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専業主婦の年金
第3号被保険者の仕組みと受給額

老後資金と使ってよいお金を逆算して家計を整える場面
年金額だけでなく、医療費、楽しみ、使ってよいお金の余白まで確認します。

専業主婦(第3号被保険者)は国民年金保険料の負担なしで、老齢基礎年金(満額 月約6.9万円)を受給できる

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目次(13セクション)
  1. 専業主婦の年金|第3号被保険者制度とは
  2. 第1号・第2号・第3号の違い|被保険者区分を比較
  3. 専業主婦がもらえる年金の種類と金額
  4. 受給額シミュレーション|加入期間別の老齢基礎年金
  5. 夫婦合算でいくら?世帯の年金受給額を計算
  6. 保険料はいくら?誰が払っている?
  7. 第3号被保険者になるための届出手続き
  8. 第3号から外れるケース|資格喪失に注意
  9. 離婚時の年金分割
  10. 専業主婦が年金を増やす5つの方法
  11. 130万円の壁と扶養の判定基準
  12. 2025年見直し議論の動向と今後の展望
  13. よくある質問

専業主婦の年金|第3号被保険者制度とは

会社員・公務員(第2号被保険者)の配偶者で一定の収入要件を満たす方は、第3号被保険者として国民年金に加入できます。自分で保険料を支払わなくても、国民年金の保険料を納付したとみなされる制度です。

第3号被保険者制度は1986年(昭和61年)の年金改正で創設されました。それ以前はサラリーマンの妻は国民年金への加入が任意だったため、未加入のまま無年金・低年金になるケースが社会問題化していました。この制度により、専業主婦も自動的に国民年金に加入し、基礎年金の受給権を得られるようになりました。

第3号被保険者の加入条件(2026年度)

  • 配偶者が厚生年金加入者(会社員・公務員)であること
  • 自身の年収が130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)
  • 配偶者の年収の1/2未満であること
  • 年齢が20歳以上60歳未満であること

第1号・第2号・第3号の違い|被保険者区分を比較

日本の公的年金は加入者を3つの区分に分けています。自分がどの区分に該当するかで、保険料負担・将来の受給額が大きく異なります。

区分対象者保険料(2026年度)受給できる年金
第1号被保険者自営業者・フリーランス・学生・無職月16,980円(自己負担)老齢基礎年金のみ
第2号被保険者会社員・公務員報酬の18.3%(労使折半)老齢基礎年金+老齢厚生年金
第3号被保険者第2号の被扶養配偶者自己負担なし老齢基礎年金のみ

第3号被保険者は保険料負担なしで基礎年金を受給できる反面、厚生年金の上乗せがないため、第2号と比べると将来の受給額に大きな差が生まれます。

専業主婦がもらえる年金の種類と金額

第3号被保険者として加入できるのは国民年金(基礎年金)のみです。厚生年金の上乗せはありません。

年金の種類受給条件受給額の目安(2026年度)
老齢基礎年金受給資格期間10年以上・65歳から40年加入で満額 月約6.8万円
障害基礎年金障害等級1・2級・初診日に第3号2級 月約6.8万円 / 1級 月約8.5万円
遺族基礎年金配偶者死亡・子がいる場合月約6.8万円+子の加算

配偶者が受給する老齢厚生年金には加給年金(配偶者が65歳未満で年収850万円未満の場合に年約39.8万円が上乗せ)が付く場合があります。詳しくは加給年金をご覧ください。

受給額シミュレーション|加入期間別の老齢基礎年金

老齢基礎年金は加入期間(保険料納付済期間+免除期間)に応じて算出されます。第3号被保険者の期間は保険料納付済期間として全額カウントされます。

加入期間年額(2026年度)月額の目安
40年(480月)=満額約81.6万円約6.8万円
35年(420月)約71.4万円約6.0万円
30年(360月)約61.2万円約5.1万円
25年(300月)約51.0万円約4.3万円
20年(240月)約40.8万円約3.4万円
10年(120月)=最低約20.4万円約1.7万円

計算式:満額 × 加入月数 ÷ 480。例えば20歳から60歳まで40年間ずっと第3号被保険者であれば満額を受給できます。ただし、就職期間や未届期間があると加入月数が減り、その分年金額も下がります。

夫婦合算でいくら?世帯の年金受給額を計算

老後資金を考える際は、夫婦合算の受給額で考えることが重要です。以下に代表的なパターンを示します。

世帯パターン夫(年額)妻(年額)世帯年額月額の目安
夫:会社員40年
妻:専業主婦40年
約190万円
(基礎+厚生)
約81.6万円
(基礎のみ)
約271.6万円約22.6万円
夫:会社員35年
妻:専業主婦30年+パート10年
約175万円約81.6万円
(基礎のみ)
約256.6万円約21.4万円
夫:会社員40年
妻:会社員20年+専業主婦20年
約190万円約115万円
(基礎+厚生)
約305万円約25.4万円

妻が厚生年金に加入した期間があると世帯の年金総額は増えます。パート勤務で厚生年金に加入するかどうかは、106万円の壁の記事で詳しく解説しています。

保険料はいくら?誰が払っている?

第3号被保険者本人は保険料を支払いません。その費用は厚生年金全体から拠出されており、実質的には厚生年金加入者全員で負担する仕組みです。

項目第1号被保険者第3号被保険者
月額保険料(2026年度)16,980円0円
年間保険料203,760円0円
40年間の累計約815万円0円
受給できる年金老齢基礎年金(満額 月約6.8万円)老齢基礎年金(満額 月約6.8万円)

第1号と第3号は受給額が同じにもかかわらず、保険料負担に40年間で約815万円の差があります。この仕組みは「不公平」として議論の対象になっています。

第3号被保険者になるための届出手続き

第3号被保険者になるには届出が必要です。届出を忘れると未届期間は年金に反映されません

届出が必要になるタイミング

  • 結婚したとき:配偶者の勤務先経由で届出
  • 退職して配偶者の扶養に入るとき:退職後すみやかに届出
  • 配偶者が転職したとき:新しい勤務先で改めて届出
  • 収入が130万円未満に下がったとき:扶養認定を受けて届出

届出は配偶者(第2号被保険者)の勤務先を経由して日本年金機構へ提出します。届出書類は「国民年金第3号被保険者関係届」です。過去に届出を忘れていた期間がある場合、2013年の法改正により「特定期間該当届」を提出すれば受給資格期間に算入できる場合があります(ただし年金額には反映されません)。

第3号から外れるケース|資格喪失に注意

以下のいずれかに該当すると第3号被保険者の資格を失います。届け出を忘れると未納期間が発生し、将来の年金が減額されるため注意が必要です。

ケース新しい区分必要な手続き
年収が130万円以上になった第1号または第2号14日以内に市区町村で種別変更届
配偶者が退職・脱サラした第1号14日以内に市区町村で種別変更届
離婚した第1号14日以内に市区町村で種別変更届
自身が60歳になった加入義務なし届出不要(自動的に資格喪失)
配偶者が65歳になった第1号14日以内に市区町村で種別変更届
パート先で社会保険に加入した第2号勤務先が届出

特に見落としやすいのが「配偶者の退職」と「配偶者が65歳到達」のケースです。配偶者が65歳になると第2号被保険者の資格を失うため、60歳未満の妻は自動的に第3号から外れます。届出を忘れないようにしましょう。

離婚時の年金分割

離婚した場合、婚姻期間中の厚生年金記録を分割できる制度があります(専業主婦(夫)の期間に相手が加入していた厚生年金が対象)。

分割の種類内容分割割合手続き
合意分割婚姻期間全体が対象。双方の合意または裁判所の決定が必要最大50%まで年金事務所に「標準報酬改定請求書」を提出
3号分割2008年4月以降の第3号被保険者期間のみ対象。相手の合意不要一律50%年金事務所に単独で請求可能

分割された厚生年金記録は離婚した方自身の老齢厚生年金として加算されます。分割できるのは老齢厚生年金の記録のみで、老齢基礎年金は分割対象外です。

年金分割の注意点チェックリスト

  • 請求期限は離婚後2年以内(期限を過ぎると請求不可)
  • 分割されるのは「婚姻期間中の厚生年金記録」のみ(婚姻前は対象外)
  • 分割後の年金は自分が受給年齢に達してから受給開始
  • 分割で相手の年金が減るため、合意が得られないケースも多い
  • まず年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取得してから交渉する

専業主婦が年金を増やす5つの方法

第3号被保険者は基礎年金のみのため、老後資金に不安を感じる方も多いでしょう。以下の方法で上乗せが可能です。

1. iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する

第3号被保険者のiDeCo掛金上限は月23,000円(年27.6万円)です。掛金は全額所得控除の対象ですが、専業主婦で所得がない場合は税制メリットを直接受けられません。それでも運用益が非課税になるメリットがあります。

2. NISA(つみたて投資枠)を活用する

2024年から新NISAの「つみたて投資枠」は年120万円まで非課税で投資できます。所得の有無にかかわらずメリットがあるため、専業主婦の資産形成に適しています。

3. パートで厚生年金に加入する

厚生年金に加入できるパート勤務を選べば、基礎年金に加えて老齢厚生年金が上乗せされます。月収8.8万円(年収約106万円)で20年間加入すると、年間約12万円の厚生年金が上乗せされる計算です。

4. 国民年金の任意加入制度を利用する

60歳時点で40年の加入期間に満たない場合、60〜65歳の間に任意加入して不足分を埋めることができます。月16,980円の保険料で満額に近づけられます。

5. 付加年金に加入する(第1号の場合)

第3号から第1号に変更した場合、月400円の付加保険料を納めると、将来「200円×納付月数」の付加年金が上乗せされます。2年間で元が取れる制度です。

130万円の壁と扶養の判定基準

第3号被保険者の収入要件「年収130万円未満」は、向こう1年間の見込み収入で判断されます。過去の実績ではなく、今後の見込みがポイントです。

収入の種類130万円に含まれるか
パート・アルバイトの給与含まれる(交通費含む)
自営業の事業収入含まれる(必要経費控除前の総収入)
雇用保険の失業給付含まれる(日額3,612円以上で超過)
公的年金(老齢年金等)含まれる
不動産収入含まれる
株の配当・売却益原則含まれない(特定口座・源泉徴収ありの場合)

月額換算で108,334円以上(130万円÷12月)の収入が続く見込みになると、扶養から外れます。なお、2024年10月からの社会保険適用拡大により、従業員51人以上の企業では月収8.8万円以上で厚生年金に加入する義務が生じます(106万円の壁)。130万円の壁の前に106万円の壁に該当するケースが増えています。

2025年見直し議論の動向と今後の展望

第3号被保険者制度は「パートの就労を抑制する」「専業主婦優遇」との批判を受け、政府の社会保障審議会で廃止・縮小の議論が続いています。2025年の年金改革論議では以下の方向性が示されています。

  • 段階的な縮小:短時間労働者への厚生年金適用拡大(106万円の壁の撤廃議論)に連動
  • 新たな扶養制度への移行案:保険料の一部を扶養者が負担する方式
  • 現行制度の当面継続:急激な変更は混乱を招くとして段階的措置を検討

2026年5月現在、制度は現行のまま継続されています。変更が決まった場合は経過措置が設けられる見込みですが、今後の動向に注意が必要です。

制度変更に備えてできること

  • 「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で自分の加入記録を確認する
  • 制度が変わっても対応できるよう、iDeCoやNISAで資産形成を始めておく
  • パート勤務の場合、厚生年金加入のメリット・デメリットを把握しておく
  • FPに相談して、どのシナリオでも破綻しない老後資金計画を立てる

よくある質問

パートを始めて収入が増えたら第3号から外れますか?
年収130万円を超えると第3号被保険者の資格を失い、自分で国民年金保険料を払う第1号、または勤務先の厚生年金に加入する第2号になります。年収106〜130万円の範囲では勤務先の規模により社会保険加入の壁があります。
夫が退職したら私も第3号でなくなりますか?
はい。夫が退職して厚生年金から外れると、配偶者も第3号被保険者の資格を失います。14日以内に市区町村で第1号被保険者への切り替え手続きが必要です。届出を忘れると未納期間が発生するため注意してください。
専業主婦でも老後の年金を増やせますか?
iDeCoに加入することで私的年金を上乗せできます(掛金全額所得控除)。ただし、所得がない場合は所得控除のメリットが少ないため、NISA(つみたて投資枠)との組み合わせも検討してください。60歳以降は国民年金の任意加入制度で不足月数を補うことも可能です。
第3号被保険者届出を忘れていた期間はどうなりますか?
届出が遅れた場合でも、2年前までの期間は届出により第3号被保険者と認められます。2年以上前の期間については「特定期間該当届」を提出すれば受給資格期間には算入されますが、年金額の計算には反映されません。まず年金事務所で自分の記録を確認してください。
離婚後に第3号の期間はどう扱われますか?
離婚しても、婚姻期間中に第3号被保険者だった記録はそのまま自分の基礎年金に反映されます。加えて、3号分割(2008年4月以降の期間)や合意分割により、相手の厚生年金記録の一部を自分の厚生年金として受け取れる可能性があります。離婚後2年以内に年金事務所で手続きしてください。
専業主夫(男性)でも第3号被保険者になれますか?
はい。第3号被保険者に性別の要件はありません。妻が会社員・公務員(第2号被保険者)で、夫の年収が130万円未満であれば、夫が第3号被保険者になれます。届出は妻の勤務先を通じて行います。

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最終確認日:2026-05-15

※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・金額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

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