厚生年金

厚生年金の加入条件
パート・アルバイト・70歳以上

老後資金と使ってよいお金を逆算して家計を整える場面
年金額だけでなく、医療費、楽しみ、使ってよいお金の余白まで確認します。

正社員は原則全員加入。パートは週20時間以上・月収8.8万円以上・従業員51人以上等の要件で加入対象に

記事の答えを確認した次に

働き方を変えたら、年金と手取りはどう動く?

決めるタイミング: 転職、退職、再雇用、扶養の変更、独立を決める前後。

相談で繰り返される本音

  • 収入を増やしても手取りが減る境目が分からない
  • 勤務先と自分、どちらが手続きするのか迷う
  • 今の働き方を何年続けるか決めきれない

初回で口頭整理できること

初回は、今の働き方、変更候補、給与と年金の確認項目を並べ、判断順を口頭で整理します。

その次に分けること

勤務先や公式窓口の回答がそろった後、手取りと生活費への影響を確認します。

初回の範囲: 社会保険の適用判定、勤務先手続きの代行、手取り額の保証、金融商品の申込みは初回に行いません。

初回で働き方と年金の順番を聞く

初回は口頭で整理します。資料がなくても、分かる範囲から始められます

相談前のFAQ

資料がそろっていなくても相談できますか?

はい。初回は、いま分かる範囲から迷いと確認順を整理します。通知書、通帳、財産や家計のメモなどが手元にあれば、分かる範囲だけご用意ください。

初回で何を持ち帰れますか?

いま決めること、まだ決めなくてよいこと、次に確認する数字や窓口を口頭で整理して持ち帰れます。初回当日の資料完成は約束していません。

初回に商品や契約の話がありますか?

初回は迷いと数字の整理に使います。金融商品の見積り、申込み、契約変更は初回の範囲に含みません。

目次(12セクション)
  1. 厚生年金の加入条件の基本
  2. 適用事業所の要件|強制適用と任意適用
  3. パート・アルバイトの加入基準(106万円の壁)
  4. 2024年10月改正|従業員51人以上への拡大
  5. 短時間労働者の4つの加入要件
  6. 加入年齢|70歳までの原則と高齢任意加入
  7. 二以上事業所勤務の取扱い
  8. 役員・代表取締役の加入
  9. 派遣社員・契約社員の加入
  10. 加入手続きと届出
  11. 厚生年金に加入するメリット・デメリット
  12. よくある質問(FAQ)

厚生年金の加入条件の基本

厚生年金保険は、会社員や公務員など組織に雇用されて働く人が加入する公的年金制度です。国民年金(基礎年金)に上乗せして支給される「2階部分」にあたり、老齢・障害・死亡のリスクに対してより手厚い保障を受けられます。

加入の判断は個人の意思ではなく、事業所が適用事業所に該当するかどうかと、本人の雇用形態・労働時間・報酬によって法律上決まります。要件を満たせば、本人や事業主の希望にかかわらず強制的に加入となる点が大きな特徴です。

雇用形態加入条件の概要
正社員(フルタイム)適用事業所に雇用されれば原則全員が加入。雇用期間が1日でも対象
パート・アルバイト週20時間以上・月収8.8万円以上・2ヶ月超の雇用見込み・学生でない・従業員51人以上の企業(2024年10月〜)
法人代表者・役員法人から報酬を受けていれば1人社長でも加入義務あり
個人事業主の従業員従業員5人以上の適用業種なら強制適用。それ以外は任意適用
派遣社員派遣元の事業所で加入要件を判定。フルタイムなら原則加入
契約社員2ヶ月超の契約期間があれば正社員と同じ基準で判定
公務員2015年10月の一元化以降、厚生年金に加入(旧共済年金は廃止)

なお、国民年金のみの加入者(第1号被保険者)である自営業者・フリーランス本人は厚生年金には加入できません。法人化して自分に役員報酬を支払う形を取れば加入が可能になります。

適用事業所の要件|強制適用と任意適用

厚生年金に加入するためには、まず勤務先が「適用事業所」である必要があります。適用事業所には「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類があります。

強制適用事業所

以下のいずれかに該当する事業所は、事業主の意思にかかわらず厚生年金の適用を受けます。

  • 法人の事業所:株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人など。従業員数を問わず、1人社長の法人でも対象
  • 個人事業で常時5人以上の従業員を使用する適用業種:製造業・土木建築業・鉱業・運送業・物品販売業・金融保険業・通信報道業・教育研究業・医療保健業など16業種

任意適用事業所

強制適用にならない事業所でも、従業員の半数以上の同意を得て厚生労働大臣の認可を受ければ、任意で適用事業所になることができます。

  • 従業員5人未満の個人事業所
  • 農林漁業・飲食店・理美容業・旅館業・宗教業などの非適用業種の個人事業所

適用業種の拡大(2022年10月〜)

2022年10月から「士業」(弁護士・税理士・社会保険労務士・行政書士など)も適用業種に追加されました。個人事務所で5人以上の従業員がいれば強制適用の対象です。

パート・アルバイトの加入基準(106万円の壁)

パートやアルバイトなどの短時間労働者は、まず「4分の3基準」で判定されます。

4分の3基準(原則ルール)

1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で働く正社員の4分の3以上であれば、厚生年金の加入対象になります。たとえば正社員が週40時間・月20日勤務なら、パートでも週30時間以上・月15日以上で加入義務が発生します。

106万円の壁(短時間労働者の特例基準)

4分の3基準を満たさない場合でも、一定の要件を満たすと厚生年金に加入します。月収8.8万円×12ヶ月=年収約106万円がひとつの目安であることから「106万円の壁」と呼ばれます。

具体的な要件は次のセクションで詳しく解説します。

130万円の壁との違い

  • 106万円の壁:厚生年金・健康保険の加入ライン(勤務先の規模要件あり)
  • 130万円の壁:配偶者の社会保険の扶養から外れるライン(勤務先の規模に関係なく全員に適用)

106万円の壁に該当しなくても、年収が130万円を超えると自分で国民年金・国民健康保険に加入する必要があります。

2024年10月改正|従業員51人以上への拡大

短時間労働者への厚生年金の適用は、段階的に拡大されてきました。2024年10月の改正では、従業員数の要件が101人以上から51人以上に引き下げられ、対象となる労働者が大幅に増加しました。

施行日従業員数の要件新たな対象者数(推計)
2016年10月501人以上約25万人
2022年10月101人以上約45万人
2024年10月51人以上約65万人

ここでいう「従業員数」は、フルタイムの従業員と、4分の3基準を満たすパート従業員を合算した「厚生年金被保険者数」で判定します。短時間労働者や学生アルバイトは含みません。

今後のさらなる拡大

厚生労働省の審議会では、企業規模の要件を撤廃してすべての事業所に適用を広げる案が議論されています。2026年以降の国会に法案が提出される見通しです。実現すれば、従業員50人以下の中小企業で働くパートも厚生年金の対象になります。

短時間労働者の4つの加入要件

4分の3基準を満たさないパート・アルバイトが厚生年金に加入するには、以下の4つの要件すべてを満たす必要があります(2024年10月以降)。

短時間労働者の4要件

  1. 週の所定労働時間が20時間以上:契約上の所定労働時間で判定。残業時間は含まない
  2. 月額賃金が8.8万円以上:基本給と手当の合計。残業代・賞与・通勤手当・家族手当は除く
  3. 2ヶ月を超える雇用見込み:契約期間が2ヶ月以内でも、更新の見込みがあれば該当
  4. 学生でない:大学・高校・専門学校等の学生は対象外。ただし夜間学生・通信制・休学中は対象

要件ごとの注意点

週20時間の判定方法:就業規則や雇用契約書に記載された所定労働時間で判定します。実際の勤務時間が恒常的に週20時間以上となっている場合は、契約上20時間未満でも実態に基づいて判定されることがあります。

月額8.8万円の計算対象:基本給に精皆勤手当・職務手当などの固定的な手当を加えた額です。以下は計算に含めません。

  • 臨時に支払われる賃金(結婚祝い金など)
  • 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • 時間外・休日・深夜の割増賃金
  • 通勤手当・家族手当(最低賃金の計算と同じ除外項目)

加入年齢|70歳までの原則と高齢任意加入

厚生年金の被保険者となれるのは原則70歳までです。70歳に達した日(誕生日の前日)に資格を喪失し、以降は保険料の負担もなくなります。

70歳以降も働く場合

70歳以降も適用事業所に勤務して報酬を得ている場合、厚生年金の被保険者ではなくなりますが、在職老齢年金の仕組みは適用されます。つまり、報酬と年金の合計額が一定基準(2024年度は月額50万円)を超えると、年金の一部または全部が支給停止となる場合があります。

高齢任意加入制度

70歳を過ぎても老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていない方は、「高齢任意加入被保険者」として70歳以降も加入を続けることができます。受給資格期間を満たした時点で資格を喪失します。

加入可能な年齢の下限

厚生年金の加入下限年齢に法的な制限はありません。中学卒業後に就職すれば15歳から加入できます。ただし国民年金の被保険者となるのは20歳からのため、20歳未満の厚生年金加入期間は基礎年金の計算上「合算対象期間(カラ期間)」として扱われます。

二以上事業所勤務の取扱い

複数の会社で働いている場合、それぞれの事業所で加入要件を満たすかどうかを個別に判定します。2社以上で要件を満たした場合は、すべての事業所で厚生年金に加入する義務があります。

届出と保険料の計算

  1. 届出:「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所に提出し、主たる事業所を選択する
  2. 保険料の按分:各事業所から受ける報酬月額の比率に応じて保険料が按分される
  3. 標準報酬月額:各事業所の報酬を合算して決定し、その合算額をもとに年金額が計算される

たとえば、A社で月収20万円・B社で月収10万円を受けている場合、合算した30万円をもとに標準報酬月額が決まり、保険料はA社が3分の2、B社が3分の1を負担する形になります。

届出を忘れるとどうなる?

届出をしないと、年金記録が正しく反映されず将来の年金額が減る可能性があります。また、届出義務違反として遡及して保険料を徴収される場合もあるため、早めの届出が重要です。

役員・代表取締役の加入

法人の代表取締役・取締役・監査役などの役員も、法人から報酬を受けていれば厚生年金の加入対象です。従業員を雇っていない「1人社長」の法人であっても同様です。

役員報酬がゼロの場合

役員報酬が支払われていない(ゼロ円の)場合は、厚生年金に加入できません。法人としての適用事業所の届出は必要ですが、被保険者にはなりません。

非常勤役員の判定

非常勤の取締役や監査役については、以下の要素を総合的に考慮して加入の要否を判定します。

  • 出勤日数や業務従事時間が常勤役員と比べてどの程度か
  • 役員報酬の水準
  • 実際の業務内容や責任の範囲
  • 経営への関与度合い

実質的に常勤と変わらない勤務実態があれば、非常勤であっても加入が必要になるケースがあります。

派遣社員・契約社員の加入

派遣社員の場合

派遣社員は、派遣先ではなく派遣元(派遣会社)の適用事業所で加入要件を判定します。派遣元の事業所でフルタイムまたは4分の3基準を満たす場合は加入義務があります。短時間派遣の場合は、派遣元の従業員数をもとに51人以上の要件を判定します。

契約社員の場合

契約社員は直接雇用のため、勤務先の事業所で加入要件を判定します。契約期間の要件は以下のとおりです。

  • 契約期間が2ヶ月を超える場合:契約開始日から加入
  • 契約期間が2ヶ月以内の場合:原則は対象外。ただし、更新の実績や更新条件から2ヶ月を超えて雇用が見込まれる場合は契約開始日から加入

試用期間中の扱い

正社員・契約社員を問わず、試用期間中であっても要件を満たしていれば厚生年金の加入対象です。「試用期間だから社会保険に入れない」というのは法的には認められません。

加入手続きと届出

厚生年金への加入手続きは、原則として事業主(会社側)の義務です。従業員が自分で手続きを行う必要はありません。

事業主が行う届出

届出の種類提出期限提出先
新規適用届適用事業所になった日から5日以内管轄の年金事務所
被保険者資格取得届入社日から5日以内管轄の年金事務所
被保険者資格喪失届退職日の翌日から5日以内管轄の年金事務所
報酬月額算定基礎届毎年7月1日〜10日管轄の年金事務所
報酬月額変更届固定的賃金の変動があった月から3ヶ月経過後管轄の年金事務所

届出を怠った場合のリスク

事業主が届出を怠ると、以下のリスクがあります。

  • 遡及加入:最大2年分の保険料を遡って徴収される
  • 延滞金:保険料の滞納に対して年14.6%(当初3ヶ月は年7.3%)の延滞金が発生
  • 罰則:届出義務違反に対して6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

従業員が確認すべきこと

手続きは事業主の義務ですが、自身が正しく加入しているかは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。加入月数や報酬月額に漏れがあれば、早めに会社や年金事務所に問い合わせましょう。

厚生年金に加入するメリット・デメリット

メリット

  • 年金額が増える:国民年金(老齢基礎年金)に加えて老齢厚生年金が上乗せされる。加入期間が長いほど受給額が増加
  • 保険料の半分を会社が負担:厚生年金保険料は労使折半。実質的に自分が負担するのは半額で、残り半分は会社が拠出
  • 障害年金の保障が手厚い:障害等級3級や障害手当金(一時金)は厚生年金のみの保障。国民年金だけでは1級・2級しか対象にならない
  • 遺族年金の保障が手厚い:遺族厚生年金は配偶者が受給可能で、遺族基礎年金より対象範囲が広い
  • 傷病手当金の支給:健康保険にも同時に加入するため、病気やケガで働けない期間に最長1年6ヶ月の傷病手当金を受けられる
  • 出産手当金の支給:健康保険から産前産後休業中の所得保障を受けられる

デメリット

  • 手取りが減る:厚生年金保険料(2024年度で報酬の18.3%の半分=9.15%)が毎月の給与から天引きされるため、手取り収入が減少する
  • 扶養から外れる:配偶者の社会保険の扶養(第3号被保険者)から外れ、自分で保険料を負担することになる
  • 配偶者手当を失う場合がある:会社独自の配偶者手当が、配偶者の年収基準により打ち切られるケースも

長期的には加入が有利

短期的には手取りが減りますが、会社が半額負担してくれるうえ、将来の年金増額は生涯続きます。たとえば月収8.8万円で20年間加入した場合、老齢厚生年金は年間約11.6万円増えます。厚生年金は平均寿命まで受給すれば「払った保険料の2倍以上もらえる」計算になるケースが多く、長期的にはメリットが大きい制度です。

よくある質問(FAQ)

扶養内で働いていても厚生年金に加入させられますか?
週20時間以上・月収8.8万円以上などの要件を満たせば、年収130万円未満(扶養内)でも厚生年金の加入対象になります。いわゆる「106万円の壁」です。加入すると配偶者の扶養(第3号被保険者)から外れます。
厚生年金に加入するメリットは何ですか?
保険料の半分を会社が負担してくれるうえ、将来の老齢厚生年金が上乗せされます。さらに遺族厚生年金・障害厚生年金の保障も国民年金のみの場合より手厚くなります。健康保険にも同時加入するため、傷病手当金や出産手当金も受けられます。
個人事業主でも厚生年金に入れますか?
個人事業主本人は加入できません。ただし法人化して自分に役員報酬を支払えば加入義務が生じます。また、従業員5人以上の適用業種であれば従業員は強制加入です。それ以外は従業員の半数以上の同意で任意適用が可能です。
2024年10月の適用拡大で何が変わりましたか?
従業員数の要件が101人以上から51人以上に引き下げられました。これにより、中小企業で働くパート・アルバイトの多くが新たに厚生年金の加入対象になりました。今後は企業規模の要件自体を撤廃する議論も進んでいます。
70歳を過ぎても厚生年金に加入できますか?
通常の加入上限は70歳ですが、老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていない方は「高齢任意加入制度」により70歳以降も加入を続けられます。受給資格期間を満たした時点で資格を喪失します。
ダブルワークの場合、厚生年金はどうなりますか?
複数の適用事業所でそれぞれ加入要件を満たす場合、すべての事業所で厚生年金に加入し、「二以上事業所勤務届」を届け出ます。保険料は各事業所の報酬月額に応じて按分され、年金額は合算した報酬をもとに計算されます。

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最終確認日:2026-05-15

※本記事は2026年5月時点の一般的な情報であり、個別の税務・法務相談に代わるものではありません。各制度の適用要件・金額は個人の状況により異なります。実行にあたっては、必ず公式情報および専門家にご相談ください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトでは責任を負いかねます。

本相談は年金事務所・自治体・勤務先の手続きや受給額の確定を代行するものではありません。