相続・贈与

生前贈与で土地の名義変更

相続税と納税資金を家族で確認しもめない準備を進める場面
税額だけでなく、納税資金、家族の分け方、親の意思を早めに整理します。

登録免許税は 贈与2.0% vs 相続0.4%(5倍)

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目次(16セクション)
  1. 生前贈与 vs 相続|税コスト比較
  2. 登録免許税:贈与は相続の5倍
  3. 不動産取得税:贈与3%・相続ゼロ
  4. 贈与税:暦年課税と相続時精算課税
  5. 贈与税の計算例(1,000万・2,000万・3,000万円)
  6. 相続時精算課税 vs 暦年課税の選択基準
  7. 配偶者への居住用不動産贈与の特例(おしどり贈与)
  8. 落とし穴:小規模宅地特例が使えなくなる
  9. 名義変更後の固定資産税・都市計画税
  10. 必要書類と登記申請の手順
  11. 費用一覧表
  12. 贈与契約書の作成ポイントと記載例
  13. 司法書士に依頼する場合の費用と相場
  14. 農地・山林・共有持分の名義変更の注意点
  15. 生前贈与の土地名義変更でよくある失敗事例
  16. 土地の生前贈与に関するよくある質問

生前贈与 vs 相続|税コスト比較

固定資産税評価額 2,000万円の土地 を親から子へ移すケースで、生前贈与と相続のコストを比較します。

税目生前贈与相続
登録免許税40万円(評価額×2.0%)8万円(評価額×0.4%)
不動産取得税60万円(評価額×3.0%)0円(非課税)
贈与税/相続税585.5万円(暦年・特例税率)基礎控除内で0円の可能性大
小規模宅地特例使えないケース多(精算課税時)自宅は80%減で評価
合計コスト目安685.5万円8万円(基礎控除内)

この表を見れば明らかなとおり、一般的には 相続で取得したほうが圧倒的に税コストが安い のが実態です。それでもなお生前贈与を選ぶべきケースは限られます。「認知症リスクへの備えとして確実に渡したい」「将来大きく値上がりしそうな土地である」「収益物件の賃料収入を早く子に回して所得分散したい」「家族信託と組み合わせて財産管理をしたい」など、明確な目的がなければ生前の名義変更は慎重に検討してください。

なお、相続の全体像について知りたい方は相続対策ガイドをご覧ください。相続税の基礎控除の仕組みは相続税の基礎控除とは?で詳しく解説しています。

生前贈与で土地名義変更するメリット・デメリット

土地を生前贈与で名義変更することには、税コスト以外にも多面的なメリットとデメリットがあります。

生前贈与による土地名義変更のメリット・デメリット比較
項目メリットデメリット
財産移転の確実性贈与者の意思が明確なうちに確実に移転できる一度名義変更すると原則として取り消せない
認知症対策贈与者が判断能力を失う前に完了できる認知症発症後は贈与契約自体が無効になる
遺産分割トラブル防止相続人間の争いを生前に回避できる他の相続人から特別受益として持ち戻しを求められる場合がある
値上がり益の移転将来の値上がり分は受贈者の利益になる値下がりした場合は贈与時の高い評価額で課税される
収益物件の所得分散賃料収入を子の所得にでき、所得税の節税になる贈与者の生活資金が減る可能性がある
税コスト相続時精算課税なら2,500万円まで贈与税ゼロ登録免許税・不動産取得税・贈与税で相続の数倍のコスト
特例適用おしどり贈与(配偶者控除)など一部の特例を活用可小規模宅地等の特例が使えなくなるリスク大

特に注目すべきは 認知症リスクへの対応 です。親が認知症を発症すると、法律行為(売買・贈与・遺言作成)がすべて制限されます。元気なうちに名義変更を済ませておくか、あるいは家族信託で柔軟に管理権を委託する方法もあります。

また、収益物件(アパート・駐車場など)を子に贈与すると、以後の賃料収入が子の所得になるため、親の所得税と将来の相続財産の両方を圧縮できます。ただし、借入金のある物件を贈与する場合は「負担付贈与」となり、税務上の取扱いが複雑になるため、必ず税理士やFPに相談してください。

登録免許税:贈与は相続の5倍

法務局で所有権移転登記をする時にかかる国税。

  • 贈与:固定資産税評価額 × 2.0%
  • 相続:固定資産税評価額 × 0.4%(5分の1)

2,000万円の土地なら贈与40万 vs 相続8万。この差額32万円は、贈与を選ぶだけで確実に発生する固定費です。登録免許税は収入印紙で納付するか、3万円以上の場合は金融機関で納付して領収書を申請書に貼付します。

登録免許税の計算では、固定資産税評価額の1,000円未満を切り捨て、算出した税額の100円未満を切り捨てます。たとえば評価額が2,345万6,789円の土地を贈与する場合、2,345万6,000円 × 2% = 469,120円 → 469,100円(100円未満切捨て)が登録免許税となります。

なお、土地と建物の両方を贈与する場合は、それぞれの固定資産税評価額に2%を掛けた合計額が登録免許税となります。法務局の窓口で申請書のひな形を入手できます。相続の場合の税率や手続きについては相続登記の手続き解説も参考にしてください。