障害年金

障害年金とは
もらえる条件・金額・申請方法

老後資金と使ってよいお金を逆算して家計を整える場面
年金額だけでなく、医療費、楽しみ、使ってよいお金の余白まで確認します。

障害年金は、病気やケガで障害が残った場合に受給できる公的年金。障害基礎年金1級で年約104万円、2級で年約83万円

記事の答えを確認した次に

申請できるか分からない。まず何を確認すればいい?

決めるタイミング: 初診日、家族の死亡、支援の通知など、申請のきっかけになる出来事があったとき。

相談で繰り返される本音

  • 対象かどうかだけでも早く知りたい
  • 書類が足りず、何度も窓口へ行くのは避けたい
  • 受け取れない場合の生活費も先に考えておきたい

初回で口頭整理できること

初回は、起きた出来事、手元の記録、公式窓口へ確認する質問を口頭で整理します。

その次に分けること

公式機関の確認結果をもとに、申請準備と家計への影響を分けて考えます。

初回の範囲: 受給可否の判定、診断書等の作成、申請代行、金融商品の見積り・申込みは初回に行いません。

初回で最初の確認事項を聞く

初回は口頭で整理します。資料がなくても、分かる範囲から始められます

相談前のFAQ

資料がそろっていなくても相談できますか?

はい。初回は、いま分かる範囲から迷いと確認順を整理します。通知書、通帳、財産や家計のメモなどが手元にあれば、分かる範囲だけご用意ください。

初回で何を持ち帰れますか?

いま決めること、まだ決めなくてよいこと、次に確認する数字や窓口を口頭で整理して持ち帰れます。初回当日の資料完成は約束していません。

初回に商品や契約の話がありますか?

初回は迷いと数字の整理に使います。金融商品の見積り、申込み、契約変更は初回の範囲に含みません。

目次(13セクション)
  1. 障害年金とは
  2. 障害年金の受給額
  3. もらえる条件(3つの要件)
  4. 障害基礎年金と障害厚生年金の違い
  5. 対象となる病気・障害の例
  6. 障害等級の判定基準
  7. 受給額の計算方法と具体例
  8. 申請の流れ
  9. 必要書類チェックリスト
  10. 障害年金と他の制度の併給調整
  11. 不支給・等級変更への対応
  12. 障害年金の更新(障害状態確認届)
  13. よくある質問

障害年金とは

障害年金は、病気やケガで生活や仕事に支障が出た場合に受給できる公的年金です。老齢年金のように65歳まで待つ必要はなく、要件を満たせば20代でも受給できます。

障害年金は「障害者だけの制度」と思われがちですが、うつ病・がん・糖尿病・心疾患・難病など幅広い傷病が対象です。障害者手帳を持っていなくても請求できます。

障害年金の2つの種類

  • 障害基礎年金:国民年金加入中に初診日がある場合に支給(1級・2級)
  • 障害厚生年金:厚生年金加入中に初診日がある場合に支給(1〜3級+障害手当金)

初診日にどちらの年金制度に加入していたかで、受け取れる年金の種類・等級の範囲・金額が大きく変わります。会社員・公務員は厚生年金、自営業・学生・無職は国民年金が原則です。

障害年金の受給額

等級障害基礎年金(年額)障害厚生年金
1級約102万円+子の加算報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給
2級約82万円+子の加算報酬比例の年金額+配偶者加給
3級(なし)報酬比例の年金額(最低保障 約61万円)

子の加算は第1・2子が各約23万円、第3子以降が各約7.6万円。配偶者加給年金は年約23万円です。

障害厚生年金は在職中の報酬に応じた「報酬比例部分」がベースになるため、給与が高い人ほど受給額が増える仕組みです。詳しくは障害年金の金額をご覧ください。

もらえる条件(3つの要件)

障害年金を受給するには、以下の3つの要件すべてを満たす必要があります。

  1. 初診日要件:障害の原因となった病気やケガの初診日に、国民年金または厚生年金に加入していること(20歳前の傷病は例外あり)
  2. 保険料納付要件:初診日の前日時点で、以下のいずれかを満たすこと
    • 初診日のある月の前々月までの加入期間のうち、保険料を納付した期間+免除期間が2/3以上
    • 初診日のある月の前々月までの直近1年間に未納がない(特例・2026年3月まで)
  3. 障害等級要件:障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)に、障害等級1〜3級に該当すること

初診日の落とし穴

初診日は「その傷病で初めて医療機関を受診した日」です。転院後の病院ではなく、最初に受診した医療機関の日付が該当します。カルテが破棄されていると証明が困難になるため、受診記録は保管しておくことが重要です。

詳しくは障害年金の受給条件をご覧ください。

障害基礎年金と障害厚生年金の違い

初診日に加入していた年金制度によって、受けられる障害年金が異なります。両者の違いを比較表で整理します。

比較項目障害基礎年金障害厚生年金
対象者自営業・学生・無職(国民年金加入者)会社員・公務員(厚生年金加入者)
等級1級・2級のみ1級・2級・3級+障害手当金
年金額(1級)約102万円+子の加算報酬比例額×1.25+障害基礎年金1級+配偶者加給
年金額(2級)約82万円+子の加算報酬比例額+障害基礎年金2級+配偶者加給
年金額(3級)なし報酬比例額(最低保障 約61万円)
子の加算あり(18歳年度末までの子)基礎年金部分に含まれる
配偶者加給なし1級・2級に年約23万円
障害手当金なし一時金(最低保障 約122万円)

障害厚生年金の1級・2級は、障害基礎年金に上乗せして支給されます。つまり厚生年金加入中の初診であれば「基礎+厚生」の2階建てで受給できるため、金額面で大きな差が出ます。

対象となる病気・障害の例

障害年金の対象は身体障害だけではありません。以下のように幅広い傷病が対象です。

分類主な対象疾患認定のポイント
精神疾患うつ病、双極性障害、統合失調症、発達障害、知的障害、てんかん日常生活能力と就労状況で判定
がん各種がん(抗がん剤の副作用・再発による制限含む)治療による全身衰弱・臓器障害で判定
内部障害心疾患、腎疾患(人工透析)、肝疾患、糖尿病(合併症)、呼吸器疾患人工透析は原則2級、人工弁・ペースメーカーは原則3級
肢体障害人工関節、脊髄損傷、脳血管障害による麻痺、切断人工関節は原則3級(厚生年金の場合)
視覚障害緑内障、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症矯正視力・視野で判定
聴覚障害感音性難聴、突発性難聴純音聴力レベルの平均で判定
難病パーキンソン病、SLE、クローン病、潰瘍性大腸炎日常生活の制限度合いで判定

精神疾患は障害年金の新規裁定件数で最も多い分類で、全体の約4割を占めています。詳しくは精神疾患と障害年金をご覧ください。

障害等級の判定基準

障害年金の等級は、障害者手帳の等級とは別の基準で判定されます。日常生活や就労にどの程度の制限があるかで決まります。

等級日常生活の目安具体例
1級他人の介助がなければ日常生活がほぼ不可能ベッドから離れられない、食事・入浴・着替えに全面的な介助が必要
2級日常生活に著しい制限がある(必ずしも介助は不要だが、活動範囲が限定的)家庭内で軽い活動はできるが、外出には付き添いが必要。簡単な調理程度は可能
3級労働に著しい制限がある(日常生活には大きな支障なし)軽作業はできるが、フルタイム就労は困難。通院しながらの短時間勤務が限界

精神疾患の等級判定ガイドライン

精神の障害は2016年から「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が導入されています。「日常生活能力の判定」(7項目を4段階で評価)と「日常生活能力の程度」(5段階)を組み合わせた等級の目安表で判定されます。

受給額の計算方法と具体例

障害年金の受給額を具体的なケースで確認しましょう。

ケース1:自営業(国民年金)・2級・子ども2人

計算例

  • 障害基礎年金2級:816,000円
  • 子の加算(2人):234,800円×2=469,600円
  • 年額合計:1,285,600円(月額 約107,100円)

ケース2:会社員(厚生年金)・2級・配偶者あり・子ども1人

※平均標準報酬額36万円、厚生年金加入期間20年(240月)で試算

計算例

  • 障害基礎年金2級:816,000円
  • 子の加算(1人):234,800円
  • 障害厚生年金(報酬比例):360,000円×5.481/1,000×240月=約473,400円
  • 配偶者加給年金:234,800円
  • 年額合計:約1,759,000円(月額 約146,600円)

厚生年金加入者は2階建てで受給できるため、基礎年金のみの場合と比べ年額で40〜50万円以上の差が生じます。加入期間が300月(25年)に満たない場合は300月として計算する最低保障があります。

申請の流れ

障害年金の申請(裁定請求)は、以下のステップで進めます。

  1. 初診日の確認:障害の原因となった病気・ケガで初めて医療機関を受診した日を特定する。カルテがない場合は受診状況等証明書が取れないか確認
  2. 保険料納付要件の確認:年金事務所で加入記録を照会し、納付要件を満たしているか確認
  3. 診断書の取得:障害認定日以降の状態について、主治医に診断書を依頼する。傷病ごとに指定の様式がある
  4. 受診状況等証明書の取得:初診の医療機関と診断書を書く医療機関が異なる場合に必要
  5. 病歴・就労状況等申立書の作成:発症から現在までの経緯・日常生活の制限・就労状況を時系列で記載
  6. 裁定請求書の提出:障害基礎年金は市区町村窓口(年金事務所も可)、障害厚生年金は年金事務所に提出
  7. 審査・決定:通常2〜3ヶ月で結果が通知される。認定されると翌月分から支給開始

申請手続きの詳細は障害年金の申請方法をご覧ください。

必要書類チェックリスト

障害年金の申請に必要な書類を一覧で確認しましょう。書類の不備は審査遅延や不支給の原因になります。

必要書類チェックリスト

  • ☐ 年金請求書(様式第107号または第104号)
  • ☐ 診断書(傷病ごとの指定様式。障害認定日から3ヶ月以内の現症のもの)
  • ☐ 受診状況等証明書(初診の医療機関が診断書作成医療機関と異なる場合)
  • ☐ 病歴・就労状況等申立書(発症から現在までの経緯を3〜5年ごとに記載)
  • ☐ 戸籍謄本または住民票(加算対象の配偶者・子がいる場合)
  • ☐ 所得証明書(加算対象の配偶者・子がいる場合)
  • ☐ 振込先の通帳コピー(本人名義の金融機関口座)
  • ☐ 年金手帳またはマイナンバーカード

病歴・就労状況等申立書のコツ

この書類は自分の言葉で日常の困難さを伝える唯一の書類です。診断書だけでは伝わらない「日常生活で実際に何ができないか」を具体的に書きましょう。

  • 「調理ができない」→「包丁を持つ手が震え、火の消し忘れがあるため調理は家族がしている」
  • 「外出が困難」→「パニック発作のため一人では電車に乗れず、通院も家族の付き添いが必要」

障害年金と他の制度の併給調整

障害年金と他の公的給付は、組み合わせによって調整(減額・選択)が発生します。

組み合わせ併給の可否調整内容
障害年金+老齢年金選択65歳以降は障害基礎+老齢厚生の組み合わせが可能。どの組み合わせが有利かは個別に比較が必要
障害年金+遺族年金選択65歳以降は障害基礎+遺族厚生の組み合わせが可能
障害年金+傷病手当金調整同一傷病の場合、傷病手当金は障害厚生年金の日額との差額のみ支給
障害年金+労災年金調整労災側が減額される(障害年金は全額支給)
障害年金+生活保護併給可障害年金を収入認定し、保護費が差額支給。障害者加算がつく場合が多い
障害年金+失業保険併給可調整なし。ただし「働く意思と能力」がハローワークに認められる必要あり

65歳以降の年金選択は複雑で、数十万円単位の差が出ることがあります。どの組み合わせが最も有利かは、加入歴や家族構成によって異なるため、専門家への相談が有効です。

不支給・等級変更への対応

障害年金は申請すれば必ず受給できるわけではありません。不支給となった場合や、等級に不服がある場合の対応方法を整理します。

不服申立ての流れ

  1. 審査請求:処分を知った日の翌日から3ヶ月以内に、地方厚生局の社会保険審査官に審査請求
  2. 再審査請求:審査請求の決定に不服がある場合、決定書の謄本が送付された日の翌日から2ヶ月以内に社会保険審査会に再審査請求
  3. 行政訴訟:再審査請求の裁決に不服がある場合は裁判所に提訴(実務上は稀)

額改定請求(等級変更)

障害の程度が重くなった場合は、額改定請求で上位等級への変更を求めることができます。障害年金を受給してから1年経過後(障害の程度が明らかに増進した場合は1年以内でも可)に請求できます。

事後重症請求

障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)には等級に該当しなかったが、その後に障害が悪化して等級に該当するようになった場合は、事後重症請求ができます。65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があります。

障害年金の更新(障害状態確認届)

障害年金は一度認定されても、永久認定と有期認定の2種類があります。

認定種別特徴更新手続き
永久認定障害の状態が固定し、今後変化しないと判断された場合不要(診断書の再提出なし)
有期認定障害の状態が変動する可能性がある場合(精神疾患・がん等に多い)1〜5年ごとに「障害状態確認届」(診断書)を提出

更新時の注意点

  • 誕生月の3ヶ月前に「障害状態確認届」の用紙が届く
  • 誕生月の末日までに提出する必要がある(遅れると支給停止のリスク)
  • 更新時に等級が下がったり、支給停止になる場合がある
  • 主治医が変わった場合は、これまでの経緯をしっかり伝えてから診断書を依頼する

精神疾患の場合は有期認定(1〜3年ごとの更新)が多く、更新のたびに症状の変動を正確に伝えることが重要です。調子の良い日だけを伝えると等級が下がる恐れがあります。

よくある質問

障害年金は働きながら受給できますか?
はい。障害年金は原則として所得制限がないため、働きながらでも受給できます。ただし、20歳前傷病による障害基礎年金のみ所得制限があります(2人世帯で所得398万円超で半額停止、500万円超で全額停止)。精神疾患の場合は就労状況が等級判定に影響することがあるため、主治医と相談のうえ診断書に正確な状況を記載してもらうことが大切です。
障害者手帳がなくても申請できますか?
はい。障害年金と障害者手帳は別の制度で、判定基準も異なります。手帳がなくても障害年金の等級要件を満たせば受給できます。逆に、手帳の等級が重くても年金の等級に該当しない場合があります。たとえば精神障害者保健福祉手帳2級でも、障害年金は3級や不支給になるケースがあります。
初診日が分からない場合はどうすればいいですか?
まずは初診の医療機関にカルテが残っているか問い合わせましょう。カルテが破棄されている場合は、健康保険の診療報酬明細書、お薬手帳、健康診断の記録、第三者の証言(2人以上)などで初診日を証明する方法があります。年金事務所に相談すると、具体的な代替証拠について案内してもらえます。
障害年金を受給すると将来の老齢年金に影響しますか?
障害年金の受給自体が老齢年金を減らすことはありません。ただし、障害年金を受給している間に国民年金の保険料が法定免除になる場合があり、免除期間は老齢基礎年金の計算で2分の1として算入されます。追納(10年以内)することで老齢基礎年金を満額に近づけられます。65歳以降は障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせも選択可能です。
障害年金は非課税ですか?
はい。障害年金は全額非課税です。所得税・住民税の課税対象にならず、確定申告の必要もありません。また、国民健康保険料の算定にも含まれません。ただし、健康保険の扶養判定では収入として扱われるため、年額180万円以上(60歳以上または障害者は180万円)になると被扶養者から外れる場合があります。
申請が難しそうで不安です。誰に相談すればいいですか?
まずは最寄りの年金事務所での相談が無料で利用できます。申請書類の作成が難しい場合は、障害年金を専門とする社会保険労務士に依頼する方法もあります(成功報酬型が一般的)。FPは制度の全体像の整理や、障害年金と他の給付金・税制優遇の併用について家計全体の視点からアドバイスできます。

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最終確認日:2026-05-15

※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・金額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

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