相続税の計算は複雑に見えますが、骨格は次の4ステップです。全体の流れは「遺産総額の把握→基礎控除の差し引き→課税遺産総額への税率適用→各種控除の適用」という順序になります。この流れを理解しておくと、シミュレーターの計算結果がなぜその金額になるのかが見えてきます。
相続税の計算で特に重要なのは、ステップ3で「法定相続分に基づく仮の按分」を行う点です。実際にどう分割するかに関係なく、まず法定相続分で計算した総額を出し、その後に実際の取得割合で按分し直します。このため、遺産分割の仕方で相続税の「総額」は変わりませんが、各相続人の「納付額」は変わります。
法定相続分は民法で定められた相続割合です。配偶者と子が相続人の場合は配偶者1/2・子1/2(子が複数なら均等分割)、配偶者と父母の場合は配偶者2/3・父母1/3、配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者3/4・兄弟姉妹1/4です。この法定相続分は遺産分割協議で自由に変更できますが、相続税の計算上は常にこの法定相続分で仮の按分を行います。詳しい計算方法は 相続税の基礎控除と計算方法 をご覧ください。
民法上は相続財産ではないが、相続税法上は相続財産とみなされるものがあります。代表例が生命保険金と死亡退職金です。これらは受取人固有の財産であり遺産分割の対象にはなりませんが、相続税の課税対象には含まれます(ただし前述の非課税枠が適用されます)。その他、被相続人が保険料を負担していた個人年金の受給権や、相続開始前7年以内の生前贈与なども課税価格に加算される対象です。シミュレーション時にはこれらのみなし相続財産も漏れなく入力することが重要です。
法定相続人の数え方にも注意が必要です。養子がいる場合、実子がいれば養子は1人まで、実子がいなければ養子は2人まで法定相続人に含めることができます。また、相続放棄をした人がいても、法定相続人の数には影響しません(放棄がなかったものとして数えます)。代襲相続(被相続人の子がすでに亡くなっており、その子=孫が代わりに相続する場合)が発生している場合は、代襲相続人も法定相続人に数えます。法定相続人の確定には被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得する必要があり、この手続きだけでも数週間かかることがあります。