襲相続と数次相続の区別が変わりますが、この判定を誤ると相続人の範囲や相続分の計算が根本的に間違います。

判定項目 代襲相続 数次相続
相続人の死亡時期被相続人より被相続人より(遺産分割前)
相続人の範囲被代襲者の子のみ中間者の相続人全員(配偶者含む)
相続登記直接登記が可能中間省略登記が可能な場合あり
相続税申告1回の申告2回の申告が必要な場合あり

解決策:死亡日の前後関係を戸籍で正確に確認します。同日死亡の場合は「同時死亡の推定」(民法32条の2)が適用され、相互に相続は発生しません。判断に迷う場合は、司法書士または弁護士に戸籍を持参して確認を依頼してください。

Point

代襲相続のトラブルの多くは「知らなかった」「連絡しなかった」に起因します。相続発生後はまず戸籍を徹底的に調査し、全相続人(代襲相続人を含む)を早期に特定・連絡することがトラブル予防の鉄則です。

代襲相続に備える生前対策のポイント

代襲相続は突然発生するケースが多く、事前の備えがなければ相続手続きが長期化・複雑化します。ここでは、被相続人の立場で生前にできる4つの対策を解説します。

対策1:予備的遺言(補充遺言)の作成

遺言書で「全財産を長男Bに相続させる」と書いても、Bが先に死亡すると遺言は原則失効します(最高裁平成23年2月22日判決)。これを防ぐために、「Bが先に死亡した場合はBの子Cに相続させる」という予備的条項を加えます。

予備的遺言は公正証書遺言で作成するのが望ましく、作成費用の目安は財産額に応じて3万〜10万円程度です。自筆証書遺言でも有効ですが、法務局の保管制度(手数料3,900円)を利用することで、紛失・偽造のリスクを減らせます。

対策2:家族信託(民事信託)の活用

家族信託を設定することで、委託者(被相続人)→ 第一受益者(子)→ 第二受益者(孫)と、財産の承継先を数世代にわたって指定できます。遺言では一代限りの指定しかできませんが、家族信託なら受益者連続型で複数世代の承継が可能です。

家族信託の設定費用は、信託財産の額に応じて50万〜150万円程度(公正証書作成費用・登記費用・専門家報酬を含む)が目安です。制度が複雑なため、信託に精通した司法書士や弁護士に相談することをお勧めします。

対策3:生命保険の受取人指定を定期的に見直す

生命保険の受取人が先に死亡した場合、保険約款の定めにより受取人の法定相続人が受取人になるのが一般的です。しかし、意図しない人に保険金が渡る可能性があるため、受取人の変更手続きを定期的に行うことが重要です。

特に注意すべきケースは以下のとおりです。

  • 受取人に指定した子が先に死亡した場合 → 孫が受取人になるか約款を確認
  • 受取人を「法定相続人」と包括指定している場合 → 代襲相続人も含まれるか確認
  • 離婚・再婚で家族構成が変わった場合 → 受取人が元配偶者のままになっていないか確認

受取人の変更は保険会社に連絡するだけで手続きでき、費用はかかりません。年に一度は保険証券を確認し、家族構成の変化に合わせて見直しましょう。

対策4:相続関係の「見える化」と家族への共有

代襲相続が問題になるのは、相続人の構成が不明確なまま相続が発生するケースが大半です。生前に以下の情報を整理し、家族と共有しておくことで、いざというときの混乱を大幅に減らせます。

整理すべき項目 具体的な内容
法定相続人の一覧氏名・住所・連絡先・続柄を一覧表にまとめる
財産目録不動産・預貯金・有価証券・保険・借入金を一覧化
遺言書の有無と保管場所公正証書遺言の場合は公証役場名と作成日
先に死亡した相続人の情報代襲相続が発生する可能性がある場合、孫の情報も記載

これらの情報はエンディングノートにまとめておくのが一般的です。法的効力はありませんが、相続人が手続きを進めるうえで大きな助けになります。

Point

代襲相続は「想定外の相続人」が出現するリスクを伴います。生前対策のカギは、遺言・信託・保険の3つで承継先を明確にしておくことです。FPや司法書士に相談しながら、家族構成の変化に合わせて定期的に見直しましょう。

代襲相続に関するよくある質問(FAQ)

養子の子は代襲相続できますか?
養子縁組のに生まれた養子の子は、被相続人の直系卑属にあたるため代襲相続人になれます。一方、養子縁組のに生まれた養子の子は、縁組時点で被相続人の直系卑属ではなかったため、代襲相続人になれません(民法887条2項但書)。養子縁組の日付と子の出生日の前後関係が判定のカギになります。
胎児にも代襲相続権はありますか?
はい。民法886条1項は「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」と規定しています。被代襲者の死亡時に胎児であった子も、無事に生まれれば代襲相続人になります。ただし、死産の場合はこの規定の適用がなく、代襲相続人にはなりません(同条2項)。実務上は、胎児がいる間は遺産分割協議を出生まで待つのが一般的です。
相続放棄をした人の子は代襲相続できますか?
いいえ、できません。相続放棄をすると「はじめから相続人ではなかった」とみなされるため(民法939条)、代襲相続の原因にはなりません。これは代襲相続で最も誤解されやすいポイントです。たとえば、長男が父の相続を放棄しても、長男の子(孫)が代わりに相続することはできません。
代襲相続人にも遺留分はありますか?
はい、あります。代襲相続人は被代襲者の相続上の地位を引き継ぐため、遺留分も被代襲者と同じ割合で保障されます。代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者の遺留分を均等に分けます。遺留分侵害額請求権の行使期限は、相続開始と遺留分侵害を知った時から1年、相続開始から10年です。
代襲相続の場合、相続税の申告期限は変わりますか?
相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。代襲相続の場合も同じです。ただし、代襲相続人が被相続人の死亡をすぐに知らなかった場合(疎遠で連絡が遅れた場合など)は、「知った日」が他の相続人より遅くなることがあり、その場合は起算日もずれます。とはいえ、遺産分割協議は全員で行う必要があるため、実務上は最も遅い相続人の期限に合わせて進めるのが一般的です。
兄弟姉妹が相続人のとき、甥姪の子は代襲相続できますか?
できません。兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪の一代限りで、再代襲は認められていません(民法889条2項)。1981年の民法改正前は兄弟姉妹にも再代襲がありましたが、遠い親族への財産拡散を防ぐ目的で廃止されました。甥姪も先に死亡している場合は、その相続分は他の兄弟姉妹(またはその代襲相続人)に按分されます。
代襲相続と数次相続では手続きがどう違いますか?
代襲相続は被相続人より先に相続人が死亡しているケースで、代襲相続人が当初から相続人として遺産分割協議に参加します。数次相続は被相続人の死亡後・遺産分割前に相続人が死亡したケースで、亡くなった相続人の地位をその相続人(二次相続の相続人)が承継します。数次相続では、被相続人からの相続と中間者からの相続の2つの相続関係が重なるため、戸籍収集・登記手続き・相続税申告がいずれも複雑になります。
代襲相続人は生命保険金の受取人になれますか?
生命保険金の受取人が「長男B」と指定されていてBが先に死亡した場合、保険約款に「受取人の法定相続人が受取人になる」旨の定めがあれば、Bの相続人(配偶者や子)が受取人になります。ただし、これは保険契約上の問題であり、民法上の代襲相続とは別の制度です。保険約款の定めがない場合は保険会社の対応や契約内容によるため、事前に保険会社に確認しておくことが重要です。

関連トピック(あとで読む)

出典・改訂履歴・免責事項を見る

本ページの制度概要・要件・条文解釈は、以下の公式情報を編集部が確認のうえ整理しています(執筆時点)。最新かつ正確な情報は必ず各公式サイトでご確認ください。FPは記事を直接監修してはおらず、関連テーマでご相談を受けるFPとしてご紹介しています。

最終確認日:

※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および税理士・司法書士・FP・弁護士など専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

本相談はIKIGAI TOWN編集部が運営するFP相談サービスです。各自治体の給付金窓口とは異なります。